英語教師に求められているもの― 何よりもまず日本語を「読む力」と「書く力」こそ!

英語教育(2014/07/31)

『英語教育が亡びるとき』66049_mid  『チョムスキーの教育論』
 

 イスラエルによるガザへの爆撃・進撃が世界的な怒りを呼び起こしている反面、ウクライナ政府による東部住民への爆撃は相変わらず無視されたままです。
 どちらも学校や病院や一般住宅などを砲撃し、子ども・老人・障害者などを含む一般市民に甚大な死傷者を産みだしているのですから、明らかな戦争犯罪です。
 これは、CIAなどの情報機関でさえマレーシア航空機の撃墜にロシアが関与した証拠はないと言っているにもかかわらず、オバマ政権がさらなる経済制裁に乗りだしていることに、ウクライナ政府が励まされているからに他なりません。それにEUもしぶしぶ同調せざるを得なくなっています。
「アメリカ諜報機関: ロシアがやったという証拠は皆無」(「マスコミに載らない海外記事」20140724)
 撃墜は「ウクライナ政府がやったのではないか」という間接的な証拠としては、マレーシア航空機の撃墜を調査するために国際的な調査団が現地に入ってきているにもかかわらず 、そして調査の間だけでも停戦してほしいとの呼びかけがあるにもかかわらず、ウクライナ政府軍が現地周辺への爆撃をやめようしない状況があります。
 これでは、これから現地入りしようとしている調査団が入れません。中立的で厳正な調査をおこなうためには、調査期間だけでも停戦しなければならないはずですが、その要求を拒否しているのはウクライナ政府だけです。これでは証拠隠しと思われても仕方がないでしょう。


 ところで、ここでいきなり話は飛びます。先日(7月29日)新潮社『新潮45』編集部からのインタビューがありました。
 安倍内閣の教育再生実行会議および文科省が、日本の経済力を強化するため日本人に英語力をつけることが不可欠だとして、「英語で授業」を高校の英語授業だけでなく大学の一般教育の授業にまで拡大しようとしていることについて、です。
 下記の朝日新聞のインタビュー記事を読み、「深く感銘した次第です」「つきましては、もう少し詳しくお話をお聞きしたい」とのことでした。
 この編集部の方からのインタビューに答えているうちに、拙著『英語教育が亡びるとき』にたいする次の書評を思い出していました。かつてインド在住の日本人女性作家モハンティ三智江氏からいただいたものです。

<まず、以前に『チョムスキーの教育論』を読ませていただいたときにも感じたことですが、先生がお書きになっている日本語が素晴らしいこと、私にとっては異質のジャンルで、ご高著は、EH研究会とのご縁がなければ、紐解くことは断じてありえなかった種類の書ですが、一見して難しく思えることがわかりやすい的確な日本語で書かれており、文芸物が好きな私にもすんなり入り込めること、ブログをお読みしたときにも感じたことですが、先生の日本語は、第一級との印象を新たにいたしました。
 英語教育というご専門を究められていくなかで、ことばを操る者としての責任に目覚められ、翻訳にあたっても、ご自分で書かれるにあたっても、的確かつわかりやすい説明・描写を心がけている努力が感ぜられます。
 英語の前に母国語をまず究めることの大切さが書かれていますが、そのお手本のような日本語で、門外漢の私が惹かれるのはひとえにその表現としての母語の流暢さです。読ませる筆力をもってらっしゃるがゆえに、英語教育の話も、興味深いトピックとしてすんなり入ってくるのです。>


<註> 朝日新聞インタビューについては下記を御覧ください。 
朝日新聞「争論」―大学生は英語で学べ?「深い思考奪い、想像の芽摘む」(2014/07/03)


 私は、モハンティ三智江さまからいただいた書評にたいして、次のようなコメントを付けて、私のブログに掲載させていただきました。

< しかし、「一見して難しく思えることがわかりやすい的確な日本語で書かれており」「文芸物が好きな私にもすんなり入り込める」文章を難しく感じる英語教師が多いとすれば、これは非常に深刻な事態だと思います。
 これでは行間を「ふくらませて」味読せねばならぬ文学作品は、手も足も出ないのではないでしょうか。
 しかも、母語の水準を越える外国語能力を身に付けることは、まず不可能ですから、母語の読解力(そして母語の表現力)が低ければ外国語の到達レベルもその程度で頭打ちになります。
 ところが文科省は、英語教師の国語力がどの程度のものかも調べずに、いきなり「英語で授業」を英語教師に要求しています。これでは、英語教育の未来は暗いと言わざるを得ません。私が「英語教育が亡びるとき」と言うゆえんです。
 三智江さまのメールに触発されて、次々と書きたいことが浮かんできたのですが、次回に回したいと思います。>

そこで、上記のコメントで言い足りなかったこと、もっと書きたかったことを、以下で追加したいと思います。


私は上記で次のように書きました。再度、引用します。

< しかし、「一見して難しく思えることがわかりやすい的確な日本語で書かれており」「文芸物が好きな私にもすんなり入り込める」文章を難しく感じる英語教師が多いとすれば、これは非常に深刻な事態だと思います。これでは行間を「ふくらませて」味読せねばならぬ文学作品は、手も足も出ないのではないでしょうか。>

 国語教育の実践的研究者=大西忠治氏は、教材として取りあげる文章を大きく「説明的文章」と「文学作品」の二つに分け、生徒に教えなければならないのは、前者では「しぼって読む」、後者では「ふくらませて読む」ことであると主張しました。
 私が小学校から高校までに教わった国語教育で印象に残っていることと言えば、漢字学習くらいで、あとは何も残っていません。ですから、この大西氏の実践と研究は私に大きな衝撃を与えました。
 他方、理科教育「仮説実験授業」で有名な板倉聖宣氏は、「説明文は、他者にたいして何かを説明している文なのだから、論理的に明晰で誰にでも理解できる簡潔明瞭なものでなければならない」と主張しています。
 ふだん英語教師が読んだり書いたりする文は「文学作品」ではなく「説明的文章」です。拙著『英語教育原論』『英語教育が亡びるとき』も文学作品ではなく、私の主張する英語教育論を説明するためのものですから、これも「説明的文章」です。
 ですから、私が『原論』や『亡びるとき』を書いたとき常に念頭にあったのは、板倉氏の主張する「論理的に明晰で、誰にでも理解できる簡潔明瞭な文章を書く」ということでした。そのときに大いに参考になったのが本多勝一『日本語の作文技術』でした。
 この本は、単文レベルですが、句読点をどこに打つと理解しやすい文になるか、修飾する語句をどこに位置させれば誤解をうまない文になるかなどが具体例をつうじて丁寧に説明されていて、非常に教えられることの多い本でした。


 ところで私が「論理的で明晰な文章」を強調したもう一つの理由は、「論理性に乏しく明晰さを欠く日本語」を書く英語教師が少なくないことに驚かされたことにあります。
 私が教育学部に在職していた頃、毎年のように現職教員を大学院生として受け入れてきました。しかし受け入れてみて驚いたのは、Excelなどを使ってシラバスや授業計画を書いたことはあっても、ワープロを使ってきちんとした文章を書いたことがない教員が少なくないことでした。
 ひどい場合には、自分の思考を論理的に展開できず、単文の羅列といった感じの文章しか書けません。段落と段落をつなぐ論理的接続節どころか単文と単文をつなぐ論理的接続語も欠けているので、どうしても単文の羅列という印象になります。メモ書きのような文章と言ったほうがよいかも知れません。
 訓練すれば一定の分量は書けるようになりますが、自分の実践報告を書かせても、授業でどの教材をどのように使い、それにたいして生徒がどのように反応したのか、それにたいして教師はどう答えたのかが分かるように書かれていないので、うまくいかない授業のどこをどう改めて良いのかを指導できないのです。
 要するに、時間軸に沿って説明的文章を書く、あるいは空間軸に沿って説明的文章を書く、[さらには実践報告ですから生徒のようすも固有名詞(仮名でよい)で書く] といったことに慣れていないので、実践報告を読んでいても授業のようす、生徒の声と姿が私の頭に生き生きと伝わってこないのです。
 日本語を使っても授業のようすを私に分かりやすく説明できないのですから、どうして英語で生徒に分かりやすい授業ができるのでしょうか。英語どころか日本語で説明したとしても生徒に分かる授業になっているのか、それすら疑問です。
 少なくとも私は、生徒よりも理解力は優れていると思っていますが、その私に理解できないことばでしか授業のようすを説明できないとしたら、そのような教師の説明をどうして生徒は理解できるのでしょうか。
 また、そのような日本語力しか持たない英語教師が、いわゆる「日常会話の英語」[すなわち生活言語]を多少は話せたとしても、内容のある教科書を、生徒が理解できる「論理的で明晰な英語」[すなわち学習言語]を使って、どうして説明ができるのでしょうか。
 最近は携帯メールが盛んですから、生徒が単文の羅列、メモ書き風の文章しか書けないというのは納得できるのですが、教師もメモ書き風の文章しか書けないとなれば、ことは深刻です。そのような文章しか書けない教師の思考が、深いものであったり論理的・批判的・創造的であることは、期待しようもないからです。


 もうひとつここでどうしても書いておきたいことは、翻訳とその日本語についてです。これについて三智江さまから下記のような過分なお褒めの言葉をいただきました。

<まず以前に『チョムスキーの教育論』を読ませていただいたときにも感じたことですが、先生がお書きになっている日本語が素晴らしいこと(中略)ブログをお読みしたときにも感じたことですが、先生の日本語は、第一級との印象を新たにいたしました。
 英語教育というご専門を究められていくなかで、ことばを操る者としての責任に目覚められ、翻訳にあたっても、ご自分で書かれるにあたっても、的確かつわかりやすい説明・描写を心がけておられる努力が感ぜられます。
 英語の前に母国語をまず究めることの大切さが書かれていますが、そのお手本のような日本語で、門外漢の私が惹かれるのはひとえにその表現としての母語の流暢さです。読ませる筆力をもってらっしゃるがゆえに、英語教育の話も、興味深いトピックとしてすんなり入ってくるのです。>

 私が翻訳するにあたって心がけていることを、数々の文学賞を受賞されている三智江さまからズバリ指摘していただき、まさに「我が意を得たり」の感を強くすると同時に非常に面はゆくもありました。
 この翻訳の日本語について最近、私は二つのことを思うようになりました。そのひとつは高名な作家が外国の文学作品を翻訳する場合は別でしょうが、哲学や社会科学の翻訳書の場合、その日本語が非常に読みづらいということです。読みづらいどころか意味不明のものすらあります。
 たとえば私が学生だった頃、教養学科でルカーチ『歴史と階級意識』(城塚登・古田光共訳 白水社 1975)をテキストに使った授業に出たことがあります。しかし私にはその翻訳を読んでいても意味が理解できないのです。当時の私は、哲学というのは難解で私のような鈍才には理解できない代物だという意識だけが残りました。
 しかし今から振り返ってみると、和訳が直訳調で、しかも新旧の情報の流れを全く無視した翻訳ですから、前文と後文のつながりが論理的につながらない文章になっていたのです。ですから、翻訳された日本語の文章どおりに理解しようとしても論理的つながりません。ですから読んで意味が通らなかったのも無理はなかったのです。


 もうひとつ例をあげます。私がノーム・チョムスキー『チョムスキーの教育論』やハワード・ジン『肉声でつづる民衆のアメリカ史』を翻訳したとき、分からない事項があるとき、しばしばウィキペディアを利用しました。
 しかし、このウィキペディアの日本語が非常に理解しづらいものであったり、内容的にも貧弱すぎて,結局は英語版ウィキペディアを参照せざるを得なくなることが少なくありませんでした。
 そして分かったことは、日本語版ウィキペディアの多くは英語版の事項を単に翻訳しただけのものが圧倒的に多いということでした。しかも、その翻訳は英語版を適当につまみ食いして翻訳してあるので、文章として論理的につながっていなくて時には理解不能になるということです。
 翻訳の日本語が分かりにくいのは、私見では二つの理由があるように思います。一つは論理的で明晰な文章を書く訓練を学校時代にほとんど受けていないことです。このような訓練を受けていれば自分の和訳も読者に理解しやすい日本語にしようと努力するはずですが、そんな訓練を受けていないので自分の訳文が気にならないのです。
 もう一つは原文の意味がよく分からないので、仕方なく、意味不明のまま直訳調の日本語にしてごまかす場合です。文章の論理的な流れが分からなくても、単語の意味を調べ文法構造のとおりに関係代名詞で修飾された文章は後から訳しあげていけば一応の訳文はできあがるわけですから。
 要するに私がここで言いたかったことは、「日本の英語教育は読めるが話せない人間を大量生産している」というのが、いかに俗説であり間違った認識かということです。そして「話せる日本人」を育成するという理由で始められたのが新高等学校学習指導要領の「英語で授業」でした。
 しかし最近のTOEICの調査でも、日本人は「聴解力」よりも「読解力」の方が点数が低いのです。であるにもかかわらず、文科省は、高校の英語授業だけでなく、大学の共通教育の授業まで「英語でおこなう」と言い始めています。高度な文章を直読直解する力が育っていないのに、どうして直聴直解が可能になるのでしょうか。
 三智江さまが拙著『英語教育が亡びるとき』の書評で次のように書かれていたことが改めて思い起こされます。
<日本語にしろ、英語にしろ、読むことは大事ですね。量を読むことによって、語彙が培われる。英語の読み書きをしっかりしておけば、自然に会話力もついてくる、その通りだと思います。>

 こう考えてくると、安倍内閣が次から次へと打ち出す教育政策は、真面目に考える教師にとっては頭がおかしくなりそうなものばかりです。これでは教育現場でうつ病の教師が激増しているのも無理はないでしょう。教師が次々と病気休職に追い込まれているのも当然ではないかと思えてきます。
教師の「うつ病休職」急増中 - 薬事ニュース社 (2014年1月31日)




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続々・進行する二つの「民族浄化」―マレーシア航空機撃墜の背景を読み解く

平和研究(2014/07/25)
マレーシア航空機1
A journalist takes photographs at the site of Thursday's Malaysia Airlines Boeing 777 plane crash near the settlement of Grabovo, in the Donetsk region July 18, 2014 (Reuters / Maxim Zmeyev)
http://rt.com/op-edge/173788-malaysian-plane-crash-ukraine/

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先のブログで「いま世界で二つの『民族浄化』が進行している」と書きました。

しかし相変わらず、一方は連日メディアで大きく報道されていますが、もう一方はマレーシア航空機の撃墜を根拠に「プーチンの悪魔化」「プーチンたたき」に終始していて、ほとんど実態が報道されていません。

しかも、この「プーチンの悪魔化」「プーチンたたき」は、ほとんど何の根拠もなく、最近はむしろオバマ氏の方が論調を緩めて「あれはプーチンが意図的に撃墜したのではなく、ウクライナ東部の武装勢力が間違って打ち落とした可能性が高い」と言い出しました。

「アメリカ諜報機関: ロシアがやったという証拠は皆無」(「マスコミに載らない海外記事」20140724)

ロシアにしても、ウクライナ東部の自治を要求している勢力にしても、民間機を撃墜して得るところが何もないのですから、オバマ氏もついに自分の主張してきたことの愚かさ・馬鹿さ加減を認めて修正せざるを得なくなったのでしょう。しかし、このウクライナにおける「民族浄化」はいっさい認めていません。

これに業を煮やしたスティーブン・コーエン教授(NY大学、プリンストン大学)は『The Nation)』誌に論文を発表し、アメリカの大手メディアはもちろんのことアメリカ知識人の責任を鋭く求しています。というのは、「パレスチナ問題は局地的紛争ですが、ウクライナ問題は核戦争や世界戦争に発展する危険性がある」からだと言うのです。

「キエフ政府の残虐行為に、アメリカのタカ派は沈黙を決め込んでいる」
Stephen Cohen "The Silence of American Hawks About Kiev's Atrocities"

それはともかく、大手メディアがほとんど取りあげてこなかった「ウクライナ問題」、とりわけ撃墜された「マレーシア航空機撃墜の背景」について、実に興味ある分析をしている論考を見つけたので、以下に紹介したいと思います。

この論考は、私が前回のブログで取りあげた「BRICS世界銀行の設立」および「カダイフィ大佐の悪魔化」「サダト大統領の悪魔化」が、この撃墜事件と裏でどのようにつながっていたのかを見事に分析しています。

それは同時に、「なぜマレーシア政府が撃墜された飛行機のブラックボックスを、アメリカのプードル犬=イギリス政府に引き渡してしまったのか」、その背景を示唆するものとなっています。

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なぜマレーシア航空機MH17は、
航空機10機が撃墜されている交戦地帯を飛んだのか?

Why was MH17 flying through a war zone where 10 aircraft have been shot down?
トニー・ゴズリング
Op-Edge, RT、2014年7月18日

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トニー・ゴズリング(Tony Gosling)は、職業人生を航空産業でスタートし、BBCで訓練を受け、いまは英国の土地活動家、歴史家、そして調査報道ラジオジャーナリストである。
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アムステルダムでマレーシア航空のフライトに乗るひとりの乗客の立場に、自分を置いてみてほしい。木曜の朝、クアラルンプールに到着する12時間の旅に。

前にあったマレーシア航空機の不思議な失踪のことを考えて、ソーシャルメディアに「もし失踪するようなことがあれば、この飛行機も同じ運命かな」と冗談を書き込んだとき、少し神経質になった搭乗者はあなた一人ではなかったはずだ。

その飛行機に座って、座席の前にある画面の動く地図を眺めながら、あなたは画面の右側から「ウクライナ」という文字が少しずつ動いていくのを見たかも知れない。最近その上空で非常に多くの飛行機が撃墜されているという知識をもっていたら、少し不安にならなかっただろうか。戦争が続いている上空じゃないのか?

デイビッド・チェンチオッティ (David Cenciotti)の「航空専門家」というブログをチェックすると、この数週間で東ウクライナでは航空機10機が撃墜されていることが分かる。MI-24Hind 5機、MI-8 Hipヘリコプター2機、軍の輸送機のAN-2が1機とAN-30が1機。7月8日には最新式輸送機I1-76が1機、ルガンスクで撃墜された。そのときウクライナの国家航空管制局は民間航空機にたいして領空を無期限封鎖した。しかし、なぜ航空管制官たちは、高度がもっと上の東ウクライナ領空については封鎖せず、そこを航空機に飛べと指示しつづけたのか。

あとで反省することは良いことだ。しかし、過去1か月のあいだにウクライナ上空を飛ぶ数百の航空機のどれに乗っていたとしても、私なら客室乗務員の一人の袖を引っ張ってみたくなってさえいただろう。機長から即座に安心を得ようとして彼らにぶっきらぼうに尋ねるのだ。飛行機が沢山、とくに最近、撃墜されているまさにその領空を通過しないんだろうね、と。

それで、その飛行機は、そこで何をしていたのか?

マレーシア航空は素早く指摘した。ウクライナの交戦地帯は上空を飛行しても「安全」だと国連の国際民間航空機構(ICAO)からお墨付きを得ていたと。しかし、いったいこれは、アイスランド周辺を漂っているエイヤフィヤトラヨークトルの「火山灰雲」のせいで約1週間のあいだヨーロッパと北大西洋を封鎖した機構と、同じ関係者だったのか。そのとき彼らは、ほぼ1千万人の乗客のフライトをキャンセルしたはずなのに、今回は地対空ミサイルが飛び交っていることを知っていて交戦地帯を封鎖しなかったというのか?
[註:エイヤフィヤトラヨークトル(Eyjafjallajökull)。アイスランドにある氷河のひとつで氷帽が火山を覆っている]

私はICAOの地区責任者ルイス・フォンセカ・デ・アルメイダ(Luis Fonseca de Almeida)に、辞職し、自首して事情聴取に応じる前に、すべての犠牲者の家族に本人自ら謝罪してもらいたいと切に願う。

もちろん、これは失敗し弱体化しつつある国連のただ唯一の部局でもないし国際統治の他の部門でもない。だから、その部門を運営するために任命された人々は、その任を果たすための十分な独立心がある人物というよりは、ひとに食いものにされるカモ程度だったということなのか? 

いずれにしても、マレーシア当局が専門家の声にも注意を払うことを望みたい。それは国際機関からの援助にあまりに頼りすぎてはいけないという警告であり、国際機関は彼らの意に反して悪用されることがあるからだ。

では「誰がやったのか」だが、航空機の撃墜がウクライナ分離主義者たちによる出任せの「射撃」だったというのは、まず考えられない。そのような行動によって何も得るものはないし、自らをさらに孤立化するだけだ。また、彼らがこの種の武器システム、すなわち、今まで使ってきたどの武器よりもはるかに高度なものをどうして手に入れたのかという疑問もある。だからこそ、ICAOとマレーシア航空は、高度3万フィートの旅客機が肩掛け発射ミサイルからは安全だと考えたのだろう。

他方、BBCテレビの『ニュースナイト』に登場した、武器システムの専門家ダグ・リチャードソン(Doug Richardson)は次のように言っている。かなりの高度を飛んでいた飛行機だとしても、おそらく元ソ連の「BUK」ミサイルからは「身を守れない」だろう。1970年代に開発され汚い行動をおこなった旧式のものだが、これは肩掛け発射ミサイルと比べれば、はるかに高度なものだからだ。

ロシア大統領専用ジェット機の機首方向を横切ってミサイルが?

そのとき撃墜されたMH17のすぐ近くに、ロシア大統領ウラジミール・プーチン自身がいた。彼は偶然にもブラジルから、西から東へ、ロシアに帰る機中にあった。米大統領専用機エアフォースワンにあたるのがロシアの「ボードワン」(the Ilyushin-96)だ。

その運命のマレーシア機がウクライナ領空に入る直前のワルシャワ近くを通過したとき、その後方、約200マイル(320㌔)、およそ半時間の飛行時間のところにプーチンの「ボードワン」はいた。しかし大統領専用機はウクライナ領空を回避した。

西側の大国が反ロシアの経済制裁をおこなってもロシアに噛みつくことができず、西側列強が支援するキエフ政府も地上戦で敗北を重ねてい。だから、これはNATOがみずから攻撃を仕掛けたいという彼らの動機を示すものかも知れない。もしそうなら、この手の大胆な行動は、英国の新外務大臣フィリップ・ハモンド(Philip Hammond)と防衛省長官マイケル・ファロン(Michael Fallon)といった西側の権力エリートの、キエフ政府にたいする忠誠心の初期テストなのかも知れない。メッセージはこうだ。「この問題に関して[休戦とか和睦とかなど]自国で決断ができるという厄介な考えを持たないように気をつけるんだな」

攻撃のタイミングもまた興味をそそる。プーチンが署名した歴史的合意の翌日であったことだ。中国国家主席・習近平とともに、ブラジルのフォルタレザ(Fortaleza)という都市で、「BRICS世界開発銀行」をつくったからだ。それはたぶん、1944年のブレトン・ウッズ協定以来、アメリカが不当にも独占してきた世界銀行にたいする最大の挑戦だった。それがブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカによって水曜日[マレーシア機撃墜の前日]に署名されたのだ。
[ブレトン・ウッズ協定: アメリカ、ニューハンプシャー州ブレトン・ウッズで開かれた連合国通貨金融会議で締結され、1945年に発効した国際金融機構についての協定で、ここでIMF(国際通貨基金)とIBRD(国際復興開発銀行)の設立が決められた。]

命を終えるその日までさらなる金儲けのことしか考えない連中の、偏執狂的性質について思いを巡らす人々にとっては、ぞっとするような驚くべき最近の歴史がある。オイルダラーの地球的独占やWB(世界銀行)・IMF(国際通貨基金)の中枢部独占に、恐れを知らず果敢に反対しようとする国家やその指導者たちには、不吉な結末が待っているのだ。

イラク大統領サダム・フセインは、2000年11月に、株式取引所すなわちドルではなくユーロで取引する石油取引所を設置することに向けて一歩を踏み出したと発表したとき、自分にどんな運命が待ち受けているのかを知らなかった。2年半後、存在しない大量破壊兵器が彼の国で「発見され」、爆弾が雨あられと降り注ぎ、サダムと彼の同胞たちは、ブッシュ、ブレア両氏の命令の下、不法に侵略され、その国は混沌とした地獄に突き落とされてしまった。その地獄は今でも中東周辺にペストのごとく広がり続け、その地獄からいつ抜け出せるか誰も分からない。

同じように、負債ゼロという豊かな国をつくりあげたリビアのカダフィー大佐は、「自国民を爆撃した」という捏造された罪で、国連安全保障理事会から万事休す!を宣告された。彼の往復外交が、金貨ディナール[イスラム諸国で使われている4.25グラムの金貨]を土台にしたアフリカ準備通貨を発表するために、アフリカの指導者たちの充分な合意を確かなものにしたときだった。こうして、2011年5月1日、ロンドンでウィリアム王子とケイトの王室結婚式がおこなわれた週末、カダフィー大佐の息子の一人と孫のうちの3人が空爆で粉々に吹っ飛ばされ、そしてNATOがリビアを爆撃しはじめた。その結果、アフリカ大陸で乳児死亡率最低という豊かで恵まれた国を、石器時代に戻すことになった。

国連が地上軍を許可していなかったのに、外国人傭兵が送り込まれ、2011年10月21日、カダフィーは背後からの銃剣で処刑された。IMFとその仲間から供給された抑制のきかないほど巨大な筋肉(=金力)にあわせて軍事権力が踊り出すとき、最近の国民政府は取るに足らない余興的存在になってしまったようだ。

なぜマレーシア航空?

「航空機1機を失うのは不運と見なされるかも知れない。だが2機を失うと不注意に見える」これはオスカー・ワイルドの「まじめであることの重要性」から拝借したことばだ。古臭いことばに見えるかも知れないが、今回の撃墜と3月のMH370の「失踪」の両方が、不運なマレーシア航空ジェット機であるというのは、じっさい単なる偶然の一致なのか。どちらも「事故」であったようには思われない。両方が、マレーシア航空にたいする侵略行為、戦争行為なのか。もしそうならなぜ?そして犯人は?

マレーシアは、まさに東側と西側のあいだで板挟みになっている独立国だ。ウクライナその他多くの中サイズの独立国に見られるように、マレーシアも独立状態を維持するのが非常に困難だ。世界が、資本主義の崩壊によってもたらされた巨大な世界戦争になるかもしれない、そう多くのひとが考えている方向へとジリジリと歩を進めているので、小国や中サイズの国が独立国を維持しつづけることは、ますます不可能になりつつある。だから、マレーシアの指導者たちはアメリカから同盟を組むよう圧力をかけられている可能性があるし、これがマレーシアを恫喝したり手を縛ったりすることになっている可能性もある。

誰も経済的崩壊などのぞまず、誰も世界戦争などのぞまないとくりかえすことは慰めとなるが、支配エリートが「ダブルパンチ」(縁起の悪いことが2つ同時に起きること)としてこの2つを配置したのは、何も初めてのことではないだろう。経済的崩壊を餌にして富を築くことは容易だ。崩壊が始まるのが見えるときには、とくにそうだ。そしてその経済的崩壊が古い神への古典的な「人身御供(ひとみごくう)」を提供するときには、戦争は、あなたを監禁しようと考えているかもしれないすべてのひとから注意を逸らす一番良い方法だ。というのは、見る勇気のあるひとなら誰にとっても、証拠はそこに存在しているからだ。たとえば、9・11攻撃のとき、米国が既に破滅的だった軍事力を突出させることに突き進もうと決心したことを見よ。それは恐らくドルの力が衰えたことにたいする対応策だったのだ。

特務軍曹ジミー・マッシー (Jimmy Massey)は、「戦争に反対するイラク帰還兵の会」(Iraq Veterans Against the War)と「平和を求める復員軍人の会 」(Veterans For Peace)米国支部の一員だ。彼がベネズエラ国営テレビのインタビューを受けたとき、こう言った。「もはや戦争法規はない。これが第3次世界大戦だ。法規集は2001年の9月11日に窓の外に投げ捨てられた」

米国海兵隊情報ブリーフィング(状況説明)に規則的に出席してきた人物として、ジミーは西側の一般人、メディア、政治家たちが知るよりは多くを知る立場にあった。ホワイトハウスとペンタゴンの機密の方針がどれくらい終わりの見えない展開になりさがるのかについて。

そしてここに摩擦がある。マレーシアは、偽の「対テロ戦争」にたいする、世界で最も果敢な敵対者のひとつだ。マレーシア連邦裁判所の元判事アブドル・カヂール・スレイマン(Abdul Kadir Sulaiman)は、ブッシュとブレアを戦争犯罪人として裁判にかけようと、2011年に法廷を開きさえしている。元マレーシアの首相マハティール・モハマド(Mahathir Mohamad)に支持され、法廷では次のように判決をくだした。「暴力の不法な使用は世界を脅かし無法社会に戻してしまう。被告人の行動は国際法違反だ。」マレーシアは国連とハーグ国際司法裁判所が敢えてやらないことをやったのだ。

ヨーロッパと北米諸国が[航空機撃墜の]その日、あまりにも遅くになって認識したのは、為替管理を厳格に維持することによってのみ、主権国家でいられるのだということだ。それがなければ、国際金融資本が莫大な資源をもって入り込み、メディアから議会まで、邪魔になるものすべてを破壊する。それに耐えうるものはなにもない。万一、密かに交渉が進んでいるTTIP (環大西洋貿易投資パートナーシップ)が今年中に署名されることにでもなれば、裁判所でさえ脱税する超国家企業へのサービス機関と化してしまうだろう。

裁判所は彼ら超国家企業のものなってしまい、企業が好まない議会決定などひっくり返してしまう。そして彼らはもっともっと多くの現金を蓄えつづけ、世界最良の弁護士たちを雇うことになる。彼らが勝利することを確かにするために。

マレーシア航空機2
http://rt.com/op-edge/173788-malaysian-plane-crash-ukraine/

あなたのために旅客機を撃ち落とす人々はいくらでもいる

西側陣営が戦争を民営化するにともなって、英国の慈善団体「欠乏との戦い」(War On Want)はこう指摘している。「くりかえされる人権侵害」は「外国人傭兵によって犯され、一般市民への無差別殺害と拷問などをおこなっている。このような企業は何の責任もなく何の規制もないので、世界中の人権侵害に加担している。人間よりも利益優先をかかげ、世界中に戦争の炎を煽っているのだ。」

だから誰かに核戦争を戦わせたいと思えば、大虐殺をおこなったり旅客機を撃墜すればよい。今ではそのようなサービスを自由市場で買うことができる。9・11以降の民間軍事会社の増殖は、軍産複合体と見事に一致しているのだ。感謝。

しかし、ではどのようにして世界は、そのような民間軍事企業が国家の保護を受け、商売大繁盛という事態になったのか。

問題はまたもや全世界を股にかけて行動する巨大銀行だ。彼らは何度も何度も法廷に召還され、諜報機関や国際犯罪組織と手を組むようになった。今や彼らは、法を超越した犯罪者であるだけでなく、自身の私的利益のために法をつくっている。麻薬が一方に飛び、銃が別のところへ飛んだ「イラン=コントラ事件」であろうが、不正な資金洗浄をおこなったとして香港上海銀行(HSBC:The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited)が2012年に20億ドルという雀の涙ほどの罰金を支払った事件であろうが、本質はまったく変わっていない。

彼ら巨大金融資本が支配しようとしているのは、彼らを監視しつづけるアジア・太平洋・南米といった勢力圏だけではなく、彼ら自身の国民つまり彼らが寄生している人々なのだ。うまく切り抜けてきたと思っているあらゆる悪事のために、彼らは逆に窮地に追い込まれている。彼らが支配しようとしている大西洋横断の大建築物(TTIP)が、彼らの足元で崩れつつあるからだ。


なお上記の翻訳は、研究室の翻訳コーナー「チョムスキーその他の翻訳」にも単独で掲載してあります。 

また、まだ前回のブログを未読の方は下記と併せて御一読いただければ幸いです。
続・進行する二つの「民族浄化」― プーチンとは誰か? 『戦争プロパガンダ10の法則』




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平和研究(2014/07/21)
ルガンスク市
すでにウクライナ東部ルガンスク市だけで250人もの一般市民が殺されている
250 civilians killed in Ukraine's Lugansk during last two months – OSCE

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 イスラエルによるガザ攻撃が激化する中で、今度は内戦地帯のウクライナ東部上空でマレーシアの民間航空機がミサイルで撃墜され乗客全員が死亡するという事件が起きました。
 イスラエル政府による「民族浄化」は世界中で良識ある人々の反発と抗議の声を呼び起こしましたが、ウクライナ政府による「民族浄化」は今のところ世界の良識ある人々の関心から遠く離れたところにあるようです。
 それどころか、事件直後にオバマ政権は、これはロシアに支援されたウクライナ分離主義者たちの仕業と断定する声明を発表しました。しかもそれを証拠づける盗聴記録まで提出するという手際の良さです。
 しかし、この盗聴記録は幾つかの録音音声をつなぎ合わせただけのずさんなもので、何の証拠にもならないことがすぐに分かりました。その他にもウクライナ政府が答えるべき多くの疑問が出されています。
Unverified tape released by Kiev presented as ‘proof’ E. Ukraine militia downed MH17
Malaysia MH17 crash: 10 questions Russia wants Ukraine to answer(ウクライナ政府が答えるべき10の疑問)

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 そもそもロシアや反キエフ勢力にとって、マレーシアの民間航空機を撃墜して何の利益になるでしょうか。ロシアをウクライナの内戦に引きずり込みたいとねらっているアメリカやNATO軍に、ロシア攻撃への攻撃の口実を与えるだけです。
 他方でアメリカはベトナム戦争のときのトンキン湾事件を見れば分かるように、自分で自分の軍艦を攻撃しておきながらそれを相手のせいにして戦争を始める国であることは、これまでに幾つも実証済みのことです。
 ですから、嘘をついて始めたイラク戦争のとき結局はブッシュ氏が大恥をかいたように、今度もオバマ氏が大恥をかくことになるだろうと私は予測しています(その根拠となる資料は英文のものが多いので、ここでは割愛します)。
 イラクに大量破壊があるという理由で戦争を始めたアメリカ、アサド政権が化学兵器を使ったという口実でシリア爆撃を開始しようとしたアメリカのことですから、今度のことも、オバマ氏の言い分を本気にしたひとはアメリカ人以外にはあまりいなかったかも知れません。
 それでもアメリカの忠実なプードル犬として行動する政府をかかえる国では、大手メディアも政府見解と大同小異のことが多いので、日本人も一般のアメリカ人と同じ感覚で現在の事態を見ているのではないでしょうか。そこで参考のために今のところ日本語で読める記事として「マスコミに載らない海外記事」の下記翻訳をあげておきます。
Paul Craig Roberts「経済制裁と旅客機と」
Tony Cartalucci「“ロシアのウクライナ侵略”を待ち望むNATO」(2014年7月15日)

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戦争プロパガンダ10の法則

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 アンヌ・モレリ『戦争プロパガンダ10の法則』(草思社、2002)という本の中で、戦争したいひとたちは「敵の指導者は悪魔のような人間だ」と相手を悪魔化することが常道だと述べています。
 確かにそのとおりで、イラク戦争のときはフセイン大統領を、リビア爆撃のときはカダフィ大佐を、シリア攻撃ではアサド大統領を悪魔化して、アメリカは戦争を始めたり反乱軍を支援したりしました。
 そして今のウクライナ危機では、すべての原因をプーチン大統領に負わせることがアメリカ政府の戦略であり、大手メディアもこれに同調してきました。
 確かにプーチン氏はオバマ氏に憎まれても仕方のない理由が幾つもあります。
 その第一がエドワード・スノーデンの亡命を一時的であれ認めたことでしょう。アメリカの恥部を暴露し続けるスノーデン氏をかくまい続けているのですから、オバマ氏にとっては腸(はらわた)が煮えくりかえる思いだったに違いありません。
 またロシアがシリアのアサド政権を説得して「化学兵器の引き渡しと廃棄」を約束させたことも、アメリカによるシリア爆撃の口実を完全に失わせることになり、これもオバマ氏のとっては実に屈辱的なことでした。
 さらにオバマ氏を怒らせた最大のものは、最近ブラジルでおこなわれたばかりのBRICSサミットだったかも知れません。ロシアや中国が中心になって、IMFやWB(World Bank)とは別の金融機関を独自に設立すると発表したからです。 
 オバマ氏は、これまでにもロシアにたいする経済制裁を何度も発動してきたのですが、プーチン氏はこのような攻撃にもひたすら耐え続けて、国内では支持率が高まっているのに反して、オバマ氏の国内での支持率は減る一方だからです。
 しかも上記のような世界銀行ができれば、これまでのような経済制裁もあまり効果がなくなります。だからこそ、プーチン氏を悪魔化することはオバマ氏にとっては、緊急かつ必要欠くべからざる作業だったとも言えるでしょう。

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 実を言うと、私は今までプーチン氏をあまり好きではありませんでした。元大統領ブッシュ・シニアはCIA長官だったので、同じようにKGB出身のプーチン氏に好感が持てなかったのです。
 またプーチン氏がチェチェンの独立運動を弾圧するやりかたも、当時、BSドキュメンタリーを見ているかぎりでは、かなり残酷なもので、これも私の印象をかなり悪くしていました。
 しかし、アメリカとNATOがリビアにたいして残酷な攻撃を加えるころになってから私のロシアにたいする見方が少し変わってきました。プーチン氏が、アメリカにたいしてものを言うべきときにはきちんとものを言える人物だと分かったからです。
 私がプーチン氏にたいして決定的に見方を変えるようになったのは、シリアの化学兵器にたいする氏の対応と、アメリカからの反発を覚悟しながらもスノーデン氏を亡命者として受け入れるようになってからです。
 ウクライナ危機についても、オバマ氏がロシアを軍事力や経済制裁で脅迫してもそれを外交力で切り抜けていくプーチン氏の対応は、私の目から見るとなかなか見事だと思えました。ロシア議会が「武力を行使することも選択肢に入れろ」とプーチン氏に要求しても、その議決をとりさげるよう要請したことに、それはよく現れています。シリアの化学兵器にたいするオバマ氏の対応と正反対です。
 またナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』(岩波書店、2011)を読んで、さらに気づいたことがあります。それは、旧ソ連が崩壊して、そこにアメリから乗り込んできた新自由主義(弱肉強食資本主義)がロシア経済をズタズタに引き裂き多くの失業者や自殺者を出したあと、その経済を立て直して現在のレベルまで引き上げたのがプーチンだったということです。

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Sharon Tennison sm
Sharon Tennison 女史
http://www.globalresearch.ca/who-is-vladimir-putin-why-does-the-us-government-hate-him/5381205

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 もう一つ紹介して置きたいのが『アジア記者クラブ通信』2014年6月号です。ここに載っていた次の記事で私は今まで知らなかったプーチン像を発見しました。
「プーチン登場の意義と背景―戦争を仕掛ける米国の闇の権力への果たし状」
(『通信』16-20頁)
 この記事の英語原文は下記にあります。
The Real Vladimir Putin(05/05/2014)
 ただし、調べてみると、このなかで紹介されているシャロン・テニソン女史の小論「素顔のウラジミール・プーチン」は下記からの引用でした。
RUSSIA REPORT: PUTIN
by Sharon Tennison、April 21, 2014
 アメリカ人であるテニソン女史は 、1980年代の初期、冷戦の最中に、米露の緊張関係を少しでも和らげようと起ち上げた市民団体Center for Citizen Initiativesの創立者です。 この記事は30年以上ロシアに在住して活動してきた彼女が、自分の知り得たかぎりでのプーチン像を語ったもので、私には初めて知る事実も少なくありませんでした。
 彼女はソ連が崩壊してから2年後の1992年に、サンクトペテルブルグで市役所の職員だった若きプーチンと初めて出会っています。それから、どのように彼と交流し、どのように彼への見方が変わってきたのかを詳細に述べています。
 「ソ連崩壊後、汚職の臭いのしない初めての大統領」という彼女の記事は、私のプーチン像を大きく変えてくれました。
 さらに調べてみたら、ほぼ上記とほぼ同じものが、「プーチンとは誰か」「なぜアメリカ政府は彼を憎むのか」と題名を変えて下記にも転載されていることが分かりました。
Who is Vladimir Putin? Why Does the US Government Hate Him?
Global Research, May 08, 2014
 この記事を読むと、欧米(そして日本)の大手メディアがいまだに「ロシア=ソ連」「プーチン=スターリン」という既成イメージを土台にして記事を書いていることがよく分かります。アメリカ政府の広報官と何も変わらないのです。

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 しかし私はいまだに、プーチンという人物を「十分に知っている」と言えるほど、知っているわけでもありません。
 とはいえ、映画監督オリバー・ストーンが「羊の皮をかぶった狼」と呼び、消費者運動の旗手ラルフ・ネーダーが「稀代の詐欺師(conman)」と呼んでいるオバマ大統領よりは、プーチン氏のほうがはるかに信頼できる人物であることだけは確かでしょう。
 また前回のブログで紹介したとおり、チョムスキーが「戦争犯罪・超国際犯罪の世界的指導者だ」と呼ぶアメリカよりも、ロシアの方が危険な国家ではないことも、確かだろうと思っています。
America Is the World Leader at Committing ‘Supreme International Crimes’(2014/07/09)
 ですから、チョムスキーが「世界を脱アメリカ化せよ」「世界を "アメリカという脅威" から救え」と呼びかけているのを読むと、「言われれば本当にそのとおりだ」と思うのです。そのほうが、はるかに世界は安全な場所になるからです。
翻訳チョムスキー「世界の脱アメリカ化」(2013/11/05)
翻訳チョムスキー「世界を "アメリカという脅威" から救う」(2014/02/07)

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 ノーベル経済学賞を受けたジョセフ・E・スティグリッツ氏も、最近ブラジルでおこなわれたばかりのBRICSサミットでIMFや世界銀行に代わる新しい金融機関が提案されたことを歓迎すると述べました。これも「世界の脱アメリカ化」のあり方のひとつでしょう。
Nobel Economist Joseph Stiglitz Hails New BRICS Bank Challenging U.S.-Dominated World Bank & IMF
 世界銀行の上級副総裁およびチーフエコノミストでもあった氏が、自分の体験をとおしてドルが支配する世界の悪を知ったからでしょうか。氏の著書『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(徳間書店、2002)の題名がそれをよく示しています。
 ところが安倍政権は相変わらずアメリカの指し示す方向のみに付き従い、「脱アメリカ化」どころか、「グローバル人材を育成せよ」と叫びながら、大学から英語以外の外国語を駆逐し、共通教育や専門科目まで「英語でおこなう」という「英語一極化」の教育政策を推進しています。
 これでどうして「多極化」「脱アメリカ化」しつつある世界を乗り切っていけるのでしょうか。これでは日本の未来はありません。アメリカが世界中で拡大する紛争・戦争に、Cannon Fodder「砲弾よけの兵士」として使われるだけでしょう。

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<註> 『戦争プロパガンダ10の法則』
(1)我々は戦争をしたくない。
(2)しかし、敵側が一方的に戦争を望んだ。
(3)敵の指導者は悪魔のような人間だ。
(4)我々は領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う。
(5)我々も誤って犠牲を出すことがある。だが、敵はわざと残虐行為におよんでいる。
(6)敵は卑劣な戦略や兵器を用いている
(7)我々の受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大。
(8)芸術家や知識人もこの戦いを支持している。
(9)我々の大義は神聖なものである。
(10)この戦いに疑問を投げかける者は裏切り者である。



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進行する二つの「民族浄化」―イスラエルとウクライナで、しかもアメリカの支援で。

平和研究(2014/07/17)
政府軍の爆撃で瓦礫の街と化したウクライナ東部
政府軍の爆撃で瓦礫の街と化したウクライナ東部
https://vk.com/photo-69838054_334295736
ルガンスク市のもっと凄惨なようすは、下記の写真集を御覧ください。ここでは紹介できませんので。
https://vk.com/album-69838054_198072706


 いま二つの「民族浄化」が進行しています。ひとつはイスラエルで、もう一つはウクライナです。
 今まで日本のメディアではイスラエルによる蛮行が大手メディアに登場することはほとんどありませんでした。しかし最近ようやくイスラエルが西岸地区の住民から強制的に土地や家屋を取りあげ抵抗するひとたちを殺したり牢獄に入れることをくりかえしてきたことが、報じられるようになってきました。
 かつてアメリカで白人が先住民の土地を取りあげてきたのと同じやり方ですが、アメリカの場合、先住民の土地を奪うときには、いちおう借用証書らしきものを書きました(ただし返却するつもりは初めから無い)。しかしイスラエルのばあい力尽くで奪うだけです。理由は、旧約聖書に「神からユダヤ人に約束された土地」と書かれてあるから!!


 他方で、パレスチナのガザ地区に閉じこめられたひとたちには出口がありません。チョムスキーはこれを「青天井の牢獄」と呼びました。
アメリカ理解(1)―オバマの偽善、「青天井の牢獄」、「民族浄化」としてのパレスチナ
 ここを実効支配しているのが「ハマス」という集団で、彼らは「テロリスト」とか「イスラム原理主義集団」だと呼ばれてきましたが、彼らは選挙で選ばれた正式なパレスチナの代表者です。
 もう一方の西岸地区を実効支配してきたのが「ファタハ」と呼ばれるひとたちですが、このひとたちをアメリカとイスラエルは裏で支援してきました。この「ファタハ」の幹部が腐敗堕落していて、その不満を感じているひとたちが「ハマス」を支持して、選挙では多数を占めたにもかかわらず、アメリカは「ハマス」による組閣を認めませんでした。
 そして「分裂させて支配する」のが支配者の常道ですから、アメリカとイスラエルは、この「ハマス」と「ファタハ」をお互いに喧嘩させながらパレスチナを管理してきました。。ところが、分裂させてうまくコントロールしてきたつもりなのに、「ハマス」と「ファタハ」は最近、分裂を解消して、連立政権をつくることを発表しました。


 慌てたのはイスラエルです。そこでイスラエルの少年3人を「ハマス」が誘拐して殺害したという口実で、猛烈な攻撃を始めました。
 「ハマス」もこの挑発に乗って反撃しましたが、軍事力の差は歴然としていて、子どもと大人の喧嘩に等しく勝負になりません。死者の8割が民間人と言われる状況になっています。
 「パレスチナ人はイスラエルから出て行け」「イスラエルはユダヤ人の国だから、ユダヤ人以外はここにいる必要はない」「まわりにアラブ人の国があるのだから、そちらに移住すればよいではないか」とイスラエルは主張してきましたから、「民族浄化」は国策でもあったのです。
 爆撃で殺されるのがいやならここから出ていけということを、パレスチナ人に恐怖感(これがテロの原義です)に訴えて、体で教えるためには、むしろ民間人への爆撃は必要不可欠の作戦とも言えるわけです。こうして、いま「民族浄化」「国家テロ」がイスラエルで進行しています。これは明らかに「戦争犯罪」でもあります。
 しかも、このような「国家テロ」「戦争犯罪」を黙認し、裏で支援しているのがアメリカですから、なんという醜悪きわまりない国家なのでしょうか。チョムスキーが次のように嘆くのも無理はありません。
チョムスキー20140207「世界を "アメリカという脅威" から救う」
チョムスキー120903「なぜアメリカとイスラエルは世界平和にとって最大の脅威なのか」


 このイスラエルにおける「民族浄化」と同時進行しているのが、ウクライナにおける「民族浄化」です。しかし、イスラエルと違ってウクライナの「民族浄化」は大手メディアからは黙殺されたままです。
 今まで大手メディアがイスラエルにおける「民族浄化」をこれだけ大きく取りあげたことがなかったのに、ウクライナについてはほとんど沈黙しているのは非常に不可解です。
 というのは、東ウクライナの住民にたいする「民族浄化」ぶりは、パレスチナ人が受けている仕打ちよりも負けず劣らず凄惨なものだからです。たとえばオデッサにおける虐殺ぶりを見てください。
ウクライナ情勢の読み方(補足編)―オデッサの虐殺を繰りかえさせてはならない!


 このウクライナ政府軍の攻撃ぶりを見ていたとき、私のまぶたに自然と浮かんで来たのが韓国・光州市の市街戦でした。
 当時の韓国は独裁政権の朴正煕大統領がKCIA部長によって暗殺され、それを受けて軍保安司令官だった全斗煥が次の独裁政権をつくりあげました(1980年5月)。
 しかし民主化を要求する学生デモが全土に広がり、このなかで最後まで戦闘的に闘ったのが光州市民と学生たちでした。
 光州市は周囲を韓国軍に包囲され、食料も手に入らない状況に追い込まれましたが、市民・学生はこれに屈せず、バスやタクシーを倒してバリケードを築き、角材や鉄パイプ、火炎瓶などで応戦しました。
 5月21日、群集に対する空挺部隊の一斉射撃が始まると、市民は郷土予備軍の武器庫を奪取して武装し、市街戦となりました。
 この軍が包囲する中で市民が武器を取って自衛にたちあがっていく姿、しかし圧倒的な軍事力で制圧され敢えない最後をとげていくようすは、韓国映画『砂時計』でも再現されて大きな話題をよびました。というのは、独裁政権の下で一切が封印されてきたから韓国民すら実態を知らなかったからです。
 それはともかく、この弾圧ぶりはルガンスク市やドネツク市の未来の姿になるに違いないと私は想像していましたが、現在まさに私の予想したとおりになっています。
<註>
 のちに大統領になる金大中も、この騒乱のなかで逮捕され、内乱予備罪・陰謀罪・反共法違反・国家一級保安法違反を理由とする死刑判決をうけています。
また事件の中で、韓国軍の作戦統制権を持っていた在韓米軍のウィッカム司令官が韓国軍部隊の光州投入を承認し、アメリカ政府も秩序維持を理由にこれを黙認したことも忘れてはならない事実です。


 ところで、ウクライナ危機が裏でアメリカが仕組んだクーデターであり、内閣の重要ポストがネオナチや極右勢力で占められていることは、このブログで何度も指摘してきました。
 新しく選挙で大統領になったポロシェンコ氏は「チョコレートキング」と言われているとおり財界大企業を代表する人物で、立候補の演説ではウクライナ東部のひとたちの要求を聞きながら、新しいウクライナをつくっていくと言っていました。
 しかし当選すると今までの主張を投げ捨て、「ロシア人・ロシア語話者はウクライナから出て行け」「ウクライナ人によるウクライナ人のための国をつくる」「いま抵抗しているひとたちはテロリストだから殲滅する」と言い出しました。これではイスラエルの「民族浄化」政策と何ら変わるところがありません。
 事実いまウクライナ東部で進行しているのは紛れもなく「民族浄化」政策です。空爆は民家や学校や病院など、自衛軍のひとたちが拠点にしている場所とは何の関係もないところを爆撃し、市民はもちろんのこと麦などが育っている畑地も爆撃されています。住民が生活するための手段を根こそぎ破壊するためとしか考えられません。
 さらに、現地で取材している記者やカメラマンまでも殺されています。ロシアの報道人だけでなくイタリアからの報道人も含まれています。いかに自分たちのしていることが世界に知られると都合が悪いかをみずから証明しているようなものです。
<註> 
 アメリカ共和党の最右翼ロン・ポール氏が設立したロン・ポール研究所の常任理事のダニエル・マキャダムス氏でさえ、ウクライナ当局は民族浄化を遂行していると語っています。詳しくは「マスコミに載らない海外記事」の下記翻訳を御覧ください。
東ウクライナの出来事は‘民族浄化作戦の開始’(2014.07.09)


 そもそもロシア語話者が今まで公用語だったロシア語を禁止され、「いやならサッサとウクライナを出ていけ」と爆撃され、より強力な自治を要求して連邦制を主張すると、「テロリスト」扱いされて抹殺の対象になる。これは明らかに戦争犯罪です。
 ところが欧米の大手メディアだけでなく、今や独立メディアとして世界的に有名になったDemocracyNow! でさえ、「民族浄化」政策に抵抗して連邦制を主張している人たちを、Separatists「分離主義者」と報道しています。
 「テロリスト」とは呼ばないのは当然としても、少なくともFederalists「連邦主義者」と言うべきでしょう。
 もっと気になることは、DemocracyNow! が、この1週間ずっと、特集記事どころかヘッドラインニュースにおいてすら、ウクライナ情勢を報道していないことです。このところ、連日とりあげているのはイスラエルによるパレスチナへの爆撃だけです。
 以前は、エジプトで軍人上がりの大統領がアルジャジーラの記者を何人も投獄しているようすを報じていたにもかかわらず、ウクライナ東部でロシアやイタリアの記者やカメラマンが殺されていることについては、ひと言の言及もないのです。
 チョムスキーは「報道していることよりも、報道しないことの方が重要だ」と述べたことがありますが、現在のDemocracyNow! は、まさにこのチョムスキーの言を地でいっているような感があります。
 かつて『アジア記者クラブ通信』(2012年8月号)が、「DemocracyNow! が変質しつつある!」という記事を載せたことがありますが、そのことを裏づけるような現状です。Amy Goodman女史が報道している個々の内容は貴重なものが少なくないだけに、これは本当に残念な事態です。
<註> 
 こういうわけで、DemocracyNow! が当てにならなくなったので、ウクライナの現状をリアルタイムで知るための現在ただ一つ残されているメディアは、RT(Russia Today)だけになってしまいました。
 アメリカはRTをロシアのプロパンガンダ機関だと口汚く罵っていますが、私が今までDemocracy Now! と比べながら視聴してきたかぎりでは、これほど公正な報道姿勢は見たことがないくらいです。大本営発表の機関と化したNHKとは大違いです。

 
それはともかく、RTで東ウクライナの惨状を見ていたとき私のまぶたに浮かんで来たもう一つの光景があります。
 それは、インドネシア軍によって東ティモールの町が破壊され住民が惨殺されていく光景です。1999年8月30日に東ティモールで住民投票が行われインドネシアからの独立が決定したとき、インドネシア政府は軍と独立反対派の武装民兵を使って破壊と虐殺をくりひろげました。
 実を言うと、そのとき東ティモールの独立運動を支える組織としてファリンテルと呼ばれる軍事組織があったのですが、この破壊と虐殺が進行していたとき、ファリンテルは山中に身を潜めたままで、住民を守るための出動をしませんでした。
 その結果、町が破壊され住民が一方的に惨殺されていく光景は世界中のメディアに流れました。
 もしファリンテルが出動したとしても、アメリカから供与された高度な重火器をもったインドネシア軍とたたかうのですから、恐らく勝ち目はなかったでしょう。ですから彼らは、むしろインドネシア軍の残虐ぶりを世界に知らしめるという道を選んだのでした。
 こうして、世界的な世論がインドネシア批判へと大きく傾き(それは同時にインドネシアを裏で支えてきたアメリカへの批判でもあります)、その後の制憲議会選挙では東ティモール独立革命戦線(フレティリン)が圧勝することになりました。


 私がなぜこのことを思い出したかというと、以前のブログでも紹介したことですが、世界的に有名な戦争報道記者ジョン・ピルジャーが次のように述べていたからです。
 「アメリカはウクライナ危機を利用してロシアを戦争に引きずり込もうとしている」「そうなればNATO軍とロシア軍との戦争になり、対処を誤れば核戦争になるかもしれない」
On big politics, Western media spews propaganda - war correspondent John Pilger(13.06.2014)
 カーター政権時の国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたズビグネフ・ブレジンスキーの謀略に引っ掛かって、ソ連が10年にも及ぶアフガン戦争に引きずり込まれたことが、ソ連を崩壊させる一因になったことは、今では周知の事実です。
 そのブレジンスキーが今はオバマの外交顧問格であり、オバマ大統領に強い影響力を持っています。ですから、今度もまたロシアをウクライナの内戦に引きずり込んで、ロシアを弱体化あるいは解体させようとしているのではないかとジョン・ピルジャーは疑っているのです。
 ウクライナのポロシェンコ大統領も、そのようなアメリカの意図をじゅうぶん知っているからこそ、自国の兵士に払う給料すらない状態なのに、なりふり構わず「民族浄化」に血道をあげているのです。財政的に破綻してもアメリカからの援助があるからと、自信をもっているからです。


 元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者だったポール・ロバーツ(Paul Craig Roberts)もピルジャーと同じ心配をしています。
  ですが、ロバーツ氏はもう一つの別の心配もしています。それは、ウクライナ東部のロシア語話者が虐殺されているのにロシアが助けに行かないとプーチンにたいする失望がウクライナ東部だけでなくロシア国内でも広がりはしないかという心配です。
 しかしプーチンも馬鹿ではありませんから、そのようなことは百も承知でしょう。私が推測するに、プーチンは、当時の東ティモール独立革命戦線(フレティリン)の指導者と同じ心境なのではないでしょうか。
 「自分の同胞が惨殺されているのは見るに忍びないが、いまロシア軍が出ていくと敵の思う壺だ。ウクライナ東部で切り広げられている惨劇が世界(とりわけアメリカの国民)に知れるようになれば必ず世論は変わる。それまではじっと我慢の子だ!」
 しかし、このプーチンの戦略が成功するかどうかはまだ分かりません。まだまだ多くの血が流されるのかも知れません。
 また、だからこそ私は、Democracy Now! の現状が残念でならないのです。「戦争と平和の報道」を売り物にしてきて今や世界的にも有名になってきている独立メディアがウクライナ報道を自主規制しているようでは、アメリカの世論は変わりようがないからです。
 「もう一つのノーベル平和賞」と呼ばれるRight Livelihood Awardを授賞したはずのAmy Goodmanはどこへ行ってしまったのでしょうか!?
<註> 
 ポール・ロバーツ氏の心配について詳しくは下記を御覧ください。これも「マスコミに載らない海外記事」で紹介されていたものです。
アフリカ・中東から、ウクライナへと広がるワシントンの戦争犯罪(2014.07.05)


 ところで、チョムスキーは下記の論考で「アメリカは戦争犯罪・超国際犯罪の世界的指導者だ」と述べていますが、日本はこのような大国と集団的自衛権の条約を結ぼうとしているのです。

America Is the World Leader at Committing ‘Supreme International Crimes’(2014/07/09)

 イスラエルとウクライナ、この二つの地で、アメリカ支援の下、「民族浄化」の嵐が吹き荒れています。私たちは、何のために誰のために集団的自衛権を行使しようとしているのか、いま改めて考える必要があるのではないでしょうか。



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集団的自衛権-自衛隊はどこへ送り込まれるのか



官邸前で怒りの大コール続く~「集団的自衛権」行使容認を閣議決定!
閣議決定0701-06
http://www.labornetjp.org/news/2014/0701shasin
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 安倍内閣は集団的自衛権の閣議決定を強行しました。国政選挙でいちども民意を問うたことがない問題を、少人数の閣議で決めてしまったのですから、これほど恐ろしいことはありません。
 ドイツのファシズムはヒトラー総統に全権委任したところから始まりましたが、日本の場合は閣議に一任しました。これもまた日本型ファシズムの始まりとなるのではないかと強い恐怖を感じます。
 その意味で閣議決定が強行された当日は、官邸前その他で大きな抗議行動が起きたのは当然でした。これに抗議して焼身自殺を試みた男性の事件を含め、外国のメディアも、これを大きく報じました。
http://tkajimura.blogspot.jp/2014/06/nhknhkahk.html
http://rt.com/news/169216-japan-self-immolate-protest/(June 29, 2014; 動画あり1分半)

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 しかし考えてみたら閣議決定で簡単に解釈改憲できるのであれば、次の選挙で自民党を追い落として「解釈改憲」で、元の平和憲法に戻せばよいことになります。自民党のなかでも安倍内閣のやりかたに反対しているひとの意見を読んでいたら同じことを言っていました。
 いわく「内閣が替わるたびに憲法がころころ変わるようでは、それは憲法ではない」「集団的自衛権を確固たるものにするためには、きちんとした憲法改正手続きを経たうえでなければならない」
 つまり安倍内閣のファシズム的手法に反対している自民党の古参も、集団的自衛権に反対しているのではなく、自衛隊を海外派兵できる本物の軍隊にするためには「解釈改憲」では駄目だと言っているのです。
 だとすれば、これを逆手にとって、先にも述べたように次の選挙で自民党を追い落として、「解釈改憲」で元の平和憲法に戻せばよいことになります。問題は次の選挙までに安倍氏が次々を新しい法律をつくって私たちの自由を縛ってしまうのではないか、ということです。ヒトラーも同じことをしましたから。

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 ところで、OurPlanet-TVによる抗議行動の録画をみていたら、長野の駒ケ根から早朝のバスで駆けつけたという70代の男性は、「この問題を小学校6年と中学生の孫と話していたら、話している場合じゃない行動するときだと言われて,朝5時半のバスに乗ってここに来た」と話していました。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1801
 また、福島県三春町から駆けつけた武藤類子さんは、「閣議決定だけで決めて命を危険にさらすのは許さない。原発事故の収束を考えなくてはいけないときに、海外に兵隊を出そうとするのは許せない」と訴えていました。これを聞いて、いつもの武藤さんにしては珍しく、鋭さの欠けた発言だと少し残念でした。
 というのは、集団的自衛権というのは、自民党の議員が言うように「友だちの命が危ないときに手をこまねいていて良いのか」ということで相互に助け合うことを前提にしたものだからです。だとすれば武藤さんは次のように主張すべきだったのではないでしょうか。

 「自国民の命すら(たとえば福島の子どもたちすら)助けられないのに、遠方まで出かけていって、どうして他国民を助けることができるのか!?」

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 しかし、ここでもう一つの疑問が浮かんできます。というのは、自民党の議員は「友だちの命が危ないときに手をこまねいていて良いのか」と言っているのですが、ここで「友だち」と言っているのはアメリカのことだからです。
 先日、病院の待合室で新聞を読んでいたら「中国近海でアメリカの戦艦が日本を守るために中国からの攻撃を受けているのに、それを手をこまねいて黙視してよいのか」と発言しているようでした。
 これを読んでいて思わず吹き出してしまいました。アメリカの軍事予算は世界中の国の軍事予算を全て足し合わせてもおつりが来るくらいの膨大な額ですし、その装備もロシアや中国と戦っても負けないくらいの極めて高性能の兵器を装備しています。
 ですから、そのアメリカが通常兵器で中国や北朝鮮と戦って負けるはずがないのです。ウクライナの政権転覆を裏で工作したアメリカの国務次官補ヌーランド女史も「ロシアがのりだしてきても通常兵器でNATO軍に勝てるはずがないのだから、恐れることはない。どんどんやってしまえ」と言ったのも、このような背景があります。
 つまり、これを逆に言うと、(相手が核兵器を使うなら別ですが)超軍事大国アメリカが負けるような戦いに、自衛隊が参戦して勝てるはずがないのです。そもそも子犬のような日本が、獰猛な狼=アメリカを守ってやろうと発想が、奇想天外なのです。北朝鮮が必死になって核兵器を保有しようとするゆえんです。

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 もう一つの独立メディア「レイバーネット日本」を見ていたら、集団的自衛権の閣議決定に反対している元自衛官の発言が目にとまりました。その自衛官は次のように主張していました。
 「私は元自衛官で、防空ミサイル部隊に所属していました。日本に攻めて来る戦闘機を叩き落とすのが任務でした。いま、尖閣の問題とか、北朝鮮のミサイル問題とか、不安じゃないですか。でも、そういったものには、自衛隊がしっかりと対処します。自衛官は命をかけて国民をしっかり守ります。そこは、安心してください。いま私が反対している集団的自衛権とは、そういうものではありません。日本を守る話ではないんです。売られた喧嘩に正当防衛で対抗するというものではないんです。売られてもいない他人の喧嘩に、こっちから飛び込んでいこうというんです。それが集団的自衛権なんです。」
http://www.labornetjp.org/news/2014/0702doro

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 アメリカは非常に腐敗した国ですが、それでも投獄を覚悟しながら元CIA高官や元NSA高官が次々と内部告発者として登場していますから、まだ救いがあります。帰還兵の反戦組織もあります。しかし日本にこれに相当する人物・組織が存在するかと考えてみたら、ほとんど思い当たりません。
 元外交官だった天木直人氏や孫崎享氏は、そのようななかでも数少ない人物だと思いますが、元NSA職員だったウイリアム・ビネイ氏(William Binney)やエドワード・スノーデン氏(Edward Snowden)のような投獄されるほどの危険をおかしているわけではありません。
 ですから、その意味で泥憲和という元自衛官には深い敬意を払いたいと思います。日本にはアメリカと違って帰還兵の公然たる反戦組織もありませんし、少数の例外を除いて、個人的に内部告発した自衛官の存在も、ほとんど知られていないからです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-03-26/2014032615_01_1.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-26/2013112615_01_1.html

 その泥氏が次のように主張していることに大きな興味と共感をおぼえました。
 「いま私が反対している集団的自衛権とは、そういうものではありません。日本を守る話ではないんです。売られた喧嘩に正当防衛で対抗するというものではないんです。売られてもいない他人の喧嘩に、こっちから飛び込んでいこうというんです。それが集団的自衛権なんです。」
 つまり集団的自衛権とは、「友だちを守る」話でもないし、「日本を守る話」でもない。それは、「売られてもいない他人の喧嘩に、こっちから飛び込んでいこうというもの」だと泥氏は主張しているのです。これほど明確に分かりやすく本質を突いた発言は今までに聞いたことがありませんでした。

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 考えてみれは、第1次世界大戦も第2次世界大戦も、最初は単独の国同士の争いだったものが、集団的自衛権の名の下に「世界大戦」へと拡大していったものでした。日本が第2次世界大戦=アジア太平洋戦争に参加していったのも、日独伊軍事同盟という同盟があり、その同盟による縛りのなかで集団的自衛権を行使した結果だったと言えるでしょう。
 私が前回のブログの題名を、「ここはいつか来た道――集団的自衛権は戦争とファシズムへの一里塚!」としたのは、このような意味を込めていたつもりです。
 しかし上記の泥氏の発言で気になることがないわけでもありません。というのは氏は次のようにも述べているからです。
 「いま、尖閣の問題とか、北朝鮮のミサイル問題とか、不安じゃないですか。でも、そういったものには、自衛隊がしっかりと対処します。自衛官は命をかけて国民をしっかり守ります。そこは、安心してください。」
 この論調では「中国や北朝鮮が日本を攻撃してくる」ことが前提になっています。しかし、こちらから挑発しないかぎり「中国や北朝鮮が日本を攻撃してくる」ことは、ほんとんど考えられません。そんなことをすれば自殺行為になることは北朝鮮でさえ十分に承知しています。
 それどころか「社会主義を掲げていてもベトナムや中国が資本主義国になっているのと同じように、自分も、一刻も早くあのような国になりたい」と思っているのが北朝鮮です。そしてそれを妨げているのがアメリカです。北東アジアに不安定要素を残しておき、アジアが団結してEUのような共同体をつくらせないためです。

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 これは孫崎享『日米同盟の正体――迷走する安全保障』(講談社現代新書、2009年)の中でも述べられていることですが、チョムスキーも下記の論考で同じことを述べていて「やはりそうだったのか!」という思いを強くしました。北朝鮮を口実に中国包囲網を強めているのはむしろアメリカなのです。

チョムスキーの北朝鮮論060124「核武装に追い込んでいるのは誰か」
チョムスキーの中国論100822 「中国は脅威か」

 ですから、北朝鮮や中国を口実とした集団的自衛権の賛成論は、ほとんど意味をなしません。泥氏の発言には、そのような誤解を与えかねないところがあったのは非常に残念なことでした。むしろ今もっとも憂慮すべきことは、オバマ氏が戦争を際限なく世界各地に拡大して行っていることです。
 「ブッシュの戦争」はアフガンとイラクにとどまっていましたが、オバマ氏は無人爆撃機Droneを使いながら、イエメン、リビア、シリアと、戦争と暗殺を拡大する一方です。またブッシュ氏にはそのゆとりがなかったのかも知れませんが、オバマ氏はホンジュラスやベネズエラなどのクーデターにまで手を伸ばし始めました。

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 そして今度はウクライナです。いま内戦状態になっているウクライナは今ではアメリカが仕掛けたものだったことは半ば常識になっています。このことは本ブログでも何度も指摘してきたことですが、大統領候補に立候補したことのある共和党の最右派ロン・ポール氏までもが次のように指摘していることに驚きました。
 「アメリカのいつもの介入主義者は、ウクライナの内政にずっと干渉してきた。2004年のオレンジ革命を財政支援してきたのはアメリカ政府のお金だ。片方の政治勢力に味方して米国資金の入った複数のNGOが政権転覆を可能にした。これらの同じ人々がウクライナをあきらめなかった。彼らはアメリカの介入を批判する人々をあざ笑うかのように、背後でウクライナのための彼ら自身の計画を押し進めてきた。」
Leave Ukraine Alone!(ウクライナに手を出すな、彼らに任せよ)

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 またポール氏は、アメリカの政策は「俺の言うことに従え、さもなくば爆撃するぞ」というものだ、と喝破していることです。アメリカの自称「リベラル左翼」でさえ口にしないことを、ポール氏が言っているのですから、日本の「リベラル左翼」も見習うべきではないでしょうか。
Ron Paul on Obama's foreign policy: "Disobey us and we will bomb you"(02.06.2014)

 ポール氏はさらに「アメリカは、シリア、リビア、イラクに『イスラム聖戦士のワンダーランドをつくりだした」とも述べています。嘘をついて始めたイラク戦争が「パンドラの箱」を開け、流血と難民と国土破壊を中東全域に撒き散らすことになったことを、みごとに言い当てています。
Rand Paul: US created "jihadist wonderland" in Syria, Libya and Iraq (23.06.2014)

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 もっと不吉なのは、オバマ氏が今まで敵対していたイランと手を結び、兵力を中東から引き上げて、その余った兵力をロシアと中国を包囲する作戦に転じようとしていることです。このことをいち早く警告したのが中東問題の報道で世界的に名を知られている戦争報道記者ジョン・ピルジャー氏です。
 氏は、ウクライナの現政権はアメリカの後ろ盾を得ていることに自信をもち、東ウクライナを焦土にするまで徹底的に破壊するだろうと言っています。そして、それに我慢しきれなくなってロシアが軍隊を出すことになるだろうと期待しているというのです。そうすれば、「侵略」を口実にロシアを爆撃することができるからです。
 ジャーナリストを何人も殺し、一般の民家どころか爆撃で村ごと焼き払われたところさえありました。難民としてロシアに逃れようとしてる家族連れのバスでさえ砲撃を受けています。ところがいま欧米のメディアは、東ウクライナで進行しているこのような深刻な人権侵害・戦争犯罪に全く眼をつむっている、とピルジャー氏は嘆いています。
 それどころか、事態の対処を誤れば、第3次世界大戦になるかもしれないし、核戦争になるかも知れない、と氏は警告しています。

On big politics, Western media spews propaganda - war correspondent John Pilger(13.06.2014)

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 オバマ氏は「賢い」ひとですから、ロシア軍との地上戦はNATO軍に任せます。自分は空から爆撃するのみです。地上で米兵に死傷者が出れば一気に反戦運動が高まるからです。そしてベトナム戦争の時、韓国軍がベトナムに送られたように、今度は自衛隊がロシア戦線に送られるかも知れません。
 というのは集団的自衛権が閣議決定されたことでもあり、自衛隊はすでにイラクやソマリアに出兵した経験がありますから、アメリカからそのような要請があったとき断り切れないでしょう。というよりも安倍内閣のことですから、泥氏が言うように「売られてもいない他人の喧嘩に、こっちから飛び込んでいこう」とするかも知れません。
 アメリカという「たそがれの帝国」が威信を保とうとすれば、勃興しつつある大国を何らかの口実をつくってたたく以外にありません。しかし、いまアメリカの財政は「火の車」ですから、なるべく自分では手を汚さずに他人にやらせようとします。それが日本の機密保護法と集団的自衛権をオバマ氏が高く評価するゆえんです。
 孫崎享氏は『日米同盟の正体』のなかで、アメリカが第2次世界大戦の戦後処理のなかで、尖閣列島や北方領土という「紛争要因」「紛争の火種」を、わざと解決せずに残したのは、このような深い配慮があったからだと述べています。

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 言われてみれば、イギリスがインドから撤退するときも、わざとインドとパキスタン(そして中国)の間に「いがみあいの火種」を残しながら去って行きました。私たちは、自衛隊員の命を粗末しないために、そして日本の真の国益を守るために、このような「深い配慮」を見抜くことのできる鋭い知性を磨かねばならないでしょう。
 しかし小学校から大学まで、とどまることなくおしよせてきている「英語一極化」の外国語教育政策を押しとどめないかぎり、そのようなことは期待すべくもありません。子どもから大人まで一億人すべてが英会話にうつつを抜かしてるかぎり「一億総白痴化」は進行しても、鋭い知性は生まれないでしょう。しかし逆に、だからこそ安倍内閣の英語教育政策が存在するのだとも考えられます。

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<註> 英語教育については下記の拙論を御覧いただければ幸いです。
朝日新聞インタビュー「争論」、大学生は英語で学べ?「深い思考奪い、想像の芽摘む」
毎日新聞インタビュー 「論点」、英語の授業どうあるべきか?「母語を耕し、自分を耕し、自国を耕す外国語教育を」
京都大学新聞インタビュー 、グローバル時代の英語を考える、 「外国人教員」「英語で授業」は何をもたらすか」 前編
京都大学新聞インタビュー 、グローバル時代の英語を考える、 「外国人教員」「英語で授業」は何をもたらすか」 後編





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