放射能汚染地図(2)-日本人の平均寿命は今後どうなるのだろう
写真集「チェルノブイリの子どもたち」
http://www.paulfuscophoto.com/#mi=2&pt=1&pi=10000&s=0&p=1&a=0&at=0
(あと10-20年後に、「フクシマの子どもたち」という写真集が出てくるのではないかと恐れています。)

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8985.html
<チェルノブイリ原発事故は1986年です。日本もロシアと同じような平均寿命の落下をたどるのはないかと恐れています>
先月の日曜日(5月29日)から、体調が悪く、左耳の鼓膜が痛むだけでなく、異常に喉が渇き舌がもつれて巧く話せない状態になりました。
それで夕方には岐阜日赤病院に救急患者として診てもらいに行きました。歩き方もおかしいので、家人は脳の血管に問題が起きたのではないかと心配したようです。
救急診療ではなく正式に診てもらうために、翌日も日赤に出かけましたが、原因不明です。まだ偏頭痛の痛みが取れません。
しかし、6月1日のNHKクローズアップ現代で「漁業の町はよみがえるのか」という番組が放映され、それを見ていたら、どうしてもブログを書かなくてはという焦りを感じ、いまパソコンに向かっています。
その番組解説は下記のようになっています。
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた三陸沿岸の水産都市。三陸沖という好漁場に集まる全国の漁船の水揚げ基地として、様々な関連産業が成り立ち、地域の経済を支えてきた。それだけに、水産業の復興なくして町の復興はないと、政府による計画を待つことなく独自に再生を急ぐ動きが出てきている。(以下、略)
そこで取りあげられていた復興策というのは、何と驚いたことに1人1万円の募金で10万人を目標にして10億円を集めて、漁具や漁船を漁民に提供し、そこでとれた海産物を資金提供者に還元して、漁業の復興を図るというものでした。
しかし、毎日のように大量の放射能汚染水を海に垂れ流している現状では、東北から関東にかけての太平洋岸で採れた魚介類は、ほとんど食用にはならないはずです。前回のブログでは、下記のグリーンピースによる調査を紹介しました。
Japan Expands Exclusion Zone around Damaged Nuclear Plant,
Greenpeace Calls for Radiation Investigation
http://www.democracynow.org/2011/5/16/headlines
この記事によると、「東電は3000トンもの高濃度汚染水を海洋に流し続けているにもかかわらず、汚染度を調査しようとすると、それを日本政府が妨害する」とグリーンピースの放射能専門家Ike Teuling氏は厳しく批判しています。
同じ件について、下記のラジオ「たね蒔きジャーナル」では、視聴者からの質問に答えて、小出裕章氏は次のように答えています。
<質問> グリーンピースの海洋汚染調査について、原発から50キロ離れている地点の海藻からキロ当たり1万ベクレル超の放射性物質が検出された。これをどうとらえるか?
<回答> 普通は海岸から1キロあたりですら検出できない。それが原発から50キロ離れている地点の海藻からキロ当たり1万ベクレルだから、これはとてつもない汚染。私ははじめから海の汚染を調べるためには海藻を調べるのが第一と言ってきた。海藻は逃げられないため汚染がよくわかる。海の汚染は、まず海藻、次に貝類、最後は魚を調べる。どうして海藻のデータを公表しないのかこれまで不思議に思ってきた。
<質問> 水産庁は放射性物質は魚に蓄積しないと言う。海洋学者は蓄積するという。政府の言うことは本当だろうか?
<回答> 私は海洋学者ではないが、濃縮すると思う。魚は回遊性のため、事故後すぐに濃度が高くなることはない。本来は海藻から調査すべきだった。だから、グリーンピースがまず海藻から調べているのは科学的だ。今後は海藻、わかめ、ひじきに猛烈な汚染が出てくる。魚に濃縮された放射能が現れるのは時間の問題であろう。
MBS(毎日放送)ラジオ「たね蒔きジャーナル」2011年5月31日(火)
http://www.mbs1179.com/tane/
海や川に流れ出た放射性物質が、どのような濃縮過程を経るかは、下記の図から明らかです。(この図は、広瀬隆2011『福島原発メルトダウン』朝日新書:104頁から取ったものですが、この本も必読だと思います)。

だとすれば、NHKクローズアップ現代で「漁業の町はよみがえるのか」という番組で、まことしやかに賞賛された復興策は、全く信じがたいものです。この番組を、かつて1954年のビキニ環礁における水爆実験でマグロ漁船=第5福竜丸が被曝したときの、次の記事と比べてください。
魚は半年後の方が危険だった、ビキニ環礁被曝事件の調査者が語る魚類の放射能汚染
http://www.tokyo-sports.co.jp/writer.php?itemid=13066
だとすれば、もはや東北関東の太平洋岸で採れた魚を食べる人は、ほとんどいなくなるでしょう。これを食べろと言うことは、「口蹄疫や狂牛病にかかった牛」の肉を食べろと言っているに等しいからです。
実は、これは農産物についても同じことが言えるのですが、被災者を救う道は他に探るべきなのです。(汚染水を海に垂れ流すことを止めさせることは当然のこととして)例えば次のような方策です。
(1)汚染されたものを食べようと呼びかけるのではなく、逆に汚染されていない農産物や海産物を東北・関東地方に届けて、住民の生命と生活を守ること
(2)国や自治体の力で住宅を用意し、高濃度の放射能に汚染されている地域の住民を一刻も早く集団疎開・集団移住させ、義援金や賠償金を「前倒し」して、それを一刻も早く被災者に届けること、ること
(3)それと同時に、将来の「被曝訴訟」に備えて被災地の住民全員に「被曝手帳」を配布し、いつ・どこで何日間いたかを記録させること、既に移住してしまっている人たちにも、移住先を追跡調査して、「被曝手帳」を必ず交付させること
チェルノブイリ原発事故でも、多くの人が生業を失いましたが、ソ連政府は被爆者を強制移住させるときに、「被曝手帳」を持たせ、「今すぐには健康に異常がなくても」、あとで発病したときに無料で治療が受けられる対策を取りました。
あの評判のよくないソ連でさえ、そのような対策を取っているのに、我が国では「直ちに健康に影響はありません」という声しか上から聞こえてこないのです。ソ連でさえ取った対策、やろうとした努力を、なぜ経済大国の日本が取れないのでしょうか。
(残念ながら、ソ連はアフガン戦争にかけた巨大な費用その他で自壊・分裂し、その約束を国として果たせませんでしたが、それでも上記のような努力をしたのです。そして,その約束の実行は、ウクライナなど新しく誕生した国に委ねられました。)
ですから繰り返しになりますが、NHKクローズアップ現代の番組は、私から見ると全く荒唐無稽なであるだけでなく、国民が現実を直視し次の対策へ大きく一歩を踏み出す力を奪うという点で、犯罪的ではないか、と思えてなりません。
せっかくETV特集「放射能汚染地図」という素晴らしい番組で、被災地の生々しい現実を伝え、やっと「NHK=大本営放送」という汚名を返上したかに思われたNHKでしたが、やはり「本質は変わらないのか?!」と深い溜息がでました。
ここまで書いてきたら、痛み止めのロキソニンを飲みながら書いているにもかかわらず、胸の痛みが続いていますので、今回はここまでにさせていただきます。
漁業だけでなく農業についても書きたいのですが、力尽きました。汚染された農地や学校のグランドをどうするのか、それらの対策費用=財源をどうするのかなどについても次回にさせてください。
<註> 今後この日本で何が起きるかは、下記の本を御覧ください。世界的に有名な写真家である広河隆一氏が自分の足で調べたチェルノブイリの記録です。
『暴走する原発、チェルノブイリから福島へ、これから起こる本当のこと』広河隆一 (小学館、2011/5/20)
http://www.paulfuscophoto.com/#mi=2&pt=1&pi=10000&s=0&p=1&a=0&at=0
(あと10-20年後に、「フクシマの子どもたち」という写真集が出てくるのではないかと恐れています。)

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8985.html
<チェルノブイリ原発事故は1986年です。日本もロシアと同じような平均寿命の落下をたどるのはないかと恐れています>
先月の日曜日(5月29日)から、体調が悪く、左耳の鼓膜が痛むだけでなく、異常に喉が渇き舌がもつれて巧く話せない状態になりました。
それで夕方には岐阜日赤病院に救急患者として診てもらいに行きました。歩き方もおかしいので、家人は脳の血管に問題が起きたのではないかと心配したようです。
救急診療ではなく正式に診てもらうために、翌日も日赤に出かけましたが、原因不明です。まだ偏頭痛の痛みが取れません。
しかし、6月1日のNHKクローズアップ現代で「漁業の町はよみがえるのか」という番組が放映され、それを見ていたら、どうしてもブログを書かなくてはという焦りを感じ、いまパソコンに向かっています。
その番組解説は下記のようになっています。
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた三陸沿岸の水産都市。三陸沖という好漁場に集まる全国の漁船の水揚げ基地として、様々な関連産業が成り立ち、地域の経済を支えてきた。それだけに、水産業の復興なくして町の復興はないと、政府による計画を待つことなく独自に再生を急ぐ動きが出てきている。(以下、略)
そこで取りあげられていた復興策というのは、何と驚いたことに1人1万円の募金で10万人を目標にして10億円を集めて、漁具や漁船を漁民に提供し、そこでとれた海産物を資金提供者に還元して、漁業の復興を図るというものでした。
しかし、毎日のように大量の放射能汚染水を海に垂れ流している現状では、東北から関東にかけての太平洋岸で採れた魚介類は、ほとんど食用にはならないはずです。前回のブログでは、下記のグリーンピースによる調査を紹介しました。
Japan Expands Exclusion Zone around Damaged Nuclear Plant,
Greenpeace Calls for Radiation Investigation
http://www.democracynow.org/2011/5/16/headlines
この記事によると、「東電は3000トンもの高濃度汚染水を海洋に流し続けているにもかかわらず、汚染度を調査しようとすると、それを日本政府が妨害する」とグリーンピースの放射能専門家Ike Teuling氏は厳しく批判しています。
同じ件について、下記のラジオ「たね蒔きジャーナル」では、視聴者からの質問に答えて、小出裕章氏は次のように答えています。
<質問> グリーンピースの海洋汚染調査について、原発から50キロ離れている地点の海藻からキロ当たり1万ベクレル超の放射性物質が検出された。これをどうとらえるか?
<回答> 普通は海岸から1キロあたりですら検出できない。それが原発から50キロ離れている地点の海藻からキロ当たり1万ベクレルだから、これはとてつもない汚染。私ははじめから海の汚染を調べるためには海藻を調べるのが第一と言ってきた。海藻は逃げられないため汚染がよくわかる。海の汚染は、まず海藻、次に貝類、最後は魚を調べる。どうして海藻のデータを公表しないのかこれまで不思議に思ってきた。
<質問> 水産庁は放射性物質は魚に蓄積しないと言う。海洋学者は蓄積するという。政府の言うことは本当だろうか?
<回答> 私は海洋学者ではないが、濃縮すると思う。魚は回遊性のため、事故後すぐに濃度が高くなることはない。本来は海藻から調査すべきだった。だから、グリーンピースがまず海藻から調べているのは科学的だ。今後は海藻、わかめ、ひじきに猛烈な汚染が出てくる。魚に濃縮された放射能が現れるのは時間の問題であろう。
MBS(毎日放送)ラジオ「たね蒔きジャーナル」2011年5月31日(火)
http://www.mbs1179.com/tane/
海や川に流れ出た放射性物質が、どのような濃縮過程を経るかは、下記の図から明らかです。(この図は、広瀬隆2011『福島原発メルトダウン』朝日新書:104頁から取ったものですが、この本も必読だと思います)。

だとすれば、NHKクローズアップ現代で「漁業の町はよみがえるのか」という番組で、まことしやかに賞賛された復興策は、全く信じがたいものです。この番組を、かつて1954年のビキニ環礁における水爆実験でマグロ漁船=第5福竜丸が被曝したときの、次の記事と比べてください。
魚は半年後の方が危険だった、ビキニ環礁被曝事件の調査者が語る魚類の放射能汚染
http://www.tokyo-sports.co.jp/writer.php?itemid=13066
だとすれば、もはや東北関東の太平洋岸で採れた魚を食べる人は、ほとんどいなくなるでしょう。これを食べろと言うことは、「口蹄疫や狂牛病にかかった牛」の肉を食べろと言っているに等しいからです。
実は、これは農産物についても同じことが言えるのですが、被災者を救う道は他に探るべきなのです。(汚染水を海に垂れ流すことを止めさせることは当然のこととして)例えば次のような方策です。
(1)汚染されたものを食べようと呼びかけるのではなく、逆に汚染されていない農産物や海産物を東北・関東地方に届けて、住民の生命と生活を守ること
(2)国や自治体の力で住宅を用意し、高濃度の放射能に汚染されている地域の住民を一刻も早く集団疎開・集団移住させ、義援金や賠償金を「前倒し」して、それを一刻も早く被災者に届けること、ること
(3)それと同時に、将来の「被曝訴訟」に備えて被災地の住民全員に「被曝手帳」を配布し、いつ・どこで何日間いたかを記録させること、既に移住してしまっている人たちにも、移住先を追跡調査して、「被曝手帳」を必ず交付させること
チェルノブイリ原発事故でも、多くの人が生業を失いましたが、ソ連政府は被爆者を強制移住させるときに、「被曝手帳」を持たせ、「今すぐには健康に異常がなくても」、あとで発病したときに無料で治療が受けられる対策を取りました。
あの評判のよくないソ連でさえ、そのような対策を取っているのに、我が国では「直ちに健康に影響はありません」という声しか上から聞こえてこないのです。ソ連でさえ取った対策、やろうとした努力を、なぜ経済大国の日本が取れないのでしょうか。
(残念ながら、ソ連はアフガン戦争にかけた巨大な費用その他で自壊・分裂し、その約束を国として果たせませんでしたが、それでも上記のような努力をしたのです。そして,その約束の実行は、ウクライナなど新しく誕生した国に委ねられました。)
ですから繰り返しになりますが、NHKクローズアップ現代の番組は、私から見ると全く荒唐無稽なであるだけでなく、国民が現実を直視し次の対策へ大きく一歩を踏み出す力を奪うという点で、犯罪的ではないか、と思えてなりません。
せっかくETV特集「放射能汚染地図」という素晴らしい番組で、被災地の生々しい現実を伝え、やっと「NHK=大本営放送」という汚名を返上したかに思われたNHKでしたが、やはり「本質は変わらないのか?!」と深い溜息がでました。
ここまで書いてきたら、痛み止めのロキソニンを飲みながら書いているにもかかわらず、胸の痛みが続いていますので、今回はここまでにさせていただきます。
漁業だけでなく農業についても書きたいのですが、力尽きました。汚染された農地や学校のグランドをどうするのか、それらの対策費用=財源をどうするのかなどについても次回にさせてください。
<註> 今後この日本で何が起きるかは、下記の本を御覧ください。世界的に有名な写真家である広河隆一氏が自分の足で調べたチェルノブイリの記録です。
『暴走する原発、チェルノブイリから福島へ、これから起こる本当のこと』広河隆一 (小学館、2011/5/20)
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