ロシアが国家ぐるみで「ドーピング」をしている!?――世界で進行していることの真相を突きとめるための武器を!

国際教育(2016/08/14)、ロシアのドーピング疑惑、「ノースウッズ作戦」、カストロ政権への転覆工作、ヒラリー女史のEメール問題、「英語読みのアメリカ知らず」


卒寿を迎えたカストロ
カストロ90歳
藤永茂「2016年8月13日、フィデル・カストロが卒寿(90歳)を迎えた」
http://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/6f2af08e8d0530dc6d15807fd71a9ffa


 先日、やっと私の主宰する国際教育総合文化研究所の夏期セミナー(8月10-11日)が終わりました。
 あとで家人から聞いた話では、泊まっていたホテルのロビーで朝ご飯を食べる前にテレビを見ていたら、ブラジルで開かれていたオリンピックの体操競技のようすが放映されていたそうです。
 テレビ画面では鉄棒競技でロシア人の男性があまりにも素晴らしい演技をしていたので、家人は思わず「すてき!まるで体重がないみたい!!」と声を上げたら、そばにいた宿泊客から「どうせドーピングだろ。国家ぐるみでやっているんだから」という声が飛んできたそうです。
 家人はその声の勢いに思わず押されてしまって、その場では口をつぐんでしまいましたが、部屋に帰ってからセミナーの参加者にその話をしたところ、部屋にいたひとも少なからず同じ認識だったので、二度びっくりしたとのことでした。
 しかし、NHKを初めとして日本の大手メディアは「ロシアによる国家ぐるみのドーピング」を大々的に宣伝しているのですから、これも無理からぬことでしょう。とはいえ、このセミナーの参加者は平均的日本人ではなく現職または退職した英語教師でしたから、考えようによっては、これは深刻な事態とも言えるわけです。
 というのは、英語教師は日頃から生徒に「英語は国際語だから英語さえ知っていれば世界のことが分かる」と言っているのですが、実際には「英語読みのアメリカ知らず」であることが珍しくないからです。
 今度の「ロシアによる国家ぐるみのドーピング」についても次のような事実をふまえて考えれば、これもまたロシア包囲網を厳しくするためのアメリカによる宣伝工作に過ぎないのではないかと疑ってみることもできるはずなのですが、現場教師は授業指導と生活指導で毎日を追いまくられているので、下記のような事実を知る余裕を与えられていません。

*ウクライナの政変(2014年2月)は、今では多くの東欧における「色(カラー)革命」と同じく、アメリカが裏で資金や戦術指導をしたクーデターだった。
*クリミヤのロシア編入も、ロシア軍が軍事侵攻して強制的におこなわれたという宣伝が一方的になされ、クリミヤ人による国民投票についての報道は皆無に近い。
*アサド大統領は自国民を化学兵器で殺傷しているとされ、今にもアメリカ軍によるシリア攻撃が開始されそうだったが、ロシアによって逆の事実が暴露された。
*化学兵器を使ったのは湾岸の王制独裁国家に支援されたイスラム原理主義者集団(これを裏で支援したのがEUとアメリカ)だったことも今では多くの事実で明らかにされている。
*アメリカは「シリアにおける原理主義者集団と戦っている」と宣伝してきたが勢力は拡大する一方だった。しかしロシアがシリア政府の要請で軍事行動を取り始めると一気に戦局は逆転し原理主義集団はリビアなどに逃げ出し始めた。
*このようなロシアの動きにたいしてアメリカは東欧諸国にミサイル基地を次々と建設しただけでなく、今や東欧諸国とロシアとの国境沿いにはNATO軍が終結し一触即発の緊張した状況にある。

 これらについては本ブログで何度も指摘してきたので、それを裏付ける事実については割愛させていただきます。それはともかく、現場教師は授業指導と生活指導で毎日を追いまくられているので、上記のような事実を知る余裕を与えられていません。
 しかし、もうひとつの問題は、現在の英語教育が「会話一辺倒」に流れているため、英語教師の読解力がどんどん落ちていることです。
 一般の日本人ならいざ知らず、英語教師であればインターネットを使って検索し、大手メディアでは決して報道されないことを自力で知ることができるからです。たとえばGlobal Researchという私の愛用しているサイトで「オリンピックのドーピング問題」を調べてみると、すぐに次のような記事が見つかりました。

*Washington Is Politicizing The Olympics: Ongoing Attempts to Ban Russia. Geopolitical Implications
By Dr. Paul Craig Roberts(Global Research, July 19, 2016、Paul Craig Roberts 17 July 2016)
http://www.globalresearch.ca/washington-is-politicizing-the-olympics-ongoing-attempts-to-ban-russia-geopolitical-implications/5536309

*Washington Fraud and Geopolitics: Excluding Russia from the Olympics:Appeal to All Freethinking Sovereign Non-aligned Nations: Boycott the Olympics in Solidarity with Russian Athletes
By Peter Koenig(Global Research, July 23, 2016)

http://www.globalresearch.ca/washington-fraud-and-geopolitics-excluding-russia-from-the-olympics/5537439

 しかし残念なことに、今の英語教師は前述のように「英語で授業」という文科省の方針で、読解力よりも会話力を要求され、英語の教科書も会話一辺倒になりつつありますから、一般人はもとより英語教師でさえ、上記のようなサイトを検索し、自分の力で事実を検証するちからを失い始めているのです。
 事実を知られては困る権力者にとってこれほど好都合なことはないでしょう。
 とはいえ幸いなことに、「ロシアによる国家ぐるみのドーピング」については、調べてみると、「マスコミに載らない海外記事」というサイトに、私が見つけたふたつの記事が、そのまま翻訳されて載っていることが分かりました。

*またしても、オリンピックを政治問題化するアメリカ
Paul Craig Roberts(2016年7月17日)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-5722.html
*アメリカ政府の欺瞞と地政学: オリンピックからのロシア排除―全ての自由な考え方の主権ある非同盟諸国に対する、ロシア人運動選手と連帯してオリンピック・ボイコットの呼びかけ
Peter Koenig(Global Research、2016年7月23日)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-1666.html

 さらに調べてみると、さいきん私の手元に届いた『アジア記者クラブ通信』8月号28頁にも下記のような翻訳記事が載っていました。
*欧米の反露ヒステリック頂点に:オリンピックの存立を揺るがすロシアのドーピング「疑惑」
『アジア記者クラブ通信』8月号28頁

 しかし、よく調べてみると題名が「欧米の反露ヒステリック頂点に:オリンピックの存立を揺るがすロシアのドーピング疑惑」となっていますが、内容は上記のPeter Koening論文「アメリカ政府の欺瞞と地政学: オリンピックからのロシア排除」と全く同じものであることが分かりました。
 このように調べてみれば、日本の大手メディアでは決して報道しないことも、読解力さえあれば、私たちは知ることができるわけです。憶えてもすぐ忘れるような会話のフレーズを膨大に暗記させられる教育がいかにエネルギーの無駄遣いであり有害無益か、それをもういちど明確に示すのが、「ロシアのドーピング疑惑」の報道ではなかったのかと思うのです。
 いまアメリカでは民主党の大統領候補であるヒラリー・クリントンが、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプにたいして非常な苦戦を強いられています。というのはヒラリー女史が国務長官室で私的に使っていたメールがウィキリークスによって暴露され、民主党がいかに選挙で不正を働き、党内の対抗馬であったサンダース氏の運動を抑える動きをしてきたかが暴露され始めたからです。
 またヒラリー女史の国務長官時代に嘘の口実でリビアの政権転覆が企てられ、その結果カダフィ大佐が惨殺される至ったこと、またリビアのアメリカ大使館もイスラム原理主義集団の基地として使われていた可能性があり、その結果そこに勤務していた大使までも殺されることになったことも、ウィキリークスによって暴露されています。
 ところが、いまヒラリー女史は、この私的メールの暴露はロシアによる国家ぐるみのハッキングによるものだという新しいロシア攻撃すら始めています。そして「トランプはプーチンの回し者だ」というトランプ叩きに熱中する始末です。これは大統領選でいかにヒラリー女史が追い詰められているかを示すもうひとつの事例ではないでしょうか。
 ですから「ロシアのドーピング疑惑」という問題は、このような文脈においてみて初めて、ことの真相が見えてきます。
 逆に言えば、私が述べてきたような中東情勢やウクライナ情勢を知らないかぎり、NHKを初めとする大手メディアの報道に翻弄されるだけになってしまいます。英語学習にとって読解力がいかに重要かを示す好例ではないでしょうか。

 ここまで書いてきたとき、かつて読んだ藤永茂さんのブログ「私の闇の奥」を思い出しましたので、以下に紹介します。
 私の敬愛する物理化学者はいま90歳を超えようとしていますが、その藤永さんは、2016年5月23日のブログで、英語の読解力について次のように書いていたのです。

最近、私の筆が滞りがちなので、それを助けてやろうというお気持ちからでしょう、桜井元さんという方から、中身のつまったコメントをいくつか続けて頂きました。たいへん読みがいのある内容なので、その一つをここに転載します。お読みください。
 ■「ノースウッズ作戦」 (桜井元) 藤永先生がご紹介くださった諸々のネット情報をじっくり読んでみました。
 まず、ウクライナ上空での民間機撃墜に関するもののなかに、1962年に米国軍部がキューバに対して極秘裏に計画した「ノースウッズ作戦(Operation Northwoods)」のことが触れられていました。情報公開された同作戦の計画メモを National Security Archiveのサイト上で読むことができました。
http://nsarchive.gwu.edu/news/20010430/northwoods.pdf
 キューバへの軍事侵攻を正当化するための偽旗作戦で、そこには様々な謀略が記されていました。
 「グアンタナモ基地への攻撃」、「船舶の沈没」、「航空機のハイジャック」、「民間機の撃墜」、「米軍機の撃墜」、「米国を目指す亡命キューバ人を乗せた船の沈没」、「米国内のキューバ人を狙ったテロ」、「フロリダ州のほか首都ワシントンにおけるテロ」、「カリブ諸国での地下活動」などなど。
 これらを自作自演し、すべてをキューバのカストロ政権の仕業として非難し、国内世論や国際世論を味方につけ、軍事攻撃の正当化根拠にしていくというものでした。
 F86戦闘機をミグ戦闘機のように偽装する方法や、撃墜されたと見せかけるための民間機のすりかえの方法をはじめ、パイロットがニセの遭難信号を発信したり、当該海域に機体の残骸をまいたり、ニセの葬式を行うこと等々まで、細かい謀略の手法が念入りに書かれていて、これらが米国統合参謀本部の幹部の間で合議され認可されたということに戦慄を覚えます。
 国際法をここまで無視する米国こそ「ごろつき国家」「ならず者国家」の称号にふさわしく、さらに、ここまで統治機構が腐敗している米国こそ「失敗国家」の称号にふさわしいと言えるのではないでしょうか。■(桜井さんのコメント終わり)
 私は5年ほど前に、『気楽に英文記事を読む習慣』と題するブログ記事の冒頭で次のように書いています。
 「前回の終りに掲げた英文記事の翻訳紹介を怠りましたら、桜井元さんが、前回のブログへのコメントの形で、その内容をまことに的確適切にまとめて紹介して下さいました。桜井さんはその中で「英和辞書を引きながら、わからない単語や表現は読み飛ばしつつ、なんとか大意はつかめたと思います」と申しておられますが、これは謙遜のお言葉でしょう。
 しかし、ここには私たちが英文記事を気楽に読むためのコツが述べられています。あとは慣れの問題です。とにかく、うるさがらず、好奇心を持って、ネット上に溢れる英文記事に目を通してみる習慣を身につけようではありませんか。すこし努力しながら続けているうちに、頭の中の英語の語彙は殆ど増大していないのに、いつの間にか、英文記事の内容が以前より随分と楽に読み取れるようになります。言葉というものに備わっている不思議さです。」
 私の勝手な、そして、おそらく失礼な想像ですが、桜井さんは、今は、5年前とは比べものにならないような気軽さで、あれこれインターネット上の情報源を読み漁りしておられるのでしょう。世界のマスメディアがほとんど完全にプロパガンダの道具と化してしまった今、我々一般大衆が世界で進行していることの真相を嗅ぎつけるためには、英文記事を忌避せずに読みこなすことが大変必要になっていると思います。


 というのは、日本のような環境では会話のフレーズをいくら憶えても使う機会がほとんどありませんから憶えてもすぐ忘れてしまいます。私の言う「ザルみず効果」です。ザルにいくら水を入れても溜まらないからです。
 他方、読解力は鍛えれば着実に向上し、直読直解できるようなれば、いざ必要になったとき即座に会話力に転換できます。直読直解は直聴直解に直結しているからです。
 と同時に読解力は、上記の藤永茂さんが説明されているように、「私たち一般大衆が世界で進行していることの真相を嗅ぎつけるため」の強力な武器になっているのです。
 だからこそ政府・文科省は、「国際人」にするためと称して、日本人を「ザルみず効果」に終わる会話づけにしようとしているのではないか――これが最近、私が抱いている強い疑いです。
 何度も言いますが、一般大衆が自力で英語を読めるようになり、アメリカが展開している「ノースウッズ作戦」のような恐ろしい計画を知るようになってもらったら困るからです。

<註1>
 もっと詳しく「ノースウッズ作戦」について知りたい方は「櫻井ジャーナル」の下記記事を御覧ください。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201302080000/(2013.02.09)
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201511190000/(2015.11.19)

<註2>
 ロシアのドーピング疑惑に関する翻訳記事は、先述のとおり、『アジア記者クラブ通信』8月号28頁、および「マスコミに載らない海外記事」(2016年7月25日)の二つに載っています。
 しかし和訳の仕方は微妙に違っていて、しかも双方とも必ずしも分かりやすいとは言えません。一方の良いところが他方では悪訳になっています。
 時間とゆとりがある方は、この双方を読み比べて、自分なりの完成版をつくってみられたらいかがでしょうか。自分の英語力・読解力を高める絶好の教材になるのではないかと思うからです。
*アメリカ政府の欺瞞と地政学: オリンピックからのロシア排除
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-1666.html
*欧米の反露ヒステリック頂点に:オリンピックの存立を揺るがすロシアのドーピング「疑惑」
『アジア記者クラブ通信』8月号28頁 (連絡先:apc@cup.com、ホームページ:http://apc.cup.com/


関連記事
スポンサーサイト
検索フォーム
プロフィール

Author:狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

リンク
最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
RSSリンクの表示
QRコード
QR