Qアノン現象からみるアメリカ政治の惨状――第二の南北戦争かと思わせるほど内乱状態にあるアメリカ

https://premium.toyokeizai.net/articles/-/18949
いまアメリカは混乱の極致です。国内では民主党があらゆる手段を使ってトランプを引きずり落とそうと躍起になっています。
大富豪のジョージ・ソロスも、オレゴン州ポートランドなどで極左的な行動を展開しているAntifaやBlackLivesMatterの運動に対して裏で大量の資金を提供しています。驚いたことに民主党幹部も、この混乱を支持しているのです。
東欧や中東で数々の「政権転覆」「カラー革命」を裏で先導したソロスが、今度は、アメリカ国内で、このような運動を裏で支援しているのですから、今までの経過を知っているひとにとっては、頭が混乱するような事態です。
しかし、ソロスにとってはトランプを引きずり下ろすことが至上課題ですから、混乱をできるだけ大きくして、それをトランプがきちんと処理できないことを口実にして、「大統領弾劾」「トランプ叩き」の攻撃材料にしたいのでしょう。
考えてみれば、トランプは選挙で正式に選ばれた大統領ですから、それをImpeachment「大統領弾劾」というかたちで任期途中で引きずり降ろそうとするのは一種の「政権転覆」です。だから、ソロスにとっては、これもやはり「カラー革命」なのかもしれません。
*America’s Own Color Revolution
https://www.globalresearch.ca/america-own-color-revolution/5716153
F. William Engdahl、Global Research, June 17, 2020
また大手メディアもGoogleやFacebookも、この動きに賛同して、一貫して「トランプ叩き」に熱中してきました。トランプがポートランドに軍隊を出動させると言ったとき、それに最も反対したのも民主党幹部や大手メディアでした。
他方、トランプも大統領選に勝利するためには、何か大きなことをしなければなりません。だからこそイランの高官(カセム・ソレイマニ司令官)を暗殺したのでしょう。
だからこそ、また中国を悪魔化して世論をそちらのほうに向けるよう努力しています。できれば中国との戦争に持ち込みたいのかも知れません。なぜなら、夭折の天才ランドルフ・ボーンがみごとに喝破したように、「戦争は国家の健康法」ですから。
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-294.html
ブッシュ大統領も支持率が一番低下したときにアフガンやイラクへの戦争にのりだしました。ですから、これがそのままの状態で深刻化すれば、中国との核戦争になり、日本はその先兵として真っ先に駆り出されることでしょう。その証拠に沖縄の石垣島その他で、急ピッチで軍事基地の強化が図られています。
ところが日本の国内はコロナウイルスで大騒ぎですから自公政権が進めている上記のような動きには全く無頓着です。大手メディアも、コロナウイルスの第2波の話やPCR検査の強化にしか関心が無いようです。
コロナウイルスの実態は、大手メディアの伝えるものとは大きく異なります。私が大橋眞(まこと)徳島大学名誉教授「学びラウンジ」の説明を私のブログ「百々峰だより」で紹介したとおりです。
また『寺島メソッド翻訳NEWS』(http://tmmethod.blog.fc2.com/)でも、コロナウイルスの実態を数々の翻訳を通じて紹介してきました。さもないと、私たちは情報戦に負けて、自宅にいるときですらマスクをするという自粛ムードに陥り、ますます自分の免疫力を低下させることになってしまいます。
これでは権力の振りまく嘘に抵抗できないどころか、致死率の極めて低いコロナウイルスにたいしても抵抗できず、本当に病気になったり、悪くすれば死亡するということになりかねません。コロナウイルスで死ぬのではなく、コロナ政策によって殺されるわけです。

https://forbesjapan.com/articles/detail/36831
話しが少し横道に逸れたので、もう一度、アメリカ国内の政情に戻ります。
いまアメリカでは「Qアノン」という個人または組織が大きな注目を浴びています。この「QAnon」とは「Q Anonymous」の略と思われます。
この「Qアノン」現象は、 2017年10月にハンドル名Qを名乗る何者かが匿名画像掲示板4chanに投稿した文章から始まりました。匿名の個人または集団ですから、「名無し」を意味する「Anonymous」をもじって、「Qアノン」と称されるようになりました。
また、「Q」とはアメリカ合衆国エネルギー省が定める最高機密の閲覧資格である「クリアランス」を意味していて、この資格をもつ者はアメリカ国防総省の最高機密をも閲覧できることになっていますから、「Qアノン」による投稿が話題を呼んでいるわけです。
かつて「アノニマスAnonymous」というハッカー集団が、ブッシュ大統領に象徴される既成権力・特権階級に抵抗するハッカー攻撃を展開した時期がありました。それがオバマという黒人大統領の登場で、アメリカ政治に大変革が起きるのではないかという期待のためか、「アノニマス」運動は、いつのまにか見えなくなりました。
ところが時間が経つにつれて、オバマ大統領も見かけの華やかさと政治の実態は大きく異なることが徐々に民衆に分かり始めてきました。結局オバマ大統領も既成権力・特権階級の味方だということが皆の目に見えてきたわけです。その結果、前回の大統領選では、オバマ氏の推すヒラリー・クリントンがトランプ氏に敗北することになりました。
というのは、トランプ氏は「アメリカ・ファースト」を叫び、「今後アメリカは外国にたいするクーデターを企てたりすることはやめ」「アフガニスタンなど外国にいる軍隊を引き上げて」「国内経済の立て直しに専念する」といったことなどを公約して、白人貧困層から大きな支持をかちとったからです。
トランプ氏は、それどころか「沼地を干上がらせて、そのようなところに棲む勢力、すなわちCIAやFBIのような陰湿な組織は、縮小または廃止する」「ロシアや中国とも仲良くする」といったことまで言い出していました。ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)のような人物でさえ、このような公約を絶賛していました。
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ところが、いざ大統領になってしまったトランプ氏は、先の公約を投げ捨てて、先述のようにイラン高官の暗殺にまで手を出すようになりました。
その一因が、選挙に敗北したヒラリー女史を先頭とする民主党幹部が、「トランプはプーチンの操り人形だ」「トランプが大統領選挙で勝利できたのも、裏でプーチンが選挙工作したからだ」という運動、すなわち「大統領罷免運動」を執拗に展開したことにあったことは確かでしょう。
ヒラリー女史にしてみれば、ウクライナで自分たちがやったことを、プーチンもアメリカに対しておこなったと考えたのかもしれません。しかし、いずれにしても、トランプ氏は大統領になってからは、公約を次々と破ってきたことに間違いありません。そこに登場したのがQアノンです。
Qアノンの支持者の多くは熱狂的なトランプのファンで、かつ「腐ったエリート」に反対する「反特権階級」「反エスタブリッシュメント主義者」です。「トランプ大統領がアメリカ・ファーストという公約を実行できないのは、デープ・スティトの連中が邪魔しているからだ」というのが、彼らの主張です。
彼らは、かつて「アノニマスAnonymous」というハッカー集団が、共和党を支えている既成権力・特権階級に抵抗する運動を展開したのを逆手に取って、今度はトランプをまもり、民主党を支えている既成権力・特権階級と闘う運動を展開し始めたというわけです。なぜならアメリカの大手メディアも執拗にトランプ攻撃を続けているからです。
しかしトランプ大統領も今では、ベネズエラやイランの政権転覆を企てたり、外国政府の高官どころか大統領の暗殺まで口にするようになってきましたから、Qアノンのトランプ支持は、いわば幻想に基づくものとも言えます。トランプ氏も自分の地位をまもるために、かっての公約を投げ捨てたというのが、私の見解です。
アメリカ国内の惨状は救いがたいレベルにまで落ち込んでいますから、今度の大統領選挙でどちらが勝とうとも、たぶん「Make America Great Again」というトランプ大統領の公約は実現不可能でしょう。コロナウイルス騒ぎでアメリカも大混乱ですが、そのなかで死んでいるのは、病気になっても医者にかかれない貧困層ばかりですから。
つまりコロナウイルスで死んでいるのではなく、アメリカの医療制度や福祉政策があまりにも酷いので、そのために多くの人が死んでいるのです。コロナウイルスを口実にした都市封鎖政策が、倒産→失業→ホームレス→自殺といった死者を増やしているのです。失業者やホームレスがどうして病院に行くお金を手にすることができるのでしょう。
だとすれば、先にも書きましたが、夭折の天才ランドルフ・ボーンが喝破したように、為政者にとって「戦争は国家の健康法である」なのですから、中国との戦争に乗りだすかも知れません。
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為政者にとっては、自分たちの失策で景気が低迷し庶民が貧困にあえいでいるとき、そして庶民が政府・特権階級に不満をつのらせているとき、そのような暗い雰囲気や庶民の不満・憤りを一掃する最良の手段が、戦争だったのです。まさに為政者にとって「戦争は国家の健康法」なのでした。
しかも、通常戦で中国に勝つことは無理ですから核戦争になるかもしれません。そのときに真っ先に駆り出されるのが日本です。そのための準備として用意されたのが「国家機密法」であり「集団的自衛権」だったのですから。ベトナム戦争の時と同じように、まずアジア人同士を闘わせるのが、アメリカの基本戦略ですから。
(ベトナムに真っ先に駆り出されたのが韓国軍でした。そして南ベトナム解放戦線の兵士を最も残酷な殺し方をして米軍兵士よりも恐れられたのが、韓国軍兵士でした。)
だからこそ沖縄のあちこちの島々で自衛隊の基地が急ピッチで増設されているのでしょう。だからこそ本土でも、岩国を初めとして、あちこちで自衛隊と米軍の基地が拡張され、軍備強化が図られているのではないでしょうか。
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