ボブ・ディラン「戦争の親玉」、パティ・スミス「民衆には力がある」: ハワード・ジン『肉声でつづる民衆のアメリカ史』からみた世界

国際教育(2017/05/14)、Dylan "Masters of War"、Smith "People Have the Power"、狂人理論、マケイン上院議員、韓国大統領・文在寅(ムン・ジェイン)

仮題『肉声でつづる民衆のアメリカ史』上  仮題『肉声でつづる民衆のアメリカ史』下


前回のブログで「私の休筆宣言」を書いてから(2017/04/07)1ヶ月半になります。

昨日やっとチョムスキーの新著『アメリカン・ドリームの死を悼む:富と権力を一極集中させる10の原則』(Requiem for the American Dream:The 10 Principles of Concentration of Wealth & Power)の翻訳を終わりました。

まだ訳文を推敲しなければならない仕事が残っているのですが、FC2のブログは更新をしばらく怠ると、さまざまな宣伝がトップ頁に出てきて、読者に迷惑をかけてしまうことが分かりました。

そこで当初は翻訳の完成原稿ができあがるまで「休筆」することを宣言したのですが、そうも言っていられなくなりました。今も左腕の肘が痛風で膨れあがり痛みがあるのですが、何とか頑張って、この原稿を書いています。

さて世界情勢ですが、フランス大統領選挙ではオランド大統領(フランス社会党)の直系であり財界とのつながりも強いマクロン氏が、「中道」のふりをして、しかもEUの特権階級と大手メディアの全面的な支持を得て、当選しました。

大手メディアは、ル・ペン候補がプーチンから支援を得ているとか極右であるとかの大宣伝をしましたから、構図としてはアメリカ大統領選挙のときと同じなので、あのようなどんでん返しがフランスでも起きるのではないかと期待するひともいたのですが、フランスとEUの支配層は同じ失敗を繰りかえすまいと大奮闘した成果がマクロン当選となりました。

しかしトランプ大統領が「闇の政府」Deep Stateに抗しきれず迷走を続けていますから、ロシアとEU、ロシアと米軍・NATO軍は一触即発の状況にあり、いつ核戦争・第三次世界大戦になるか分からないという状況では、ロシアとの友好関係を重視するル・ペン候補の当選が世界平和にとって望ましいことは理の当然であるようにみえます。その意味では、フランスの左翼・リベラルも、アメリカと同様、完全に死んだと言えるでしょう。

しかし、ただひとつ救われたことは、韓国の大統領選挙で「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏が新大統領に選出されたことです。これまでの韓国はアメリカの言いなりになって北朝鮮にたいする軍事演習をくりかえしてきただけでなくTHAADミサイルという超強力な攻撃兵器が配備され、ここでも一気に核戦争・第三次世界大戦への危機が高まりました。

この危機に関しては、アメリカでは、「ロシアとの核戦争も辞さない」「核戦争で脅かせばプーチン大統領もシリアに対する姿勢を変えるだろう」と息巻いて、超タカ派で知られているマケイン上院議員でさえ、「このまま北朝鮮を追い詰めると『窮鼠(きゅうそ)猫をかむ』のことばどおり、本当にキム・ジョンウンは核兵器を使うかも知れないと恐れたのでしょう、トランプ大統領に「外交交渉を優先せよ」と進言したというのですから、事態がいかに深刻だったかが分かります。

「アメリカは狂人のように暴力的な国だからいつ何時どのような攻撃を加えてくるか分からない」という、いわゆる「狂人理論」を武器にして、これまでアメリカは常に、あちこちの国を脅迫し服従させてきました。その「狂人理論」のお株をキム・ジョンウンに奪われて慌てふためいているのが、それを最も声高に叫んできたマケインなのですから、まるで漫画のような話です。しかし逆に言えば、それほど核戦争が目前に迫っていたとも言えます。

マケイン上院議員の発言について詳しくは下記のRTニュースを御覧ください。
‘Very last option’: McCain skeptical about preemptive strike on N.Korea
「北朝鮮を先制攻撃するのは最後の最後の選択:マケインは先制攻撃に懐疑的」

https://www.rt.com/usa/386683-mccain-preemptive-strike-korea-trump/

先述のとおり、幸いにも韓国では北朝鮮との融和的関係を重視する文在寅(ムン・ジェイン)氏が新大統領に選出されました。これでやっと東側の緊張関係は緩和され、核戦争・第三次世界大戦への危機は一時的に遠のきました。これはまさに平和を望む韓国民衆の勝利と言うべきでしょう。

ところで先日、知人から添付のような記事が届きました。「しんぶん赤旗に興味深いコラム」を見つけたからというのです。そこでは拙訳『肉声でつづる民衆のアメリカ史』(明石書店)を素材にした見事な論が展開されていて、感銘しました。

このような短い記事を書くのに、上下2巻にわたる高価な大冊を購入され、それを読破されたうえで素晴らしいエッセイを書かれた記者の筆力と情熱に、何か感動すら覚えました。そこで以下にそれを写真版(Jpeg)で紹介したくなりました。

しかも北朝鮮やシリア中東その他で、アメリカ・NATO諸国、そして湾岸王制独裁国家による戦乱と殺戮が続いているときだけに、このエッセイは、単にボブ・ディランのノーベル賞受賞という話題を大きく超えた、視野の広がりと鋭さを感じさせられました。

この記事の最期は次のように結ばれています。。

同書に載るディラン氏の曲は、軍需産業を皮肉った「戦争の親玉」です。スミス氏の曲は「民衆には力がある」。夢を実現するのは結束だ、私たちは世界を変革できる、と励ます歌詞です。不屈の民衆の運動に根ざすとき、文化は偉大な力を発揮し、歴史をつくる営みとなります。


まるで韓国の大統領選挙を思い起こさせるような結びではないでしょうか。それに比べて日本政府のアメリカ追随ぶりには本当に胸が痛みます。



赤旗20170408「こちら経済部―「パンクの女王」の励まし」『肉声でつづる民衆のアメリカ史」



<註1> ボブ・ディラン「戦争の親玉」、パティ・スミス「民衆には力がある」は下記で視聴できます。
Bob Dylan - Masters of War - lyrics
https://www.youtube.com/watch?v=exm7FN-t3PY (動画3分)
Patti Smith - People Have The Power
https://www.youtube.com/watch?v=pPR-HyGj2d0 (動画5分)

<註2> フランスでは「極右」として特権階級および大手メディアから総攻撃を受けているルペン候補について、アメリカの元政府高官PCR(ポール・グレイグ・ロバーツ)氏の見解を下記で読むことができます。
* Only Marine Le Pen Represents France
「フランスを代表しているのはマリーヌ・ルペンのみ」
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-aa00.html(和訳)
http://www.paulcraigroberts.org/2017/04/26/marine-le-pen-represents-france/(原文)

 またマクロン候補について、もっと詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
* 5月7日の選挙でフランスの時期大統領はオランドの後継者で巨大資本の奉仕者であるマクロンに
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201705090000/




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