チョムスキー「なぜアメリカとイスラエルは世界平和にとって最大の脅威なのか」 、パレスチナがついに国連の「オブザーバー国家」に!

────────────────────────────────────────
イタリアで、イスラエルの蛮行に抗議するユダヤ人

http://rt.com/news/israel-gaza-attack-protests-932/(以下、写真はすべてRTから)
A woman holds a banner as she attends a pro-Palestinian demonstration in front of the Italian Parliament to protest against Israel's ongoing airstrike over Gaza on November 16, 2012

────────────────────────────────────────
前回のブログを書いてから、またもや10日以上も経ってしまいました。この間にあまりにも多くの出来事が起き、そのどれもが重要なので、一刻も早くブログを書きたいと心が焦るばかりで体が動きません。

(たとえば志賀原発で有名な能登半島の志賀町で、北陸電力が電気料金が未払いだという理由で送電を停止し、生活苦にあえぐ障害者の娘[54歳]とその娘の世話をしていた高齢の老母[80歳]の二人が死に追い込まれました。)

このブログを「まだか、まだか」と待っておられる皆さんには本当に申し訳なく思っています。が、相変わらず起きているよりもベッドで過ごす時間の方が長い状態ですので、それに免じてお許しください。
───────────────────────────────────────
* 一般読者の皆さんへ: 以下では英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねています。時間のない方は飛ばして読んでください。
* 英語教師の皆さんへ: 授業における会話ブーム(しかも覚えてもすぐ忘れる)のおかげで、生徒どころか英語教師の「読む力」も大きな落ち込みを見せています。この英文記事が「読む力」の回復に少しでも役立てば幸いです。
* 教育研究者の皆さんへ: 最近わたしは、英語を学ぶ目的の一つは、アメリカの実像を知り日本を「第二のアメリカ」にしないことにある、と考えるようになりました。以下は、今まであまりにも「虚像のアメリカ」を教えてきた私の反省が込められています。

───────────────────────────────────────
スペインの首都マドリッドでの連帯運動

Pro-Palestinian demonstrators protest near the Israeli embassy in Madrid on November 16, 2012, against Israel's aerial bombardment of the Gaza Strip.

───────────────────────────────────────
私は前回のブログで、世界的に著名な言語学チョムスキーがパレスチナのガザ地区を 「青天井の牢獄」"open-air prison" と呼び、次のように述べていることを紹介しました。

それは青天井の刑務所のようなものです。住民はすべてイスラエルにたいする市民的不服従のゆえに牢獄に入れられているのです。そこに住む住民がもつ抗しがたい気持ちは、誰か他人によって完全に管理統制されているという感情です。専制的政府が生活のすべてを管理するのです。立ったり、座ったり、食べ物を見つけたり、トイレに行ったり、その他すべてのことをイスラエルが決めるのです。住民は何もできません。

それがガザ地区の基本的な生活様式です。住民はそのような生活に何とか適応しようとします。しかしそれはイスラエルという外的権力にたいして常に隷属して生きることです。それはパレスチナ人を辱(はずかし)め、誇りを奪うこと以外に目的はありません。もちろんイスラエルにも口実はあります。誰でも口実は作れますから。しかし、その口実は全く意味のないものです。
http://www.democracynow.org/2012/11/14/noam_chomsky_on_gaza_and_the


───────────────────────────────────────
このチョムスキーの発言は、チョムスキーがガザ地区で開かれた国際学会に参加して帰国したとき、DemocracyNow!のインタビューでガザの印象を尋ねられたときの答えです。

私は前回のブログで上記の記事を紹介したとき次のようにも書いています。

かつてDemocracyNow!を読んでいたら、イスラエルはガザの住民にどれだけの水や食料を与えれば最低限生きていけるかを厳密にカロリー計算して、供給を管理しているという報告が載っていて驚愕しました。

要するに、イスラエルはガザ地区の住民を「生かさぬよう」「殺さぬよう」管理しているのです。

今回このブログを書くにあたって、その記事を探してみたのですが、なかなか見つかりませんでした。しかし代わりに「イスラエルがおこなっている行為は『民族浄化』“Ethnic Cleansing”である」とする国連人権委員会の報告を見つけました。


しかし、その後、探していた「イスラエルはガザの住民にどれだけの水や食料を与えれば最低限生きていけるかを厳密にカロリー計算して管理している」記事が見つかりましたので以下に紹介して置きます。

Document: Israel Calculated Number of Calories Needed by Gazans
http://www.democracynow.org/2012/10/18/headlines#101813
A newly released document shows Israel calculated the precise number of calories that residents of the Gaza Strip would need to eat in order to avoid malnutrition during a strict Israeli blockade that lasted until 2010. An Israeli military spokesperson said Wednesday a mathematical formula was created to avoid a humanitarian crisis, but denied it was used to restrict food into Gaza.

───────────────────────────────────────
ところが、このチョムスキーへのインタビューのあと、1週間も経たないうちにイスラエルによるガザ攻撃(いわゆるOperation Pillar of Defense「防衛の柱」作戦)が始まりました。

この攻撃は、チョムスキーが「青天井の牢獄」と述べているように、周囲を包囲された逃げ場のない地区に総攻撃をかけ、救助に駆けつけた救急車でさえロケット攻撃の対象になるのですから、4年前の作戦(Operation Cast Lead:「鉛弾を射込め」作戦)と負けず劣らず残虐きわまりないものでした。

4年前のオバマ氏は、大統領になった直後の作戦については「私はまだ大統領ではないから」と言って沈黙を守りましたが、今回の作戦については全面的支持を表明しました。この攻撃の残虐性については前回のブログででお伝えしたとおりです。

ところが、この攻撃の残虐性を示すもう一つの記事を見つけました。

前イスラエル首相アリエル・シャロンAriel Sharonの息子=ギラド・シャロンGilad Sharonが、イスラエル最大の規模を有する英字新聞『エルサレム・ポスト』(The Jerusalem Post)の論説記事(op-ed)で次のような発言をしていたのです。
http://www.democracynow.org/2012/11/19/un_special_rapporteur_calls_for_global

「我々はガザ地区一帯を瓦礫(がれき)にする必要がある。平坦な更地(さらち)にするのだ。」

「アメリカは広島への原爆投下で攻撃を止めはしなかった。それだけでは日本が早々に降伏しなかったからだ。だから長崎も必要だった。」

「ガザには電気を供給すべきではない。ガソリンも自動車も必要ない。すべてをゼロにすべきなのだ。」


───────────────────────────────────────
<註> 英語原文は次のとおりです。
"We need to flatten entire neighborhoods in Gaza. Flatten all of Gaza. The Americans didn't stop with Hiroshima – the Japanese weren't surrendering fast enough, so they hit Nagasaki, too.
"There should be no electricity in Gaza, no gasoline or moving vehicles, nothing."
http://www.jpost.com/Opinion/Op-EdContributors/Article.aspx?ID=292466&R=R1&utm_

───────────────────────────────────────
ニューヨーク、イスラエル領事館前で抗議するユダヤ人

People hold up signs during a Pro-Palestinian protest against Israel across the street from the Israeli consulate in New York, November 16, 2012

───────────────────────────────────────
上記のような記事を読むと、チョムスキーが2012年9月3日の時点で 「なぜアメリカとイスラエルは世界平和にとって最大の脅威なのか」という論文を発表していることの真実性を、改めて思い起こされます。

チョムスキーはこの論文のなかで、イランの首都テヘランで開かれていた「非同盟諸国運動」(NAM:The Nonaligned Movemen=世界の圧倒的多数を占める政府が加わって組織している)について次のように述べています。

NAMの会議の出席者たちは疑いなく、西側諸国で大きな話題になっている脅威を認めている。その脅威を、アメリカ戦略軍の元司令官(United States Strategic Command)リー・バトラーは次のように明快に語っている。

「“憎悪の大釜”と呼ばれる中東地域で」、ある国が核武装することは、「それに対抗するため他の国も核武装を促し、これほど危険なことはない」。

ここでバトラーが「ある国」と言っているのは、イランではなくイスラエルのことだ。中東地域とヨーロッパでは、平和にたいする最も深刻に脅威をまきちらしているのはイスラエルだとみなされている。

たとえばアラブ世界では、最大の脅威はイスラエルであり、アメリカは2番目の脅威と位置づけられている。

他方、イランは、嫌われてはいるものの、ほとんど脅威の対象とはみなされていない。実際、多くの世論調査では、「イランが核武装すれば、現在の脅威を相殺し、むしろ中東の安全は強化される」との意見が圧倒的である。

もしイランが本当に核兵器の所有に動き始めているのであれば――ただしこれはアメリカの情報機関ですら確証がないとして否定していることだが――それは多分アメリカ=イスラエル共同の脅迫によって「鼓舞された」ものである。しかもそのような両国共同の脅迫は、国連憲章を踏みにじって、定期的に繰り返しおこなわれてきた。

だとすれば、欧米が公の場でイランを話題にするとき、なぜイランは世界平和にとって最大の脅威となるのであろうか。


───────────────────────────────────────
<註> 上記引用の最後でチョムスキーは「欧米が公の場で話題にするとき、なぜイランは世界平和にとって最大の脅威となるのであろうか」と述べています。この答えは長くなるので引用しませんでしたが、興味のある方は下記の拙訳を参照ください。

チョムスキー「なぜアメリカとイスラエルは世界平和にとって最大の脅威なのか」
http://www42.tok2.com/home/ieas/
http://www42.tok2.com/home/ieas/chomsky20120903america_israel_threat.pdf

───────────────────────────────────────
南アフリカ、ダーバンでの抗議&連帯運動

People from the Coalition for a Free Palestine (CFP) gather outside the Durban City hall, South Africa on November 16, 2012 to protest against the Israeli bonbardment of Gaza

───────────────────────────────────────
ところで、イスラエルによるガザ爆撃はエジプトのモルシ大統領の仲介によってやっと停戦が成立しました。しかし、その直後に「なぜアメリカとイスラエルが世界平和にとって最大の脅威なのか」を示すもう一つの大きな出来事がありました。

それはパレスチナを国連の「オブザーバー国家」として認める投票が国連総会でおこなわれ、それにたいしてアメリカとイスラエルが声高に非難して押し潰そうとした事件です。しかし国連総会は11月29日、圧倒的多数でパレスチナを主権国家として承認する議決を行いました。

これまでパレスチナは国連で「オブザーバー・エンティティ "entity"(機構)」の地位しか認められてきませんでしたが、それを「オブザーバー・ステイト "state" (国家)」へと格上げする決議です。

国連加盟190カ国のうち賛成が138カ国、反対は9カ国で、棄権が41カ国でした。決議に反対票を投じたのは、次のようなほんの少数の国々でした。

カナダ Canada, チェコ the Czech Republic, マーシャル島嶼国 the Marshall Islands, ミクロネシア Micronesia, ナウル Nauru, パラウ Palau、パナマ Panama

反対している国を見れば、カナダ以外は、アメリカの札束によって屈服させられた弱小貧困国です(まるで、札束で原発を無理やり受け入れさせられた日本の弱小自治体を見ているかのようです)。

これを見れば、チョムスキーが言っているように、イスラエルとアメリカがいかに国際社会から嫌われているかがよく分かります。

パレスチナが「オブザーバー・エンティティ」から「オブザーバー・ステイト」へと格上げされることを、なぜイスラエルとアメリカが必死になって阻止しようとしたか。それは、主権国家として認められると、イスラエルの蛮行をイランが国際刑事裁判所(ICC:The International Criminal Court)に提訴できるからでした。

自分たちのやっていることが犯罪でなければ、ICCに提訴されても何の問題もないはずです。それにもかかわらず今度の国連決議を必死に阻止しようとしたことは、自分たちの行為の犯罪性を問わず語りに認めていることになるでしょう。

───────────────────────────────────────
ところがイスラエルは、この国連決議に報復するとして、突然11月30日に、パレスチナ国民から集めた税金1億2000万ドル($120 million)をパレスチナ政府に渡さないと宣言しただけでなく、パレスチナの西岸地区と東エルサレムに3000戸の家を建て、入植地をさらに拡張すると発表しました。

Israel Expands Settlements, Seizes PA Funds After U.N. Statehood Vote
http://www.democracynow.org/2012/12/3/headlines#1232
Israel Advances Settlement to Bisect Occupied West Bank
http://www.democracynow.org/2012/12/3/headlines#1233

アメリカは先住民(いわゆるインディアン)の土地をだまして取りあげるときも一応は契約書を交わすという方法をとりましたが、イスラエルがパレスチナ人から土地を取りあげる方法は、家屋やオリーブ畑をブルドーザーで押し潰していくという方法でした。アメリカがやってきたことよりも、もっと悪辣なものです。

なぜこんなことをする権利が彼らにあるかというと、「この土地はユダヤ人に神から与えられた土地だからだ。聖書にそう書いてある」というのが、彼らの一般的な答えです。非常に信じがたい答えではありませんか。

イスラエルの国連大使RON PROSORは、国連総会の投票前の演説でそれを次のように述べました。
http://www.democracynow.org/2012/11/30/un_approval_of_palestine_as_non

「この土地にたいするユダヤ人の権利について言えば、今日この国連総会でお集まりの皆さんに伝えたいことは非常に単純なことです。すなわち国連がどのような決議をしようとも、4000年にわたるイスラエルの民とイスラエルの土地との結びつきを、断ち切ることはできない。」

(As for the rights of the Jewish people in this land, I have a simple message for those people gathered in the General Assembly today: No decision by the U.N. can break the 4,000-year-old bond between the people of Israel and the land of Israel.)


───────────────────────────────────────
レイチェル・コリーと彼女を押し潰したブルドーザー

http://janjan.voicejapan.org/world/0607/0607228389/img/photo12.jpg 資料:ISM

───────────────────────────────────────
もちろん、このような考えに反対するユダヤ人も多くいます。ノーム・チョムスキーやハワード・ジンもその中のひとりです。またイスラエルのこのような蛮行を阻止しようとパレスチナに出かけて行き、体をはって抗議するアメリカ人も少なくありません。アメリカ人の女子学生レイチェル・コリーも、その中の一人でした。

しかし彼女は2003年3月16日、ガザ地区において、パレスチナ人の家屋を押し潰そうとするブルドーザーの前に立ち、それを押しとどめようとして下敷きになり、殺されてしまいました。

このように、個人としてのユダヤ人・アメリカ人でイスラエルの蛮行を認めないひとは少なくありません。しかしチョムスキーが述べているように、「国家としてのイスラエル」、それを支えている「国家としてのアメリカ」が「世界平和にとって最大の脅威」であることは間違いないようです。

<註> レイチェル・コリーの手記「パレスチナ便り」は、ハワード・ジン『肉声でつづる民衆のアメリカ史』上巻515-518頁に載っています。時間がある方はぜひ参照していただきたいと思います)
関連記事
スポンサーサイト
検索フォーム
プロフィール

狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

Author:狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

リンク
最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
RSSリンクの表示
QRコード
QR