北朝鮮問題を考える(2)――「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」、追い詰められたネズミはネコを噛むこともある! 第2次朝鮮戦争?そして核戦争か! 急に狼狽し、慌て始めたオバマ政権

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第2次朝鮮戦争か? 北朝鮮国境に向かって大移動する中国人民解放軍
China mobilizes military, on 'high alert' over N. Korea threats(RT:April 02, 2013)

http://rt.com/news/chinese-military-korea-alert-184/

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去る3月29日、広島大学で英語教育専攻の学生たちと懇談する会に招かれて、学生・院生たちの熱心な質問に答えてたら、そのときは全く疲れを感じなかったのですが、帰宅したら急に疲れが出て、相変わらず半日はベッドで過ごす日々が続きました。

他方、北朝鮮情勢は日々、緊迫を強める一方で、このままいくと核戦争=第2の朝鮮戦争になりかねない雲行きすら出てきました。ですから早くブログを書きたいと気ばかり焦るのですが、いかんせん体が動きません。

しかし、以前に書いた下記ブログを読み直していたら、ここに書いたことが、ほとんどそのまま現在の情勢にあてはまることに気づきました。

オバマの偽善・アメリカの犯罪(1) 「北朝鮮の核実験問題を考える」――核実験を再開し、「非核地帯」の前進を妨げているのは誰か、北朝鮮問題を原発再稼働・核兵器保有の口実にさせてはならない
http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=4777271

そこでまず上記のブログの一部を再録したうえで、いま付けくわえるべき新情勢だけをそのあとに追加・加筆することにしました。こうすれば私の今の気・力体力でもブログが書けそうだという気がしてきたからです。

(そんなわけで、いよいよ4月から新高等学校学習指導要領「英語で授業」が本格実施されるだけに、英語教育についてのブログを期待しておられた皆さんには申し訳ないのですが、これについては、もう少しお待ちください)

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North Korea declares 'state of war' with South
http://rt.com/news/north-korea-vicious-cycle-russia-072/

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<以下が再録です>

最近、日本の大手メデイアでは中国のニュースや北朝鮮の核実験ばかりが前面に出ているようです。近所のおばさんまでもが「北朝鮮なんかぶっつぶしてしまえ」という発言をしていますから怖くなります。

北朝鮮の核実験は、アメリカがいまだに朝鮮戦争を休戦状態のままにして、あわよくばリビアやシリアと同じように武力で政権転覆を謀ろうとする動きにたいする精一杯の抵抗でしょう。

いつまでも北朝鮮を孤立と貧困に追い込んだまま、和平条約も結ぼうとしないアメリカにたいする抗議です(他方で、北朝鮮が「朝鮮半島を非核地帯にしよう」と提案していることも大手メディアでは全く紹介されていません)。

「核兵器を持っていないとイラクのようにやられる」という教訓を最も正確に学んだのは北朝鮮だろう」とチョムスキーも言っています。

チョムスキー・インタビュー060124「韓国・北朝鮮と国際情勢」
http://www42.tok2.com/home/ieas/chomsky_interview060124korea060710.htm

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この核実験の直前に米軍と韓国軍の合同演習がありました。これは、北朝鮮の政権転覆後にどうやって軍隊を上陸させるかをメインとした軍事演習だったと、朝鮮情勢の専門家ティム・ショーロックTim Shorrocは次のように述べています。

毎年のようにアメリカと韓国は大規模の軍事演習をおこなっている。それには色々なものがある。

たとえば、 "OPLAN 5098" という軍事演習がある。これは北朝鮮がとくに激怒している演習だが、それは基本的には政権転覆の予行演習になっているからだ。名目上は政権が崩壊したときに備えるという口実になっているが、実態はまったく違う。

アメリカと韓国がやっているのは、自分たちが核兵器で先制攻撃をしたときの予行演習だ。彼らは北朝鮮に乗り込んでいくための演習をしている。北朝鮮の領土を占領して韓国=アメリカ合同軍を駐留させる演習だ。要するに政変時にそこを占領する演習なのだ。

この演習には他の目的もある。それはアメリカと韓国が現在もっている全ての兵器を試験してみるという目的だ。だから、これらの演習は危険きわまりないものだ。

出典:North Korea Nuclear Test Sends Message to Washington One Week After U.S.-South Korean War Games
http://www.democracynow.org/2013/2/12/north_korea_nuclear_test_sends_message

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朝鮮情勢の専門家ティム・ショーロック氏は、先述のDemocracyNowインタビューで、さらに次のように述べています。

この核実験の目的を考えると、アメリカ政府の朝鮮半島で果たす役割について我々アメリカ人が強い関心を持つことは非常に重要だ。それほどアメリカの影響力は巨大なのだ。

多くの記者が北朝鮮について書いているが、まるでアメリカは中立的な監視者であるかのような書き方だ。それを北朝鮮は非難しているのだ。

知ってのとおり、実際に朝鮮戦争があり、60年前の7月に終わった。しかしそれは停戦だった。平和条約を結んだ上での終戦ではなかった。停戦協定を結んだのは、[北朝鮮と韓国ではなく] アメリカと北朝鮮だった。

北朝鮮はこの間ずっと平和条約を結んで正式に戦争を終わらせたいと言い続けてきた。彼らはアメリカと直接に交渉したいと望んでいるし、私もこの間、同じ主張を繰り返してきた。

アメリカが現在の事態から脱却する唯一の道は、核開発やミサイル開発の停止に向けて北朝鮮と直接の交渉をもつこと以外にない。

North Korea Nuclear Test Sends Message to Washington One Week After U.S.-South Korean War Games
http://www.democracynow.org/2013/2/12/north_korea_nuclear_test_sends_message

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以前に北朝鮮が気象衛星の打ち上げたときにも日本の大手メディアは大騒ぎしましたが、もうひとりの朝鮮問題専門家グレゴリー・エーリヒ氏(Gregory Elich)は、これは一種の「北朝鮮いじめ」だとして、次のように述べています。

打ち上げた気象衛星ロケットは貧弱で核弾頭を乗せて攻撃用として使える代物ではない。

北朝鮮のロケット打ち上げは、飢饉のため食糧難にあえぐ北朝鮮が、気象衛星を上げることによって少しでも農業生産に役立てたいという試みだった。

これは要約ですので、詳しくは下記論文を御覧ください。

Putting the Squeeze on North Korea
http://www.globalresearch.ca/putting-the-squeeze-on-north-korea/5321689

なお、グレゴリー・エーリヒ氏は、ユーゴスラビアにおける大虐殺(ホロコースト)を研究する団体the Jasenovac Research Institutet の研究所長であり、またthe Advisory Board of the Korea Truth Commission (朝鮮問題真相究明委員会)という諮問委員会の委員でもあります。

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このように北朝鮮の動きはアメリカを牽制するためのものであって、日本は全く眼中に入っていません。

しかし平和憲法を変えて核兵器も所有する軍事大国にしたい勢力は、これを絶好の機会にして大宣伝しています。それは同時に、原発を止めて廃炉にしようとする運動にたいして、反撃する絶好の機会としても利用するでしょう。

また中国にたいする包囲網を強化しようとしているアメリカにとっても、「テロ国家」としての北朝鮮は、下記チョムスキーインタビューにあるとおり [日本と韓国を同盟させて北朝鮮に対決させる振りをしながら] 中国を封じ込めるためにも 必要不可欠の存在です。
http://www42.tok2.com/home/ieas/chomsky_interview060124korea060710.htm

この流れは元大統領ブッシュ氏のときから全く変わっていません。それどころかオバマ氏になってからいっそう強くなったと言ってよいと思います。中国が、アメリカ主導のシリア制裁には国連で拒否権を発動していたのに、北朝鮮の核実験には拒否権を行使しなかったのも、そのような背景を考えるとよく理解できます。

<以上で再録を終わります。再録するにあたって若干の加筆訂正をおこないました。>

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アメリカが韓国に配備した「核装備」のB-52爆撃機
US B-52s imitate nuclear bombing of North Korea

http://rt.com/usa/north-korea-usa-nuclear-504/

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上に再録したブログの末尾で私は「中国が、アメリカ主導のシリア制裁には国連で拒否権を発動していたのに、北朝鮮の核実験には拒否権を行使しなかったのも、そのような背景を考えるとよく理解できます」と書きました。

しかし、いま情勢は急速に変わりつつあります。アメリカからスポーツのスーパー・スターを呼び寄せてオバマ大統領との仲介を頼むなど、何とかアメリカとの直接対話を望んできた北朝鮮ですが、オバマ氏は一方的に経済制裁を強める動きしかしてきませんでした。、

それどころか上のブログで紹介したように、 アメリカは韓国と一緒になって、"OPLAN 5098" という軍事演習をおこなう始末です。これは基本的には、政権転覆を前提とした北朝鮮上陸の予行演習でした。

これに業を煮やした北朝鮮はついに、これまでアメリカと休戦状態だった条約を破棄して戦争状態に入ることを宣言し、さらには「アメリカの侵略的行動が続く場合には核兵器でアメリカの領土を攻撃する」ことを正式に明らかにしました。

North Korea 'ratifies' nuclear strike against US
http://rt.com/news/us-missile-guam-korea-290/

ここにいたってオバマ政権は、自分たちの最近の行動が挑発的すぎたために、意図せずして更に深刻な危機を招くことになってしまったのではないか、と慌て始めています。

New Era of Nuclear-Armed North Korea Forces U.S. to Reconsider War Games at Regime's Door
http://www.democracynow.org/2013/4/4/new_era_of_nuclear_armed_north

「窮鼠(きゅうそ))猫を噛む」の諺どおり、追い詰められた北朝鮮が本気になって核兵器を使うかも知れないと心配になってきたに違いありません。

このようなアメリカの心配をさらに増幅したのが中国政府軍の動きでした。北朝鮮にたいする経済制裁に同意したはずの中国が、ここにいたって人民解放軍を北朝鮮国境に向けて大量に異動させ黄海での軍事演習も始めたからです。

China mobilizes military, on 'high alert' over N. Korea threats
http://rt.com/news/chinese-military-korea-alert-184/

さすがの中国も、このまま事態が推移すれば、中国包囲網がますます強固なものになるだけでなく、一歩間違えば大惨事(核戦争&第2次朝鮮戦争)になりかねないと懸念したのでしょう。

元キューバ首相カストロ氏も指摘しているように、キューバ危機以来の深刻な事態です。

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当面、北朝鮮の標的として考えられている米軍グアム基地
North Korea 'ratifies' nuclear strike against US

http://rt.com/news/us-missile-guam-korea-290/

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今のところ北朝鮮が最も攻撃する対象として可能性があるのは、最新式のミサイル防衛システムを配備したばかりの米軍グアム基地だと考えられています。

もしこのような核攻撃が起きた場合、韓国はもちろんのこと日本も巻き込まれる恐れがありますし、下手をすると中国も参加した第2次朝鮮戦争、さらには第3次世界大戦という惨事へと拡大していく可能性もあります。

いま必要なのは、いたずらに北朝鮮の脅威を煽(あお)ることではなく、北朝鮮が望んでいる次の三つを一刻も早く実現することではないでしょうか。

(1)アメリカと北朝鮮が正式な平和条約を結び、休戦状態になっている朝鮮戦争に一刻も早く終止符を打つこと
(2)北朝鮮も望んでいるように、朝鮮半島を「非核地帯」して核兵器を朝鮮半島から取り除くこと、
(3)北朝鮮が電力不足のため産業が成り立たず貧困から立ち上がれないのであれば、原子力の平和利用、またはそれに代わる電力源を援助すること

平和憲法9条をもつ国として、日本がこのような情勢づくりの先頭に立つべきなのに、今の安倍政権は、「非核3原則」を投げ捨てて、北朝鮮の行動を口実に核兵器保有すら口にし始めています。

それどころか「原発の輸出」「兵器の輸出」までも公言しています。安倍政権が原発の再稼働をめざしている理由も、このように考えると非常によく分かるのではないでしょうか。

(ですから、原発反対運動は、世界情勢や平和運動と結びつけた運動をしないかぎり、単に「脱ゲンパツ」を叫んでいるだけでは、成功は難しいでしょう。)

いずれにしても、北朝鮮が日本を核攻撃する可能性はゼロに近いのに比して、「地震が多発し、第2のフクシマがいつ訪れても不思議はない日本」で原発を再稼働させるというのは、正気の沙汰とは思えません。

要するに、北朝鮮の「核」を心配するくらいなら、日本の「核」を心配すべきなのです。
腹帯に54個の原爆を巻きつけて毎日を生きているのが、現在の日本列島だと思って間違いないのですから。
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