FC2ブログ

裁判官こそ被告席へ――東京電力の旧経営陣に「無罪」判決!?

福島原発事故(2019/09/23) 東京地裁(永渕健一裁判長)、東京電力の旧経営陣(勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長)、『絶望の裁判所』 『あざみの花』

東京オリンピックの危険性 『あざみの花』


 東京地裁(永渕健一裁判長)は、2019年9月19日(水)に、業務上過失致死傷罪で起訴されていた東京電力の旧経営陣3人(勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長)に無罪を言い渡した。
 永渕裁判長らは、2011年3月11日に起こった東電福島第1原発の事故にたいして、被告3人に法的な責任はないと判断したわけですが、これにたいして「一点の曇りもない不当判決だ」という非難が起きて当然でしょう。

 しかし、もう一つここで考えておきたいことがあります。それは、このような判決が出ることは初めから予想されたことでもあった、ということです。
 なぜなら、原発が建てられ始めたとき、「原発は危険だから」という理由で、日本全国に反対運動が起き、数多くの裁判闘争がおこなわれました。が、その多くの判決で裁判官は「原発は安全だ」として建設を許可する判決を出してきました。
 ところが福島第1原発の事故をみれば分かるように、このような裁判官の判断は間違っていたことが立証されました。だとすれば、福島第1原発の事故でたくさんの死者・被災者・被爆者を産みだした責任は裁判所にもあるわけです。
 ですから9月19日(水)、東京電力の旧経営陣3人に有罪判決を下せば、今まで「原発は安全だ」として建設を許可する判決を出してきた裁判所・裁判官も、必然的に同時に有罪とならざるを得ません。
 だとすれば、9月19日(水)に東京電力の旧経営陣3人にたいして無罪判決を下すであろうことは、初めから予想されていたことではなかったでしょうか。
 だとすれば、この裁判の被告は、東電幹部ではなく、まず第一に福島第1原発の建設を許可した裁判所・裁判官であるべきではなかったのでしょうか。
 瀬木比呂志『絶望の裁判所』 (講談社現代新書、元裁判官の内部告発書)という本が示すとおり、日本の裁判所はすでに絶望的なのです。いま日本が必要としているのは、裁判官を裁く裁判所ではないでしょうか。

 すでに福島では甲状腺癌など二次被曝で苦しんでいる被爆者・子どもたちが着実に増えています。そのことを大手メディアは正しく伝えていません。原発事故の現場で働く労働者の間で被爆死するひとたちの実態も報道されていません。
 幸いなことに前回のブログでも紹介したように、『東京五輪がもたらす危険』という本が緑風社から9月13日に発売されました。これを読めば福島における二次被爆の実態がはっきりと分かります。

 ところで、広島や長崎で原爆投下の直後に被爆したひとの手記は広く知られていますが、原爆投下のあとに知人や親戚を訪ねて二次被爆したひとの手記は、それほど知られているとは言えません。
 そこで私事になりますが、私が頼まれて英語に翻訳した絵本をここで紹介したくなりました。絵本『あざみの花』は、原爆が投下された後の広島を訪れた母親が、二次被爆したあとにたどった悲惨な日々を、娘の視点から語ったものです。
 原本は2017年に出版されたものですが、出版元の長周新聞社から「この絵本を英訳して外国人にも知らせたいのですが誰か適当なひとがいないでしょうか」とメールが届いたので、研究所でプロジェクトチームをつくって取り組むことにしました。
 最初は英訳本として出版されるものと思っていたのですが、最終的には和英対訳の絵本となりました。出来上がったものを見ると、表紙も一新され、もとの絵本よりも読みやすい体裁になったので、この方が結果としてはよかったか、と思いました。
 それはともかく、これを読んでいただければ、福島で二次被爆したひとたちが今後どのような将来を生きることになるのか、その一端を暗示してくれる本としてお役に立てるのではないかと考えています。
 以下は長周新聞社から届いた反響の一部です。


寺島隆吉先生
 先日は『あざみの花』の普及について的確にお答えできず、ご心配をおかけし申し訳ございませんでした。
 広島の「原爆と戦争展」では、10冊ほど普及されていました。うち外国人は2人でした。平和公園での展示(販売不可が条件)では、見本を読んだ外国人から、新鮮な感動が寄せられています。
 あるアメリカ人(若い女性)は「原爆については建物が崩壊するイメージはあったが、この本は、被爆した家族や人の内面から原爆をとらえることができる」と語っていました。これは今のところ、外国人からの共通した反響だといえます。
 また、広島の「原爆と戦争展」展示会場で『あざみの花』を知って、後で長周新聞社に購入を求めてきた人もいます。広島の書店:丸善・弘文館では書棚に縦積みで展示しています。
 取り急ぎ、簡単な連絡のみで、失礼します。

追伸)ご存じかとも思いますが、アマゾンの感想に「後世に、そして世界で読み継がれたい本」として次のようなものがありました。

 原爆は絶対悪だということを改めて思い知らされる1冊であり、後世にそして各国で広く読み継がれてほしい一冊である。
 被爆した母の最期までの様子を実の娘が書いた文章であるが、実の娘だからこそ書けた文章と表現である。また、心に強く迫ってくるのは父の姿である。妻を介護する夫としての深い愛情と苦悩が痛いほど読み手に伝わってくる。内容は実際に手にとって読んでもらいたいと思います。
 翻訳も大変すぐれた英文であり、同じページ上で原文の下に載せられているため日本文と比較して読めることも大変ありがたい。すぐれた英訳によって広く世界で読み継がれることが可能になったことが嬉しい。英語学習の教材としても広く用いられることを願います。
 監修者の寺島隆吉氏、翻訳者の山田昇司氏と寺島美紀子氏は、寺島メソッドで名著を数多く世に問うてきた方々である。また、寺島隆吉氏、美紀子氏はチョムスキー等の翻訳も数多く出版されている。「あざみの花」を読んで、その方々が英訳することを決めた理由がよく分かる。また、そうした方々による英訳であるが故に、分かりやすく優れた翻訳になっていると納得させられる。
 この本を手にとって読まれること、そして周りの人に紹介され、より多くの人が原爆被害の実相を心に刻む機会になることを願う。それだけの内容をこの本はもっている。


<追記> 
 ウィキペディアは、勝俣恒久元会長に関するエピソードとして、「2013年には、アラブ首長国連邦のドバイの高級マンションで暮らしていると報じられた」と書いています。その出典として下記のURLをあげています。
http://taishu.jp/politics_detail647.php
関連記事
スポンサーサイト



 「東京五輪の即刻中止」「今すぐ全原発の停止」は、「行き過ぎ」「非現実的」か

国際教育(2019/09/15) 元スイス大使・村田光平、原発専門家アーニー・ガンダーセン、東海村JCO臨界事故、東海村「東海再処理工場」、東海第二原発(茨城県、日本原電)は別名「東京原発」

「東京湾の放射能汚染は今」
東京湾の放射能汚染『東京新聞』
出典 https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/824

1 はじめに
 私が前回のブログを載せると翌日に私の主宰する研究所の研究員から次のようなメールが届きました。
「先生が上げてくださったブログをFacebookでシェアしたところ、ドイツ在住の私の教え子から以下のような興味深いコメントが来ました。なお、本人に了解をとっていないので、転載等はご遠慮いただければありがたいです。」
 そこで早速、ドイツからの便りを非常に興味深く読ませてもらいました(仮にDさんとさせていただきます)。
 研究員から届いたメールには「なお、本人に了解をとっていないので、転載等はご遠慮いただければありがたいです」と書いてあったので詳細は割愛させていただきますが、Dさんの鋭い日本評に感心しました。
 また、欧州から見ると日本がどのように見えているのかがよく分かる便りで、私がブログで書いたことが誤りでなかったことを再確認できて非常に有難いものでした(これも上記の事情で詳細は割愛)。
 しかし、いくつか気になるところも散見されました。たとえば次の箇所(下線部)です。
さすがにオリンピック中止とかは行き過ぎだと思うんですが、放射線とか福島原発については欧州全体でもまあ割とこんな感じで解釈されています。
 「今すぐ原発全停止!みたいな非現実的なことは言いませんが、事故後の処理といい、煽り運転と反韓と天気予報ばっかり報道して福島のこと全然取り上げないメディアといい、ほんと日本国民として情けなくなっちゃいます。」

2 オリンピック中止は「行き過ぎ」か
 Dさんは上記で、「さすがにオリンピック中止とかは行き過ぎだと思うんですが」と述べています。
 しかし、東京オリンピックは「二次被曝」という殺人行為を参加者に強いるという意味で、ニュルンベルク裁判で言う「人道に対する罪」にあたります、
 福島や東京がどれくらい深刻な事態であるかは、大手メディアが報じませんから、知らないのは日本人ばかりなりです。
 具体的には近刊の『東京五輪がもたらす危険』を読んでもらうのが一番ですが、私のブログを丁寧に読んでもらえば、かなりの程度は分かってもらえるはずです。
 特に「追記3」を読んでもらうだけでも、東京の現実をかなりの程度は分かってもらえるはずです。リンクの東京新聞は地方紙ですが、その取材力に感心します。
 さらに私がブログでリンクを貼った動画を丁寧に時間をかけて試聴してもらえば、もっと具体的な事実が明らかになり、それらはDさんの胸を打つはずだと確信しています。
 それでも足りなければ元スイス大使だった村田光平氏の次の訴えを読んでみてください。つまり、オリンピック中止は決して「行き過ぎ」ではないのです。
 (ただし、これを読むのは私のブログのリンク記事を試聴してからにしてください。)

*オリンピック中止を求めて国際オリンピッ ク委員会のBach会長宛にメッセージ&カーター米元大統領宛のメッセージも。
http://drrimatruthreports.com/murata-san-international-action-for-tokyo-2020-olympics-rad-risk/
*村田光平氏へのインタビュー
https://www.data-max.co.jp/article/28745
https://www.data-max.co.jp/article/28747/
*村田光平氏の公式サイト
http://kurionet.web.fc2.com/murata.html#anchor54

元スイス大使、村田光平
村田光平 (2)

3 原発全停止は「非現実的」か
 Dさんは更に上記で「今すぐ原発全停止!みたいな非現実的なことは言いませんが」と述べています。
 ドイツでは「2022年には原発が全て停止する予定」であり、そこに住むDさんから、まさかこんな言葉が出てくるとは思いませんでした。
 しかし、すでに日本の原発は東日本で稼働中のものはありませんし、西日本で稼働しているのは5原発だけです。ですから決断すれば原発全停止は容易にできます。
 しかも、これらの原発も安全対策の費用がかさみ、経済的には採算が取れないので、できればやめたいのですが、政府(実は裏のアメリカ)がやめさせないのです。実は本音のところ原発会社もやめたいのです。
 それはともかく、村田光平氏が語る次の事実を見てください。
* 「東海第二原発」(日本原電)は別名「東京原発」とも言われています。その理由は東京からわずか110kmしか離れていないので、一度事故が起これば、最悪の場合は首都機能が麻痺し、首都圏壊滅≒国家壊滅です。
* 東海第二原発から東京駅まではたった116kmしかありません。爆発後322分(風速毎秒6mで約5時間)で東京に放射能が到達します。30km圏内に約100万人、150km圏内には3,000万人、250km圏内には少なくとも5,000万人がいます。
* さらに、東海第二原発の近くには原子力施設がたくさんあり、連鎖重大事故で放射能を大量放出する危険性が指摘されています。わずか2.8kmに「東海再処理工場」があり、大量の高レベル廃液、プルトニウム溶液が貯蔵されています。ほかにも、東海村には、JCO、原研、核燃サイクル研究所、三菱原燃などが集中しています。
https://www.data-max.co.jp/article/28747
 つまり地震大国である日本では、いつどこで大地震が起きても不思議ではないのです。しかも、その地震が原発を大揺れさせれば、停止している原発であっても、「再臨界」が始まる可能性があり、それは首都圏あるいは日本を壊滅させます。
 ですから「今すぐ原発全停止」は非現実的どころか、すぐにでも「停止」ではなく「廃炉」を現実化させないと日本が崩壊する危険性が大きいのです。しかも地震学者は、首都直下型や東南海大地震は「いつ起きても不思議ではない」と警告を発しています。
 さらに言えば、福島の事故はチェルノブイリ事故よりも大きかったのですが、日本が壊滅しなかったのは、その時の風向きが太平洋だったからにすぎない――これが専門家(たとえばアーニー・ガンダーセン)の一般的見解です。
 だとすれば、何度も言うように、「今すぐ原発全停止は非現実的」どころか、今すぐにでも現実化させないといけないのです。さもないと福島の悲劇がまたもや繰りかえされることになります。日本が壊滅するかも知れません。
 福島のひとたちは今でも裁判闘争を闘っていますが、政府の意向をくんだ裁判官たちは、被災者たちの訴えに耳を貸すつもりはないようです。そして政府は「福島は安全だ」という宣伝をオリンピックに向けてふりまくために、避難者に半ば帰郷を強制しています。
 また、福島に住む子どもたちに甲状腺癌が確実に増えているのですから、このような状況のなかで「今すぐ原発全停止は非現実的」などと言われた被災者たちは、どんな思いで、そのことばを受け止めるでしょうか。
 ノーベル文学賞の対象となった『チェルノブイリの祈り』は、ベラルーシの作家スベトラーナ・アレクシエービッチによる著作ですが、この作品で描写されている世界は、ベラルーシの被災者だけのものではなく、福島のひとたちのものでもあるのではないでしょうか。
800px-東海第二発電所所周辺の過去1年間の地震の震源分布と地殻変動-1
出典:ウィキペディア「東海第二発電所」


<追記> 時間がある方は次のリンクも視聴してみてください。福島原発の事故が起きた当初の記憶や恐怖感が、まざまざと甦ってくるのではないでしょうか。

*オリンピック開催の罪深さを指摘し村田光平氏を評価するBRIAN博士(オックスフォード大学付属仏教研究所研究員、前国際日本文化研究センター客員研究員)の論評
http://kurionet.web.fc2.com/Brian20151106.html (Japan Times掲載)

*東京オリンピックを中止せよ「元スイス大使 村田光平氏は反原発だけでなく東京オリンピック中止を求めるメッセージを世界中に送っている。IOCにも送った、、、当然反応はない(懐に入れてしまった札束は手放すに忍びないのだろう。哀れな金の亡者たち )」
https://cocomerita.exblog.jp/28171971/

*動画「フクシマ――最悪事故の陰に潜む真実」(1~4)
ドイツで製作されたもので日本では絶対に見られない事実を伝えています。

https://youtu.be/VjY_55gd9wU
https://youtu.be/HPPJJyuZ844
https://youtu.be/GjwQHW78Afs
http://youtu.be/ammCzi7lcoQ
(2012/04/08 に公開、21万951回の視聴)

関連記事

外国では「放射能五輪」と呼ばれている東京オリンピック――安倍政権は「二次被曝=人道に対する罪」を犯しつつある、即刻中止を!

国際教育(2019/09/08) 放射能五輪、被曝オリンピック、「人道に対する罪」、東京も安全ではない、日本海すら汚染される、被災者「棄民」と確率的「大量殺人」、グリーンピース・ドイツ事務所のショーン・バニー首席原子力専門家

福島全土に広がる汚染土の袋
福島を埋め尽くす汚染土
https://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/51c11a6af97c6e4214a2f75006d82c6d
「そんなに安全なら、汚染土の再生利用は、まず東京オリンピックのための工事に東京都で使えばよい」


 私がいつも「地震と原発事故情報」をメールで送ってもらっている「たんぽぽ舎」から、2019年8月19日(月)の日付けで、次のような情報【TMM:No3723】が送られてきました。

福島第一原発汚染水の放流時、放射性物質の一部が1年内に東海(=日本海)に流入、「中央日報日本語版」8/14(水)17:03配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190814-00000046-cnippou-kr 


 しかし上記のURLをクリックしても次のような表示が出てきて、肝心の情報が読めませんでした。

指定されたページを表示できませんでした。記事がありません。すでに削除された可能性があります。Yahoo!ニュースのトップページへ5秒後に移動します。


 最近アメリカでも頻発しているのですが、反政府的言動がサイトから削除されていたり、それどころか、GoogleやFacebookでは、トランプ支持の言動が削除されるという事件すら起きています。
 GoogleやFacebookは「リベラル」を標榜し、前回の大統領選挙では大手メディアと一緒になってヒラリー女史を応援することをやってきましたが、今やトランプ支持の言動すら自分のサイトから削除するようになってきています。
 国家が検閲し削除するというのは明らかなファシズム的行為ですが、民間サイトの経営者がこういうことをやり出すと、「言論の自由」を声高に叫んできたアメリカはどこへ行ったのかと言いたくなります。
 それはともかく、上記のような事情で仕方なく、「たんぽぽ舎」のML編集部に次のようなメールを送りました。

いつも参考になる記事をありがとうございます。下記の記事【TMM:No3723】が削除されたのか見つかりません。誰か保存されている方があれば再掲を御願いできないでしょうか。


 すると2~3日後に下記のような返事が届きました。

たんぽぽ舎、**です。以下の頁で見つけました。お役に立てば…
https://japanese.joins.com/article/582/256582.html?servcode=A00§code=A00

 
 さっそく上記URLをクリックしてみたらグリーンピース・ドイツ事務所のショーン・バニー首席原子力専門家による詳しい「福島汚染水危機」の報告が紹介されていました。
 読んでみると非常に深刻な事態が、太平洋岸どころか日本海にまで押し寄せてきてることが分かり、ぜひ皆さんに知っていただきたいと思い、このブログに再録することにしました。
 詳細は以下を御覧ください。

福島汚染水の放流で、放射性物質の一部が1年内に東海に流入
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]2019年08月14日15時47分

福島に積まれている放射性汚染水を海に放流する場合、放射性物質の一部は1年内に東海(トンへ、日本名・日本海)に流入する可能性があることが確認された。

グリーンピース・ソウル事務所と「脱核エネルギー転換 国会議員の会」は14日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)国会議員会館で「福島汚染水危機」報告書の著者であるグリーンピース・ドイツ事務所のショーン・バニー首席原子力専門家を招いて記者懇談会を開いた。

バニー氏は最近、寄稿文を通じて福島汚染水問題提起を提起した。

バニー氏はこの席で、昨年8月に金沢大学の猪股弥生教授らが国際学術誌『オーシャンサイエンス(Ocean science)』に掲載した論文を紹介した。

この論文で猪股教授らは「福島事故当時に放流した放射性物質が表層水を通じて南シナ海を経て日本海に入るのに約1年ほどかかる」と明らかにした。

研究チームはまた、日本列島南側の「亜熱帯モード水」(Subtropic Mode Water、STMW)に入り込んだ福島放射性物質も数年かけて東海に入ることが確認されたと付け加えた。

モード水は水温など物理的特性が似た水の塊り(水塊)のことを指す。

亜熱帯モード水として放流されたセシウム(Cs)-137の量は4200兆ベクレル(Bq、放射能測定単位)であり、このうち5%に該当する200兆Bqが2016年以前に東海に流入したと推算されている。

また、東海に入ってきたもののうち43%(亜熱帯モード水として流出したものの2.1%に該当)の90兆Bqは再び津軽海峡を通じて北太平洋に抜け、30兆Bqは沿海州を通じてサハリン側に流れ出たということだ。残りの90兆Bqは東海に残ったといえる。

一方、バニー氏は「福島第1原発には毎週1497立方メートルずつ放射性汚染水が増えていて、今月1日基準では合計104万9767立方メートルの汚染水が保存されている」とし「日本・安倍政権はこの汚染水を太平洋に放流する計画を推進している」と指摘した。

バニー氏は「汚染水100万立方メートルを海に流すには17年間かけて水7億7000万トンで薄めなければならないが、現実的に海洋汚染なく放流することはできない」と明らかにした。

バニー氏は「汚染水が海流を乗って海を循環し、太平洋沿岸の国々も放射性物質にさらされるおそれがあり、韓国は危険から抜け出すことは難しい」と話した。

バニー氏は「安倍内閣は費用を減らす目的で最適合の技術よりも値段が安い技術にこだわって除染(放射性物質除去)に失敗した」とし「放射性物質である三重水素(トリチウム)を除去できる技術は価格が高いとして断念して汚染水を処理できなかったが、今後は海に汚染水を捨てようとしている」と批判した。

バニー氏は「危険から国民を守るために韓国政府は日本政府に福島汚染水に対する説明と情報を要求する権利があり、問題を提起しなければならない」と付け加えた。

「脱核エネルギー転換 国会議員の会」の禹元植(ウ・ウォンシク)代表は「日本政府が汚染水の処理に失敗した事実を数年間にわたり隠蔽してきた状況で福島が安全だという日本政府の主張は信頼できない」とし「日本が汚染水を放流する場合、人類に対する犯罪行為になるだろう」と指摘した。


1914l.jpg

 最近の私は自宅でも太平洋岸の魚介類は食べないようにしていますし、どこかホテルで泊まるときには肉類はもちろんのこと、魚介類も日本海のもの以外は断ることにしていたのですが、このままでは日本海の魚介類も食べれないことになりそうです。
 しかし事態は食べ物どころか、息をするときの空気ですら危険な状態にあります。最近の日本では、全国のスポーツ大会や全国の合唱コンクールなど、何かの全国大会があるたびに、福島が会場として選ばれることが珍しくなくなってきています。

 福島から汚染水が垂れ流されているだけでなく、汚染土を詰め込んだ黒い袋が福島全土に広がっています。しかも、そこからは風に乗って放射能が絶えず福島全土に広がっているのです。
 そんなところでスポーツをする選手は、大きな呼吸をしながら走り回るのですから、どれだけの汚染された空気を吸い込むことになったのか。合唱コンクールで大声をだして唄う生徒たちも、どれだけの汚染空気を吸い込んで福島を後にしたのでしょうか。
 考えただけでも恐ろしくなります。

 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では、政府はバスを何百台、何千台も仕立てて住民を迅速に強制移住させました。そしてソ連政府は、その移住した住民のために、チェルノブイリから北東約50キロの、汚染が少ない地区で、スラブチチという町を建設しました。
 ところが我が政府は、福島県民を強制移住させるどころか、汚染土を詰め込んだ黒い袋から放射能汚染された空気が飛び散り、それが全県に広がりつつある福島に帰還させようとしているのです。

 安倍首相が「福島は完全にコントロールされている」と嘘をついてオリンピックを日本に誘致した手前、それを証明するために福島県民を人身御供として差し出しているのです。そして、その犠牲になるのは福島県民だけではありません。
 なぜなら、福島で開かれる球技に参加するオリンピック選手や、それにボランティアという名で無償奉仕させられる学生たちも内部被曝する大きな危険性があるからです。その証拠に欧米のメディアからも、東京五輪にたいする強い疑問・批判が続出しはじめした。

*世界から「放射能五輪」と呼ばれる、日本のヤバさ!
福島の汚染水の太平洋放出にも外国人ブチギレ… 被曝のウソも!

https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201811_post_18649/

 ですから日本の実態を知らないのは、むしろ日本人なのです、主会場になる東京ですら危険地域は少なくありませんし、汚染水が流れ込む東京湾(特に [「お台場」付近)も安全ではありません。
 こう思っていた矢先に、『東京五輪がもたらす危険』という本が緑風社から9月11日に発売されることを知りました。またもや「たんぽぽ舎」からの知らせでした。詳しい内容は下記を御覧ください。

*東京五輪の危険を訴える市民の会『東京五輪がもたらす危険――いまそこにある放射能と健康被害』
http://blog.torikaesu.net/?eid=83
http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-1914-0n.html

 私がもうひとつ心配しているのは、ちょうどオリンピックが開かれているときに強度の地震が起きて、停止している各地の原発が自動的に再稼働したどうなるか、ということです。まして、それが首都直下型地震と重なった場合、どんな惨状になるか。考えただけでも恐ろしくなりませんか。

 こんなことを私が考えるようになったのは、チョムスキー『アメリカンドリームの終わり――富と権力を集中させる10の原則』(Discover21、2017)の出版祝いを兼ねたクリスマスパーティーに招かれて、タクシーに乗ったとき、その運転手が「いつ首都直下型地震が起きてもおかしくないから自宅ではそのための備品を欠かしたことがない」と言ったときからでした。
 今の安倍政権には、このような事態に対する想像力が全く欠けているように思えてなりません。


<追記1> この記事を書くために検索していたら次のようなサイトにぶつかりました。非常に印象深いものでしたから時間があるときに覗いてみてください。
*フレコンバック(汚染土袋)に埋もれた「我が村」~福島県飯舘村・葛尾村を訪ねて
http://www.labornetjp.org/news/2015/1020sasaki
*報道特集「汚染土と復興~東日本大震災から8年」20190309
そんなに安全なら、汚染土の再生利用は、まず東京オリンピックのための工事に東京都で使えばよい。汚染土再生利用の脅しと欺瞞!

https://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/51c11a6af97c6e4214a2f75006d82c6d

<追記2> 『東京五輪がもたらす危険』の編集主幹者である渡辺悦司氏は、本書の序文と解題を試みた後、最後に次のように述べています。

 本文と上記の追加の根拠を全て総合すると以下の結論が出てくる。
 ドイツの医師団体(IPPNWドイツ支部)が警告するように、東京2020は「放射能オリンピック」「被曝オリンピック」となることは避けられない。全世界の最高のアスリートと全世界からの観客・訪問者が被曝リスクに曝される重大な危険が迫っている。
 東京オリンピックは、日本政府が行っている原発事故被害者・避難者切り捨て政策、帰還者への「棄民」政策=「大量殺人」政策の一環であり、知らずに参加したり無批判にその観客となることは、日本政府のそのような試みを黙認し容認する共犯につながりかねない。
 東京で開催されようとしているオリンピックは「人間の尊厳」を損なうものである。オリンピック憲章の規定する「オリンピズムの目的」すなわち「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」に真っ向から反している。
 日本政府は東京オリンピックを返上すべきであり、各国のオリンピック委員会は東京オリンピックをボイコットし、国際オリンピック委員会は本書に述べた全根拠により東京オリンピックを中止するべきなのである。


<追記3> たんぽぽ舎【TMM:No3728】2019年8月24日(土)によれば、『東京五輪がもたらす危険』編集主幹の渡辺悦司氏は、「本書を取りまとめた後で、さらに深刻な事実が次々明らかになってきています」として、次のように述べています。

◎ 例えば、テスト大会が行われているスイミング会場の東京「お台場」の底土は、放射性セシウムにより、91Bq/kgのレベルで汚染されています(大腸菌レベルや水質の不備は言うまでもなく)。
東京新聞2018年10月17日の記事「東京湾の放射能汚染は今」
https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/824

 「お台場」の近くには、底土汚染が168Bq/kgや189Bq/Kgの箇所もあります。しかも、このようなセシウムは「不溶性」の放射性微粒子形態をとっている可能性が高く、海水に浮遊しているでしょうから、肺内に吸着すると長期にわたって排出されないでしょう。
 本書で分析しております通り、不溶性微粒子は、NHK番組でさえ70~180倍、欧州放射線リスク委員会ECRRのデータに基づくわれわれの計算では、外部被曝およびカリウム40の内部被曝の数千倍も危険なものです。
NHK番組は:https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3986/
ECRRは:http://www.jca.apc.org/mihama/ecrr/ecrr2010_chap6_9.pdf

 これを1個でも体内に取り込めば、選手たちは生涯にわたり被曝リスクを負うことになります。このようなところで、世界の選手たちを泳がせて何とも思わないという日本政府や日本スポーツ界上層部の神経は、何と形容したらよいのでしょうか?決して許してはなりません。

◎ 東京葛飾区の水道水も、日本政府の測定でも0.00481Bq/kgのセシウム汚染が見つかっています(2018年6月の蛇口水の測定)。
原子力規制庁のサイトは
https://radioactivity.nsr.go.jp/ja/list/194/list-1.html
 これは一般家庭(年間の水道使用量を30万リットルとすると)では、年間に1500Bq程度の汚染を受けるレベルです。



関連記事
検索フォーム
プロフィール

狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

Author:狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

リンク
最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
RSSリンクの表示
QRコード
QR