毎日32人もが銃で命を失うアメリカ、 国外では武器輸出No.1、アフガンではこの1年で447回の無人機殺人

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What's Going On 「いったい何が起きているんだ」
(クリスマスプレゼントとして贈った銃で、父に殺されたMarvin Gaye)



http://www.youtube.com/watch?v=rD78i6eoGkM (背景に動画)
http://www.youtube.com/watch?v=obwMsk5JzxQ (歌詞&訳詞)


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<註> ベトナム戦争のとき広くうたわれ感動を呼んだ歌です。今のアメリカ、現在の世界をうたっているかのようです。(訳詞に気になるところもありますが雰囲気はよく伝わってきます。またMarvin Gayeが訴えたかったことは、メロディだけでも十分に伝わってくるのではないでしょうか。

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総選挙が終わり、大手メディアでは「自公圧勝」と報じています。

しかし民意をもっとも反映する比例代表では、自民党は2009年衆院選よりもさらに219万票減、公明党も94万票減らしました。

自民党は小選挙区でも前回比166万票減らし、得票率は43%なのに議席占有率は79%にもなりました。民意を大政党本位にゆがめる小選挙区制の欠陥をよく示しています。

つまり、「自公政権ノー」の厳しい審判を受けたときの得票よりも大きく後退しているのです。自公両党の「圧勝」は、民主党の公約破りによる“敵失”と、不正な選挙制度に助けられてのことにすぎません。

しかも最高裁が「一票の格差を温存したままでの選挙は違憲状態だ」と判決を下したままでおこなわれた選挙でしたから、下記のように、今回の選挙は無効だとの主張が出てくるのは当然のことでしょう。

「一票の格差」一斉提訴 弁護士ら 衆院選無効求める(東京新聞12月18日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012121802000115.html 
一票の格差提訴 問われる選挙の正当性(中日新聞12月19日「社説」)
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2012121902000093.html

平気で公約を破りつつ次々と離合集散を繰り返す政党に、多くのひとが嫌悪感をもっています。投票率が前回比約10ポイントも減(小選挙区で59・32%で戦後最低)となり、1000万人以上が棄権したことは、その表れではないでしょうか。

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今回の選挙については、まだまだ書きたいことがあるのですが、これについてはこの程度で止めます。というのは、いま書いておかねばならないのはアメリカの小学校で起きた凄惨な事件だと思うからです。

 
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-18/2012121801_02_0.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012121802000130.html

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* 一般読者の皆さんへ: 以下では英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねています。時間のない方は飛ばして読んでください。
* 英語教師の皆さんへ: 授業における会話ブーム(しかも覚えてもすぐ忘れる)のおかげで、生徒どころか英語教師の「読む力」も大きな落ち込みを見せています。この英文記事が「読む力」の回復に少しでも役立てば幸いです。
* 教育研究者の皆さんへ: 最近わたしは、英語を学ぶ目的の一つは、アメリカの実像を知り日本を「第二のアメリカ」にしないことにある、と考えるようになりました。以下は、今まであまりにも「虚像のアメリカ」を教えてきた私の反省が込められています。
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http://rt.com/usa/news/shooting-sandy-timeline-newtown-094/

12月14日、コネチカット州ニュータウンの小学校で起きた銃乱射事件で、小学1年生20人と学校職員6人が殺害されました。死亡した児童は、6歳から7歳で、全員複数回にわたり銃撃を受けていました。

2007年に起きたバージニア工科大学の銃乱射事件では、32人が死亡していますから、それに次ぐ米国史上最悪の乱射事件でした。

16日の夜に行われた犠牲者の追悼集会で、オバマ大統領は次のように演説しました。

 このようなことをこれ以上見過ごすことはできない。このような悲劇を終わらせなればならない。終わらせるためには、私たちが変わらなければいけない。
 同じような悲しみから、もう一人の子ども、もう一人の親、もう一つの町を救うために一歩でも踏み出すことができるなら、私たちはそうする義務がある。
 ツーソンやオーロラやオーク・クリークやニュータウンのような町で起きた悲しみ、そしてそれ以前に起きたコロンバインやブラックスバーグのような学校を襲った悲しみから救うためだ。(中略)
 このような惨劇に対して、私たちは無力で、政治はあまりにも過酷だと諦めて諦めるつもりか。私たちの子どもたちを毎年のように脅かすこのような暴力は、我々の自由の代償だと認めて引き下がるつもりか。


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<註> 原文は次のとおりです。

"We Can't Tolerate This Anymore": Obama Vows Action After Worst Grade School Massacre in U.S. History
http://www.democracynow.org/2012/12/17/we_cant_tolerate_this_anymore_obama
PRESIDENT BARACK OBAMA: We can't tolerate this anymore. These tragedies must end. And to end them, we must change.
... If there is even one step we can take to save another child or another parent or another town from the grief that's visited Tucson and Aurora and Oak Creek and Newtown and communities from Columbine to Blacksburg, before that, then surely we have an obligation to try.
  ...Are we really prepared to say that we're powerless in the face of such carnage, that the politics are too hard? Are we prepared to say that such violence visited on our children year after year after year is somehow the price of our freedom?

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この演説を聴いていて私は不思議な感情に襲われました。

というのは、オバマ大統領の命令でアフガニスタンやパキスタンやイエメンでは毎日のように無人爆撃機droneで無実の人が殺されているからです。その死傷者数もときには数十人にもおよぶのです。

アフガニスタンでは、隣のアフガニスタンを基地として、この1年間だけでもCIAの無人爆撃機によって447回の攻撃がおこなわれていますから、毎日最低1~2回の爆撃がおこなわれている計算になります。

The drone warfare, where in Afghanistan this last year 447 drone strikes already this year, the highest number in the history of Afghanistan; right next door, Pakistan, where the CIA has its drone operations.
http://www.democracynow.org/2012/12/14/as_admin_preps_enduring_presence_in

このような攻撃はブッシュ氏でさえおこなわなかったことです。

オバマ氏の頭には「ツーソンやオーロラやオーク・クリークやニュータウンのような町で起きた悲しみ」からアメリカ人を救うことは思い浮かんでも、アフガンで破壊された村々や家々、アフガンで殺された子どもたちのことはまったく念頭になかったようです。

これはオバマ氏だけではありません。いまアメリカの大手メディアでは、911事件の時と同じように、殺された子どもたちの名前と顔写真があふれていますが、無人爆撃機で殺された(大人はもちろんのこと)アフガンの子どもたちの名前や写真が載ったことはありません。

どうもオバマ氏や大手メディアにとって、アフガニスタンの人たちは人間ではないようです。

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<註> ちなみに、オバマ政権の定義によると、無人爆撃機による殺人は「殺されたものが無実であることを証明されないかぎり戦闘員=テロリストとみなす」というものです。ですから、その場にいた全員を殺してしまえば証人がいなくなって好都合、という恐ろしいものです。

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ツーソンで瀕死の重体となったGiffords議員   ギフォード議員を狙ったJared Loughner

   
http://www.tmz.com/2012/11/08/gabrielle-giffords-shooter-jared-loughner-sentenced/
http://perezhilton.com/2012-08-05-gabrielle-giffords-shooter-expected-to-plead-guilty-tuesday#.UNUjdKzqtJc

ところで、Democracy Now!のHeadlineを読んでいたら、さらに驚くべき事実を知りました。それには次のように書いてありました。

 ニューヨークタイムズ紙によると、オバマ政権は一連の銃規制取り締まり法案を1年前に破棄していた。それは2012年の大統領選挙が近づいているときで、下院の共和党員が銃規制のおとり捜査「作戦名:猛烈な勢い」の調査を押し進めているときだった。
 2011年1月にアリゾナ州ツーソンで起きた銃乱射事件のあと、司法省が提出しようとしていた案は、銃を買おうとする者の素性を全国的に調査する体制を改善し拡大することを骨子とし、それによって犯罪者や心を病む者が銃を手に入れにくくすることをめざすものだった。
 その法案に盛り込まれている幾つかの項目は、オバマ氏にやる気さえあれば、大統領命令によって実行・実現できるものだった。

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<註1> 原文は次のとおりです。

Report: Admin Scrapped Gun Reforms Ahead of 2012 Election
http://www.democracynow.org/2012/12/17/headlines#12174
  The New York Times reports the Obama administration abandoned a series of gun control measures one year ago as the 2012 election approached and House Republicans pushed a probe of the gun sting "Operation Fast and Furious."
  Drafted after the January 2011 shooting rampage in Tucson, Arizona, the Justice Department recommendations centered on improving and expanding the national background-check system to reduce access to weapons for criminals and the mentally ill.
  The list included several proposals that Obama could have enacted by executive order had he chosen to take action.

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<註2> the gun sting"Operation Fast and Furious" :「猛烈な勢い」作戦とは、司法省アルコールたばこ火器爆発物取締局(ATF)がおこなった銃規制の「おとり捜査」の作戦名で、そのために販売された銃はCBSニュースによると2000丁以上、しかもメキシコ政府によると、アメリカとメキシコではこの作戦のため販売された銃で、殺傷事件が300件以上起きているという。そのうえ、2010年12月14日に国境警備隊がメキシコとの国境から10マイルの場所で撃たれ死亡し、2011年2月15日には移民税関捜査局の捜査員がメキシコで殺害された。つまり銃規制どころか銃をアメリカとメキシコで拡散させ、殺傷事件を増大させるだけに終わった作戦だった。

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http://rt.com/usa/news/newtown-shooting-victims-mourn-133/

ニュータウンの事件を受けて、オバマ氏は冒頭で紹介したような演説をし銃対策を強化することを約束したわけですが、ニューヨークタイムズ紙をみれば分かるとおり、彼はすでにおこうなうべきだったこと、やればできることを手抜きしてきただけだったのです。

銃規制を呼びかけている団体 "Brady Campaign to Prevent Gun Violence" のホームページを見ると、次のようなことが書かれていました。

 我々は銃暴力によってあまりにも多くのアメリカ人を失っている。しかも毎日毎日のことだ。
 2011年1月8日にアリゾナ州ツーソンで起きた殺戮事件から数えても、銃による70件以上もの大量殺人事件が起きている。
 我々はアメリカで、銃による殺人のため、毎日、平均して32人もの命を失っているのだ。
 アメリカにおける殺人は、他の発達した資本主義国22カ国を合計した人数の6.9倍にも達している。

このように銃による大量殺人事件が頻発していたにもかかわらず、オバマ大統領は動きませんでした。
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<註1> 原文は次のとおりです。

More Than 70 Mass Shootings Since Tucson
http://www.bradycampaign.org/
  We lose too many Americans to gun violence, day in and day out.
  There have been more than 70 mass shootings since the January 8, 2011, massacre in Tucson, Arizona.
  We lose on average 32 people a day to gun murders in the U.S.
  The homicide rate in the U.S. is 6.9 times higher than 22 other high-income, high population countries, combined.
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<註2> しかも上記ホームページには次のような詳細なデータベースまで付いていました。興味のある方は御覧ください。
» Click here for a list of mass shootings since 2005
http://www.bradycampaign.org/xshare/pdf/major-shootings.pdf
» Click here for a list of school shootings since 1997
http://www.bradycampaign.org/xshare/pdf/school-shootings.pdf
» Click here to see a fact sheet on daily and yearly gun violence
http://www.bradycampaign.org/xshare/Facts/Gun_Death_and_Injury_Stat_Sheet_2008__2009_FINAL.pdf

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http://rt.com/usa/news/newtown-shooting-victims-mourn-133/

ところでオバマ大統領は、先述のとおり、16日の夜に行われた犠牲者の追悼集会で次のような地名を列挙しました。

ツーソンやオーロラやオーク・クリークやニュータウンのような町で起きた悲しみ、そしてそれ以前に起きたコロンバインやブラックスバーグのような学校を襲った悲しみから救うためです。


オバマ氏が上の演説で言及した地名(&事件)を時間軸に沿って並べてみると次のようになります。

* コロンバイン(Columbine, Colorado)April 20, 1999
コロンバイン高校、死者18人、うち生徒17人[自殺した犯人2人を含む]、教師1人
* ブラックスバーグ(Blacksburg,Virginia)April 16, 2007
バージニア工科大学、死者は学生33人[教員5名、自殺した犯人1名を含む学生28名]
* ツーソン(Tucson, Arizona)January 8, 2011
ショッピングセンター前、死者6人、下院議員Gabrielle Giffords が瀕死の重傷
* オーロラ(Aurora, Colorado)July 20, 2012
映画館[Batmanの初演日]、死者12人
* オーク・クリーク(Oak Creek, Wisconsin )August 5, 2012
シーク教徒の寺院、死者7人[射殺された犯人=ネオナチの帰還兵1人を含む]
* ニュータウン(Newtown, Connecticut )December 14, 2012
サンディフック小学校、死者26人、子どもが20人、大人6人

オバマ氏が大統領になったのは2009年1月20日でした。とすると上記の事件のうちコロンバイン高校とバージニア工科大学の事件を除けば、残りは全て自分の任期中に起きた事件だということになります。

しかし(前述のとおり)せっかく司法省が案をつくっていたにもかかわらず、また大統領権限で出来る法案であったにもかかわらず、彼はそのような銃規制に着手しませんでした。

2期目の大統領選挙が間近いので、全米に巨大な影響力をもつNRA(全国ライフル協会)や銃器製造業界に遠慮したのかも知れませんが、それではあまりにも人命軽視といわれても仕方がないでしょう。

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暗殺・殺人行為をおこなうCIAの無人爆撃機   CIAの基地となっているパキスタンで抗議する民衆

 
http://rt.com/usa/news/drone-strike-obama-casualties-604/
http://rt.com/usa/news/cia-ordered-pakistan/

オバマ氏の人命軽視は今に始まったことではありません。それはアフガニスタン、パキスタン、イエメンなど世界各地に戦争を拡大し、無人爆撃機Droneで暗殺・殺人行為を繰り返していることによく表れています。

それはまた、リビアやシリアの反政府勢力に武器援助をしながら戦争を拡大し、数限りない難民と死者を出したこと、今も出し続けていることによく表れています。転覆させたいと思っている政府が倒れるまで武器援助し続けるのですから、停戦などありえるはずがありません。

朝鮮戦争やベトナム戦争では停戦が成立し、その結果、南北朝鮮や南北ベトナムといったかたちで国家が分断されるという不幸な事態になりましたが(ベトナムの場合、米軍の撤退で最後には統一されました)、それでも死者や難民が延々と増え続け、国土が灰燼に帰するよりは遙かに良かったでしょう。

ところが今回のリビアやシリアの紛争では、リビアのカダイフィ大佐やシリアのアサド大統領がアメリカによる「拷問下請け政策」に協力していたにもかかわらず、ノーベル平和賞を受けたEU諸国(フランスやイギリス)と一緒になって、体制転換Regime Changeに乗り出しているのです。

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「独裁者から民衆を解放する」というのが、リビアやシリアに干渉する口実になっていますが、同じ中東でも独裁者によって民衆が弾圧されている国は少なくありません。

カタールやバーレーンでは今も圧政的独裁王制に抗議する民衆に厳しい弾圧が加えられていますが、アメリカは何の援助もしていません。

イスラエルは今でも毎日のようにパレスチナの土地を奪って入植地を拡大する政策を取り続けています。パレスチナ人から土地を奪って3000戸もの新しい住宅を建てようというのです。

それにたいしてイギリス、スペイン、スエーデン、フランス、デンマークのような国でさえ、抗議の意思表示としてイスラエルから大使を引き上げていますが、オバマ氏は口先で非難するだけで相変わらずイスラエルにたいする金銭的軍事的援助を続けています。

それどころか、国連が安全保障理事会で、イスラエルによる入植地拡大を非難する決議をしよとしても、アメリカだけが強行に反対して、妨害する行動すら取っています。

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<註> 詳しくはDemocracyNow!の下記報道を御覧ください。

Israel Rejects Global Opposition to Settlement Plans as U.S. Offers Tepid Response
http://www.democracynow.org/2012/12/4/headlines#1241
Israel has rejected international condemnation of its latest plans for a major settlement expansion in the occupied West Bank. On Monday, five nations — Britain, Spain, Sweden, France and Denmark — summoned their Israeli ambassadors to protest Israel's plan to build 3,000 new settlement homes and expand the "E1" settlement zone that splits the West Bank in two.

U.S. Blocks Bid to Condemn Israeli Settlement Expansion
http://www.democracynow.org/2012/12/20/headlines#12207
The Obama administration has blocked a U.N. Security Council resolution condemning Israel's latest expansion of settlements in the occupied West Bank. Israel has announced the construction of thousands of new settlement homes following last month's historic recognition of Palestine as a non-member observer state by the United Nations. The White House has publicly criticized Israel but has refused to take punitive action, including withholding any of the billions in annual U.S. aid.

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出典:『暴力の世界地図』大月書店、11頁


私は「オバマ氏の人命軽視は今に始まったことではありません」と書きましたが、それは上記のような事実を踏まえてのことでした。

オバマ氏は19日水曜日に副大統領のバイデン氏をトップに据えて銃規制に本格的に乗り出すと発表しましたが、この決意が今度こそ本物であることを期待したいものです。

ノーベル平和賞の授賞でありながら、これまでのオバマ氏の軌跡はあまりにもいかがわしいものだったからです。

しかし、それでも本気で銃規制に取り組んでくれるのであれば、これほど結構なことはありません。

また前回のブログで「アメリカが兵器輸出のトップ(EUは第2位)を走っていること」を紹介しました。

世界中に武器を売りまくって金を稼いでいる「死の商人」アメリカが、国内だけは武器売買を抑制するというのは、なかなか実現しがたいことです。

これまでの実績で証明されたように「妥協の名人」「口先だけ」のオバマ氏のことですから、民衆からの圧力がないかぎり今回の銃規制案も「抜け穴」だらけのものになる恐れが十分にあります。

また銃・武器の規制は国内だけではなく国外でも取り組まないかぎり、ダブルスタンダード(二重基準)だと非難されても仕方がないでしょう。自分は大量破壊兵器を持つが他の奴がもつことは許さないというのでは、誰も納得しないでしょうから。
────────────────────────────────────────
<註> アメリカの兵器輸出 アメリカ議会図書館付属の議会リサーチ局の公式数字。2011年のアメリカの武器輸出が663億ドルとなり、世界の武器取引の四分の三以上を占めて、アメリカ史上最高数字となった。(2011年全世界の武器取引総額は853億ドル。)
http://mejirokadan.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29-1

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オーストラリアの武器規制法を実現させたRebecca Petersさん
 
http://www.comunidadesegura.org/en/node/33699
http://www.democracynow.org/2012/12/18/new_town_to_newtown_how_96

ところでオーストラリアでは、1996年に35人の死者を出した銃乱射事件(the Port Arthur massacre)を契機に、厳しい銃規制法案を成立させました。それ以来オーストラリアでは銃乱射事件はゼロになったそうです。

この運動の先頭に立ったのはRebecca Petersという女性でしたが、その当時、当選したばかりの大統領の固い決意も、この厳しい銃規制法案の成立に大きな要因となりました。

大統領2期目を迎えたばかりのオバマ氏にも同じことを期待したいものです。

そして同じことを日本の首相にも期待し要求すべきでしょう。憲法9条をもつ国だからこそ「核兵器廃絶」を掲げて世界をリードすべきだと思うからです。

しかしそのためには、「憲法9条を廃棄する」「核兵器をもつためには原発を廃炉するわけにはいかない」と主張する総裁・政党を一刻も早く退陣に追い込まねばなりません。「圧倒的勝利」の正体をみれば、それは十分に実現可能な目標ではないでしょうか。

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<註> このオーストラリアの法案では、「抜け穴loophole」を防ぐために「市場に出回っている銃の買い戻し」など、素晴らしい政策が一杯詰まっていました。詳しくは下記を御覧ください。

New Town to Newtown: How '96 Massacre Spurred Gun Laws in Australia — and No Mass Shootings Since
http://www.democracynow.org/2012/12/18/new_town_to_newtown_how_96
Just 12 days after what became known as the Port Arthur massacre, Australia's government responded by announcing a bipartisan deal to enact gun control measures—this in a country of hunters and gun lovers. The pact included agreements with state and local governments. Since the laws were passed—for more than 15 years—there's not been a mass shooting in Australia.  

(ちなみに1996年の事件を起こした若者は、奇しくもアメリカの小学校で起きた惨劇と同じ名前の町New Townの出身者でした。)

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「死の商人」 EUが世界の武器輸出の1/3(アメリカに次いで世界第2位).、しかもヨーロッパ南部を暴力と混乱の極地に追い込んでいるEUに、ノーベル平和賞!?

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国内では選挙一色ですが、国外では混乱と暴力が渦巻いています。しばらく休息するつもりだったのですが、そんなわけで体を休めることもできず、なかなか英語教育にも復帰できません。

アメリカはイラク戦争の時と同じように「大量破壊兵器サリン」を口実にシリアに干渉する機会を狙っているようですし、エジプトでは新しい混乱が始まっています。しかし今回はそれらに目をつぶって、EUのノーベル平和賞受賞を考察してみたいと思います。

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オスロで、松明(torch)を手にノーベル平和賞の授賞式に抗議する人びと

A protester carrying a lit torch raises his arms during a protest in central Oslo on December 9, 2012.
http://rt.com/news/nobel-peace-prize-incakolanews-735/ (以下の写真も全てRT)

東京都知事候補者・宇都宮健児氏にたいする勝手連の応援歌「東京なのに宇都宮」
http://www.youtube.com/watch?v=fUZai67sMYs
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* 一般読者の皆さんへ: 以下では英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねています。時間のない方は飛ばして読んでください。
* 英語教師の皆さんへ: 授業における会話ブーム(しかも覚えてもすぐ忘れる)のおかげで、生徒どころか英語教師の「読む力」も大きな落ち込みを見せています。この英文記事が「読む力」の回復に少しでも役立てば幸いです。
* 教育研究者の皆さんへ: 最近わたしは、英語を学ぶ目的の一つは、アメリカの実像を知り日本を「第二のアメリカ」にしないことにある、と考えるようになりました。以下は、今まであまりにも「虚像のアメリカ」を教えてきた私の反省が込められています。

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ノーベル賞の創始者アルフレッド・ノーベルが死んだ12月10日に、ノルウェーの首都オスロではノーベル平和賞の授賞式がおこなわれました。

アルフレッド・ノーベルはスウェーデン人ですが、不思議なことにノーベル平和賞だけは、ノルウェーの議会によって任命された5人の委員によって選考されます。

このノーベル平和賞のいかがわしさについては、既にオバマ氏および劉暁氏が選ばれたときに露呈しましたが、これについては既にこのブログでも言及しました。
  劉暁波とジュリアン・アサンジ(上)2010.12.13
  劉暁波とジュリアン・アサンジ(下)2010.12.24

しかし今回の欧州連合(EU)受賞でそのいかがわしさがいっそう明らかになったように思われます。そのことは、3人のノーベル平和賞受賞者がノーベル委員会に異例の抗議文書を送ったことによっても、明らかでしょう。

デズモンド・ツツ元大主教(Archbishop Desmond Tutu),
北アイルランドのマイリード・マグワイア(Mairead Maguire of Northern Ireland)
アルゼンチンのアドルフォ・ペレス・エスキベル(Adolfo Pérez Esquivel from Argentina)

上記3人のノーベル平和賞受賞者は、「27か国のブロックは武装解除された世界和平というアルフレッド・ノーベルの考えと矛盾している」として、ノーベル委員会に異例の抗議文書を送りました。

こうした中、世界中で、人権擁護や平和を訴える数十の団体が、EUのノーベル平和賞受賞に抗議しました。

授賞式の前日9日、首都オスロでも、世界中から集まった人たちがノルウェーの平和団体と共に、この授賞式に抗議をするため、松明(たいまつ)を手にデモ行進を行いました。

────────────────────────────────────────
緊縮政策に抗議する民衆と彼らに発射された催涙弾(アテネ)

http://rt.com/news/greece-austerity-bill-protests-144/

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この受賞式に先立って、ギリシアの最大野党シリザSyrizaの議員ディミトリス・コデラスDimitris Kodelasは9日、オスロ市内の記者会見で次のように語っています。

最初にEUがノーベル平和賞を受賞したと聞いた時、私たちは冗談かと思いました。

ヨーロッパ南部の国々では、金融戦争の結果、多くの国が負債のため植民地状態にされています。市民は身ぐるみ剥がれ、国の財産は略奪されています。

たとえば私の国ギリシャでは、失業率は平均26%で、若者の失業率は58%にも達し、国民の1/3が貧困ライン以下の生活を強いられています。このような状況をつくりだした連中が受賞するなんて考えられますか?

ドイツの首相メルケル女史Mrs. Merkelも受賞するようですが、彼女にふさわしいのは平和賞ではなく、「市場原理主義」賞(the prize of neoliberal fundamentalism)でしょう。

またギリシャの首相サマラス氏Mr. Samarasが受け取るべきなのは、「メルケルの最優秀生徒」賞(the prize of the best student of Mrs. Merkel)だと思います。」

その賞が実際、誰かに与えられるべきだというのであれば、それは南ヨーロッパや北アフリカや中東で、平和・尊厳・正義・民主主義・独立のために闘っている人たちに与えられるべきでしょう。
────────────────────────────────────────
<註> 原文は次のとおりです。
Does the EU Deserve the Nobel Peace Prize?
Critics Condemn Role in Brutal Greek Austerity

http://www.democracynow.org/2012/12/10/does_the_eu_deserve_the_nobel
DIMITRIS KODELAS: When we heard that the Nobel Prize for peace will be given to the European Union, we first thought it was a joke, especially because this comes in days when mainly the peoples of South Europe are living with the results of a financial war, and their countries are turning to colonies of debt with deprived citizens and looted national wealth.
  For example, in my country, the decision of the last three years will be over 30 percent in 2013. The unemployment rate is now 26 percent, reaching 58 percent for the youth. One-third of the society in Greece is below or at the edge of poverty. Is it ever possible that the initiators of this situation are given awards?
  Mrs. Merkel is going to receive the prize. Instead of peace prize, she should be awarded the prize of neoliberal fundamentalism. Mr. Samaras, the prime minister of Greece, should take the prize of the best student of Mrs. Merkel.
  And in reality, if a prize should be given to someone, these are the struggling peoples in South Europe, in North Africa and in the Middle East, who are fighting for peace, dignity, justice, democracy and independence.

────────────────────────────────────────
大手メディアではギリシャの財政難は「公務員が優遇されている」「社会保障が充実しているから国民が贅沢しすぎている」などといった論調が見られます。

しかし、ギリシャの政府や大銀行がアメリカのサブプライムローンに手を出して金融危機に陥ったことや、金持ちや大企業が脱税したり租税回避地(tax haven)に資産を移していることは、ほとんど取りあげられていません。

また、不良債権になることは最初から分かっていたにもかかわらず、それをギリシャその他に売りまくったアメリカの巨大金融業は、自分たちが引きおこした金融危機にたいして何の責任も取っていません。

それに手を出したギリシャの巨大銀行も、庶民にたいして責任を取るどころか税金で救ってもらっています。

株の売買で巨大な利益を稼いでいるひとたちの税金は、汗水垂らして働いているひとたちの税率よりもはるかに低いことも、ほとんど報道されません。

ところが庶民は、赤字財政だからという理由で賃金も福祉も教育も削られるのです。それどころかギリシャは、EUから資金援助を受ける条件として、武器の購入まで義務づけられています。

庶民が生活苦にあえいでいるとき何のために武器を買わねばならないのでしょうか。庶民が抗議に立ち上がったとき、それを弾圧するためなのでしょうか。

────────────────────────────────────────
生活苦を再生産する緊縮財政に抗議して、デモ行進するスペイン警官


────────────────────────────────────────
EUは世界の武器輸出の3分の1(アメリカに次いで世界第2位の地位)を占めています。

EUが「死の商人」でありながらノーベル平和賞の受賞者である――今回のノーベル平和賞のいかがわしさこは、この一事だけでも明らかでしょう。

この間の事情をノルウェー平和評議会事務局長のヘッダ・ランゲミヤーHedda Langemyrは次のように語っています。

 EU加盟諸国は兵器産業を激増させました。これはトルコも同じです。特に著しいのがドイツです。
 またEU諸国は[全体として]世界の武器輸出の1/3を占め、核兵器もEU5カ国に配備しています。

 このことを促進するためにEUが組織としてやっているのが、ICT Directiveという決議・指示の利用です。
 彼らは、よりにもよってノーベル平和賞の授賞年に、兵器産業と兵器輸出を促進する指示を加盟各国に出し始めました。兵器産業をEU内の市場に組み込むことによって兵器輸出を促進しようとしているのです。

 こうすることによってEU加盟諸国は各国議会の反対を回避できるからです。つまり議会による縛りを緩和して加盟国が兵器の製造と輸出をやりやすくしようとしているのです。
────────────────────────────────────────
<註> 原文は次のとおりです(下線は筆者)。
Norwegian Peace Activist:
Top Role in Global Arms Trade Makes EU Unworthy of Nobel Prize

http://www.democracynow.org/2012/12/10/norwegian_peace_activist_top_role_in

HEDDA LANGEMYR: Well, the member states of the EU, they have had an enormous increase in the weapon industry. This goes for Turkey. It goes for—well, particularly, it goes for Germany.
  The EU member countries also represent about one-third of the global arms export in the world. And there are nuclear weapons placed in five different EU countries.
  What the EU as an institution does to facilitate this is through something called the ICT Directive that was introduced this year.
  So the year they're receiving the Nobel Peace Prize, they are launching a directive that facilitates weapon industry and export through making the industry a part of the internal market, which means that it's much easier for the EU member countries to avoid their national legislators on this.
  So, it's liberalizing the conditions for weapon production and export.

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緊縮財政案(austerity measures)に抗議してデモ行進するスペイン警官


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また、ノルウェー平和評議会事務局長のヘッダ・ランゲミヤーHedda Langemyr は、次のようにも語っています。

ギリシャにたいする総合的政策について言えば、EUはギリシャの国家予算の特定分野[福祉や教育など]の大幅削減を命令するだけでなく、同時にひとつの条件をつけました。

「ただし兵器輸入の予算だけは削減してはならない」という条件です。これはギリシャに軍事化を推し進めろと命令しているのと同じことになります。EUは、ギリシャが財政難でもがき苦しんでいる状況、立ち向かわなければならない難題が山積している状況にもかかわらず、こんなことを押しつけているのです。

その意味で、兵器の輸入は国家の安全と何の関係もありませんし、政治的にすら必要ないものです。それはお金の無駄遣いです。それはギリシャを再武装に導くものであり、誰の役にも立ちません。

これはEUが「いかにして兵器の流れを円滑にして兵器経済を活性化し、兵器産業の利益をあげようとしてるか」の一例にすぎません。

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<註> 原文は次のとおりです(下線は筆者)。
Norwegian Peace Activist:
Top Role in Global Arms Trade Makes EU Unworthy of Nobel Prize

http://www.democracynow.org/2012/12/10/norwegian_peace_activist_top_role_in

HEDDA LANGEMYR: Well, when it comes to the packages to Greece, for instance, the EU is dictating major cuts in certain parts of their national budget, but at the same time they're delivering a premise.
  That is, that Greece is not to reduce their weapon import, which means that, relatively, EU is dictating an armament process in Greece in a situation where they are severely suffering and there are extremely many different obstacles and dilemmas to be handled.
  And in that sense, the weapon import, it's not reflecting security, political need even. But it's a waste of money, and it's leading to a rearmament process in Greece that nobody is really served with.
  And this is also, yeah, just one of many examples of how the EU, through this, is facilitating the weapon flow and arms economy and arms profit

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緊縮財政(austerity)に抗議してデモ行進するスペイン警官

Spanish police officers hold banners of the Unified Police Union (SUP) and a giant banner reading "Against the cuts, all the policemen together."

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ノーベル平和賞の選考委員会は、EUは「戦争の大陸」であったヨーロッパを「平和の大陸」に変えたとして、EUにノーベル平和賞を与えたわけですが、いまヨーロッパは緊縮財政に抗議する民衆とそれを弾圧する警官の間で内戦状態になっています。

ギリシャはもちろんのこと、つい最近、ポルトガルでも巨大デモがありましたし、スペインでも全く同じでした。
Thousands Protest Massive Tax Hikes in Portugal's Austerity Budget
http://www.democracynow.org/2012/11/28/headlines#11289

このように、一種の「内戦」状態であるにもかかわらず、ヨーロッパを「平和の大陸」に変えたとして、EUにノーベル平和賞が与えられたのでした。

しかし前述のとおり、いまヨーロッパの民衆は貧困にあえいでいます。つい先日もスペインで、家賃が払えず「立ち退き」を迫られた59歳の男性が自殺しました。これは連続して起きた同種の事件の、3人目の犠牲者でした。

Man's Death Marks Spain's Third Eviction-Related Suicide
http://www.democracynow.org/2012/11/29/headlines#112912
In Spain, a third person facing eviction from a foreclosed home has killed himself. The 59-year-old man reportedly committed suicide on the same day an eviction order against him was due to be served.

これは「自殺」Suicideではなく「殺人」HomicideだとRussia Todayは報じましたが、まさにそのとおりでしょう。今度の金融危機は庶民の責任ではありません。ところが税金で救ってもらえたのは、危機の張本人である投資銀行であり、庶民ではなかったからです。

‘Homicide not suicide': Spain facing‘humanitarian' crisis over evictions
http://rt.com/news/spain-evictions-debt-crisis-302/

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緊縮財政(austerity)に抗議してデモ行進するスペイン警官

Spanish police officers march past police vehicles as they take part in a demonstration.

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いまスペインでは連日のように巨大な抗議デモがおこなわれていますが、11月17日には警察官組合the Unified Police Union (SUP)の警察官が何千人も、この抗議行動に参加しました。

このとき警官たちがもっていた横断幕には次のように書かれていました。
Thousands of Spanish police officers march against austerity
http://rt.com/news/spain-protests-police-austerity-953/

「市民諸君!我々が逮捕しないでいることを許してくれ、この危機をつくりだした真の責任者を、銀行家と政治家の奴らを。」
("Citizens! Forgive us for not arresting those truly responsible for this crisis: bankers and politicians," read one banner.)


その行進に参加した警官の一人、33歳のアントニオ・ペレズAntonio Perezは取材していたAP通信社の記者に次のように語っています。

「問題の根源は、彼らが我々から略奪し、奪ったものを他の奴らに投げ与えたことだ、EUという勝手気ままな組織と銀行家の連中に。」
("The problem is they take from us to give to others, like the autonomous regions and the banks," 33-year-old police officer Antonio Perez told AP. )


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いま日本でも、能登半島(私の故郷に近い羽咋郡志賀町)で自殺者=凍死者が出ました。

志賀町といえば真下に活断層の疑いがあるにもかかわらず北陸電力が「原発再稼働」を諦めていないことで有名なところです。

その志賀町で北陸電力が冷酷にも、障害者をかかえ電気代も払えない貧困家庭の電気を、切断して親子二人を死に追いやったのです。

しかも80歳の老母が、障害者で54歳の娘の世話をしていたというのですから、その悲惨さがいっそう際立つ事件でした(共同通信2012/11/30)。

日本の凍死者も、スペインの自殺者と同じく、政府が住民に手厚い保護を与えていれば死なずにすんだ人たちでした。東電や北電に回さす金を、生活保護などに回せばよいのです。

その意味では、これはやはり「自殺」ではなく「他殺」(殺人Homicide)なのです。今度の総選挙の争点はまさにそこにあるのだと思います。

というのは原発の即時撤廃をためらっているひとたちの裏に見え隠れするのは、日本を軍事大国にすること、核兵器を持ちたいがために原発を捨てきれない本音だからです。

しかし「日の丸・君が代」では飯は食えません。それは沖縄の歴史が見事に証明しています。

また地震大国の日本では、次のフクシマが起きるのは明日かも知れません。そのときには放射能汚染で住む場所も食べるものもなくなっているでしょう。

原発=核兵器では国を守れないのです。

関連記事

チョムスキー「なぜアメリカとイスラエルは世界平和にとって最大の脅威なのか」 、パレスチナがついに国連の「オブザーバー国家」に!

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イタリアで、イスラエルの蛮行に抗議するユダヤ人

http://rt.com/news/israel-gaza-attack-protests-932/(以下、写真はすべてRTから)
A woman holds a banner as she attends a pro-Palestinian demonstration in front of the Italian Parliament to protest against Israel's ongoing airstrike over Gaza on November 16, 2012

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前回のブログを書いてから、またもや10日以上も経ってしまいました。この間にあまりにも多くの出来事が起き、そのどれもが重要なので、一刻も早くブログを書きたいと心が焦るばかりで体が動きません。

(たとえば志賀原発で有名な能登半島の志賀町で、北陸電力が電気料金が未払いだという理由で送電を停止し、生活苦にあえぐ障害者の娘[54歳]とその娘の世話をしていた高齢の老母[80歳]の二人が死に追い込まれました。)

このブログを「まだか、まだか」と待っておられる皆さんには本当に申し訳なく思っています。が、相変わらず起きているよりもベッドで過ごす時間の方が長い状態ですので、それに免じてお許しください。
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* 一般読者の皆さんへ: 以下では英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねています。時間のない方は飛ばして読んでください。
* 英語教師の皆さんへ: 授業における会話ブーム(しかも覚えてもすぐ忘れる)のおかげで、生徒どころか英語教師の「読む力」も大きな落ち込みを見せています。この英文記事が「読む力」の回復に少しでも役立てば幸いです。
* 教育研究者の皆さんへ: 最近わたしは、英語を学ぶ目的の一つは、アメリカの実像を知り日本を「第二のアメリカ」にしないことにある、と考えるようになりました。以下は、今まであまりにも「虚像のアメリカ」を教えてきた私の反省が込められています。

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スペインの首都マドリッドでの連帯運動

Pro-Palestinian demonstrators protest near the Israeli embassy in Madrid on November 16, 2012, against Israel's aerial bombardment of the Gaza Strip.

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私は前回のブログで、世界的に著名な言語学チョムスキーがパレスチナのガザ地区を 「青天井の牢獄」"open-air prison" と呼び、次のように述べていることを紹介しました。

それは青天井の刑務所のようなものです。住民はすべてイスラエルにたいする市民的不服従のゆえに牢獄に入れられているのです。そこに住む住民がもつ抗しがたい気持ちは、誰か他人によって完全に管理統制されているという感情です。専制的政府が生活のすべてを管理するのです。立ったり、座ったり、食べ物を見つけたり、トイレに行ったり、その他すべてのことをイスラエルが決めるのです。住民は何もできません。

それがガザ地区の基本的な生活様式です。住民はそのような生活に何とか適応しようとします。しかしそれはイスラエルという外的権力にたいして常に隷属して生きることです。それはパレスチナ人を辱(はずかし)め、誇りを奪うこと以外に目的はありません。もちろんイスラエルにも口実はあります。誰でも口実は作れますから。しかし、その口実は全く意味のないものです。
http://www.democracynow.org/2012/11/14/noam_chomsky_on_gaza_and_the


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このチョムスキーの発言は、チョムスキーがガザ地区で開かれた国際学会に参加して帰国したとき、DemocracyNow!のインタビューでガザの印象を尋ねられたときの答えです。

私は前回のブログで上記の記事を紹介したとき次のようにも書いています。

かつてDemocracyNow!を読んでいたら、イスラエルはガザの住民にどれだけの水や食料を与えれば最低限生きていけるかを厳密にカロリー計算して、供給を管理しているという報告が載っていて驚愕しました。

要するに、イスラエルはガザ地区の住民を「生かさぬよう」「殺さぬよう」管理しているのです。

今回このブログを書くにあたって、その記事を探してみたのですが、なかなか見つかりませんでした。しかし代わりに「イスラエルがおこなっている行為は『民族浄化』“Ethnic Cleansing”である」とする国連人権委員会の報告を見つけました。


しかし、その後、探していた「イスラエルはガザの住民にどれだけの水や食料を与えれば最低限生きていけるかを厳密にカロリー計算して管理している」記事が見つかりましたので以下に紹介して置きます。

Document: Israel Calculated Number of Calories Needed by Gazans
http://www.democracynow.org/2012/10/18/headlines#101813
A newly released document shows Israel calculated the precise number of calories that residents of the Gaza Strip would need to eat in order to avoid malnutrition during a strict Israeli blockade that lasted until 2010. An Israeli military spokesperson said Wednesday a mathematical formula was created to avoid a humanitarian crisis, but denied it was used to restrict food into Gaza.

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ところが、このチョムスキーへのインタビューのあと、1週間も経たないうちにイスラエルによるガザ攻撃(いわゆるOperation Pillar of Defense「防衛の柱」作戦)が始まりました。

この攻撃は、チョムスキーが「青天井の牢獄」と述べているように、周囲を包囲された逃げ場のない地区に総攻撃をかけ、救助に駆けつけた救急車でさえロケット攻撃の対象になるのですから、4年前の作戦(Operation Cast Lead:「鉛弾を射込め」作戦)と負けず劣らず残虐きわまりないものでした。

4年前のオバマ氏は、大統領になった直後の作戦については「私はまだ大統領ではないから」と言って沈黙を守りましたが、今回の作戦については全面的支持を表明しました。この攻撃の残虐性については前回のブログででお伝えしたとおりです。

ところが、この攻撃の残虐性を示すもう一つの記事を見つけました。

前イスラエル首相アリエル・シャロンAriel Sharonの息子=ギラド・シャロンGilad Sharonが、イスラエル最大の規模を有する英字新聞『エルサレム・ポスト』(The Jerusalem Post)の論説記事(op-ed)で次のような発言をしていたのです。
http://www.democracynow.org/2012/11/19/un_special_rapporteur_calls_for_global

「我々はガザ地区一帯を瓦礫(がれき)にする必要がある。平坦な更地(さらち)にするのだ。」

「アメリカは広島への原爆投下で攻撃を止めはしなかった。それだけでは日本が早々に降伏しなかったからだ。だから長崎も必要だった。」

「ガザには電気を供給すべきではない。ガソリンも自動車も必要ない。すべてをゼロにすべきなのだ。」


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<註> 英語原文は次のとおりです。
"We need to flatten entire neighborhoods in Gaza. Flatten all of Gaza. The Americans didn't stop with Hiroshima – the Japanese weren't surrendering fast enough, so they hit Nagasaki, too.
"There should be no electricity in Gaza, no gasoline or moving vehicles, nothing."
http://www.jpost.com/Opinion/Op-EdContributors/Article.aspx?ID=292466&R=R1&utm_

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ニューヨーク、イスラエル領事館前で抗議するユダヤ人

People hold up signs during a Pro-Palestinian protest against Israel across the street from the Israeli consulate in New York, November 16, 2012

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上記のような記事を読むと、チョムスキーが2012年9月3日の時点で 「なぜアメリカとイスラエルは世界平和にとって最大の脅威なのか」という論文を発表していることの真実性を、改めて思い起こされます。

チョムスキーはこの論文のなかで、イランの首都テヘランで開かれていた「非同盟諸国運動」(NAM:The Nonaligned Movemen=世界の圧倒的多数を占める政府が加わって組織している)について次のように述べています。

NAMの会議の出席者たちは疑いなく、西側諸国で大きな話題になっている脅威を認めている。その脅威を、アメリカ戦略軍の元司令官(United States Strategic Command)リー・バトラーは次のように明快に語っている。

「“憎悪の大釜”と呼ばれる中東地域で」、ある国が核武装することは、「それに対抗するため他の国も核武装を促し、これほど危険なことはない」。

ここでバトラーが「ある国」と言っているのは、イランではなくイスラエルのことだ。中東地域とヨーロッパでは、平和にたいする最も深刻に脅威をまきちらしているのはイスラエルだとみなされている。

たとえばアラブ世界では、最大の脅威はイスラエルであり、アメリカは2番目の脅威と位置づけられている。

他方、イランは、嫌われてはいるものの、ほとんど脅威の対象とはみなされていない。実際、多くの世論調査では、「イランが核武装すれば、現在の脅威を相殺し、むしろ中東の安全は強化される」との意見が圧倒的である。

もしイランが本当に核兵器の所有に動き始めているのであれば――ただしこれはアメリカの情報機関ですら確証がないとして否定していることだが――それは多分アメリカ=イスラエル共同の脅迫によって「鼓舞された」ものである。しかもそのような両国共同の脅迫は、国連憲章を踏みにじって、定期的に繰り返しおこなわれてきた。

だとすれば、欧米が公の場でイランを話題にするとき、なぜイランは世界平和にとって最大の脅威となるのであろうか。


───────────────────────────────────────
<註> 上記引用の最後でチョムスキーは「欧米が公の場で話題にするとき、なぜイランは世界平和にとって最大の脅威となるのであろうか」と述べています。この答えは長くなるので引用しませんでしたが、興味のある方は下記の拙訳を参照ください。

チョムスキー「なぜアメリカとイスラエルは世界平和にとって最大の脅威なのか」
http://www42.tok2.com/home/ieas/
http://www42.tok2.com/home/ieas/chomsky20120903america_israel_threat.pdf

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南アフリカ、ダーバンでの抗議&連帯運動

People from the Coalition for a Free Palestine (CFP) gather outside the Durban City hall, South Africa on November 16, 2012 to protest against the Israeli bonbardment of Gaza

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ところで、イスラエルによるガザ爆撃はエジプトのモルシ大統領の仲介によってやっと停戦が成立しました。しかし、その直後に「なぜアメリカとイスラエルが世界平和にとって最大の脅威なのか」を示すもう一つの大きな出来事がありました。

それはパレスチナを国連の「オブザーバー国家」として認める投票が国連総会でおこなわれ、それにたいしてアメリカとイスラエルが声高に非難して押し潰そうとした事件です。しかし国連総会は11月29日、圧倒的多数でパレスチナを主権国家として承認する議決を行いました。

これまでパレスチナは国連で「オブザーバー・エンティティ "entity"(機構)」の地位しか認められてきませんでしたが、それを「オブザーバー・ステイト "state" (国家)」へと格上げする決議です。

国連加盟190カ国のうち賛成が138カ国、反対は9カ国で、棄権が41カ国でした。決議に反対票を投じたのは、次のようなほんの少数の国々でした。

カナダ Canada, チェコ the Czech Republic, マーシャル島嶼国 the Marshall Islands, ミクロネシア Micronesia, ナウル Nauru, パラウ Palau、パナマ Panama

反対している国を見れば、カナダ以外は、アメリカの札束によって屈服させられた弱小貧困国です(まるで、札束で原発を無理やり受け入れさせられた日本の弱小自治体を見ているかのようです)。

これを見れば、チョムスキーが言っているように、イスラエルとアメリカがいかに国際社会から嫌われているかがよく分かります。

パレスチナが「オブザーバー・エンティティ」から「オブザーバー・ステイト」へと格上げされることを、なぜイスラエルとアメリカが必死になって阻止しようとしたか。それは、主権国家として認められると、イスラエルの蛮行をイランが国際刑事裁判所(ICC:The International Criminal Court)に提訴できるからでした。

自分たちのやっていることが犯罪でなければ、ICCに提訴されても何の問題もないはずです。それにもかかわらず今度の国連決議を必死に阻止しようとしたことは、自分たちの行為の犯罪性を問わず語りに認めていることになるでしょう。

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ところがイスラエルは、この国連決議に報復するとして、突然11月30日に、パレスチナ国民から集めた税金1億2000万ドル($120 million)をパレスチナ政府に渡さないと宣言しただけでなく、パレスチナの西岸地区と東エルサレムに3000戸の家を建て、入植地をさらに拡張すると発表しました。

Israel Expands Settlements, Seizes PA Funds After U.N. Statehood Vote
http://www.democracynow.org/2012/12/3/headlines#1232
Israel Advances Settlement to Bisect Occupied West Bank
http://www.democracynow.org/2012/12/3/headlines#1233

アメリカは先住民(いわゆるインディアン)の土地をだまして取りあげるときも一応は契約書を交わすという方法をとりましたが、イスラエルがパレスチナ人から土地を取りあげる方法は、家屋やオリーブ畑をブルドーザーで押し潰していくという方法でした。アメリカがやってきたことよりも、もっと悪辣なものです。

なぜこんなことをする権利が彼らにあるかというと、「この土地はユダヤ人に神から与えられた土地だからだ。聖書にそう書いてある」というのが、彼らの一般的な答えです。非常に信じがたい答えではありませんか。

イスラエルの国連大使RON PROSORは、国連総会の投票前の演説でそれを次のように述べました。
http://www.democracynow.org/2012/11/30/un_approval_of_palestine_as_non

「この土地にたいするユダヤ人の権利について言えば、今日この国連総会でお集まりの皆さんに伝えたいことは非常に単純なことです。すなわち国連がどのような決議をしようとも、4000年にわたるイスラエルの民とイスラエルの土地との結びつきを、断ち切ることはできない。」

(As for the rights of the Jewish people in this land, I have a simple message for those people gathered in the General Assembly today: No decision by the U.N. can break the 4,000-year-old bond between the people of Israel and the land of Israel.)


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レイチェル・コリーと彼女を押し潰したブルドーザー

http://janjan.voicejapan.org/world/0607/0607228389/img/photo12.jpg 資料:ISM

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もちろん、このような考えに反対するユダヤ人も多くいます。ノーム・チョムスキーやハワード・ジンもその中のひとりです。またイスラエルのこのような蛮行を阻止しようとパレスチナに出かけて行き、体をはって抗議するアメリカ人も少なくありません。アメリカ人の女子学生レイチェル・コリーも、その中の一人でした。

しかし彼女は2003年3月16日、ガザ地区において、パレスチナ人の家屋を押し潰そうとするブルドーザーの前に立ち、それを押しとどめようとして下敷きになり、殺されてしまいました。

このように、個人としてのユダヤ人・アメリカ人でイスラエルの蛮行を認めないひとは少なくありません。しかしチョムスキーが述べているように、「国家としてのイスラエル」、それを支えている「国家としてのアメリカ」が「世界平和にとって最大の脅威」であることは間違いないようです。

<註> レイチェル・コリーの手記「パレスチナ便り」は、ハワード・ジン『肉声でつづる民衆のアメリカ史』上巻515-518頁に載っています。時間がある方はぜひ参照していただきたいと思います)
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Author:狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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