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「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その9

アメリカ理解(2019/04/22) ロシアゲイト、特別検察官ロバート・ミューラー、下院議員イルハン・オマール、下院議員アレキサンドリア・オカシオ=コルテス、イラン・コントラ事件、ベネズエラ特別大使エリオット・エイブラムス

イスラム教徒であることを堂々と名乗って下院議員に当選したイルハン・オマール(左)
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社会主義者であることを堂々と公言して下院議員に当選したアレキサンドリア・オカシオ=コルテス(右)

 
特別検察官ロバート・ミューラー(​Robert Mueller)の「ロシアゲート」に関する捜査報告書が公開されました。
 2年がかりの調査でしたが、ロシアが2016年の大統領選挙でトランプ米大統領やその他のアメリカ人と共謀したという具体的証拠をなにひとつ示すことはできませんでした。
 考えてみれば、これは当然のことで、アメリカが他国の選挙に関わったり政権転覆をはかることはあっても、ロシアがわざわざアメリカの選挙を裏で操作する理由は考えられません。
 にもかかわらず民主党幹部がここまで「ロシアゲイト」にこだわるのは2つの理由が考えられます。ひとつはアメリカ初の女性大統領になりたかったヒラリー女史の復讐心です。自分が選挙戦で負けたのは「選挙戦で掲げた政策がアメリカ民衆の心を捉えるものでなかったからだ」ということを認めたくないからです。
 自分が負けたのはロシアによる裏工作によるものであり、したがってトランプ大統領はプーチンの傀儡(かいらい)操り人形だということにしておけば、自分の選挙政策や選挙運動のやり方を批判されずにすみますから、こんなに都合のよいことはありません。
 そこで最近ではドイツやイギリスやフランスでも同じ戦術を使い始めました。選挙で負けそうな政権が、「ロシアが選挙に介入しようとしている」という宣伝で、人気のある政党や立候補者を攻撃するというやりかたです。
 それはともかく、民主党幹部が「ロシアゲイト」にこだわったもうひとつの理由は、トランプ大統領がロシアと裏で共謀したという疑惑を掻きたてれば、トランプ大統領の罷免にまで持ち込むことができるかも知れないし、たとえ罷免できなくても、次の大統領選挙でトランプを引きずり落とすことに役立つからです。
 すなわち、「トランプはプーチンの傀儡だというマイナスイメージを大宣伝することによって、トランプ大統領の再選を防ぐことができるだろう」という戦術です。
 しかし、このような戦術は多分、マイナス効果にしか働かないでしょう。民衆の心に響く政策を掲げることなしに、トランプ叩きにのみ専念していたら、ますます民衆の心は民主党から離れていくからです。
 私の推測では、このような民主党幹部の姿勢が変わらない限り、トランプ再選の確率は、ますます高まっていきます。ですから、トランプ再選の後押しをしているのは、実は民主党の幹部たちなのです。
 このような幹部に対する民主党の若い革新的女性議員たち(たとえばイルハン・オマールやアレキサンドリア・オカシオ=コルテスら)の憤りが、アメリカから遠く晴れた地に住む私の耳にまで聞こえてくるような気がします。


以下は長周新聞連載(9、最終回)です。文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
*「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/10854

長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑨227
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑨229
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「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その8

アメリカ理解(2019/04/12)
 ウィキリークス、ジュリアン・アッサンジ、チェルシー(元ブラッドリー)・マニング、ユダヤ人フィンケルスタインのイスラエル批判、イスラエル商品の「ボイコット(B)・資本引き揚げ(D)・制裁(S)」を呼びかける「BDS運動」

ロンドン警察によって逮捕され、エクアドル大使館から引きずり出されるジュリアン・アッサンジ
ジュリアン・アサンジ
https://www.rt.com/news/456212-julian-assange-embassy-eviction/

 アメリカで、内部告発者チェルシー(元ブラッドリー)・マニングが逮捕されたのはつい最近ことでした。
 ところが今度はイギリスで、ロンドン警視庁の捜査官が4月11日にエクアドル大使館へ乗り込み、内部告発支援グループの「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アッサンジを逮捕しました。
 アッサンジの弁護団メンバーによると、すでに取り下げられている事件で出頭しなかったことではなく、​アメリカからの引き渡し要請に基づくもの​だそうです。(櫻井ジャーナル2019.04.12)
 しかしトランプ大統領は、2016年のヒラリー・クリントン女史を相手にした選挙戦では、アッサンジとウィキリークスの活動を賞賛していたのですから、奇々怪々な話です。
 とはいえ、この逮捕は、アメリカの大統領は「DeepStateの操り人形にすぎない」ということを、再び全世界に見せつけるものとなりました。
 というのは、トランプ氏は、大統領選の最中には、「CIAやNATOは過去の遺物だから解体すべきだ」「今後は他国に介入するのはやめ国内経済の立て直しに専念すべきだ」と言っていたにもかかわらず、大統領になった途端に季語修正せざるを得なかったからです。

 それはともかく、ウィキリークスは「政府など権力による犯罪を内部告発するひと」を励まし支援する報道機関として創設されました。アメリカおよび他の国には内部告発を保証する制度や法律もあるのですが、それがまともに機能してこなかったからです。
 本来は権力を監視し批判する機能を託されている新聞やテレビも、現在の大手メディアを見れば分かるように、その役割を放棄しつつあります。その穴を埋めようとして登場したのがウィキリークスでした。
 「民主党幹部が予備選でヒラリー女史を勝たせるため、サンダース候補の選挙運動を妨害する活動を画策している」という内部告発情報を暴露したのも、ウィキリークスでした。 この情報がトランプ勝利の一因になったと思われているので そこで民主党幹部は、今でも「トランプはロシアの傀儡だ」「アッサンジはプーチンと共謀してアメリカの転覆を謀っている」と声高に叫んでいるわけです。

 いずれにしてもアッサンジの逮捕は、報道機関ウィキリークスを潰すための口実ですから、これは明らかにアメリカが民主主義の旗手として自ら誇りにしてきたはずの「言論に自由」を自ら破壊するものです。ですから、本来は極めて恥ずべき行為のはずです。
 ところが、「今や我々の資産が手に入った」と「(ほとんどの)議員がアッサンジの逮捕に大はしゃぎ」なのですから、アメリカの知性に堕落ぶりは目も覆わんばかりです。やはり「神に選ばれた国」は何をしても許されるというのでしょうか。
* 'Our property now': (Most) US lawmakers rejoice over Assange arrest
「今や我々の資産が手に入った:(ほとんどの)議員がアッサンジの逮捕に大はしゃぎ」

https://www.rt.com/usa/456292-democrats-republicans-trump-assange-arrest

 櫻井ジャーナル(2019.04.12)は今度の事件を次のように締めくくっています。けだし名言です。

アッサンジの逮捕は、権力者にとって都合の悪い情報を明らかにすることは許さないという彼らの意思表示。大統領や首相というよな表面的な「権力者」はともかく、そうした人びとを操っている人びとに触れたり、支配システムの根幹を揺るがすような情報を明らかにすることは犯罪だという宣言だ。米英の支配層は一線を越えた。今回の逮捕は権力者と対決しているジャーナリストすべてに覆い被さってくる。

 権力者と対決しているジャーナリストや代替メディアは、日本では極めて数が限られているだけに、それらの未来がますます心配になってきます。


以下は長周新聞連載(8)です。文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
*「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/10854

長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑧225
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑧226

「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その7

アメリカ理解(2019/04/03)
 イスラエルの「民族浄化作戦」「国家自決法」、血に染まった「青天井の牢獄ガザ」、ウィキリークス、ジュリアン・アサンジ、チェルシー(元ブラッドリー)・マニング

逮捕され護送されるブラッドリー・マニング (右写真)現在のチェルシー・マニング
マニング上等兵 チェルシー・マニング (2)


 元アメリカ陸軍兵士ブラッドリー・エドワード・マニング(現在は性転換してチェルシー・マニング)は、2019年3月8日、大陪審で証言台に立つことを拒否したという理由で、再び刑務所に引き戻されました。
*Chelsea Manning jailed for refusing to testify on WikiLeaks
https://on.rt.com/9pt4 (8 Mar, 2019)
 マニングは、2009年に陸軍「情報分析官」としてイラクへ派遣されていました。しかしアメリカ軍が一般市民を空から銃撃し、子どもを含む多数の死傷者を出した録画映像をウィキリークスに漏洩したことが「スパイ罪」にあたるとして、2013年8月に軍事刑務所での35年の刑を言い渡されて服役していました。
 しかし、2017年1月に当時の大統領バラク・オバマがマニングに対し恩赦を与えたことで、2017年5月17日に釈放されましたが、陸軍からは不名誉除隊の処分を受けていました。その彼が、「法廷侮辱罪」すなわち「大陪審で証言台に立つことを拒否した」という理由で、再び刑務所に引き戻されることになったわけです。
 そもそも彼が「スパイ防止法」を犯したとされる行為は、アメリカ軍が犯した戦争犯罪行為、すなわち「軍隊は一般市民を殺傷してはならない」とする国際法をアメリカ軍が兵器で破っていることを内部告発するものでした。アメリカ政府は罪を犯したものを処分するのではなく、良心に耐えかねて内部告発したものに35年の刑を課したのです、
 アメリカ軍にしてみれば「内部の恥を外部に曝した」ことは許しがたい利敵行為・裏切り行為であり、これは一種のスパイ行為にたるだというわけでしょう。アメリカが世界に向かって声高に叫んでいる「正義」というものがこの程度のものだということを、この判決は世界に知らしめることになりました。
 (オバマがマニング氏を恩赦せざるをえなかった背景には、蒸気のような、世界的世論の轟々たる非難を浴びたからでもありました。)
 このたびマニングが再び刑務所に収監されることになったのは、「ウィキリークスの創立者のひとりであるアサンジに内部告発する情報を渡したこと」について大陪審の証言台に立つことを拒否したからでした。連邦地歩裁判所はm」これを「法廷侮辱罪にあたる」としてマニングの週刊を命じたのでした。
 そもそもウィキリークスはCNN放送やNYタイムズと同じ報道機関です。これらの放送局や新聞社は内部告発に基づく「スクープ」記事を何度も報道してきましたから、ウィキリークスだけが特別視されるいわれはありません。特別視されるのは、ウィキリークスがアメリカ政府など権力機関の嘘や犯罪を大胆に暴いてきたからに他なりません。
 そのためアサンジ氏はエクアドル大使館に亡命しましたが、エクアドル政府が親米政権へと大転換した結果、現在のところ、氏はエクアドル大使館に監禁状態です。そして、いつアメリカ政府に引き渡されて「秘密裁判である大陪審」にかけられ死刑または終身刑を受けるか分からない状況にあります。マニングが証言台に立つことを拒否したのは、その意味で当然のことでした。
 しかし同時に、投獄を覚悟した元情報分析官マニングの証言拒否には、感動を覚えざるを得ません。

以下は長周新聞連載(6)です。文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
*「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/10854

長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑦223
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑦224

「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その6

アメリカ理解(2019/03/26)
 クリミアとゴラン高原、アメリカのユネスコ脱退、国連人権理事会からの脱退、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの脱退、イスラエルの民族浄化作戦

エルサレムをイスラエルの首都と公式に認めたトランプ
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(右写真)国連人権理事会からの脱退を表明する国連大使ヘイリー女史


 トランプ大統領は2019年2月25日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、イスラエルが1967年の第3次中東戦争で占領したゴラン高原について、イスラエルの主権を認める宣言に署名しました。
 ゴラン高原はシリアに帰属していましたが、1967年の第3次中東戦争中にイスラエルが占領し、併合したものです。国連安全保障理事会はこの併合を違法だと認め イスラエル軍の撤退を求めていますが、いまだに居座っています。
 このように、国際社会ではゴラン高原のイスラエル主権は認められていません。にもかかわらずイスラエルは、シリアを侵略しているイスラム原理主義集団ISISの訓練基地、出撃基地、そして負傷者の治療基地としても、これを使ってきました。
 このようなゴラン高原を、トランプ大統領はイスラエルの領土だと正式に宣言したのですから、国際社会に衝撃と動揺が走ったのも無理はありません。「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」は、何をしても許されるというわけですから。

 他方、クリミヤは住民投票によってウクライナから独立し、これも住民投票によってロシア連邦の一員になることを認められたのですが、これをアメリカ政府は、ロシアによる軍事侵略・併合だと非難しています。
 戦争で獲得したゴラン高原は、明らかに国際法違法であり国連決議違反ですが、トランプ大統領はイスラエルのゴラン高原併合は合法だと主張しています。他方で、住民の大多数がロシア語を話し、「独立およびロシアへの帰属を圧倒的多数の住民投票で勝ちとったクリミア」に対して、これを認めないというのは、あからさまな二重基準です。
 一方のゴラン高原は明らかな軍事的領有であるのにたいして、クリミアは「ウクライナの政変=ネオナチによるクーデター」に危機感をもったクリミヤ自治共和国議会とセヴァストポリ市議会が2014年3月11日、クリミア独立宣言を採択し、それを下におこなわれた住民投票によるロシアへの帰属でした。

 ところが、このクリミアのロシア編入にたいして沖縄国際大学の前泊博盛教授が、2019年3月12日、参議院予算委員会の「辺野古問題公聴会」で次のような発言をしていることを知り、驚愕しました。(下線は寺島)

 北方領土問題の日ロ交渉で「二島返還」が棚上げにされた経緯には、実は、北方領土を返した場合に米軍基地が置かれるかどうかという可能性についてロシアが問うたところ、日本側が「置かないという約束はできない」と発言したことに要因がある。(中略)
 これに対してプーチン大統領は、「日本が決められるのか、日本がどの程度の主権を有しているか、辺野古をみればその程度がわかる。知事が基地拡大に反対しているが、日本政府は何もできない。人人が撤去を求めているのに基地は強化される。みんなが反対しているのに計画が進んでいる」と指摘している。
 ロシアのクリミア半島併合の話を抜きにして、プーチン大統領にこのような話をされるのもいささか癪ではあるが、このような発言があることを踏まえると、辺野古問題はまさにこの国の民主主義、そして主権を問う焦点であるといえる。安全保障上も非常に大きな問題を抱えている。(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/11178)


 この下線部を読んでいただければお分かりのように、前泊教授もアメリカ政府と同じようにクリミアはロシアが力尽くで併合したと考えていることが分かります。
 この公聴会で前泊教授は実に鋭い政府批判をしているにもかかわらず、これでは、「いざとなったら独立してでも沖縄は米軍基地撤去を勝ちとる」という意志・決意か、生まれるはずもありません。
 私が前回のブログを次のように結んだ所以(ゆえん)です。

日本が国家として真の「主権」を取りもどす日は、いったい何時(いつ)になるのでしょうか。ひょっとして(クリミアがウクライナでやったのと同じように)沖縄が全県民の投票で「独立を宣言する」ほうが先になるのかも知れません。


 以下は長周新聞連載(6)です。文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
*「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/10854

長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑥221
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑥222

「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その5

アメリカ理解(2019/03/26)
 沖縄の県民投票、世界基督教統一心霊協会(統一教会)教祖・文鮮明(ムン・ソンミョン)、文鮮明と岸信介元首相(安倍首相の祖父)、統一教会員ビクトリア・ヌーランド(国務省国務次官補)、統一教会と国際勝共連合と山谷えり子(元国家公安委員長)

 

ウクライナ「自由党」(ネオ・ナチ)の指導者チャニボク
の右に立つ、オバマ政権の国務次官補ヌーランド女史
 
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 アメリカ軍の普天間飛行場を名護市辺野古への移設する計画で、防衛省は3月25日午後、辺野古沿岸部の新たな海域で土砂の投入を始めました。
 さる2月24日の県民投票で埋め立て反対が7割を超え、玉城(たまき)デニー知事は安倍首相に移設工事の中止と協議を求めたにもかかわらず、政府はこれを拒否し、埋め立て海域の拡大を強行したわけです。
 前回ののブログでも述べたとおり、安倍政権は、トランプ大統領が裏工作で据え付けたグアイド氏をベネズエラの「暫定大統領」としてそのまま承認するという行動を取っているのですから、アメリカ政府の言いつけどおり、埋め立て海域の拡大に邁進するのも当然といえば当然です。
 しかし前回の総選挙で与党が勝ったとはいえ、安倍政権は、「小選挙区制」という不公正な制度で多数を占めただけで、「中選挙区制」や「比例代表是制」であれば、あっというまに少数政党に転落する脆弱な基盤の上に成り立っている政権です。
 にもかかわらず、議席数の上では圧倒的多数という擬制のうえにあぐらをかき、「閣議決定」という名の下に、アメリカ政府と国内の富裕層のために、やりたいことを次々と実施しています。
 その典型例が辺野古における埋め立て海域の拡大でしたが、その他の例として「水道の民営化」や「種子法の撤廃」があります。「日本の民衆が自立・自決していく手段」を奪われようが全く気にならないのです。アメリカ企業や巨大合弁企業に奉仕すれば、それでよいのです。(堤未果『日本が売られる』幻冬舎新書)
 これでは、国会は単なる御飾りの存在です。これはまさに「閣議独裁」と呼ぶべきでしょう。だからこそ、辺野古問題で沖縄県民がどのような意思表示を「知ったことか」という態度になるわけです。安倍政権にとって気になるのはアメリカの意向だけなのです。
 だから大統領選でヒラリー女史が圧倒的に有利という大手メディアの報道が流れると、選挙結果が出る前にヒラリー女史のところに駆けつけました。ところが最終的にトランプ氏が大統領になったら、今度は、ヒラリー女史に敵対する相手であったはずのトランプ氏をノーベル平和賞の候補者として推薦する始末です。
 日本が国家として真の「主権」を取りもどす日は、いったい何時(いつ)になるのでしょうか。ひょっとして(クリミアがウクライナでやったのと同じように)沖縄が全県民の投票で「独立を宣言する」ほうが先になるのかも知れません。

 それはともかく、以下は長周新聞に載った拙論「『神に選ばれた国』と『神に選ばれた民』に未来はあるか」の連載(5)です。国際理解・アメリカ理解の一助にしていただければと思います。
 なお長周新聞のホームページには、9回連載が下記サイトで一挙に掲載されています。新聞画面を拡大しても文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
*「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/10854


長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑤219
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか⑤220

「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その4

アメリカ理解(2019/03/25)  ブルム『アメリカの国家犯罪全書』、ウクライナ政変はネオ・ナチによるクーデター、「ナクバ」とはアラビア語で「大惨事」、イスラエルとイラン・コントラ事件、エルサレムにアメリカ大使館を移転


 さる2月24日に沖縄で実施された「辺野古埋め立て」の賛否を問う県民投票は、辺野古埋め立て反対が43万4273票となりました。これは玉城デニー氏が知事選で当選したときの得票数39万票をはるかに上回るもので、圧倒的な反対の意思表示となりました。それは投票総数に対して72・2%という数値にもよく示されています。
 ところが岩屋防衛大臣は3月5日の参院予算委員会で「県民投票の結果にかかわらず、あらかじめ事業(埋め立て)について継続することを決めていた」と答弁しています。このことは地方自治法で定められた直接民主主義の制度を真っ向から否定するものであり、安倍政権が民意に従わない「独裁政権」であることを露骨に示すものです。

 その一方で安倍政権は、トランプ大統領が裏工作で据え付けたグアイド氏をベネズエラの「暫定大統領」としてそのまま承認するという行動を取っています。マドゥーロ政権が「独裁政権」だからという理由なのですが、マドゥーロ氏は昨年5月20日におこなわれ選挙で、堂々と再選された、法的に正式な大統領です。
 この選挙には国内20の政党が参加し900万人もの有権者が投票しました。しかも、150人もの国際監視団が参加しており、そのうえで67%の得票を得ているのですから、「独裁政権」というのは何をさすのか全く理解し難い事態です。
 先日、ベネズエラ全土は、CIAによるものではないかと疑われているサイバー攻撃で、電力が崩壊しましたが、その2日後の3月9日に、数十万の民衆が首都カラカスを埋め尽くしました。この巨大デモは民衆によるマドゥーロ支持を世界に知らしめるものでした。
 が、日本の大手メディアは、これを報道しませんから、ほとんど誰も知りません。ですから、「マドゥーロ=独裁者」という印象のみが広がっています。

 しかし「暫定大統領」グアイドという人物はどんな人物だったのでしょうか。
 そもそもグアイド議員が国会議長になったというのも、野党主要4党による合意の基に輪番でその座に就いたに過ぎないのです。しかも、グアイド議員が属する「大衆意志党」はその野党のなかでも最も少数の勢力なのです。
 そのうえグアイド議員、その党のなかでさえはトップではなくナンバー3にすぎません。他の野党代表すらもグアイド議員の暫定大統領就任を拒否するという事態でした。
*駐日ベネズエラ大使館のセイコウ・イシカワ大使の講演
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/10999
 にもかかわらず、グアイド議員がトランプ政権から「暫定大統領」に指名=任命されたのは、彼がアメリカに留学していたときから、CIAによって育てられ訓練されてきた人物だったからです。詳しくは下記を御覧ください。
*グアイド誕生裏話:アメリカの政権転覆研究所によるベネズエラ・クーデター指導者の作り方
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-58b3.html

 以下は長周新聞9回連載の「『神に選ばれた国』と『神に選ばれた民』に未来はあるか」の(4)です。しかし、そのための前置きが長くなりすぎたので、この「前置きの続き」は次回に回します。
  なお長周新聞のホームページには、9回連載が下記サイトで一挙に掲載されています。新聞画面を拡大しても文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
*「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/10854

長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか④217
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか④218

「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その3

アメリカ理解(2019/03/23) 
 『エコノミック・ヒットマン、途上国を食い物にするアメリカ』、1980年の国連決議「エルサレムは国際管理とする」、「キリスト教シオニズム」と「ユダヤ教シオニズム」、「キリスト教福音派」と「終末キリスト教福音派」、「神意主義者(プロヴィデンシャリスト)」、「神から与えられた明白な使命(マニフェスト・デスティニー)」、昨日の「自由の戦士」が今日は「残虐なテロリスト」

 
 今のアメリカは非常に理解しにくい様相を呈しています。民主党の幹部は「トランプ大統領はロシアの傀儡(かいらい)だ。ロシアによる裏からの選挙介入でトランプは大統領になれたのだ」として、いまだにトランプ大統領の罷免運動をする姿勢を変えていません。
 しかも困ったことに、CNN放送やニューヨークタイムズなどの大手メディアの多くも。この民主党幹部と同じ姿勢をとり続けています。トランプ氏がヒラリー女史と熾烈な選挙戦を闘っているときも、大手メディアは一貫してトランプ叩きをしてきました。
 トランプ氏は、このような大手メデイアの姿勢を「にせ報道(FakeNews)を垂れ流す悪辣な連中」として攻撃し、このような大手メディアに頼らずに自分の意見を知らせる手段としてツイッターをいう道具を使い始めました。
 すると今度は民主党幹部も大手メディアも、「トランプこそツイッターを使ってFakeNewsを流している」と攻撃を始めました。さらに困ったことに、フェイスブックのような今までは中立を保っていた機関までもが、民主党幹部の圧力押されて、「FakeNewsを取り締まる」という口実で自己検閲を始めたのです。
 こうなると、一般民衆は何が本当の報道であり何が偽の報道か分からなくなってしまいます。というのは今までは大手メディアに頼らずに、ツイッター、フェイスブック、インターネットなどの手段で情報を手に入れていたのに、政府の検閲が始まる前に、これらの機関が自己建設を始めているからです。
 もっと事態を複雑にしているのは、民主党幹部が「トランプ氏はロシアによる裏からの選挙介入で大統領になれたのだ」と声高にトランプ大統領を攻撃してきたはずなのに、ベネズエラの政治に「表から」堂々と介入し「必要ならば軍事行動も辞さない」とするトランプ氏の姿勢に賛意を示していることです。
 おまけに、前回のブログでも紹介したことですが、「民主的社会主義者」を自称するバーニー・サンダース上院議員までもが、このトランプ氏の行動を支持する発言を始めたのですから、まともにものを考えることのできるひとには信じがたい情景がアメリカに展開されているのです。
 さらに哀しいことは、このような民主党幹部のあからさまな二重基準(ダブルスタンダード)に異を唱える若い女性議員(たとえばイルハン・オマール、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスなど)にたいして、民主党の内部から、これを押さえつけようとする動きが出てきたことです。
 もっと奇々怪々なのは、単に異論を抑えにかかるだけでなく異論を封殺する法案まで作ろうとする動きまで出てきたことは、まさにチョムスキーが心配していたような、「ファシズム化するアメリカ」の兆しではないでしょうか。しかし、このようなアメリカを、日本の大手メディアは報道しませんから、アメリカ理解は混迷を深めるばかりです。

 そこで前々回のブログで述べたように、長周新聞9回連載「『神に選ばれた国』と『神に選ばれた民』に未来はあるか」を紹介し、国際理解・アメリカ理解の一助にしていただければと思います。今回は連載(3)の記事です。
 なお長周新聞のホームページには、9回連載が下記のサイトで一挙に掲載されています。新聞画面を拡大しても文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
*「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/10854


長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか③214
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか③215
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか③216
 

「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その2

アメリカ理解(2019/03/21)
Deep state 「裏国家」「闇の政府」、国連特別報告者アルフレッド・デ・ゼイヤス、元陸軍中将マイケル・フリン(元DIA国防情報局長官)、オバマ氏「2008年大統領選の市場広告最優秀賞」、キング牧師の演説「ベトナムを超えて」、ランドルフ・ボーン「戦争は国家の健康法」

 
 トランプ大統領は、ベネズエラへの経済制裁をいっそう強化し、さらにベネズエラ全土を停電状態に追い込むという不安定化工作を実施し。マドゥーロ「独裁」大統領によってベネズエラ民衆が苦しんでいるからという口実で政権転覆を正当化しています。
 ふつう学校では、子どもたちは「弱いものいじめをするな」というお説教を聞かされますが、いまベネズエラで展開されている光景は、大人による「弱いものいじめ」を国際的レベルで絵に描いたような図式です。

 経済制裁でベネズエラの民衆を食えない状態に追い込んでおきながら、「それを救うため」と称して政権転覆に乗りだすというのですから、開いた口が塞がりません。元国連特別報告者ゼイヤス氏も、このことを厳しく批判しています。
*アルフレッド・デ・ゼイヤスからアントニオ・グテレス国連事務総長及びミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官への公開書簡
https://venezuela.or.jp/news/2159/(2019年2月23日)
 しかも、大統領の予備選挙ではヒラリー女史を苦戦に追い込んだはずの、「民主的社会主義者」を自称するバーニー・サンダースでさえこのような動きに同調するという。哀しい現実が、アメリカにはあります。
*バーニーよ、お前もか?サンダース、タカ派のベネズエラ政権転覆に同調
http://tmmethod.blog.fc2.com/

 そこで前回のブログで述べたように、「英語教育残酷物語」の連載を一時中断して、長周新聞で9回にわたって連載された「『神に選ばれた国』と『神に選ばれた民』に未来はあるか」を紹介し、国際理解・アメリカ理解の一助にしていただければと思います。
 なお長周新聞のホームページには、9回の連載が下記のサイトで一挙に掲載されています。ブログ画面を拡大しても文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
*「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/10854


長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか②211
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか②212
長州新聞20190210神に選ばれた国と神に選ばれた民に未来はあるか②213

「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その1

アメリカ理解(2019/03/15) “Deep state”「裏国家」「闇の政府」、ウィリアム・ブルム『アメリカの国家犯罪全書』、マイケル・フリン(元陸軍中将、元国防情報局DIA長官)

 いまベネズエラ情勢が緊迫しています。
 トランプ大統領は、大統領選挙に立候補したとき「他国への干渉・政権転覆をやめる」との公約を掲げ、それが支持を受けて大統領に当選しました。
 にもかかわらず。今や「闇国家」「裏の政府」すなわちDeepStateの言うがままに、戦争政策・干渉政策を継続しています。
 たとえば、オバマ氏はベネズエラのマドゥーロ政権を転覆するために裏で不安定化工作を続けてきましたが、トランプ氏は今や公然とベネズエラ政府の転覆を唱えるようになりました、
 今まで全く無名だったグアイドという若者を、たまたま輪番で国会議長になったことを利用して暫定大統領に「任命」し、3月15日現在も、ベネズエラ全土を停電状態に追い込むという不安定化工作を実施しています。

*ルビオ米上院議員の「語るに落ちる」ツイッターで再確認された米国の悪事
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201903150000/
*駐日ベネズエラ大使が日本記者クラブで語ったこと ~ベネズエラの平和と安定のために~
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/10999

 そこで以下では、「英語教育残酷物語」の連載を一時中断して、長周新聞に9回にわたって連載された拙論「『神に選ばれた国』と『神に選ばれた民』に未来はあるか」を紹介し、国際理解・アメリカ理解の一助にしていただきたいと思うようになりました。ご了解いただければ幸いです。
 なお長周新聞のホームページには、9回の連載が下記のサイトで一挙に掲載されています。ブログ画面を拡大しても文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
*「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/10854




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暗殺大国アメリカ―キング暗殺50周年によせて

アメリカ理解(2018/04/14) キング記念日、ノースウッズ作戦、ウォーレン委員会、「キング殺し」「ケネディ殺し」、リー・ハーヴェイ・オズワルド、ジェームズ・アール・レイ 
ケネディ大統領暗殺の下手人とされたオズワルド  暗殺されたマーチン・ルーサー・キング・ジュニア
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 アメリカは英仏と共に、東部時間13日午後9時(日本時間14日午前10時)、シリアに攻撃を加えました。その口実として使われたのが、またもや「アサド政権が化学兵器を使って民衆を殺している」というものでした。

 最初は「毒ガスを使って二重スパイだった元ロシア軍諜報員を殺そうとした」という口実でロシアを悪魔化しようとしたのですが、これは嘘だったことが暴露されそうになった途端に、アメリカは「アサド政権が民衆を殺そうとしている」という口実で戦略を一変させました。

 その証拠に、イギリス外務省は「ロシアが毒ガスを使った」とするサイトを削除してしまったばかりでしたし、そもそもシリア領土内で風前の灯火となっているイスラム原理主義勢力を一掃するために今さら化学兵器を使わねばならない理由は全く見当たりません。

 またシリア東グータ地区ドゥーマの市民が化学兵器で深刻な被害を受けているという映像も自作自演であったことは、地元市民の証言で明らかになっています。市民によれば、そのような攻撃は一切なかったというのです。
*ドゥーマ化学兵器使用がでっち上げである無数の証拠がある【動画】
https://jp.sputniknews.com/middle_east/201804134779091/
*攻撃されたとされるドゥーマ地区で、化学兵器の痕跡なし
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-38.html (寺島メソッドメソッド翻訳NEWS)

 以上の経過を考えると、アメリカが爆撃したとされる場所は「自作自演の11地区」であり、証拠隠滅の作戦ではないかという意見もあります。ところが安倍政権は何の検証もなく、「シリアの化学兵器の使用を許すまじ」と米国政府の決意に支持を表明し、相変わらずの対米従属ぶりを示しました。

 いずれにしても、これまでにアメリカが国内・国外でおこなってきた数々の「業績」を見れば、自国民であれば外国の民衆であれ、暗殺・殺害はアメリカの「おはこ」ですから、今度の「アサド政権による化学兵器の使用」というのも、良識あるひとにとっては、「またか」「どれだけ人を殺せば気が済むのか」という思いを禁じ得ないでしょう。
 何しろアメリカは国内でもキング牧師やケネディ大統領でさえ暗殺するのですから、まして国外の名もなき民衆は単なる虫けらにしか見えないのではないでしょうか。
 それを勇気をもって暴露し証言しているのが、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者でもあったPCR(ポール・グレイグ・ロバーツ)です。

 そこで以下では、PCR氏の鋭い告発を翻訳して紹介します。これは元々「マーティン・ルーサー・キング」という題名だったのですが、内容は、短いながら、のキング暗殺だけでなくケネディ大統領の暗殺や民間航空機の爆殺計画など、アメリカによる謀略にもふれていましたので、「暗殺大国アメリカ」とさせていただきました。
 ちなみに、キング牧師が暗殺されたのは1964年4月4日であり、今年はちょうどその50周年に当たります。その意味でも、4月のこの時期に、これを訳出し皆さんに紹介するのは、それなりの意味があるのではないかと考えています。ただしPCR氏の論旨が読者に伝わりやすいように、訳出にあたっては、原文の文順や段落順序を大幅に入れ替えました。御理解いただければ幸いです。


暗殺大国アメリカ――キング、ケネディ、ノースウッズ作戦
http://www.paulcraigroberts.org/2016/01/19/martin-luther-king-paul-craig-roberts/
Paul Craig Roberts、January 19, 2016

 アメリカによる全ての偽装攻撃や暗殺と同様、1968年のマーチン・ルーサー・キングの暗殺も隠蔽された。

 キングの事件では、犯人だとされたジェームズ・アール・レイは、でっち上げられた身代わりだった。ジョン・F・ケネディ大統領の場合は、オズワルドが、ロバート・ケネディの場合シーハン・シーハンがそうだったのと同様だ。

 コレッタ夫人を初めとしてキング家の人々は、証拠に注意を払った他のあらゆる人々と同じく、自分たちが事実を隠蔽され、犯人とされた人物名だけを手渡されたことも気づいていた。

 真実を明らかにしようとする長年の取り組みの結果、キング家の人々は、刑事訴訟では勝てないことが分かっていたので、なんとか民事訴訟で証拠を明るみに出そうとした。
 
 その結果、本当の証拠に直面した陪審員団は、一時間しかかからずに、マーチン・ルーサー・キングが政府機関を含んだ陰謀によって殺害されたと結論づけた。

 その詳細については、以下の記事に述べられているので、時間のある方は是非とも参照していただきたい。

*MLK ASSASSINATED BY US GOVT: King Family civil trial verdict 「キングはアメリカ政府によって暗殺された:キング家の訴えによる民事裁判の判決」
*Court Decision, U.S. "Government Agencies" Found Guilty in Martin Luther King's Assassination 「判決、キング暗殺でアメリカの『政府機関員』が有罪だと認められた」

 マーチン・ルーサー・キングは、ジョン・F・ケネディ同様、ワシントンの支配者=国家安保体制の被害妄想による犠牲者だった。

 キングは当時わずか39歳で、公民権指導者としての立場を確立していた。だがFBIは確信していた。キングは共産主義者とつながっており、彼が率いていた運動は国家安全保障の脅威に発展しかねないと。

 当時のアメリカでは、公民権を強調することはアメリカ批判を意味していた。多くの人々が、アメリカ批判と共産主義者の主張を混同していた。アメリカを批判するのは主として共産主義者たちだったからだ。

 そしてここに、アメリカの欠点を指摘する日の出の勢いの指導者がいた。キング牧師である。そしてベトナム戦争に対しても反対の声をあげはじめていた。

 マーチン・ルーサー・キングの殺害に対するワシントンの対応は、彼の名を冠した国民の祝日「キング牧師記念日」(1月の第3月曜日)を創設することだった。ちなみに、キング牧師の誕生日は1月15日である。

 自分の機関員によって殺害された人物を、政府が讃えるということは、誰がキングを殺したかという議論を終わらせ、厄介な問題を処分するのに賢明な方法だった。


 ではケネディ大統領の場合は、どうだったのか。暗殺されるに至ったケネディの「罪状」は次のとおりだ。

 ケネディは、ライマン・レムニッツァー大将の作成したキューバ政権転覆計画「ノースウッズ作戦」を拒否し、CIAのキューバ侵略計画に反対し、キューバ・ミサイル危機をめぐってソ連と紛争を起こすためのレムニッツァーの計画を拒絶し、統合参謀本部議長としてのレムニッツァーを排除した。そして冷戦を和らげるべくフルシチョフとこっそり交渉した。

 こうした結果、「軍安保複合体」の連中はケネディに恨みもち、かつ確信した。ケネディは共産主義に対して甘く、米国にとって安全保障上の脅威になったと。

 ここで「ノースウッド・プロジェクト」とい作戦に着目してほしい。この作戦は、アメリカの旅客機を撃墜することだったのだ。その目的は、カストロに責任転嫁してキューバ政府を転覆することだった。搭乗しているアメリカ国民を殺戮しても彼らは平気だったのだ。これがアメリカなのだ。

 この最高機密とされていた「ノースウッズ作戦」は、1997年に公表された。ウォーレン委員会によるジョン・F・ケネディ暗殺の調査およびその後の委員会調査が不十分だとして、そのはるか後に設置された「暗殺記録審査委員会」によるものだった。

 この作戦計画は、1962年に、統合参謀本部によってケネディ大統領に提出されたもので、ペンタゴンの計画は、アメリカの旅客機を撃墜し、アメリカ国民を殺戮することだった。
 その目的は、カストロに責任転嫁して、キューバに政権転覆を実現する侵略のために国民の支持を作り出すことだった。

 ケネディ大統領はその報告書を拒否した。
 その決断は、「ケネディはいったい共産主義に対して立ち上がる力と信念をもっているのか」という国家安保体制、CIAやペンタゴンのケネディに対する疑念を強めた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Northwoods


 ところで、ケネディ暗殺では、シークレット・サービス自体が策謀に引き込まれていた。暗殺場面のフィルムを見ると、警備をするシークレット・サービスの要員が、致命的な銃撃の直前に、大統領の自動車から離れるよう命じられていたことが分かるからだ。

 ジョン・F・ケネディを殺害した政府工作員が誰だったのかを、司法長官だった弟のロバート・ケネディは知っていた。だからロバート・ケネディは、次期大統領に立候補して、殺害された兄の計画を暴露し、その犯人を処罰する途上にあった。

 もしロバート・ケネディが大統領になってれば、国家安保体制の機関員が告訴され有罪判決を受けていただろう。そして“CIAをバラバラに解体する”という彼の願いは達成されていたであろう。だが彼も暗殺された。


 ケネディ大統領の暗殺を調査するウォーレン委員会は、犯人とされたオズワルドが単なる身代わりだったことを理解していた。
 しかし委員会はまた次のことも理解していた。冷戦の真っただ中で暗殺の真実をアメリカ国民に話してしまうことは、国家の安全保障に対する国民の信頼を破壊してしまうだろうと。だから委員会は隠蔽以外の代案はないと考えたのだ。

 こうしてウォーレン委員会にたいする不満が第2の調査につながった。今回はアメリカ下院の暗殺に関する特別委員会によるものだった。この報告は、JFK暗殺から16年後の1979年に公開されたが、やはり多くが隠蔽されたままだった。
 しかし、この特別委員会は認めざるを得なかった。陰謀が現に存在し、狙撃犯は1人以上だったということを。そして「陰謀の可能性に関するウォーレン委員会とFBIの調査には重大な欠陥があった」ということを。
http://www.archives.gov/research/jfk/select-committee-report/part-1c.html


 まっとうな批判を国家反逆罪と混同することはよくあることだ。そう遠くない昔、オバマが任命したキャサリン・サンステイーンはこう述べた。
 「アメリカ国民が騙されていたと知る前に、9/11真実運動はFBIによる潜入捜査をうけ、信用を落とされた。そして国民は戦争と、市民的自由の喪失を受け入れた」
 国土安全保障省長官ジャネット・ナポリタノはこう述べた。
 「国土安全保障省の焦点はテロリストから“国内過激派”に変わった」
 彼女が長官としての職を辞任し、カリフォルニア大学の学長になる前のことだ。彼女の言う「国内過激派」とは、戦争に反対する人々、環境保護主義者、そして政府を批判する人々を含んでいた。

 歴史を通して、思慮に富んだ人々は、真実が政府の敵であること、政府の大半は私物化されていることを理解している。
 私的権益のために政府を利用する小さな集団によって政府は支配されているのだ。政府が公共の利益のために働いているという考え方は、アメリカの大変な欺瞞の一つだ。
 こうした権益の邪魔をする人々は、決して優しく扱われない。だからこそ、ジョン・F・ケネディ とマーチン・ルーサー・キングは殺害されたのだ。こうしてケネディの弟、ロバート・ケネディも殺害された。


<註1>  キング暗殺の民事裁判の判決が出された後におこなわれた記者会見のようすを下記資料から知ることができます。とりわけ興味深いのコレッタ夫人の挨拶です。
*Assassination Trial – Full Transcript.pdf「民事裁判の全体像」
http://www.thekingcenter.org/sites/default/files/KING%20FAMILY%20TRIAL%20TRANSCRIPT.pdf
*Assassination Trial – Family Press Conference.pdf「キング一家の記者会見」
http://www.thekingcenter.org/sites/default/files/Assassination%20Trial%20-%20Family%20Press%20Conference.pdf

<註2> 櫻井ジャーナル(2018/04/06)はキング暗殺に関して、次のような興味ある事実を紹介しています。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201804060000/
 <ロン・ポール元下院議員によると、当時、キング牧師の顧問たちは牧師に対してベトナム戦争に焦点を当てないよう懇願していたという。そうした発言はジョンソン大統領との関係を悪化させると判断したからだが、牧師はそうしたアドバイスを無視したのである。
 大統領の意思には関係なく、戦争に反対し、平和を望む人々をアメリカの支配システムは危険視している。例えば、FBIが1950年代にスタートさせた国民監視プロジェクトのCOINTELPRO、CIAが1967年8月に始めたMHケイアスも、ターゲットはそうした人々だった。
 MHケイアスによる監視が開始された1967年はキング牧師がリバーサイド教会でベトナム戦争に反対すると宣言、またマクナマラ国防長官の指示で「ベトナムにおける政策決定の歴史、1945年-1968年」が作成された年でもある。
この報告書の要旨、つまり好戦派にとって都合の悪い部分を削除したものをニューヨーク・タイムズ紙は1971年6月に公表した。いわゆる「ペンタゴン・ペーパーズ」である。
 この報告書を有力メディアへ渡した人物はダニエル・エルズバーグだが、エルズバーグはその後、宣誓供述書の中でキング牧師を暗殺したのは非番、あるいは引退したFBI捜査官で編成されたJ・エドガー・フーバー長官直属のグループだと聞いたことを明らかにしている。>

<註3> 国内の蓄積された矛盾、支持率の低下をみれば、英米仏の現政権が戦争をしたがっていることは、よくわかります。やはり「戦争は国家の健康法」なのです。
*「戦争は国家の健康法である」上・中・下
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-295.html
 日本の安倍政権も森友学園など問題を抱えていますから、それを一気に吹き飛ばすために戦争の勃発を待ち望んでいる可能性があります。
 また、シリア情勢が、一歩でも間違えれば、核戦争・第3次世界大戦に突き進む緊迫した状況にあることを次のブログがよく伝えています。

*「世界の終わりまで、あと十日」
Paul Craig Roberts 2018年4月12日 
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/04/post-b7f8.html
*「OPCWのチームが調査を始める直前、米英仏はシリアをミサイル攻撃」
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201804140001/



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