また嘘で固めた戦争を始めるのだろうか: アメリカとイスラエルが一緒になって、高度に複雑なウィルス Stuxnet を使ってイランの核施設をサイバー攻撃!?

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Marvin Gaye 「何が起きるんだ、何が起きているんだ!?」
公民権運動、ベトナム戦争、9・11、イラク戦争、ハリケーンKatrina、アフ=パク戦争、
そして次は「イラン戦争」?




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前回のブログから既に10日以上が過ぎました。しかし、近刊『肉声でつづる民衆のアメリカ史』(Voices of a People's History of the United States)の「索引づくり」に追われていて過労が続き、数日間、寝込んでしまいました。

まだ体調が十分ではないのですが、イラン情勢が相変わらず緊迫しているので、ニュースが古くならないうちに少しだけでもお知らせしておかなくてと考え、ベッドから起き上がってきて、いまパソコンに向かったところです。

アメリカでは、ウィスコンシン州知事が公務員の給与・手当を削減し団体交渉権を剥奪する法案を出し強行採決に持ち込んだところ、民衆からの大きな反撃が起き、警官までも一緒になって議事堂を占拠して寝泊まりすることが続きました。

これは、アメリカにおける OCCUPY Movement の出発点になるような事件でした。この「占拠」運動に参加した民衆はみな、「チュニジアやエジプトの若者に励まされた」と言っていました。

その後、州知事をリコールする署名運動が起き、リコール請求に必要な数の2倍以上にもおよぶ署名が集まるという巨大な成功をおさめました。

先日その1周年の記念集会が開かれたばかりですが、1年が経った今、知事ウォーカー氏は選挙違反の捜査にも直面しています。
http://www.democracynow.org/2012/2/15/on_1_year_anniversary_of_wisconsin

ところが日本では、同じような公務員攻撃をしている橋下氏が大阪市長に当選するという皮肉な現象が起きています。しかも、橋下氏は「公務員をのさばらせているとギリシャ危機のようになる」と言って攻撃しています。

しかしギリシャ危機をつくりだしたのは、ギリシャ国民や公務員ではありませんでした。そもそもギリシャの債務が膨れ上がったのは、アメリカのウォール街「ゴールドマン・サックス」が前政権の粉飾決算を手伝ったせいでした。

Wall Street vs. Greece: G20 Opens as Greek PM Pushes for Referendum on Bailout and Austerity Measures
http://www.democracynow.org/2011/11/3/wall_street_v_greece_g20_opens
(上記の記事は、次の字幕版でも見ることができます。)
「ギリシャ国民投票を妨害するEUの背後には、デフォルト回避に必死なウォール街が...」
http://democracynow.jp/video/20111103-2

ところが橋下氏は上記のような事実を知ってか知らずか、嘘を振りまいて公務員攻撃をして、日本の貧困化に一層の拍車をかけています。公務員の賃金が低下すれば、それに引きずられて民間労働者の「最低賃金」も引き下げられますから、悪循環になるからです。

これでは日本にますます「ワーキングプア」や「ホームレス」のひとたちが激増していくことになるでしょう。ですから、「脱原発」の運動と日本の労働者の権利を守る運動を結びつけて行かないかぎり(バラバラの運動では)日本の未来は暗いと思います。

イラン情勢に移る前の、簡単な前書きのつもりでしたが、長くなってきたので、ここでやめます。
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<関連情報>
ギリシャとイギリスで数十万規模のストライキ 財政危機の元凶は?[字幕つき動画]
http://democracynow.jp/video/20110701-3
持たざる者・いのち・公共性~東京・竪川公園の野宿者排除を考える
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1307
武藤類子さんインタビュー:「福島からあなたへ」スピーチに込めた思いとは
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1305

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* 一般読者の皆さんへ: 以下では英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねています。時間のない方は飛ばして読んでください。
* 英語教師の皆さんへ: 授業における会話ブーム(しかも覚えてもすぐ忘れる)のおかげで、生徒どころか英語教師の「読む力」も大きな落ち込みを見せています。この英文記事が「読む力」の回復に少しでも役立てば幸いです。
* 教育研究者の皆さんへ: 最近わたしは、英語を学ぶ目的の一つは、アメリカの実像を知り日本を「第二のアメリカ」にしないことにある、と考えるようになりました。以下は、今まであまりにも「虚像のアメリカ」を教えてきた私の反省が込められています。
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前回のブログで私は次のように書きました。

<ベトナムの「ミライ村虐殺事件」を暴露して世界を揺るがせたセイモア・ハーシュ氏は、今回も驚くべき事実を暴露しています。氏によれば、アメリカはイランで次のような挑発活動をおこなっています。
 「イランに特殊部隊を送り込み、クルド人やアゼリー人などの反政府集団に多額の資金援助をしていただけでなく、国外の亡命者にも多額の資金を渡していた。」
 「空からは、砂漠や乾燥地域に、核兵器を隠してある秘密の標識や排気口がないかを、偵察衛星で見張っている。しかし懸命に探しても何も見つからない。」
 「それどころか特殊部隊がテヘランまで出かけて行って、道路標識を放射線探知機に取り替えたり、建物のブロックを積み替えたりしていた。」
 しかし、こんなに懸命な努力をしても、アメリカはイランが核開発をしている証拠を何一つ見つけることができなかったのです。
 それどころか、イランが同じことをアメリカでおこなっていることが暴露されたら、世界中が大騒ぎになるでしょう。それどころか、それを口実にアメリカは、とっくの昔に、イランを爆撃していたかも知れません。>

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ところがイランに関しては、今やアメリカの大手メディアは、かつてのイラク戦争開戦前夜と同じ雰囲気になりつつあります。

というのは、「イラクがインドやグルジアでイスラエルの外交官を狙った爆弾攻撃をかけた」とか、「アメリカ国内でもユダヤ教の教会シナゴーグや攻撃対象になっている」とかを、ABC放送ですら口にするようになっているからです。

アメリカのABC放送といえば、日本のNHKほどの全国的影響力がある大手メディアですが、かつてイラク侵略の時も「大量破壊兵器がある」と言ってわめき立てて、イラク攻撃の旗振り役をしました。

イラク戦争後、ブッシュ政権の嘘がばれたあと、ABC放送は自分の言動を公に謝罪し反省したはずだったのに、その舌の根も乾かないうちに、また同じ過ちを犯そうとしているかのようです。

そのことを、サロン・ドット・コム(Salon.com)を通じて国際的にも著名な弁護士のグレン・グリーンワルド氏は次のように言っています。

「マスコミの言うことを信ずるのなら、イランを意味もなく攻撃的な国だと思うでしょう。他の国、特にイスラエルや米国にを闇雲にけんかを吹っかける国だと思うでしょう。」

「こういった報道の驚くべきところは、米国やイスラエルがイランに対してしてきた行為とい背景をまったく無視しているところです。」

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Iran Tensions Rise with Diplomat Bombings, Scientist Killings, Nuke Claims and Media Warmongering
http://www.democracynow.org/2012/2/16/iran_tensions_rise_with_diplomat_bombings

Well, what's so bizarre is that if you listen to the media, you would see Iran as this sort of irrational aggressor, this country that is just kind of lashing out arbitrarily at other nations, and specifically at Israel and the United States, for no reason. And what's so amazing about that is it completely ignores the context of what the United States and Israel have been doing to Iran for the last several years.
http://www.democracynow.org/2012/2/16/iran_tensions_rise_with_diplomat_bombings

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たとえばグリーンワルド氏は、アメリカやイスラエルがおこなってきたこととして、次のような事実をあげています。

「アメリカで、ほとんど全てのひとに信じられていることがある。それは、アメリカとイスラエルが一緒になって、Stuxnetという高度に複雑なウィルスを使ってイランの核施設をサイバー攻撃した、という事実だ。」

「イランでは一連の科学者暗殺事件が続き、それは地上に仕掛けられた爆弾の爆発事件であったり、車に仕掛けられた磁石爆弾の爆発事件だったりで、科学者の妻たちも重傷を負うということが続いてきた。」

「大手メディアのNBCでさえ、先週の放送で、MEKというイランの反体制グループはイスラエルから武器を与えられているだけでなく軍事訓練も受けていると報じた。MEKはアメリカ政府からテロ組織に指定されてきたはずではないか。」

「またアメリカでは、誰もが知っているように、この間ずっと、民主党も共和党も、その高官・政治家の多くが、自分たちがテロ指定したMEKから金をもらい、その路線を声高に支持してきた。」

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Iran Tensions Rise with Diplomat Bombings, Scientist Killings, Nuke Claims and Media Warmongering
http://www.democracynow.org/2012/2/16/iran_tensions_rise_with_diplomat_bombings

  There is widespread belief, among virtually everybody, that those two nations jointly were responsible for a very sophisticated cyber warfare attack on the nation's nuclear facilities with the Stuxnet virus.
  There have been a string of Iranian scientists who have been murdered through means that are clearly terroristic, whether it means bombs exploding on Iranian soil or magnetic bombs strapped to cars, where scientists have been killed, their wives have been severely wounded.
  And you even have an NBC report from last week that says that a dissident organization that has long been devoted to the overthrow of the Iranian government, the MEK, a group that the United States government has long classified as a terrorist organization, is being armed, funded and trained by Israel.
  And we've known for a long time that numerous prominent American officials and politicians from both parties are on the payroll of the MEK and have been advocating on their behalf.

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さらにグリーンワルド氏は、この DemocracyNow! の番組で次のように付けくわえています。

「だから、イランのテロネットワークとかイランがテロ攻撃に従事しているとか言うときに、まず第一に認識しておかねばならないのは、彼らが、アメリカやイスラエルによる、上記のような攻撃に晒されてきたということだ。」

「また同時に、イランを取り巻く全ての国にアメリカが軍事基地を置き、イランは実質的に周りをすべて包囲されているという事実も、知っておかねばならない。」

「だからJeremy Scahill 記者が先に述べていたように、アメリカは、イエメンのような国で、無人爆撃機による攻撃をおこない、一般市民を殺して、手ひどい反撃、強い反米感情や敵意を生み出している。

「このような攻撃をイランに対しておこなえば、同じようなことが起きることは、火を見るより明らかだ。」

「だから外交的交渉こそが求められているのだが、それこそまさにアメリカ政府が拒否しているものなのだ」

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Iran Tensions Rise with Diplomat Bombings, Scientist Killings, Nuke Claims and Media Warmongering
http://www.democracynow.org/2012/2/16/iran_tensions_rise_with_diplomat_bombings 

So when you talk about Iran's terrorist network and engaging in terrorism and aggression, what I think we need to realize, first and foremost, is that they've been the target of exactly those sorts of attacks by the U.S. and Israel, at the same time that the U.S. virtually has Iran militarily encircled with military bases in virtually every bordering country.
  And just like Jeremy described how, when you drone attack and kill citizens in a country like Yemen, you generate severe blowback and anti-American animus, the same thing is obviously going to happen when you target a country like Iran with those sorts of series of attacks.
  And it's why diplomacy and negotiation—exactly what the U.S. government refuses to do—is the far better course.

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上記でグリーンワルド氏が言っている「イエメン市民にたいする無人機爆撃」については、下記の詳しい報告を御覧ください。

Jeremy Scahill: U.S. Has Ignited Islamist Uprising in Impoverished, Divided Yemen
http://www.democracynow.org/2012/2/16/jeremy_scahill_us_has_ignited_islamist

本当は、この「イエメン市民にたいする無人機爆撃」についても紹介したいことは多いのですが、ここでは次の3点だけを指摘するにとどめます。

1 オバマ大統領がアメリカ国籍をもつイスラム教伝道師とその子どもを、何の根拠も示さず無人機で暗殺した。
2 イエメンでは独裁者サレハ大統領にたいする民衆蜂起が起きて、そのリーダーだった若い女性タワックル・カルマン氏(32)がノーベル平和賞を受けた。
3 独裁者サレハ氏のもとで多くの市民が拉致・拷問・暗殺が起き、民衆が「サレハを国際刑事裁判所へ!」と訴えているにもかかわらず、オバマ大統領はシリアのアサド大統領を非難する一方で、サレハ氏のアメリカ訪問を認めた。

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最後に一つだけ付けくわえておきたいことは、このブログ冒頭で紹介したセイモア・ハーシュ氏が、先に紹介した番組で次のように述べていることです。

Seymour Hersh: Propaganda Used Ahead of Iraq War Is Now Being Reused over Iran’s Nuke Program
http://www.democracynow.org/2011/11/21/seymour_hersh_propaganda_used_ahead_of

「私は概してアメリカ政府の言動には批判的だが、最近は情報機関のメンバーの発言に変化が見られる。それはイラク戦争に懲りて、情報機関の要員は政府の欲しがるような情報を、嘘でまぶして出すのではなく、真実を述べる人が多くなってきたことだ。」

このハーシュ氏の言を裏付けるようなことを、国防情報局長官Ronald Burgess中将が、先日の上院軍事委員会で証言しました。

DemocracyNow!(2012/2/17)によれば、Burgess長官は、「イランは、攻撃されれば応戦するかも知れないが、自分から挑発したり、軍事行動に出ることは、まずありえない」と述べたのです。

U.S.: Iran Unlikely to Start Military Conflict
http://www.democracynow.org/2012/2/17/headlines#4

その数日前に、やはり軍高官のDaniel Davis中将が、「アフガン戦争は全く馬鹿げた戦争だ」という調査報告をまとめてオバマ政権に提出したところ、まったく受け入れられず、退職年金が目の前であるにもかかわらず、辞表を提出しました。

Army Whistleblower Lt. Col. Daniel Davis Says Pentagon Deceiving Public on Afghan War
http://www.democracynow.org/2012/2/15/army_whistleblower_lt_col_daniel_davis

アメリカ情報機関高官ですら、自分の頭で判断して、ときには辞表を覚悟に真実を述べることもあるのに、日本政府は(日本の大手メディアも似たり寄ったりですが)常にアメリカ政府の言うとおりにしか判断・行動しません。

中国・北朝鮮の情勢判断や沖縄の基地問題を見れば、それは明らかでしょう。これでどうして国民の命や暮らしを守ることができるのでしょうか。
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<註> 
 アメリカ軍がイラクから撤退することになった最大の要因は「アメリカ兵士がイラク国内で犯罪を犯した場合はイラクに裁判権がある」として、オバマ政権が強く要求した「免責条項」を拒否したからでした。
 日本政府も、沖縄などでアメリカ軍が犯した犯罪を「自分の手で裁く」と宣言すれば、簡単に米軍基地がなくなり、それを血税で負担する必要もなくなります。財政的にも大きな助けになるのではないでしょうか。
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宣戦布告なしのイラン戦争!? 「アメリカ、特殊部隊を送り込み反政府集団に資金援助!」「特殊部隊がテヘランまで出かけて行って、道路標識を放射線探知機に取り替える!」

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動画パティ・スミス「民衆には力がある」(約5分)
[相変わらず、この映像ではイラクとブッシュ氏が登場しますが、これをイランとオバマ氏と読み替えてください。今から思うとブッシュ氏は「言行一致」で本当に可愛いひとでしたね]


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相変わらず『Voices of a People's History of the United States』の翻訳「索引づくり」に追われています。やってみると「役に立つ索引」というものをつくるのが、いかに難しいかを痛感させられています。

ところで、脱原発運動も時間が経つと、どんどん風化していきます。恐ろしいことに放射能汚染が深刻であるにもかかわらず、「故郷に帰ろう」という運動すら起きています。

政府・東電の巻き返しなのでしょうか、そんなときに下記の企画があり、まさに時宜を得たものだと思いました。下記のHPには全国同時の一斉行動についても情報が載せられています。

【開催迫る!】2.11全国一斉!さようなら原発1000万人アクション
http://sayonara-nukes.org/2012/01/0211action_a/

他方、世界情勢を見ると、シリアを初めとして、ここも混乱状態が続いています。イランも「いつ戦争になってもおかしくない」という状況です。「終末時計」の針がまた進みそうです。

そこで以下では、イラン情勢に焦点を合わせて思いつくことを若干、書かせていただきます。私に許されている時間があまりないので、例によってメモ風・走り書きになってしまいますが、お許しください。

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* 一般読者の皆さんへ: 以下では英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねています。時間のない方は飛ばして読んでください。
* 英語教師の皆さんへ: 授業における会話ブーム(しかも覚えてもすぐ忘れる)のおかげで、生徒どころか英語教師の「読む力」も大きな落ち込みを見せています。この英文記事が「読む力」の回復に少しでも役立てば幸いです。
* 教育研究者の皆さんへ: 最近わたしは、英語を学ぶ目的の一つは、アメリカの実像を知り日本を「第二のアメリカ」にしないことにある、と考えるようになりました。以下は、今まであまりにも「虚像のアメリカ」を教えてきた私の反省が込められています。
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イランにたいする経済制裁が中東危機を強めていることは以前にも書きました。イランがどこか他国を侵略したり攻撃しそうだというのであれば、制裁する理由は分からないではありません。

しかし、NPT(核拡散防止条約)に加盟していてIAEAの査察も受けています。そして世界的に著名なジャーナリスト=セイモア・ハーシュが言っているように、イランは他国を侵略するどころか核兵器を開発しているという兆候は全く見られません。

その一方で、核兵器をもちNPTにも加盟していないイスラエル、パキスタン、インドは全くの野放し状態なのですから、アラブの一般民衆に怒りが蓄積しているのは、当然のことでしょう。

民生用の原子炉であっても、それを核兵器に転用することは可能だというのが、イスラエルやアメリカの言い分のようですが(IAEAの新しい事務局長・天野氏もそれに同調しています)、その言い方で言えば、日本も同罪ということになります。

それどころか日本政府が脱原発を鮮明に打ち出せないのは、内部に「憲法9条を廃棄し、日本も核兵器を保有すべし」という勢力がいるからだということは、今では誰でも知っている事実になりつつあります(有馬哲夫『日本テレビとCIA』新潮社、2006、有馬哲夫『原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史』新潮新書、2008)。

日本政府・文科省が、莫大なお金を浪費しながら「もんじゅ」を廃炉にするという方針を打ち出せないのも同じ理由によるのでしょう。
(槌田敦2007「臨界事故、四つの“お粗末”=核兵器製造のために原発はつくられた」『これから起こる原発事故、改訂版』別冊宝島1649号:66-75)

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このような情勢の中で、アメリカはさらに経済制裁を強める姿勢を示しました。イランの中央銀行や他の金融機関と取引をする、いかなる個人・企業も、厳しい制裁を覚悟せよというものです。

U.S. Orders Sanctions on Iranian Central Bank
http://www.democracynow.org/2012/2/7/headlines#8
President Obama issued an executive order Monday outlining new sanctions against the Central Bank of Iran. Iran dismissed the move as part of a "psychological war." The sanctions require any U.S. person or corporation to freeze property or interests that belong to the government of Iran, its Central Bank or any other Iranian financial institution.

イランは、これは「一種の心理戦争」だとして撥ねつけましたが、これにたいする反撃としてホルムズ海峡封鎖と行動にイランが踏み切れば、「待ってました!」とばかりにアメリカやイスラエルはイラン攻撃に踏み切るでしょう。

かつて日本が、アメリカによる「南太平洋における石油輸送禁止」という経済制裁を受け、それに耐えかねて「真珠湾攻撃」に踏み切ったとき、「待ってました!」とばかりにアメリカは日本の攻撃に乗り出しました(ハワード・ジン『甦(よみがえ)れ、独立宣言』人文書院、1993:118)。

このような「核兵器開発」を口実にしたイランにたいする経済制裁が、新たな戦争を開始するための口実にすぎないということは、アメリカ国民にも理解されているようです。「イラク戦争と同じことをまた繰り返すのか!?」というわけです。下記のニュース(2012/2/6)では全米で80カ所にわたって反戦デモがおきています。

Protests Against Iran War Held in 80 Cities
http://www.democracynow.org/2012/2/6/headlines#8
Antiwar groups held rallies on Saturday in about 80 cities across the United States protesting a possible strike on Iran. The slogan of the day was "No war, no sanctions, no assassinations, and no intervention."

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上記に見るとおり、この反戦デモのスローガンは "No war, no sanctions, no assassinations, and no intervention." でした。「戦争するな、経済制裁するな、暗殺するな、干渉するな」です。このスローガンに見るとおり、アメリカ人にとってもイラン科学者の暗殺は「アメリカとイスラエルの共謀」と映っているようです。

ロサンゼルスの集会に参加したイラン系アメリカ人のAli Reza氏は、参加した理由を次のように述べています。

「アメリカが中東に干渉する理由は唯一つだ。中東の石油を自分の支配下に置き、それを管理することだ。それは同時に興隆しつつある二つの大国、中国とインドを自分の統制下におくことも視野に入れているのだ。」

Protests Against Iran War Held in 80 Cities
http://www.democracynow.org/2012/2/6/headlines#8
Ali Reza: "In my opinion, America has one and only one goal in that region: to control the, basically, oil of the region, to put—to control—even by extension, to control China and India as two great emerging power. So therefore, I think this particular scenario, political scenario, whether be it sanction and be it war, is exactly for the same reason." (Video courtesy of Global Voices for Justice)

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また同日付の Democracy Now!の記事によれば、ニューヨーク「タイムズスクエア」の反戦集会では、コロンビア大学のHamid Dabashi教授までも参加して、なぜ自分がここに来たかを次のように述べています。

 「今また戦争が起きようとしている。今度はイラクではなくイランだ。いまイランにたいして厳しい経済制裁が加えられようとしている。これはイラン民衆にとっては耐えがたい苦痛だ。」
 「今は2月だ。これは2003年3月20日のイラク戦争開始を思い出させる。あのときも何万人ものひとがニューヨークで反戦集会に参加した。しかしブッシュは戦争に踏み切り、今や10年近くだ。そして、また新たな戦争を起こそうとしている。」

コロンビア大学といえば日本の慶應・早稲田にあたる名門大学ですが、その大学教授がみずから反戦集会に参加して憂慮を表明しているのですから、非常に深刻な事態であることが分かります。

Protests Against Iran War Held in 80 Cities
http://www.democracynow.org/2012/2/6/headlines#8

Columbia University Professor Hamid Dabashi took part in the New York rally at Times Square.
Hamid Dabashi: "We are here today to protest against the possibility of war, yet another war in the Middle East, this time against Iran.
  When I say 'possibility,' there are many reasons to believe the war has already started. There are severe, crippling economic sanctions imposed on Iran, for which ordinary Iranians are suffering.
  It is now February, reminiscent of February 2003, when hundreds of thousands of New Yorkers were out demonstrating against the war in Iraq, and yet again, we are, almost 10 years later, fearful for a war in Iran.
  We are here asking for peace—namely, no war; justice, namely, in Iran; and democracy for Iran."

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ところが、アメリカの大手メディアも日本の大手メディアも、このようなアメリカ全土に広がっている反戦集会を、全く報道しません。

共和党の候補者がオバマ氏の医療政策を「オバマ・ケア」として一斉に攻撃していることは報道されても、実は「オバマ・ケア」なるものは、共和党の候補者として先頭を走っているロムニー氏がマサチューセッツ州知事だったときに採用した医療政策を、ほとんどそのまま借用していることも、全く報道されていません。

いまアメリカは深刻な経済危機で、医療費や払えなかったり、住宅ローンを払えないため住宅を差し押さえられて、アメリカ全土にホームレスが溢れていいます。アメリカ全土で、いわゆる「占拠」運動が広がったのも、このためでした。ホームレスのひとたちは住む家がないから抗議の意味を込めて、あちこちを占拠してテント生活を始めたのです。

ところがオバマ政権は、この全土に広がる「占拠」運動を根こそぎ排除することを、いま始めています。これでは、シリア政府が民衆を弾圧しているとして、それを口汚く非難しているクリントン国務長官の言は、そのまま自分に跳ね返ってくるのではないでしょうか。まさに「天に唾するもの」です。

しかし、ある国が戦争を始めるときは何か国内に大きな問題を抱えているときが通例です。ブッシュ氏がアフガン戦争を開始したときは、氏の人気が最底辺にあるときでした。それが9・11事件とそれを契機にしたアフガン戦争で人気は急上昇しました。

いまオバマ氏が戦争をしたい理由は、この不況と全土に渦巻く不満であるではないかと疑われても仕方がないでしょう。

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オバマ氏がイランと戦争をしたがっていることを疑わせる根拠は、もう一つあります。それはアメリカ全土でシーア派イスラム教徒にたいする包囲網が急速に強まっていることです。

最近、Democracy Now!(2012/2/3)によって暴露された「ニューヨークにおけるシーア派モスク監視計画」はその典型例と言えるでしょう。

NYPD Muslim Spy Scandal Grows with Newly Revealed Plan to Target Shiite Mosques
http://www.democracynow.org/2012/2/3/nypd_muslim_spy_scandal_grows_with
  New revelations have emerged about the New York City Police Department's secret program to spy on Muslim communities.
  The Associated Press has just uncovered a confidential NYPD plan from 2006 to engage in targeted surveillance of Shiite mosques following increased tensions between the U.S. and Iran, the latest revelation on its secret intelligence operations focused on Muslim neighborhoods.

ご存知のとおり、イランという国は世界のイスラム教徒のなかでもシーア派が圧倒的多数を占める国です。ブッシュ氏がアフガン戦争を始めたときからアメリカ国内のイスラム教とが監視下に措かれていたことは事実ですが、特にシーア派に焦点が当たるようになったことは最近のことです。

上記の、AP通信の記者が語っているものを読むと、驚くべきことが書いてあります。ニューヨークのシーア派居住区では(シーア派の住民の中にスパイを養成して)シーア派の住民すべてについて監視がつき、住民のすべての情報がニューヨーク市警を通じてCIAに流れているというのです。

名前をイスラム風に変えたものは「イスラム信仰が強まったのだから危険だ」とされ、逆にイスラム風だったのをアメリカ流の名前に変えると、「何か危険なことを企てるために目立たない名前したのではないか」というわけで、どちらにしてもよいことは一つもないわけです。

AP通信によると、CIAは国内で秘密活動をすることは法律で厳しく禁じられているはずなのに、いまニューヨークではCIAとNY市警の秘密協同活動が深く静かに進行しているといいます。ムスリム組織と公民権運動組織が合同で2月2日、合同でNY市警本部長レイ・ケリーの即時辞任を再度要求しました。

興味深いことに、FBIが自分の領分を侵されたとして、CIAやNY市警と内紛状態にあることも、上記で報道されています。漫画のような話ですが、同時に聞き捨てならない話です。「何人も裁判所の令状なしには身辺調査をされてはならない」というのが、憲法で保障された人権規定だからです。

かつて日本が真珠湾を攻撃したとき、太平洋岸の日系人はアメリカ国籍をもっていたにも関わらず、根こそぎ逮捕されて強制収容所に送られました。しかも、この強制収容の動きは真珠湾攻撃の翌日から一斉にスタートしましたから、事前に準備されていたとしか考えられません。

このことを考えると、現在のCIAとNY市警の秘密協同活動は、やはりイランとの戦争準備だと考えるのが自然だと思うのです。

アメリカの経済制裁や軍事攻撃に正当な理由がなければ、イラン国内だけでなく、アメリカ国内にいるイラン人やイラン系アメリカ人のなかに怒りが蓄積するのは当然だからです。
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<註> いまアメリカのイスラム教徒にたいする動きは、かつて真珠湾直後に日本人にたいしておこなわれた「住民全員の強制収容」にまでは至っていません。しかしこれは、戦後、これにたいして「ドイツ系やイタリア系ではなく日系人だけが収容所送りになった。あれは人種差別だ」という厳しい批判がおこり、アメリカ政府が謝罪と補償に追い込まれたからです。

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アメリカがイスラエルと一緒になって「核兵器開発」を口実に、イラン攻撃の機会をうかがっていることは、先のブログでも紹介したとセイモア・ハーシュ氏への下記インタビュー記事からもうかがい知ることができます。

Seymour Hersh: Despite Intelligence Rejecting Iran as Nuclear Threat, U.S. Could Be Headed for Iraq Redux
http://www.democracynow.org/2011/6/3/seymour_hersh_despite_intelligence_rejecting_iran

これについては、前回のブログでもURLだけを紹介したのですが、この内容はきちんと本文で紹介すべきだとの意見をいただきましたので、以下でもう少し詳しく紹介します。

ベトナムの「ミライ村虐殺事件」を暴露して世界を揺るがせたセイモア・ハーシュ氏は、今回も驚くべき事実を暴露しています。氏によれば、アメリカはイランで次のような挑発活動をおこなっています。

「イランに特殊部隊を送り込み、クルド人やアゼリー人などの反政府集団に多額の資金を渡していただけでなく、国外の亡命者にも多額の資金を渡していた。」

「空からは、砂漠や乾燥地域に、核兵器を隠してある秘密の標識や排気口がないかを、偵察衛星で見張っている。しかし懸命に探しても何も見つからない。」

「それどころか特殊部隊がテヘランまで出かけて行って、道路標識を放射線探知機に取り替えたり、建物のブロックを積み替えたりしていた。」

しかし、こんなに懸命な努力をしても、アメリカはイランが核開発をしている証拠を何一つ見つけることができなかったのです。

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Seymour Hersh: Despite Intelligence Rejecting Iran as Nuclear Threat, U.S. Could Be Headed for Iraq Redux
http://www.democracynow.org/2011/6/3/seymour_hersh_despite_intelligence_rejecting_iran

SEYMOUR HERSH: ..., And we had special forces units in there since '04, really, perhaps as late as — early as '05, maybe, looking. We've been paying off people — the Kurds, the Azeris, the opposition groups.
We've been giving a lot of money to various defectors. We've been looking with satellites for telltale signs, air holes, air vents, somewhere in the desert or somewhere in an arid area. And we've found nothing, not for lack of trying. We looked very hard. And there's just no evidence on the inside.

JUAN GONZALEZ: Sy Hersh, your article details some extraordinary efforts by the United States. You talk about the special forces operations actually replacing street signs in Tehran with radiation detectors and replacing bricks in buildings. Could you talk about some of that? I mean, because that's enormous risk that they're taking actually going into the country and doing that.

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<註> ハーシュ氏が雑誌『ニューヨーカー』に発表した詳細記事は下記を御覧ください。
"Iran and the Bomb: How Real is the Nuclear Threat?" By Seymour Hersh (New Yorker, June 6, 2011)
http://www.newyorker.com/reporting/2011/06/06/110606fa_fact_hersh
字幕つき動画「イランの核兵器開発疑惑は米国の諜報機関によって否定されている」
http://democracynow.jp/video/20110603-1(13分)

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私には、「特殊部隊を送り込み、クルド人やアゼリー人などの反政府集団に多額の資金援助をする」という行為は、すでにアメリカは「宣戦布告なし」でイランと戦争状態に入っているとしか思えません。

イランが同じことをアメリカでおこなっていることが暴露されたら、世界中が大騒ぎになるでしょう。それどころか、それを口実にアメリカは、とっくの昔に、イランを爆撃していたかも知れません。

ところが日本は、中国や北朝鮮の言動には、どんなに小さいことでも大騒ぎするのに、上記のような事実をどこのメディアも報道していません。

憲法9条をもつ国の政府が、いつまでも大国アメリカの言動に振り回されずに、平和憲法に則った行動をすれば、人殺しに荷担することもなくなりますし、自衛隊を海外に派遣する費用も節約できます。

また、アメリカはどんな小国にも基地借用代は必ず払っているのですから、日本だけが大国の軍隊を血税で養う必要はないはずです。つまり、相手にきちんと正当な要求をすれば、消費税を引き上げなくても財源はあるのです。
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狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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