"We Support WikiLeaks" と題する署名運動

"We Support WikiLeaks" と題して、ウィキリークス支援する署名運動が始まっていることを知りましたので下記に紹介しておきます。

http://salsa.democracyinaction.org/o/592/p/dia/action/public/index.sjs?action_KEY=5343

下記のような著名人が名前を連ねています。

*Daniel Ellsberg(内部告発文書ペンタゴン・ペーパーズで有名になった元国防総省高官)
*Noam Chomsky (世界的の著名な言語学者、生成文法の創始者。米国外交政策の鋭い批判者としても有名)
*Arundhati Roy(インドの著名な女性作家。処女作『小さきものたちの神』でブッカー賞を受賞して一躍、世界からの注目を集めた)
*Barbara Ehrenreich(貧困大国アメリカを告発した潜入ルポ『ニッケル・アンド・ダイムド、アメリカ下流社会の現実』を著し、世界を騒然とさせた女性作家)
*以下、省略

署名運動の詳しい趣旨は上記「趣意書」に書いてありますので割愛させていただきますが、最後は次のような呼びかけで終わっています。現在(2010年12月27日)の時点で、既に世界中から8400の署名が集まっているそうです。

We hereby stand in support of the WikiLeaks media organization, and condemn the attacks on their freedom as an attack on journalistic freedoms for all.

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劉暁波とジュリアン・アサンジ (下)

KeyWords:ノーベル平和賞、Liu Xiaobo、ウィキリークス、Julian Assange、米国民主主義基金(NED)、国際民主主義基金 (IED)、イスラエルの核開発、モルデハイ・バヌヌ、ムミア・アブジャマール 、国連環境会議 COP16
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心臓病手術の傷跡が寒くなるとうずくので痛み止めを飲みながら、(前回のブログで述べたように)、Howard Zinn &Anthony Arnove, Voices of a People's History of the United States翻訳の仕事をしていますが、ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ氏が釈放されたニュースを聞くと、この翻訳を中止してついブログを書きたくなってしまいます。

しかし、一方で歯医者にも通わなくてはならないし翻訳も遅れ気味なので、その時間をかせぐためにブログは今まで禁欲してきました。が、『日経オンライン』などで次々とウィキリークスと創設者ジュリアン・アサンジに関する的外れな(と私には思われる)記事が載るのを見ていると、このまま放置しておくわけにはいかないと思い始めました。

そこでやむを得ずペン(?)をとった次第ですが、年賀状を書く余裕もない状態ですので、前回同様、引用を大幅に割愛せざるを得ません。本当は自分の書くことについてきちんと出典や引用を明確にしながら論述を進めるべきなのですが、お許しいただければ幸いです。[以下で、DNとあるのは、Democracy Now!の略記です。]
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しかしジュリアン・アサンジ氏のことに移る前に、劉暁波氏について(時間と紙幅の関係で)書き残したことがありますので、まず劉氏について述べたいと思います。というのは、劉氏のニュースがテレビ画面に登場したとき、何となく違和感を覚えたのです。

その違和感が何であるかは、その時よく分からなかったのですが、ベッドに寝ているときに理由が分かりました。その時にテレビで映っていたのは劉氏が書斎か居間かで寛(くつろ)いでいるようすだったのですが、その部屋は私には豪邸の一室のように見えました(劉氏の豪華な部屋の様子は、下記DNの映像で確認できます)。
http://www.democracynow.org/2010/12/10/china_faces_international_criticism_at_nobel

ニュースの報道では、劉氏は反体制運動をしたという理由で職が得られず奥さんの稼ぎで生活しているはずでした。しかし、その彼が何故あのような豪邸に住むことができるのか、という疑問が浮かんできて、それが無意識に私の違和感になっていたのでした。

中国の一部では大富豪が続々と誕生していますが、一般民衆で劉氏の住んでいるような豊かな空間と素晴らしい調度品の中で生きているひとは、そう多くないはずです。

こんなことを思いながら下記の記事を読んでいたら、その謎が解けました。中国に拠点を置きながら環境運動をしているアメリカ人女性Lucia Green-Weiskelが、DNのインタビューの中で劉氏について次のように語っていることを発見したからです(下線部に注目ください)。

http://www.democracynow.org/2010/12/10/china_faces_international_criticism_at_nobel
But now China has changed. And as I started saying before, many of my friends, or the people that I work with in China, are quick to point out that democracy in the way Liu Xiaobo represents is "big D" Democracy, American democracy. And in fact, Liu Xiaobo is funded by the Endowment for Democracy in Washington.

上記の下線部から分かるように、劉氏はワシントンに拠点をおく組織「米国民主主義基金」(National Endowment for Democracy, NED)からお金をもらっているのです。一般の中国人が劉氏を批判するのであれば、ある意味で当然なのですが、米国人がこのような指摘をしていることが私には大きな驚きでした。

というのは、このNEDなる組織はCIAの隠れ蓑であり、世界各地でクーデタを起こす道具として使われてきたことは、少しでも米国外交史を知っているひとには衆知の事実だからです。しかしこのことを知っている日本人は意外と少ないように思われますので、下記にで 益岡賢氏の訳「トロイの木馬」を載せておきます。

トロイの木馬:米国民主主義基金(NED)
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/c19.html

上記「トロイの木馬」は、元国務省に勤めていたWilliam Blum氏の著書: Rogue Stateならず者国家(Common Courage Press、2000)[邦訳『アメリカの国家犯罪全書』作品社、2003]第19章ですが、ウィキペディアで調べてみても下記のような一節があって、「やはりそうか」と思わされました。

<NED設立法案の起草に関わった米国公文書管理官のアレン・ワインスタインは1991年「我々が今日やっていることの多くはCIAが25年前に密かに行っていたことだ」と語った。>

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ところで、上記で引用したアメリカ人女性Lucia Green-Weiskel氏は、メキシコのカンクンでおこなわれた国連環境会議COP16に参加した折りに、DNのインタビューを受けたわけですが、先の発言に続けて次のように語っています。

 Now China—many Chinese citizens are very quick to point out China's own history of nonintervention, the fact that China is one of the only countries in the world that's never colonized another country in the way that America and European countries have colonized countries, that also China has lifted 30 million people out of poverty.

つまり中国の一般民衆が誇りに思っていることは、アメリカやヨーロッパの国々がアフリカやアジアを植民地化したようなやり方で中国は他国を植民地化したことはないし、今の中国政府が今まで貧困にあえいできた13億の民衆のうち3億をどん底から救いだしたことだというのです。

これは(もちろん政府の宣伝工作もありますが)単に中国政府による宣伝の結果だけではなく、高度の経済成長をなしとげ、北京オリンピックも成功させた中国民衆の一般的な感情ではないかと思います。むろん今の中国は豊かなひとが現れた一方で、貧富の格差が拡大していますし、奴隷工場の劣悪な環境に抗議する暴動やストライキも多発しています。

しかし今の中国は、文化大革命の頃の中国と比べれば、はるかに良くなったというのも一般民衆の偽らざる感情ではないかと思います。しかもストライキの多くが外資系企業であることにも注目すべきでしょう。つまり自国では許されないような劣悪な労働条件で働かせることができるからこそ中国に企業進出している国が多いということです。

以上のことを念頭におくと、Lucia Green-Weiskel氏がDNのインタビューで更に次のように語っていることの意味が、さらに明瞭になってくるように思います。

Liu Xiaobo—the Chinese have had a problem with Liu Xiaobo because he's a bit of an anachronism. He represents a type of democracy that doesn't really exist in China today. Also, many people—many Chinese citizens believe that the award for Liu Xiaobo was basically an effort to humiliate China and, in the end, has counterproductive results rather than moving towards peace between the United States and China or within China itself. The reason is that China does not respond very well. The Chinese government does not respond very well to this sort of public shaming.

つまり、Green-Weiskel女史は、劉暁波氏の言動は「少し時代錯誤」a bit of an anachronismではないかと言っているのです。これを読んだとき、学生用語で言うと「目が点に」なりました。中国の一般民衆ではなく環境運動をしている知的な米国女性の言葉だったからです。

そして多くの中国人は、劉暁波氏およびノーベル平和賞委員会の言動が中国に恥をかかせるものであるだけでなく(裏に「米国民主主義基金」がからんでいるから)米中関係をも悪化させるものだ、と信じているというのです。

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以上のような事実があったので、私は「劉暁波氏のノーベル平和賞を手放しでは賞賛できない」と前回のブログで書きました。すると、このブログを読んだ友人から「それに関連して興味ある記事を見つけた」と言って、宇野木洋氏(立命館大学文学部教授)の「劉暁波のノーベル平和賞受賞に思う」と題する記事を送ってくれました。

宇野木氏は劉氏の文芸思想に関する論文を二本ほど書いたことがあったため、受賞決定後に「京都新聞」から取材があり、「感想は?」と聞かれて「複雑な思いです」と答えるよりなかったと述べ、その理由を次のように述べています(長くなるので要約して紹介します。詳しくは下記を参照ください)。
http://www42.tok2.com/home/ieas/china-nobelprize=img0311.pdf

1)佐藤栄作氏やダライ・ラマ氏の受賞を見れば分かるように、ノーベル平和賞は政治的利用されてきた側面がある。今回も大国化した中国に対する牽(けん)制(せい)の意味合いが存在していたことは否めないだろう。
2)劉氏の文芸思想は発表された当初から「全面欧化論」すなわち米国型民主主義を唯一絶対のモデルとする傾向が顕著だった。
3)米国がアフガン侵攻に踏み切ったとき、それに支持を表明する「ブッシュ大統領への公開書館」をインターネットで発表し、賛同者をつのったりしていた。
4)その延長線上で、大量破壊兵器を口実にした米国のイラク侵攻に対しても、当初、肯定的な評価をしていた。
5)したがって中国社会主義実践の優良な伝統を生かして、中国の政治文化に即して民主化を進めようとする知識人の間では、彼の思想や民主化プログラムは、現実的・内発的ではないとして評価が低いのも事実だ。

上記で宇野木氏は政治的受賞としてダライ・ラマ氏に言及しているので、私はまた驚いてしまいました。米国との安保条約密約が暴露された今となっては、佐藤栄作氏への受賞が政治的だったことは明々白々だと思いますが、「ダライ・ラマ氏までがそうだったのか」と思ったからです。

ところが、米国民主主義基金NEDを調べているうちに、下記の記事を発見して、どうもダライ・ラマ氏もNEDと深い関わりがあるのではないかと思うようになりました。というのは、ダライ・ラマ氏にNEDから「民主主義功労勲章」が贈られていることを発見したからです。
http://www.tibethouse.jp/news_release/2010/100219_accolade.html

上記の記事を読んで、宇野木氏の言及が中国の実情をよく知った上でなされたものであるとの確証を得た思いがしました。と同時に、前回のブログで私が書いたことが、それほど的外れなものではなかったのだと改めて安心した次第です。

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私は過去のブログ(2010年10月26日)で、イスラエルの核兵器所有を勇気をもって内部告発して牢獄に入れられたモルデハイ・バヌヌ氏のことを紹介し、最後を次のように結びました。

<モルデハイ・バヌヌ氏は「核開発どころか核拡散にも手を染めたペレスが貰うような賞であれば、こちらから願い下げだ」と言ったわけです。・・・だとすれば、劉暁波氏も米国などに亡命する道もあったにもかかわらず中国にとどまって闘う道を選んだのですから、「オバマ氏がもらうような賞ならお断りします」と言った方が、氏の権威がより高まるし、世界の平和と民主化に貢献するのではないかと思ったのですが、これは氏に対して余りにも酷な要求でしょうか。>

「劉暁波氏へのノーベル平和賞によせて(下)―モルデハイ・バヌヌ氏の受賞拒否」http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=3264792

しかし上記で紹介した宇野木洋氏の言が正しければ、劉暁波氏に対して私は全くの「無い物ねだり」をしていたことになります。劉氏がブッシュ氏のアフガン戦争やイラク戦争の支持者であれば、その延長上で戦争を拡大しているオバマ氏に対して抗議の意志を表明することはあり得ないと思われるからです。

また、前回のブログでは「ノーベル平和賞委員会は、人権侵害を理由に中国政府を批判しているが、無実の罪で30年近くも死刑の恐怖にさらされながらも米国政府と闘っているムミア・アブジャマール氏にもノーベル平和賞を与え、米国政府を批判する勇気があるのだろうか」とも書きました。

さもなければ全くの「二重基準(ダブルスタンダード)」に基づいた政治的受賞と言われても仕方がないでしょう。これも前で書いたことですが、(グアンタナモ刑務所はもちろんこと)米国には、無実の罪で獄につながれているひと、また過去につながれていたひとは、数多くいるからです。

同じことはイスラエルについても言えます。「ノーベル平和賞委員会は、人権侵害を理由に中国政府を批判しているが、イスラエルによる秘密の核開発を暴露した罪で18年間も牢獄につながれたモルデハイ・バヌヌ 氏にもノーベル平和賞を与え、イスラエル政府の人権侵害を批判する勇気があるのだろうか」と思うからです。

イスラエルによる人権侵害は中国政府の比ではありません。それどころか現在、パレスチナでおこなわれていることは「民族抹殺(ジェノサイド)」と呼ぶにふさわしいものでしょう。特にガザ地区は「生きた牢獄」と呼ばれ、下記のチョムスキー論文を読んでいただければお分かりのように、イスラエルはカザ地区の住民を「野獣」と呼び、それを「絶滅せよ」とすら言っているのです。

チョムスキー090119「すべての野蛮なものたちを絶滅せよ」
http://www42.tok2.com/home/ieas/Chomsky-yaban091208.pdf

他にもカザ地区やガザ地区への援助船への攻撃については、最近いろいろなところで目にするようになりましたが、以下のものは動画で日本語字幕が付いているので、理解するのに容易かと思います。

ガザのゲルニカ イスラエルによる空爆で300人以上が死亡
http://democracynow.jp/video/20081229-1
壊滅地帯 封鎖されたガザの経済
http://democracynow.jp/video/20090406-3
ガザに向かう支援船団をイスラエル海軍が公海で襲撃
http://democracynow.jp/video/20100601-2

今回の授賞式で、ノーベル平和賞委員会は、劉氏夫妻の椅子を空席にし、巨大な劉氏の写真を飾ることによって、中国政府にたいする全面的批判を演出しました。だとすれば、、中国とは比べもにならないくらいの残酷な人権侵害を繰り返しているイスラエル政府をなぜ批判しないのでしょうか。

ノーベル平和賞委員会は、米国に全面支援されたイスラエルを敵に回してでも、モルデハイ・バヌヌ氏に平和賞を与える勇気があったのでしょうか。もしそのようなような勇気がないくせに、「いま世界で最も叩きやすい相手だから」という理由で中国を選んだのであれば、それはノーベル賞の政治利用といわれても仕方がないのではないでしょうか。

こんなことを思っていたら、「非政府組織(NGO)の国際人権連盟は、モルデハイ・バヌヌ氏が軍縮促進に貢献したとして、カール・フォン・オシエツキー賞を贈ることを決めた」という記事を見つけました。

イスラエル、出席認めず=核開発暴露の元技師、人権団体授賞式
時事通信 【ベルリン時事】12月11日(土)16時47分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101211-00000082-jij-int
<イスラエルの核開発に関する機密情報を暴露して国家反逆罪に問われ、18年間にわたって服役した元原子力研究所技師モルデハイ・バヌヌ氏(56)に対し、国際人権団体が賞の贈呈を決めたところ、イスラエルが同氏の出国を認めなかった。AFP通信によると、バヌヌ氏はベルリンで12日に予定されていた授賞式への出席が不可能になり、式は取りやめになった。非政府組織(NGO)の国際人権連盟は、バヌヌ氏が軍縮促進に貢献したとして、カール・フォン・オシエツキー賞を贈ることを決めた。賞の名称は、ナチス政権下の1935年にノーベル平和賞を受賞しながら(今年の受賞者である中国の民主活動家、劉暁波氏と同様)拘束されていて本人も親族も授賞式に出席できなかったドイツの平和活動家に由来している。>

モルデハイ・バヌヌ氏は「核開発どころか核拡散にも手を染めたシモン・ペレス、そのような人間が貰(もら)うような賞であれば、こちらから願い下げだ」と言ったわけですが、今度の賞=「カール・フォン・オシエツキー賞」は拒否しなかったようです。

イスラエル政府がバヌヌ氏の出国を認めるはずがないにもかかわらず、この国際人権団体は賞を与えたわけですから、まずこの国際人権団体の勇気を讃(たた)えたいと思います。また考えようによっては、この授賞は、ノーベル賞平和委員会に対する間接的批判とも言えます。ノーベル平和賞の権威がますます失墜していくのが目に見えるようです。

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さて今回は、先日16日に保釈されたウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジ氏についても書く予定でしたが、ここまで書いてきたら疲れてきたので、以下は全くの走り書きで終わりたいと思います。詳しい出典・引用なしになりますが、お許しください。

まず第1に気になるのは、一般のメディアでは「婦女暴行による逮捕」としてしか報道されていないことです。合意の上での性交であり、単にコンドームを使ったかどうかの問題を「婦女暴行」としてしか報道しない大手メディア(NHKも含めて)の姿勢に何か意図的なものを感じざるを得ません。

この「コンドーム使用」問題についても、相手の女性は「NO」と言っていないのですが、と主張するフェミニストもいて、映像で見ていて恐ろしいくらいの論争が、著名な二人のフェミニスト同士の間で展開されました。興味がある方は下記を御覧ください。

Naomi Wolf vs. Jaclyn Friedman:
Feminists Debate the Sexual Allegations Against Julian Assange
http://www.democracynow.org/2010/12/20/chris_hedges_obama_is_a_poster
Part II...Feminists Debate Sexual Allegations against Julian Assange
http://www.democracynow.org/2010/12/21/part_iifeminists_debate_sexual_allegations_against

私が上記の論争を視聴した限りでは、初めから終わりまで「「たとえNOと言っていなくても強姦にあたる」ということしか主張していないJaclyn Friedman氏よりも、「この事件を単なるコンドーム問題に貶めてはいけないとし、アサンジ氏をめぐる広い背景の中でこの事件を論じたNaomi Wolf氏の論に、深い共感をおぼえました。以下は、Wolf氏の論を通じて知った事実です。

この論争を視聴していて、まず私が驚いたのは、スウェーデンはレイプ天国であるにもかかわらず、つまり誰が見ても明らかなレイプは放置されてきたにもかかわらず、この「合意の上での性交であり、コンドーム使用について合意があったかどうかだけが争われている事件」をスウェーデンとイギリスの警察が問題にしたという事実でした。

また当初は告訴する意図がなかったにもかかわらず、スウェーデン警察が無理に告訴させようとしたフシがあります。また警察に告訴した女性たちは、単にHIVの恐れがないかを調べて欲しいと思っただけだと言っているようですが、なぜ二人そろって警察に行ったかは不明です。この不明さが、CIAなどから送り込まれた人物ではないのかという噂が飛び交う原因になっています。

だから何度も「告訴」と「告訴の取り下げ」が繰り返され、しかもスウェーデン警察から正式な告訴状が届いていないにもかかわらずイギリスの警察が動き始めて、アサンジ氏は容疑を晴らすために自ら出頭したにもかかわらず、逮捕・投獄され、初めは保釈すら認められないという、奇怪な事件です。

しかもロンドン警察は作家オスカー・ワイルドさえも狂気に陥れたと言われる地下の独房に、アサンジ氏を10日間近くも閉じ込めたのでした。ですからイギリスでもアサンジ氏の救出に多くの著名人が駆けつけました。その中の主だったひとをあげると次のようになります。

タリク・アリ:パキスタン出身で英国在住の著名な作家・批評家
ケン・ローチ:数々のカンヌ映画祭受賞作を生み出している著名な映画監督
ジャマイマ・カーン:名高い作家で慈善活動や人権活動家としても知られる
ジョン・ピルジャー:オーストラリア出身で英国在住の著名なジャーナリスト
ビアンカ・ジャガー:ローリング・ストーンズのミック・ジャガーの元妻で映画監督、人権活動家として名高い。

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ところで、アサンジ氏の莫大な保釈金(24万ポンド=約3150万円、この金額も根拠不明ですが)については、上記の人たちだけでなく、有名な映画監督マイケル・ムーアも喜んで一部を負担することをいち早く表明しました。

またアサンジ氏が保釈されたとは言っても、一種の「自宅軟禁」状態であり、しかも監視用の電子タグを常に「腕」または「足首」に付けていなくてはならないだけでなく毎晩m警察に出頭しなくてはならないというのも、全く異常な「保釈」の仕方です。なぜなら氏はいまだにスウェーデンから正式に起訴すらされていないのですから。

アサンジ氏に対する支援が世界的な広がりを見せているのも、このような異常な逮捕劇への怒りからではないでしょうか。

たとえば、イギリスの出版社オーナー・フェリックス・デニスやノーベル生理学・医学賞受賞者のジョン・サルストン博士もアサンジ氏の裁判費用を負担することを明らかにしていますし、ジョン・ピルジャー氏らは「ジュリアン・アサンジ防衛基金」を設立して、アサンジ氏を支援するための資金集めに奔走しています。

米国でも、ベトナム戦争時に国防総省の高官だったにもかかわらず、最高機密である「ペンタゴン・ペーパーズ」をニューヨーク・タイムズなどの新聞社に漏洩させてベトナム戦争を終結させることに貢献したダニエル・エルズバーグ氏、コリン・パウエルに仕えた国務省高官ラリー・ウィルカーソン氏、元FBI特務員だったコリーン・ローリィ氏なども、アサンジ支持をはっきりと表明しています。

ダニエル・エルズバーグ氏らは,大略、次のように主張していいます。
http://www.democracynow.org/2010/12/10/whistleblower_daniel_ellsberg_julian_assange_is

「アサンジ氏は情報を盗み出したわけではなく、内部告発者から送られてきた情報を精査したうえで公表する活動をしている。もしリークされた情報を一切報道してはならないというのであれば、ウィキリークスから送られてきた記事を載せたニューヨークタイムズなどの新聞社やこれを報じるDemocracy Now!も犯罪者ということになってしまう。これは民主主義の死を意味する。ジャーナリズムの基本的役割は権力の監視役だからだ。また、だからこそ、企業や政府の腐敗を内部告発する権利と告発者を守る制度が今こそ求められているのだ。」

しかし、日本の大手メディアからは、上記のような記事を目にすることはほとんどありません。これは悲しむべきことではないでしょうか。

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<NOTES> 国際民主主義基金 (IED)について

 先に「米国民主主義基金NED」について紹介しましたが、それに対抗する組織として国際民主主義基金 IED(International Endowment for Democracy)なるものがあることを最近、知りました。

これは「趣意書」によると、米国が口では民主主義を標榜しながら、実際にやっていることは、国内でも国外でも全くそれに反していることが少ないことを嘆き、米国に真の民主主義を根付かせるために地道に活動している団体に資金援助すると同時に、常に不正が絶えない米国の大統領選挙を監視するための監視団を世界中から送ってもらうための資金を積み立てようとするものです。

「趣意書」(STATEMENT OF PURPOSE)
http://www.iefd.org/lang/ja02.php

上記のような「趣旨」を読むと、それだけでも私にとっては大きな驚きでしたが、その寄付金を世界中に呼びかけていること、その呼びかけ人に次のような著名人が名前を連ねていることが、二度目の驚きでした(この呼びかけ人の中に、先頃亡くなったばかりのハワード・ジン死や獄中で闘っている死刑囚ムミア・アブ=ジャマール氏があることに、特に注目していただきたいと思います)。

「世界の人々への緊急アピール」
http://www.iefd.org/lang/ja01.php
「呼びかけ人」」
ハワード・ジン/HOWARD ZINN (アメリカの指導的な歴史家)、
ムミア・アブ=ジャマール/MUMIA ABU-JAMAL (アメリカで最も有名な政治囚)、
ゴア・ヴィダル/GORE VIDAL (アメリカの著名な小説家・エッセイスト)、
ラムゼイ・クラーク/RAMSEY CLARK (世界的に有名な人権派の法律家,元司法長官)、
バーバラ・フォーリー/BARBARA FOLEY (革新的な学者達によるthe Left Alliance議長)、イマニュエル・ウォーラーステイン/IMMANUEL WALLERSTEIN (国際社会学会前会長)、マイケル・ラトナー/MICHAEL RATNER (the Center for Constitutional Rights代表。the Lawyers' Guild元代表)
以下、省略
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劉暁波とジュリアン・アサンジ (上)

Key Words:ノーベル平和賞、ムミア・アブジャマール、ウィキリークス、国連環境会議COP16、カンクン(メキシコ)


大手のメディアを見ている限りでは、劉暁波氏のノーベル平和賞授賞式欠席とウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジ逮捕が大きな話題を集めていますが、ノーベル平和賞授賞式と同日に閉幕を迎えたカンクン(メキシコ)での会議 [国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)]については、あまり関心が寄せられていません。

そこで今回は、これらのニュースを見たり読んだりして感じたことを雑記風に記して、皆さんに少しでも考える材料を提供できればと思います。

しかし2年前から頼まれている Howard Zinn &Anthony Arnove, Voices of a People's History of the United States の翻訳が、拙著『英語教育が亡びるとき』の執筆やその後の心臓手術で大幅に遅れていますので、このブログにあまり時間をかけることができなくなっています。

したがって本当は、自分の書くことについてきちんと出典や引用を明確にしながら論述を進めるべきなのですが、時間の関係で今はそれを大幅に割愛せざるを得ません。お許しいただければ幸いです。

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劉暁波氏へのノーベル平和賞授賞式欠席に関して、ノーベル平和賞委員会の委員長は授賞式会場で中国を名指しで批判し、劉氏の釈放を強く要請しました。米国大統領のオバマ氏も同じ論調で中国を批判するコメントを発表しています。

しかし、このニュースを視聴していて私の頭にまず浮かんだことは、1982年に死刑判決を受け、いまだに「死の影の谷間」に押し込められたまま28年もの歳月を闘っている、黒人運動の闘士ムミア・アブジャマール氏のことでした。

既に下記のブログで、パキスタン系英国人で世界的に有名な評論家タリク・アリ氏が、「オバマ氏を平和賞に推すくらいなら、米国にはもっとふさわしい人物がいる」としてアブジャマールの名をあげていることを紹介しました。
http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=3245737

ノルウェーのノーベル平和賞委員会は、劉暁波氏が獄中で中国の民主化を訴えているから平和賞にふさわしいとするのであれば、同じく獄中から米国の不正な司法制度を告発し、死をかけながらそれと闘っているアブジャマール氏も、ノーベル平和賞にふさわしいと言えるでしょう。

劉暁波氏にたいする判決はもちろん不当ですし、すぐ釈放されるべきです。しかし、今回の劉氏にたいする判決は11年の獄中生活ですが、劉氏には死刑の恐怖はありません。他方、アブジャマール氏は死刑判決を受けていますので、この30年近くを死の恐怖のなかで獄中を生きてきました。

しかも米国史をよく調べて見ると驚いたことに、無実の者を獄中につないだり死刑にすることは勿論のこと、暗殺することも平気でおこなわれてきています。ハワード・ジン氏Howard Zinnの名著『民衆のアメリカ史』を読めば、その例はいくらでも見つけることができます。

また、いま私が訳している Howard Zinn &Anthony Arnove, Voices of a People's History of the United States という本は、『民衆のアメリカ史』の資料編にあたるもので、抑圧されながらも(暴行を受けたり、獄につながれたり、暗殺されたりしながら)米国を一歩一歩、民主化された国にしてきたひとたちの肉声が記録されています。

これを読むと、『民衆のアメリカ史』を読んだだけでは知り得なかった米国の裏面を知ることができます。そしてムミア・アブジャマール氏は、そのような米国史の一例に過ぎないことを、上記の翻訳作業を通じて改めて確認することができました。

そして、ハワード・ジン氏やノーム・チョムスキー氏がいつも言っているように、「このような名もない民衆の、名もない闘いが、今の米国をつくっている」ことも、感動的に知ることができました。

ジン氏は今年2月に突如、心臓発作で亡くなりましたが(87歳)、下記のチョムスキー氏による追悼文も、時間があればぜひ読んでいただければ有り難いと思います。そうすれば、私の下手な説明では納得できなかったひとも、なるほどと思っていただけるのではないかと思うからです。

チョムスキー「追悼ハワード・ジン」2010年2月
http://www42.tok2.com/home/ieas/Chomsky-HowardZinn.pdf

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話しが少し横道に逸れてしまいましたので、本題に戻します。私がここで言いたかったことは、実は、「ノルウェーのノーベル平和賞委員会は、中国政府の抗議を押し切って劉氏に平和賞を与えたが、同じことを米国にたいしておこなう勇気があったのだろうか」という疑問です。

今回の授賞式では、劉氏の巨大な顔写真を会場に掲げ、しかも出席できない劉氏の座席をわざと空席にしたうえで、中国政府を非難したわけですが、ノルウェーのノーベル平和賞委員会は同じことを米国にたいしておこなう度胸があったのでしょうか。

私の推測では、もしノルウェーのノーベル平和賞委員会がムミア・アブジャマール氏にノーベル平和賞を与えれば、米国政府は烈火の如く怒りだして、授賞式に参列する諸外国の代表に、強烈な圧力をかけて妨害することは、想像に難くないからです。

というのは、米国は昨年コペンハーゲンでおこなわれた「国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議」(COP15)で、そのような行動を取った過去を持っているからです。それは、いま話題になっているウィキリークスによって暴露されたばかりです。

それによるとオバマ政権は、一部の大国だけを集めて密室で決めた合意文書(いわゆる「コペンハーゲン・アコード」)を世界に押しつけるにあたり、それにたいして強力に反対した国々の一部(モルディブなど温暖化で海に沈もうとする島国)は金で買収し、もう一つの反対勢力(ボリビアやエクアドルのような発展途上国)には金を与えず「脅迫」「周辺化」する行為に出ています。

Bolivian President Evo Morales at Cancún Climate Summit: WikiLeaks Cables Reveal "Diplomacy of Empire"
http://www.democracynow.org/2010/12/10/bolivian_president_evo_morales_on_wikileaks

今回のカンクンでも、米国は(負債を証券に変える「誤魔化し商品」Derivativeと同じ発想で)、地球上に放出される炭酸ガスを金に換える方策を押し進めたり、「京都議定書の延長を阻止するために日本を先兵として使い、その後押しをカナダやオーストラリアにさせる、という作戦だったようです。

Bill McKibben: Climate Talks So Weakened by U.S., Major Polluters that Walkout Could Be Good News for Planet
http://www.democracynow.org/2010/12/7/bill_mckibben_climate_talks_so_weakened

かつて「京都議定書」成立に尽力した日本が、今度は、その破壊の先頭に立ったのですから、驚愕のあまり声も出ず、会場はしばし沈黙が続いたそうです。鳩山氏が首相であれば、このような行動には出なかったのではないでしょうか。

Climate Talks in Jeopardy as Industrialized Nations Threaten Kyoto Protocol
http://www.democracynow.org/2010/12/6/climate_talks_in_jeopardy_as_industrialized

ところが、これに引き替え中国は、下記のように、このカンクンで非常に意欲的な炭酸ガス削減計画を提案しました。つまり、2020年までに2005年レベルを基準として40-45%を削減するというのです。

But China is doing many things with our without an agreement. So this is something that many of the negotiators that I've spoken with and also a lot of the NGO leaders that I've spoken with have said—with or without an agreement, China will commit to these very ambitious targets. And indeed, as many people have talked about, through China's targets of 40 to 45 percent reductions in energy intensity by 2020 of 2005 levels, China has set in motion subsidies and very aggressive government investment and central planning, including a cap-and-trade program.
http://www.democracynow.org/2010/12/10/china_faces_international_criticism_at_nobel

しかも今回、中国はMRV(Measuring測定, Reporting報告、Verification検証)という三つの基準も受け容れると表明したのですから、日本は世界中に恥をさらしただけに終わりました。

So, China has learned a lot. I think the Chinese government has been briefed by very, very smart people, by scientists, and has learned a lot about what—measuring, reporting and verification of greenhouse gases. And they’ve realized, you know, this is actually—this is something we could do, no problem. We know how to do this. We have the engineers. We have the internal infrastructure to do this. And so, I think that’s been the big change.
http://www.democracynow.org/2010/12/10/china_faces_international_criticism_at_nobel

CO2削減に関しては、「京都議定書」を発した日本こそが先頭を切らなければならないのに、本当に恥ずかしいことです。菅氏は「第2の小泉」ではないかという声もありますが、ますますその危惧を強めさせる動きでした。

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話しを再び元に戻します。

ノルウェーのノーベル平和賞委員会の行動に私が納得できない理由は他にもあります。それは、今回のウィキリークスによる情報流出を抑えるために、米国政府はあらゆる手段を講じようとしているからです。

たとえばウィキリークスのサイトを維持できなくさせるために、VISAカード、Masterカード、PayPal、アマゾンなどの、カード会社、金融機関、あるいはインターネットのプロバイダーなどに圧力をかけたり、世界中から寄せられる寄付を止めたりしています。

これでは中国が国内で言論弾圧をしていることを国際レベルでやっているのと同じで、規模の大きさを考えると、米国のほうがはるかにタチが悪いと言えます。

これにはさすがに国連人権委員会も困ったらしく、国連人権高等弁務官(the U.N. High Commissioner for Human Rightsy)のNavi Pilla氏は、次のような声明を発表して、「このような行動はウィキリークスの持つ『言論・表現の自由』を犯す恐れがある」と言わざるを得なくなっています。

U.N. High Commissioner for Human Rights Navi Pillay: "I am concerned about the reports of pressure exerted on private companies, including banks, credit cards companies and internet service providers, to close down credit lines for donations to WikiLeaks, as well as to stop hosting the website or its mirror sites. Taken as a whole, they could be interpreted as an attempt to censor the publication of information, thus potentially violating WikiLeaks' right to freedom of expression.
http://www.democracynow.org/2010/12/10/headlines

それどころか、創設者のアサンジ氏を逮捕するためにスウェーデンの検察を使って国際逮捕状を出させ、米国に移送させる計画だとも言われています。ところがスウェーデン当局も「容疑の根拠があまりに貧弱」ということで、逮捕状を何度も出したり引っ込めたりしてきましたが、アメリカの圧力が強かったのか、遂に英国政府に逮捕を要請しました。

ところが不思議なことに、アサンジ氏が自ら英国警察に出頭した時点でも、いまだに正式な書類が英国に届いていませんでした。そのうえ、スウェーデンで女性に暴行を働いたという訴えの内容が、驚いたことに「合意の性交であったけれどコンドームをしてくれなかった」ということだったというのですから、呆れてしまいました。

Glenn Greenwald on the Arrest of Julian Assange and the U.S. "War on WikiLeaks"
http://www.democracynow.org/2010/12/7/glenn_greenwald_julian_assange_arrest_and

アサンジ氏の弁護士も、「こんなバカなことで国際逮捕状を出すなんて信じられない。スウェーデンの検察は、自分の恥を世界にさらしているだけだ。しかもアサンジ氏がスウェーデンにいたときも、英国に来たときも(スカイプを使うなどして)いつでも事情聴取に応じると言っているにもかかわらず、それを断って国際警察を使って英国に逮捕させ、保釈も許さず留置場に留め置くというのは、何か別の意図があるとしか考えられない」と述べています。

Attorney: WikiLeaks’ Julian Assange Endangered by Bail Denial in London; Still No Charges Filed in Sweden
http://www.democracynow.org/2010/12/8/attorney_for_wikileaks_founder_julian_assange

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もうひとつ注意しておきたいことは、オバマ政権は、政府職員に「ウィキリークスを読んではいけない。たとえ自宅のコンピュータからであっても」という通達を出しただけでなく、オバマ氏のアドバイザーや国会議員のなかから「アサンジを暗殺せよ」という声が公の場で出てきても、それを止めるどころか裏ですすめているフシすらあることです。

ブッシュ氏が大統領だったとき、アフガニスタン攻撃に先立って、「ビン・ラディン達をcapture or killしろ」と言ったことで有名になりましたが、最近のオバマ氏は外国人どころか米国人すらも「capture or kill」しろという指令を出すようになりました。裁判なしに死刑にする(つまり有罪の証拠なしに殺す)わけですから、これは恐ろしいことです。

Is the CIA Assassination Order of a US Citizen Legal?
http://www.democracynow.org/2010/4/8/is_the_cia_assassination_order_of

ダニエル・エルズバーグ氏は、ベトナム戦争当時の国防総省(ペンタゴン)の高官であり、ベトナム戦争にかかわる最高機密文書(いわゆる「ペンタゴン・ペーパーズ」)を外部に漏洩させた人物として有名ですが、彼のおかげでベトナム戦争は終結に向かったと言われています。

そのエルズバーグ氏が、「以前は裏でこっそりおこなわれていた(暗殺などの)行為を、最近のオバマ政権は、表で堂々と語るようになってきている。これは極めて恐ろしいことだ」と言っています。しかもブッシュ氏が外国人暗殺を公言するようになっただけでも恐ろしいのに、それを米国人にまで拡大して平気なのが今の政権だと、次のように述べています。

......And that is a—it’s appalling that our conversation after 9/11, in the last ten years, has reached a point where what Nixon did to me covertly can now be called for and actually done openly and very specifically. Nixon brought a dozen Cuban American émigrés, Bay of Pigs veterans, up from Miami to at least beat me up.
 The words were "incapacitate Ellsberg totally," which covers the word "kill," which, as their prosecutor said to me at the time, these guys, who were CIA assets, they don’t use the word "kill." They avoid it. They use words like "neutralize" and "eliminate" and "with extreme prejudice," "terminate," that sort of thing. They avoided the word "kill."
  I notice that the change now is that not only is that, which was a covert action, which actually was critical in bringing Nixon down because it was recognized as not only illegal, but really against American values in a fundamental sense, that has now become something you can talk about quite openly.
 And even the President can refer to special operations teams worldwide whose work is to capture or kill. The word "kill" is no longer avoided in these circles, assassinating people who get in the way by telling the truth.
(Pentagon Whistleblower Daniel Ellsberg: Julian Assange is Not a Terrorist)
http://www.democracynow.org/2010/12/10/whistleblower_daniel_ellsberg_julian_assange_is

つまり、昔は密かに「エルズバーグを無力化する」「中和する」「消去する」、「最悪の被害の出るやり方で」「始末する」と言っていたのに、今は公然と「~を殺す」「暗殺する」と言うようになってきている、というわけです。

以上のように米国政府は、ウィキリークス事件で露骨に現れた「言論弾圧」やCIAによる暗殺でも分かるように「人権抑圧・人権無視」をおこなってきています。また米国は、イラク戦争を典型として、世界のあちこちを侵略し、無実の一般市民を大量に殺してきました。

ウィキリークスは、アフガニスタンやイラクにおける多数の実例を生々しい映像と膨大なデータでそれを明らかにしてくれました。国連事務総長に対してだけでなく、世界中の米国大使に各国でスパイ行為をするよう、クリントン国務長官か要請している情報も、実におぞましいものでした。

ノーベル賞委員会は、このような米国を叱責するのではなく、中国政府だけを叱責しています。これでは不公平・不公正だと思われても仕方がないのではないでしょうか。

(NHKも、7時のニュースの冒頭だけでなく最後でも、ウィキリークスが何を明らかにしてきたのかは全く紹介せず、アサンジ氏が婦女暴行で逮捕されたとの報道だけを、何度も何度も繰り返していました。これで公平・公正な報道と言えるのでしょうか。)

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スウェーデン検察による逮捕請求、そして今度のアサンジ氏逮捕劇をみても、昨年度のオバマ氏へのノーベル賞受賞をみても、このままではノーベル平和賞の権威は失墜の一途をたどっているとしか思われません。ノーベル平和賞だけがスウェーデンではなくノルウェーから出されるというのも奇妙な話しです。

こんなことを思っていたら、下記のような記事があることに気づきました。やはり今度の受賞を疑問に思っているひとたちがスウェーデンやノルウェーにもいたんだと知って,少し安心した次第です。

<ノーベル平和賞:中国政府批判の一方で「政治化」も議論>
毎日新聞 2010年12月10日 22時38分(最終更新 12月11日 0時40分)
http://mainichi.jp/select/world/news/20101211k0000m030109000c.html?inb=yt
 【オスロ樋口直樹】平和賞授賞式は、招待された65カ国の約4分の1が欠席する異例の事態となった。関係国に圧力をかけた中国政府に批判が集まる一方、他国に政治変革を促すことを目的とする平和賞の「政治化」も議論を呼んだ。
 「中国の民主化の必要性に異論はないが、方法論には国内にも賛否の声がある」。ノルウェーの外交筋は劉氏の受賞が投げかけた波紋をこう説明する。中国政府の態度硬化を招いた「過激な人選」が適当だったのか、「穏健な方法」で緩やかな変革を促すべきだったのか。議論はノルウェーでくすぶっている。
 ノルウェー政府は民主主義や人権といった普遍的な価値観を外交の基軸に据えてきた。対中政策では対話による人権改善を図ってきたが、今回の騒動で「人権対話が閉ざされかねない状況に追い込まれている」(同筋)という。
 ダイナマイトの発明者、ノーベルの遺言で1901年から授与されてきた平和賞は、「国家間の友好関係、軍備の削減、廃止及び平和会議の開催、推進 のために最大最善の貢献をした人物、団体」に与えられることになっている。ノーベル賞委員会は「人権擁護や民主化闘争は平和につながる」(ヤーグラン委員長)との解釈だが、「政治的な拡大解釈」を指摘する声もある。
 委員会は政治的に独立した機関だが、委員5人は国会で任命される。現職の国会議員や閣僚は委員になれないが、5人はいずれも元国会議員で、ヤーグラン氏は首相や国会議長を歴任している。このため、ノーベルの遺言に忠実な受賞者の選考や、専門家を交えた委員会構成の見直し、外国籍の委員受け入れなど の検討を求める意見も出ている。
 ノーベル平和賞授賞式に欠席した国は以下の17カ国。中国、ロシア、カザフスタン、チュニジア、サウジアラビア、パキスタン、イラク、イラン、ベトナム、アフガニスタン、ベネズエラ、エジプト、スーダン、キューバ、モロッコ、アルジェリア、スリランカ

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