瓦礫を拡散させるな! いま高校生に「突然死」が現れ始めた!? ベラルーシからの警告「日本政府が今の政策を続ければ、日本人という国民はわずかになる」

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劇的に「人口減少」しつつあるベラルーシから来日
バンダジェフスキー博士の警告「日本も同じ過ちを繰り返してはならない」


動画出典:Our Planet TV

下記は博士が会見で使用した衝撃的資料です。 
http://peacephilosophy.blogspot.ca/2011/09/non-cancer-illnesses-and-conditions-in.html (出典:Peace Philosophy Centre
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福島原発事故が起きてから、大手メディアに愛想が尽きて、私は最近まったく新聞やテレビは見ないことにしているのですが、『中日新聞』(2012年3月21日)を偶然にも目にする機会がありました。すると第1面トップに下記のような記事が載っていました。

<学校に「安全科」創設検討へ 教育現場の死亡ゼロ目指す>

今も『Voices of a People's History of the United States』の翻訳=索引づくりに追われているので、ブログを書いている精神的肉体的ゆとりは本当はないのですが、この記事を読んだら、書かずにはいられなくなって、いまパソコンに向かっています。

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ところで上記の大見出しのあとに次のような説明が書かれていました。

<中教審(三村明夫会長)は21日、東日本大震災で670人を超える児童や生徒らが死亡、行方不明となったことを踏まえ、教育現場での死亡ゼロを目指す「学校安全推進計画」を平野博文文部科学相に答申した。
 自然災害や事件、事故を想定し、安全教育を独立した教科として創設することも検討。・・・国が学校安全に関する計画を策定するのは初めて。三村会長から答申を受けた平野氏は「しっかり受け止め、施策に反映していく」と述べた。>

しかし、子どもの安全を考えるのであれば、まず放射能から子どもを守ることを考えなければならないはずです。

ところが、この間、「年間20ミリシーベルトまでは大丈夫」と言って子どもたちを福島から疎開させること(あるいは自主避難する権利)を一貫して拒否してきたのは、政府・文科省でした。

それどころか、放射能被害を心配した親が、自分の子どもに弁当を持参させると、「給食を食べないのは非国民=非県民だ」「給食を食べないのなら福島から出て行け」と言って子どもを叱りつける教師まで現れたと聞いています。

この裏には、「福島を食べよう」というかけ声をバックに、学校給食を子どもたちに強制的に食べさせようとする文科省=福島県教育委員会の動きがあったことは間違いありません。「教育委員会から給食を食べさせろ」という強い指導があったからと教師自身が述べているからです。

一般人は「年間1ミリシーベルト以下」、専門家は「年間20ミリシーベルト以下」というのは、政府がみずから決めた基準値なのに、この間、政府・文科省が率先して法律破りをして子どもの安全を踏みにじってきました。

それを「年間1ミリシーベルトをめざす」に改めさせたのは、福島の親たちによる「日本版Occupy Movement」によるものでした。

そのことに全く言及せず、「安全教育を独立した教科として創設することも検討」というのですから、空いた口がふさがりません。

今も高濃度の汚染に晒されながら毎日を過ごさなければならない福島の子どもたちにたいして、「安全教育を独立した教科として創設する」ことが、どんな安全を保障するというのでしょうか。

この事態をさらに悪化させようとしているのが、全国に「汚染瓦礫」を受け入れさせようとする政府の執拗な動きです。これでどうして子どもの安全が守れるというのでしょうか。

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私は小出裕章氏が、“原発を許したのは大人の責任だから大人は「福島を食べよう」” と言い出したときから、“そんなことを言っていると、今度は、原発を許したのは大人の責任だから全国で「瓦礫を受け入れよう」と言い出すに決まっている”と、このブログで氏の言動を厳しく批判してきました。

事故当初から私が予言し批判してきたことが、いま現実のこととして全国に広がろうとしていることに、残念さ・無念さを禁じ得ません。

そもそも「原発を許したのは大人の責任だから」という言い方そのものが、責任の軽重をまったく顧みずに「大人」一般に原発責任を負わせるもので、これでは、「今後も同じ事故が起こさなないようにするために私たちは何をなすべきか」という問題が曖昧になってしまいます。

これはアジア太平洋戦争が敗戦を迎えたとき、戦争責任の問題をきちんと議論せずに「一億総懺悔」的な反省を国民に強いたのと非常に似ています。そのことが(ドイツが近隣諸国に正式に謝罪したのと違って)日本がアジアの民衆に対してきちんと謝罪する機会を奪ってしまいました。

また、そのことが、戦犯として巣鴨の刑務所に入っていた人たちが後に「戦後の民主化を中途で放棄したアメリカ」によって刑務所から出されて政界に復帰することにつながりました。また、そのことが、彼らが今の原子力行政の土台を築く一因にもなりました。

それはCIAと強い結びつきがあった正力松太郎氏(読売新聞社主、初代原子力委員長)のたどった軌跡を見れば明らかです。(原子力予算を国会で初めて成立させた中曽根康弘氏も終戦時の階級は海軍主計少佐でした。)

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小出氏は、皆の批判を受けてか少しずつ態度を変化させ、今は「瓦礫は先ず第1に東電へ持っていけ」と言うようになってきていますが、福島から外に放射性物質を持ち出すことは放射能を拡散させる第一歩ですから、これも原発の専門家の発言としては、首を傾げざるをえません。

このように思っていたところ、先日、元ゴメリ医科大学長だったユーリー・バンダジェフスキー博士が来日し、私と同じことを言っていることを知って、非常に気を強くしました。バンダジェフスキー氏の会見のようすは、Our Planet TVで見ることができます。

http://www.ourplanet-tv.org/ (ブログ冒頭の動画)

それによると、バンダジェフスキー氏は、チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシ住民の健康被害を研究しつづけ、その研究成果を発表してきたのですが、1999年、賄賂収賄の容疑で逮捕されました。

多分これは、今の日本政府と同じように、自国による被曝の実態を隠しておきたいベラルーシ政府の政治的意図による冤罪だと思われますが、氏は無罪を主張したものの2001年に懲役8年の実刑判決を受けました。

しかし、海外の多くの人権保護団体がベラルーシ政府に抗議し、国際的な人権保護団体であるアムネスティ・インターナショナルなども「良心の囚人」とする声明を出して支援をした結果、刑期は5年間に短縮されたそうです。

その氏が、東京での会見で、日本国内で現在進められている震災瓦礫の広域処理に関して、「わずかな汚染であっても、セシウムを含んでいる汚染物質を、クリーンな地域に拡散することは理解できない」と日本政府の方針について強く否定しているのです。

氏の会見の詳しい内容は冒頭の動画を見ていただきたいのですが、私の印象に残っている点だけを書き出すと、氏は次のように語っています。

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「かつてゴメリの医科大に日本人の研究者たちが来たことがあり、セシウムが心臓にとって危険であるということについて深い理解を示していた。でもその経験が活かされていないのは理解に苦しむ。」

「日本政府が“黙っている”“情報を出さない”という政策はかつてのソ連邦ならまだしも、21世紀文明社会の日本でこういうことがなぜ起きるのが理解できない。」

「人々の健康を守るという対策においては国が役割を果たすべきだ。いま起こっていることに対してしっかりと責任を果たし、人々の健康を守るべき。それが政治の責任である。」

「必要なのはクリーンな食品とクリーンな土地である。どんな放射性物質であれ、それをとりこむということは本当に体にとって危険だ。」

「わずかな濃度のものであっても日本全国に放射性物質をばら撒いてはいけない。放射性物質の汚染源を早く廃棄処理しなければならない。」

「高い濃度で汚染されている地域は福島だけでなく、東京でもあちこちでセシウムが観測されていると聞いている。人々は汚染されている地域からきれいな土地に引っ越すべきだ。」

【質問:福島などで若い高校生が『突然死』している事例がある。知人の知人も『突然死』した。亡くなった方の臓器のセシウムを測定することには意味があるか?】

「環境中にセシウムが高い濃度で存在すると『突然死』の可能性がある。セシウムは特に心臓に対して激しく攻撃を加える。」

「解剖すればセシウムは出てくるとは思うが、亡くなってしまった方はどうすることもできないのが残念だ。生きている方々を検査することが重要である。」

「かならず体内のセシウム濃度を調べる必要がある。そうすればリスクグループ(『突然死』に繋がるグループ)を把握できる。」

「子どもは10-30Bq/kgで60%に心電図異常が起きる。ベクレル数が上がると心臓の動悸の悪い子どもが増える。ベラルーシにはそういう子どもがたくさんいる。だから死んでいるのだ。70-100Bq/kgで『突然死』のリスクグループに入る。」

「長い間汚染地域に住む人達が新たな放射性核種を摂りこむとなると、さらに危険である。最も危険なのは食品を通して体の中の臓器にとりこまれることだ。」

「残念ながら皆様のところには情報が少ない。情報をこのまま隠しつづければ、日本人という国民はわずかになる。」

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私には、バンダジェフスキー氏の「情報をこのまま隠しつづければ、日本人という国民はわずかになる」という最後のことばが、ずっしりと響いてきます。

というのは、前回のブログで私は「日本沈没」という観点で次のように書いているからです。

<最近は「毎日」どころか「一日数回」の地震が日本のどこかで起きています。ですから、今すぐにでも原発は「廃炉」にする宣言をしなければ「日本沈没」は目の前に迫っているはずなのですが、相変わらず政府も議員も事態を真剣に凝視していないようです。>

しかし、よくかんがえてみれば、バンダジェフスキー氏の言うように、地震が来なくても、次の原発事故が起きなくても、今のまま汚染物質・汚染瓦礫が日本全国に広まり、日本で安全な食べ物を生産する地域がなくなれば、確実に死亡率が上がります。

そうすれば「日本人という国民はわずかになる」ことは眼に見えているのです。ロシアでは既に「平均寿命」は60歳にまで低下しています。

バンダジェフスキー「必要なのはクリーンな食品とクリーンな土地である。どんな放射性物質であれ、それをとりこむということは本当に体にとって危険だ。」

日本政府が上記のバンダジェフスキー氏の言を意に介していないとすれば、国民に年金を給付したくないからかも知れない、と邪推したくなります。

なぜなら、日本の年金支給年齢は65歳ですから、ロシアのように平均寿命が60歳まで下がる必要もない。放射能汚染が全国に広がり、平均寿命が65歳まで下がるように仕向けるだけでよいからです。

まして政府は年金支給年齢を70歳に引き上げる案も考えていますから、(AIJのように)年金基金を投資に回して大失敗したとしても、年金財源については何の心配もいらなくなるでしょう。このままいけば早晩、日本人の平均寿命は70歳まで下がるでしょうから。

(ただし、お金持ちは決して汚染食品など食べませんから、早く死ぬのは庶民だけです)。

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<関連記事1> DemocracyNow!(20120312) 「原子力技術者アーニー・ガンダーセン:福島原発メルトダウンで100万人がん発症の可能性も」
http://www.democracynow.org/2012/3/12/nuclear_engineer_arnie_gundersen_fukushima_meltdown
<関連記事2> 週刊現代(20120219) 独占スクープ「年金資産2000億円を食いつぶしたAIJ幹部が全部白状する!」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32068

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こんな深刻な事態なのに、何もしないで政争に明け暮れている国会議員を見ていると、「こんな議員だったら本当に定数を減らしてもよいか」と言いたくなります。

しかし、民主党若手議員の案によると、減らすのは「参議院の比例代表」だけだそうですから(『中日新聞』3月21日)、真っ当な意見を言う「少数政党」の議員だけが蹴落とされることになります。

この案で、自民党や民主党、そして東電などの財界は、さぞかし大喜びすることでしょう。

いま減らすべきなのは、多様な人の意見が反映される「比例代表制」ではありません。むしろ「小選挙区」を減らし「比例代表」を増やすことです。そうしないかぎり、国民の声に耳を傾ける、風通しの良い国会は期待できません。

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<関連記事3> 身の危険を犯してアメリカで内部告発したガンダーセン氏のホームページは下記のとおりです。下記HPのように日本語版もありますから貴重な情報を得ることができます。
http://www.fairewinds.com/ja 「FaireWindsAssociates」

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<註> ガンダーセン氏は原子力企業の元上級副社長で、米国各地の原発70施設のプロジェクトをまとめた経験の持ち主です。しかし今の原子力に危険を感じて内部告発したら雇用元は名誉棄損として150万ドルの訴訟を起こしてきたそうです。
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オバマ政権の "NEWSPEAK" !?、 [パキスタン] CIAのビンラディン暗殺作戦で「ポリオ」患者が激増!、 [ハイチ] 国連部隊の「治安?」維持活動で「コレラ」患者が激増し六千人が死亡!

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出典:Labornet Japan、左側の写真は国会を包囲する「人間の鎖」、
右側の写真は開成山野球場を埋め尽くす郡山市の県民集会、下の動画は「ニューヨークの集会」


動画(約9分) "311 First Anniversary 2012 NYC, No Nukes Action"
http://www.youtube.com/watch?v=K8I2kvartK8&feature=youtu.be

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前回のブログを書いてから、もう20日も過ぎてしまいました。相変わらず『Voices of a People's History of the United States』の「索引づくり」と格闘していて、まだ先が見えません。

正直言って、このような苦しみから一刻も早く脱却したいと思っているのですが、「そうは言っても、やはり手抜きはできない」と思い直して、70歳に近づいている老躯に鞭打っている次第です。

というのは、今は亡きハワード・ジンがこの本の編集に心血を注ぎ、それが今日のアメリカにおける Occupy Movementの隠れた礎(いしずえ)を築いたことを考えると、もう「ひと踏ん張り」しなくては、という思いに駆り立てられるのです。

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ブログを「お休み」している間に、実に多くのことが起きました。昨日(3月11日)は福島原発事故1周年ということで、国会を包囲する「人間の鎖」で1万人集会、「福島県民大集会」には1万6千人など、全国で多くの集会が開かれました。

最近は「毎日」どころか「一日数回」の地震が日本のどこかで起きています。ですから、今すぐにでも原発は「廃炉」にする宣言をしなければ「日本沈没」は目の前に迫っているはずなのですが、相変わらず政府も議員も事態を真剣に凝視していないようです。

最近のチョムスキー論文を読んでいると「アジアで注目すべき国」として韓国と台湾があげられていて、日本は全く視野から落ちてしまっています。日本の現状を見ると、当然のことだと思いますが、寂しいかぎりです。

(チョムスキーが日本のことで唯一つ注目しているのは、「沖縄の民衆運動がどれだけアメリカの圧力を跳ね返すことができるか」だけでした。韓国「済州島」も、いま軍事基地化されつつあり、それにたいする民衆の抵抗運動にも、チョムスキーは熱い視線を注いでいます。)
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<註> Chomskyの論文については下記のZNetを御覧ください。
American Decline in Perspective, Part 2 ―The Iranian “Threat” and the Nuclear Issue
http://www.zcommunications.org/american-decline-in-perspective-part-2-by-noam-chomsky

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他方、イラン情勢も、ますます「イラク侵攻」直前の雰囲気に似てきています。「大量破壊兵器WMD」を騒ぎ立ててイラク侵略に乗り出したわけですが、それと同じように、今は「核兵器」を口実にした戦争開始、というわけです。

あの当時、イラクは国連による徹底的なWMDの査察と廃棄処分で「丸裸」にされたあと侵略攻撃を受け、あっという間に崩壊しました。それと同じく、今回イランも IAEA による査察を受け入れると言っていますから、イランもイラクと全く同じ過程をたどるのでしょうか。

しかし今のイラクの民衆は、独裁者フセインがいたときと比べてどれだけ幸せになっているのでしょうか。イラクは今でも毎日どこかで爆発事件が起きていますし、イラク戦争で死んだ民間人は「50万人」とも「100万人」とも言われています。

独裁者フセインが化学兵器でクルド人を大量に殺したことで有名になった「ハラブジャ事件」(1988)でも、その死者数は5000人程度です。この数は決して小さい数とは言いがたいものですが、アメリカがイラク戦争で殺した民間人の数(50,0000~100,0000人)と比べれば「ものの数ではない」とさえ言えるほどです。

しかも、この化学兵器は欧米から提供されたもので、当時のフセインはアメリカのお気に入りでした(ラムズフェルド氏が、フセインと、にこやかに握手している有名な写真があります)。つまり、この「ハラブジャ事件」はアメリカ黙認のもとでおこなわれたものでした。

フセインが多くのひとを拷問にかけたこともよく知られた事実ですが、ブッシュ氏がイラクのアブグレイブ刑務所やキューバのグアンタナモ収容所で多くの「無実」のひとを拷問にかけ死に至らしめたことは、今や周知の事実です(オバマ氏になってからもグアンタナモ収容所は閉鎖されていません)。

湾岸戦争のとき、ブッシュ(1世)大統領は「劣化ウラン弾」を使いましたが、その放射能で多くの子どもたちが白血病で亡くなっていますし、今も亡くなり続けています。その後、クリントン氏が大統領になりましたが、そのときの経済制裁で子どもたちが50万人も亡くなりました。薬品も栄養剤も手に入らなかったからです。

このような状況に抗議して、当時の「イラク国連人道調整官」だったハンス・フォン・スポネック氏とその後任デニス・ハリデー氏は二人とも、「これは一種の民族浄化だ」と言って辞表をたたきつけました。

他方、当時の国務長官オルブライトが「50万人と言えば、ヒロシマで死んだ子どもの数よりも多い。これだけの子どもたちを殺す価値があったのか」と大手メディアから尋ねられて、「その価値はあった」と答えて話題を呼んだことも、まだ記憶に新しいはずです。
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<註> 「湾岸戦争後、白血病、ガン、奇形などが多発した」
http://www.morizumi-pj.com/iraq/iraq1/iraq.html
「見えない戦争 経済制裁措置によるイラクの破壊」
democracynow.jp/video/20100901-3

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私がここで言いたかったことは、「独裁者フセインを倒す」ということを口実にしておこなわれたアメリカ歴代大統領の政策が、イラク民衆を救うことに役立つどころか、フセインが殺したよりもはるかに大量のひとを殺しているということです。

[いまイランにたいする「経済制裁」が強められようとしています(そして日本もそれに協力するよう強制されています)が、これはイランの時と同じように、イランの民衆とりわけ子どもや老人に対して多大な死をもたらすでしょう。]

しかし、不思議なことにフセインは処刑されたのに、これだけ大量殺人をおこなっているアメリカ歴代大統領の誰も、きちんとした法の裁きを受けていないのです。

それどころかオバマ氏は、ブッシュ氏の戦争を、さらにイエメンやパキスタンに拡大しただけでなく、最近は「暗殺行為」すら正当化するようになりました()。

ビンラディンをパキスタンで暗殺し、イエメンではアメリカ国籍のイスラム教説教師を暗殺し、その数日後に今度はその息子(16歳)まで暗殺してしまいました。[さらに、無人爆撃機はパキスタンでもイエメンでも多くの民間人を殺しています。]

ところが司法長官エリック・ホルダー氏は暗殺を擁護して次のような奇妙なことを言い始めています。

* Due Process「適正手続き」とJudicial Process「司法手続き」は違う
* Assasination「暗殺」とTargetted Killing「故殺」は違う

オバマ=ホルダー路線によれば、いまアメリカがおこなっているのは、憲法や国際法が禁じている行為ではないと言うのです。つまり、彼らがおこなっているのは、「適正手続き:Due Process」を経ない「暗殺:Assasination」ではなく、「司法手続き:Judicial Process」に基づいた「故殺:Targeted Killing」だというわけです。

ジョージ・オーウェルは小説『1984年』で、支配者は民衆をだますために新しい語彙「Newspeak」を発明すると言っていますが、これこそ、オーウェルも腰を抜かすほどの「Newspeak」ではないでしょうか
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*Eric Holder to Defend Targeted Killings of U.S. Citizens
http://www.democracynow.org/2012/3/5/headlines
*Attorney General Eric Holder Defends Legality of Targeted Killings of U.S. Citizens Overseas
http://www.democracynow.org/2012/3/6/attorney_general_eric_holder_defends_legality

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先にも述べたように、オバマ氏はパキスタンでビンラディンを暗殺したわけですが、ビンラディンが「911事件」の首謀者だったことは、どこでも証明されていません。

ビンラディンがパキスタンで暗殺されたとき、彼は「丸腰」だったそうですから、捕まえて公の裁判にかけることができたはずです。

そうすればビンラディンが「9・11」の企画・立案・実行の、どのレベルで関わったのか、それとも企画や立案もサウジやドイツでなされたのか、すぐに証明できたはずですが、オバマ氏はそれをしませんでした。

これはイエメンでの暗殺でも同じでした。暗殺されたイスラム教説教師の父親は「息子が暗殺対象とされた証拠を見せて欲しい」と裁判に訴えましたが、却下されただけでした。

オバマ氏はブッシュ氏と同じように、証拠を出すことに何故それほど恐怖するのでしょうか。証拠を出すと何か都合の悪いことも一緒に出てくるのでしょうか。それとも、もともと証拠などないのでしょうか。

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もうひとつビンラディンの暗殺に関わって、恐ろしい事実が最近あきらかになりました。

それはビンラディンを暗殺したときに本人かどうかを確認するための作業としてDNA鑑定をするわけですが、そのためにビンラディンの住んでいるアボッタバード市全体に偽りの「ポリオ予防接種」をおこなったことです。

CIAがパキスタン人の医者の手を借りておこなったこの謀略が原因で、昨年パキスタンでは「ポリオ」患者が記録的な激増ぶりを示したそうです。

アメリカの医療グループが、「このような謀略行為は、人道団体が今後おこなう医療活動に重大な障碍ををもたらすことになり、国際的な人道団体がこれまでおこなってきたポリオ撲滅作戦の土台を堀り崩すことになる」と強い抗議状を送ったのは当然のことでした。
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Aid Groups Criticize CIA for Fake Vaccination Campaign in Pakistan
http://www.democracynow.org/2012/3/5/headlines
  An increase in polio in Pakistan is being linked to a secret CIA ploy used in the hunt for Osama bin Laden. With the help of a Pakistani doctor, the CIA set up a fake vaccination campaign in the city of Abbottabad in an effort to get DNA from the bin Laden family.
  A coalition of U.S. aid groups have written a letter to CIA head David Petraeus saying the covert program has cast doubt on the intentions and integrity of all humanitarian groups in Pakistan and undermined the international humanitarian community's efforts to eradicate polio.    Last year, Pakistan recorded the highest number of polio cases in the world.
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これに関連して思い出すことが、もう一つあります。それは、ハイチが大地震に襲われたあと、コレラが大流行し、6000人もの命が奪われたことです(フセインが「ハラブジャ事件」で殺したとされる5000人と比べてください)。

地震直後、キューバやベネズエラがすぐに駆けつけて援助しましたが、国連はアメリカがハイチの空港を米軍が占拠して援助物資の流通を管理したため、ほとんど実質的な援助を何もしませんでした。

国連がおこなったのは、ハイチ住民が暴動化する恐れがあるからという理由で治安部隊を送るだけでした。ですから、今でも被災地の住民の多くはテント生活を強いられています。

元大統領クリントンが国連から依頼され、復興と援助の責任者だったのですが、彼が送ったトレーラーハウスは、アスベストを利用したもので、アメリカでは販売禁止のものでした。案の定、この家に住んだ住民から病人が続出しました。

Clinton Foundation to Review Haiti Trailers Following Exposé
http://www.democracynow.org/2011/7/15/headlines#9

それよりも、もっと恐ろしことは先述のコレラ発生でした。このコレラは国連軍(平和維持部隊)として派遣されてきたネパール軍が病原になっていることを、しぶしぶながら先週やっとクリントン氏は認めました。
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Haiti: Hundreds March to Demand Cholera Reparations
http://www.democracynow.org/2012/3/9/headlines#10
  In Haiti, hundreds have marched in the capital Port-au-Prince calling on the United Nations to pay reparations for the cholera epidemic that's killed more than 6,000 people.
  Some 450,000 Haitians have also been sickened since the cholera outbreak erupted in October 2010.
  This week, former President Bill Clinton, the U.N. special envoy to Haiti, acknowledged that the outbreak likely originated with a battalion of Nepalese troops with the U.N. peacekeeping mission.
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コレラの発生源はネパール軍であることは、ずっと以前から知られていたことで、既に昨年11月に被害者は国連を裁判にかけろと訴えていました。

Thousands of Haitian Cholera Victims Sue United Nations
http://www.democracynow.org/2011/11/9/headlines#11

要するに、アメリカも国連もハイチを救うことには余り興味がなかったのです。そもそもハイチとは全く風土が違うネパールから、なぜ軍隊をハイチにまで連れてこなくてはいけないのでしょうか(実は日本の自衛隊までも!)。

キューバやベネズエラなど、中米や南米には援助しようと待機している国がたくさんありました。ところが国連(すなわちクリント)は、わざわざネパールや日本から軍隊を連れてきて、援助ではなく「監視」「治安」に当たらせたのです。

しかし、よく考えてみれば、これも当然のことかも知れません。なにしろハイチでクーデターを起こし、民衆から絶大な信頼を寄せられていたアリステイド大統領を拉致して飛行機に連れ込み、中央アフリカ共和国の空港に投げ捨てて置き去りにしたのは、アメリカ政府でしたから。

アリステイド氏は、7年ぶりで亡命先の南アフリカ共和国から帰国しましたが、氏を支持する最大野党も彼自身も立候補や選挙活動を許されていません。これがハイチの現状です。
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Haiti: Thousands Mark 8th Anniversary of Aristide Coup
http://www.democracynow.org/2012/3/1/headlines#5
  Thousands of people marched in the Haitian capital of Port-au-Prince on Wednesday to mark the eighth anniversary of the U.S.-backed coup that overthrew President Jean-Bertrand Aristide.
  On Feb. 29, 2004, Aristide was forced to flee Haiti in what he called a kidnapping by the U.S. government. He was forced into exile in the Central African Republic and ultimately South Africa. He finally returned to Haiti last year after a seven-year absence.
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ですから、私たちは「国連が決めたことだから賛成」だとか「国連が決めたことだから従わなくてはいけない」などと短絡的になるのではなく、立ち止まって吟味してみる必要があるのではないでしょうか。その典型例が「自衛隊のハイチ派遣」でしょう。

自衛隊や国連軍は、ハイチの民衆から求められて、ハイチまで来ているわけではありません。その逆です。ハイチの民衆は「国連軍はハイチから出ていけ!」と言っているのです。

Haitians Demand Ouster of U.N. Peacekeeping Force
http://www.democracynow.org/2011/9/15/headlines#12

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他方、日本国民にはお金が足りないないからという理由で消費税増税を押しつけられかねないのですから、自衛隊の「ハイチ派遣」ほど大きな無駄遣いはないでしょう(昔の累進課税率に戻せば消費税増税はいりません)。

しかも一昔前までは、「自衛隊の海外派遣」が大きな問題になり、国会でも激論がたたかわされたはずでした。しかし今は、国民がほとんど知らないうちに「自衛隊のハイチ派遣」が決まっているのですから、恐ろしい話です。

最近の「海外派兵」ぶりを見ていると、自衛隊は「災害援助」が基本任務になっている観があります。災害援助を自衛隊の基本任務とするのであれば、いっそのこと自衛隊を改組して「救援隊」とすべきではないでしょうか。

そして現在の「人殺し」のための訓練ではなく、「人命救助」のための新しい訓練要綱を制定すべきではないでしょうか。

それが「憲法九条」をもつ日本の、あるべき姿ではないでしょうか。
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Author:狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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