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香港「逃亡犯条例」反対デモにおけるアメリカの役割、中国への「不安定化工作」

国際教育(2019/07/11) 香港「逃亡犯条例」、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)、ロンドンのエクアドル大使館、元司法長官ラムゼー・クラーク(Ramsey Clark)、国際行動センター(IAC: International Action Center)、

いまイギリスの牢獄で拷問状態にあるジュリアン・アサンジ
220px-Julian_Assange_August_2014.jpg assange-e1554979292892-640x400.png
         ロンドン警察によってエクアドル大使館から強制的に逮捕・連行されるアサンジ


 香港では、6月以来、「逃亡犯条例」改定に反対する大規模なデモが続いていますが、これについて大手メディアは、韓国民衆の声を反映するものとして、賛成したり後押しをしたりする論調で、ほぼ一致しています。
 これはかつて(2014年)香港で「オキュパイ・セントラル」、別名「雨傘革命」と呼ばれる運動が広がったときとよく似ています。このときも私は、この運動の広がり方に胡散(うさん)臭さを感じて、その疑問とその理由を下記のブログで詳しく展開しました。

*香港「オキュパイ・セントラル」、別名「雨傘革命」を考える、上
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-200.html(平和研究2014/10/16) 
*香港「オキュパイ・セントラル」、別名「雨傘革命」を考える、下
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-201.html(平和研究2014/11/17)

 この「雨傘革命」のとき、「レイバーネット日本」という独立メディアが、わざわざ香港から「雨傘革命」の活動家を香港から招き寄せ、「レイバーネット日本」がつくっている「レイバーネットTV」に登場させたことがあります。
 私は、このとき「レイバーネットTV」に電話をかけ、「雨傘革命」は中国包囲網を強化し中国を不安定化する工作として、CIAが裏で支援している可能性が強いから再考すべではないかと訴えました。
 しかし「レイバーネットTV」は、福島原発事故に抗議する「経産省前テントひろば」を支援し、日本のメディア界では最左派に位置する独立組織であったはずにもかかわらず、私の主張に全く耳を貸す気がないように思われました。
 日本の国内では、辺野古をめぐる攻防がますます激しさをましているときでしたから、次のように私は訴えたのですが、残念ながら彼らには通じなかったようです。
 「大金を費やして活動家を呼ぶのであれば、香港からではなく辺野古からにすべきではないか」「辺野古の生々しい声を本土のひとたちに紹介することこそ、『レイバーネットTV』のなすべき仕事ではないか」
 今回再び同じような動きが香港で広がっていますが、同じような胡散臭さを感じました。というのは、私の頭にすぐ浮かんできた疑問は次のようなものだったからです。

 本当に香港の民衆が、あれだけの大きなデモをして「香港で身柄を拘束された容疑者の人権」「容疑者の中国本土への移送」を心配するほどの気高い心の持ち主であれば、なぜ彼らは「ウィキリークス」の創始者=ジュリアン・アサンジの状況にたいしても抗議しないのであろうか。
 というのは、アサンジはエクアドル大使館に亡命していたにもかかわらず、国際法を踏みにじったイギリス警察によって強制的に大使館から引きずり出され、今や牢獄のなかで拷問状態にあり、アメリカからの強い要請で、いつアメリカに引き渡されるか分からない状況にあるからである。


 もっと偽善的なのはアメリカとイギリス政府の対応です。なぜならアメリカもイギリスも自分たちが世界中でおこなってきた今までの行為に頬被りしながら、他者に対して「人権を尊重せよ」と迫っているからです。
 これはまさに「天に唾する行為」と言うべきでしょう。というのは、イギリス政府はアサンジ氏を、国際法を踏みにじってエクアドル大使館から引きずり出し、アメリカ政府へ引き渡そうとしているにもかかわらず、香港政庁と北京政府にたいして抗議したり、お説教をたれたりしているからです。
 香港政庁は中国の領土内にあり、これは一種の内政問題でしょう。
 ところがアメリカ政府は、アメリカ人でもないアサンジ氏を(実はオーストラリア国籍、今はエクアドル市民権も付与されている)イギリスで強制逮捕させ(ロンドンはアメリカ領土でもない)、無実の罪を着せる裁判をイギリス政府におこなわせてアメリカに移送させる工作を、執拗に継続しているのです。

 こういうことを考えながら香港に関する報道を見聞きしていたら、長周新聞(2019年7月3日号)に、アメリカの反戦団体「国際行動センター」が「香港の抗議行動におけるアメリカの役割」という声明を発表しているとして、その要旨を紹介する記事を載せていることに気づきました。
 しかし、この紹介記事では、それがいつの声明であり、原文はどのようなものであったのかの記述が全くなかったので、電網(インターネット)であちこち検索した結果、やっと英語原文と声明の日付および「国際行動センター」の正式英語名を見つけることができました。
 そこで、長周新聞の翻訳を紹介すると同時に、声明の原文・日付および「国際行動センター」の正式英語名も以下に載せておきます。(調べているうちに、この International Action Centerという団体は、ラムゼー・クラーク元司法長官が1992年に創立した団体であることが分かりました。)


香港の抗議行動におけるアメリカの役割
国際行動センター(IAC)が声明 20190620
U.S. Role in Hong Kong Protests  
International Action Center Statement:  
https://iacenter.org/2019/06/20/international-action-center-statement-u-s-role-in-hong-kong-protests/


 「アメリカ帝国主義は、尊厳、主権、人権のためにたたかっている世界の人民の最大の敵である。ウォール街と金融資本は、世界中の三〇カ国以上にある八〇〇をこえる軍事基地、空母、絶えまないクーデター、暗殺、ドローン攻撃および飢餓制裁によって、その支配を維持している。またウォール街は、アメリカ民主主義基金を使い、世界中の何千もの非政府組織、反動的な政党へおよび腐敗した独裁者との同盟に資金を供給している。

 アメリカの援助と介入は人権や民主主義を保護したことがない。

 逃亡犯条例の改定案への最近の大規模な抗議行動は香港を揺がした。集団デモの側に集まる支持は自然な反応だ。だが、より深く見て、どの勢力が運動の背後にいるのか、そしてだれが恩恵を受けるのかを考えることは革命家の義務だ。

背景

 イギリスは一八四二年の最初のアヘン戦争でへ中国から香港を盗んだ。アヘン戦争をとおして、イギリスとアメリカはアヘン皿易、不平等条約と占領を押しつけた。一〇〇年にわたる帝国主義者の略奪は、発展途上の中国に貧困をもたらした。
 一九四九年の中国革命の勝利は中国を根本的に変え、社会主義を築くための努力を始めた。しかし、一九四九年から一九七九年までの三〇年間、中国はアメリカと西欧の帝国主義国によって完全に封鎖されてきた。
 一九七九年、鄧小平のもとで始められた「改革・解放」から、中国は資本主義的な市場改革への譲歩をおこなった。これは先進国からのいくらかの技術ど資本の導入を中国にもたらしたが、それは悪魔との取引であり、中国のブルジョア階級を強化した。
 一九九七年、イギリスの植民地時代の法的・司法制度の大部分を維持した「一国二制度」の原則のもと、香港は中国に返還された。
 香港は世界金融資本のセンターである。中国本土の何億もの人民を極度の貧困から解放し、高水準の医原へ教育、そして現代的なインフラを提供してきた社会的基準と、非常に敵対的だ。
 金融資本は中国への強い浸透をもたらした。香港は西側の活動拠点であり、社会主義の基盤を脅かす中国のブルジョア階級の成長を促進している。今日の中国は、復活したブルジョア階級と計画された経済を維持し拡大するための中国人労働者や農民の願望とのたたかいを特徴とする、非常に矛盾する社会である。
 現在の香港での抗議で理解しなければならないのは、この闘争、そして拡大する米軍の包囲と中国への貿易戦争の文脈のなかで起きていることである。香港の金融資本の力と、アメリカとヨーロッパの彼らの同盟国は、香港を中国から引き離そうとしている。そうすれば、それはこの地域の経済的「政治的前進基地として機能させることができる。これは、中国との法的および政治的統合を可能な限り制限することを意味する。この目的のために、アメリカは抗議行動のために広範な政治的、財政的およびメディア的支援を提供してきた。

香港の抗議行動についての事実

 最近の抗議活動を指揮している民間人権戦線の複数の加盟組織は、NEDから資金を受けとっている。何万人ものスタッフを擁するNGOが香港では登録されており、その多くはアメリカとヨーロッパから資金を受けとっている。
 民間人権戦線の創設者であるマーティン・リーは、抗議のあいだに米国務長官のマイク・ポンピオと会談した。ポンピオは、会議で抗議行動への支持を表明した。実際に抗議行動が進歩的な役割を果たしているのなら、それはアメリカ帝国主義の反動的な力に支持されることはないだろう。香港の独立した司法・法制度はイギリスの植民地主義の遺物である。
 何十億ドルもの西側からの資金援助にもかかわらず、香港の貧困率は二〇%(子どもは二三・一%)である。中国本土では一%未満である。過去二〇年間で香港の貧困はいぜんとして高いままである。また、最近の抗議行動は、二〇一四年に香港でおこなわれた「オキュパィ・セントラル」抗議行動(雨傘運動)とよく似ており、この問題を提起していない。抗議行動は、中国本土と結びついた指導体制に向けられており、アメリカに関連する銀行や香港に拠点を持つ超裕福な資本家、そして貧困やその他の深刻な問題などを無視)ている。
 アメリカは、言論の自由に関心を持っていると主張する一方で、アメリカ帝国主義の犯罪を暴露したジュリアン・アサンジの引き渡しを強く要求
している。
 ガザ(パレスチナ自治区)、ホンジュラス、スーダン、イエメン、フランス、または最近のブラジルでの大規模な抗議行動についての報道は少ない。それとは対照的に、欧米の企業メディアは香港の抗議について熱心に報道し続けている。報道の違いは、抗議行動の背後にある力の違い、だれが抗議の恩恵を受けるかの違いをあらわしている。
 アメリカ帝国主義には進歩的な装いでアメリカの目的をかくす「カラー革命」の長い歴史がある。香港の世界金融資本の部隊はアメリカの帝国主義と同盟しており、社会主義的所有と中国共産党による中国の指導に反対している。

アメリカは中国から手を引け! 香港は中国の一部だ!


<註> 
 冒頭で述べたように、ラムゼー・クラークは湾岸戦争が終わったあとの1992年に国際行動センター(IAC:International Action Center)という団体を創立ししました。それは、自分の祖国であるアメリカが嘘をついてワンが戦争を始めたことを知って、2度とこのような戦争を起こさせないための団体をつくる必要を痛切したからでした。
 そして民主党ジョンソン大統領の下で司法長官を務めた経験を生かして、湾岸戦争を裁くための「国際戦争犯罪法廷」を開廷し、祖国アメリカの戦争犯罪に有罪判決をくだしたのでした。これは、イギリスの哲学者バートランド・ラッセルがおこなった「ベトナム戦争国際市民法廷」に倣(なら)ったものでした。
 この「湾岸戦争を裁くための国際戦争犯罪法廷」を記録し出版したものが『ラムゼー・クラークの湾岸戦争―いま戦争はこうして作られる』(地湧社1994/)です。しかし残念ながら、ブッシュⅠ世が湾岸戦争を起こした後、息子のブッシュⅡ世がまたもや嘘をついてイラク戦争=第2次湾岸戦争を起こしたのでした。
 アメリカ人、とりわけアメリカの大手メディアは、歴史からほとんど学んでいないことが、これでよく分かります。

ラムゼー・クラーク (2) ラムゼー・クラーク





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