鈴木孝夫研究会(編)『鈴木孝夫の世界』第4集(書評その2)――なぜ日本は経済大国になれたのか、「日本の漢字は世界の誇れる偉大な文化である」、 緊急速報:ボストンマラソンの爆破事件を仕組んだのは誰か、利益を得るの誰か!?

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前回のブログでは、『鈴木孝夫の世界』第4集が次のような目次になっていることを紹介し、その第1節を取りあげました

第10回研究会「3・11後の今、下山の時代の現在こそ日本の出番だ」
―『人にはどれだけの物が必要か』(中公文庫、1999)をめぐって
第11回研究会「日本の漢字は世界の誇れる偉大な文化である」
―『日本語と外国語』(岩波新書、1990)第4、5章をめぐって
第12回研究会「タタミカゼ文化が日本を救う」
―『日本人はなぜ日本を愛せないか』(新潮選書、2005)をめぐって
第2回軽井沢合宿「私が目標としてきた『人間学としての言語学』の諸相」
―参考テキスト『ことばの人間学』(新潮社、1978)をめぐって

そして私は、前回のブログを次のように結びました。

要するに、この下山の時代は、アメリカの奴隷状態から脱却して日本の良さを世界に知らせることが大切だし、世界の人びとが「非核」「非武装」の日本文化を学ぶ時代を迎えているのです。日本をそのような国に変えなければならないのです。

そこで今回は、第2節「日本の漢字は世界の誇れる偉大な文化である」について紹介しつつ、私の思いを述べたいと思います。

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いま欧米は混乱の極に達しています。その典型例がギリシャ、キプロス、イタリア、スペイン、ポルトガルの経済危機です。

 アメリカもその例外ではありません。国家財政が破綻に瀕しているだけでなく、カリフォルニア州ストックトン、ミシガン州デトロイトなど、全米のあちこちで破産宣告を受けた都市が続出し、多くの民衆が路上に投げ出されています。

 自公党政権とその後を受けついだ民主党政権の悪政にもかかわらず――悲惨な原発事故を別にすれば――世界のなかで比較的に安定しているのが日本です。

 だからこそ鈴木孝夫先生は、「強欲資本主義の悪弊が頂点に達し、『下山の時代』を迎えている今こそ、原発事故を教訓にして、新しい社会のありかたを世界に提示する絶好の機会が訪れている。今こそ日本の出番なのだ」と主張されていたのでした。

 つまり鈴木先生に言わせれば、「世界中の人たちが日本の文学哲学・宗教・科学の本を日本語で読んで、日本のよさを学ぶことが肝心だ。だから日本語会話などできなくてもいい」というわけです。まず「日本語が読めること」が大事なのです。

 それを逆に言えば、私たち日本人は、「今は英会話などに狂っているときではない。むしろ日本語と日本文化を世界に広めるときなのだ。それは日本語会話を世界の人びとに教えることではなくて、自然と調和しながら生きてきた日本文化の良さ・価値を世界に教えることだ」ということになります。

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ところが今の日本は、これと全く逆の方向に向かっています。

 たとえば、「小学校でも英語を教えろ」「高校の英語の授業は日本語を使うな、英語で教えろ」というのが文科省の方針だからです。

(私は拙著『英語教育原論』および『英語教育が亡びるとき』で、「ただでさえ疲弊しつつある教育現場は、このような政策にふりまわされて更にいっそう困難な状況に追い込まれていくだろう」と書きましたが、幸か不幸か、この不安は的中しつつあるようです。)

 また最近、自民党が新しい文教政策として「大学でTOEFLの試験を卒業資格に入れろ」などと言い出しています。中国ではすでに破産済みで、その立て直しを始めているような政策を今ごろ持ちだしてきていることには、まったく呆れてしまいます。

 さらに民間では、英語を公用語にする会社が続出し大きな話題になりました。こんなばかなことをすると「英語はできるが仕事はできない」社員が続出するだろうと思っていましたが、私の予測していたとおりの状況になっているようです。

 何故こんなばかなことが起きているのでしょうか。それは日本を支配している現在の政界・財界が「いま日本がおちいっている経済的不況は日本人が英語が使えないからだ。だから、すべての日本人を英語使いにしなければならない」と考えているからです。

 まるで文明開化・鹿鳴館の舞踏会にあけくれた明治時代のようです。そのときも日本語をやめて英語を公用語しろと言い出した文部大臣・森有礼がいました。

 アジア太平洋戦争で敗北したときも英語どころかフランス語を公用語にと言い出す有名な作家まで出ました。また「日本語が悪いのは漢字があるからだ、だから全てをローマ字にしろ」という学者も現れ、梅棹忠夫氏などはそれを自ら実行さえしました。

そして今、「英語、英語、英会話」の大合唱で、第三の「文明開化」の時代を迎えているかのようです。

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しかし、先述のように、経済的混乱を抱えているのはEUでありアメリカの方なのです。

 それどころか世界中に経済的混乱と戦争の火種を撒き散らしているのは、ウォール街とペンタゴンなのですから、私たちが日本語(特に漢字の使用)について劣等感を持つ必要はまったくありません。この点にかんする鈴木先生の意見は次のとおりです。
 
まあ、そういうことでまた漢字の話に戻せば、今でも日本語は劣った、遅れた言語で、とくに漢字が日本語を滅ぼすなどと言う見当違いな学者もいます。

こんなことを明治の人が言うなら私は許せる、昭和の初期の人が言ってもまだわかる。その段階では日本は世界の中で物質文明、機械文明、経済では劣っていたのだから、その事実からして原因はもしかしたら日本語にあるのかもしれない、漢字にあるかもしれないと思うのはやむをえなかったかもしれない。

だけど敗戦後またたくまに世界の大国にのし上がり、この数年は少しかげっていますが一九九〇年代前後は日本のお金でアメリカ全部が買えるとか言われるほどに日本が世界の頂点に立っていた。

そんな日本が、何で悪い日本語、とりわけタチの悪い漢字を使って世界一になれるのか。悪いどころか、むしろ他の言語にはない長所、不思議なまでの効能があったから日本大活躍の動力源になったのではないか、その秘密と構造を明らかにしようというふうに、言語学は行くべきだったのに、依然としてそういう気運はない。

それが日本の言語学界、国語学界の現状です。情けないかぎりですが、私は、漢字が悪いと言っているのは、言っている人間の頭が悪いと断言できます。だって遅れた資源もろくにないアジアの小国日本が、百年足らずのうち世界のトップクラスの国になってしまったという事実と、日本語が悪い言語だという命題はどう見ても両立しないでしよう。(pp.44-45)


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では日本は「悪い日本語、とりわけタチの悪い漢字」を使いながら、どうして世界第二位の経済大国になれたのでしょうか。鈴木先生によると、それは、日本の漢字が「音」と「訓」の両方の読み方をもっているであり、「音訓両読みはことばの意味理解をたやすくする」からなのです。

 なぜそうなるかを説明していると、長くなりすぎますので、第2節「日本の漢字は世界の誇れる偉大な文化である」(または話の元になっている岩波新書『日本語と外国語』)をぜひ読んでいただきたいと思いますが、ここで特筆しておきたいことは。中国の漢字と日本の漢字は違うということです。

 というよりも、本来の漢字の良さを残しているのは日本の漢字であって、現在の中国の簡体字は全く別物に変化してしまっているというのが鈴木先生の意見です。以下に、その説明を引用しておきます。

日本人は馬鹿じゃないから紀元四・五世紀の漢字伝来以来、数百年の間に万葉仮各漢字をああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら練り上げていって、日本語という中国語とは全く系統の違う言語にすり合わせて、しかも日本人の都合のいいように変えていった。だから中国の漢字と日本の漢字はいろいろと違うのは当たり前なのです。

言語というのは広まるときには必ず変わるし、変わらなければ広がらないのです。英語だって世界に広がったという事実は、英語が世界中で変わっていったことの証明にほかならない。英米の英語がそのまま世界に広まったわけではない。

言語に限らずすべてのものが、環境が違うところで生き残るには、自分をそこに合わせて変えらなければならない。でないと、そこで生き残れないのです。だから漢字が日本にきて変わったのは当たり前のこと、日本人は漢字を、中国人に対しては、これはもうあなた方のものでなく我々のものなんですと言っていいいし、言わなければならない。

日本人が漢字を音だけでなく訓で読むから面倒なことになるので、漢字は音だけで読むことにして訓読みをいっっさい廃止すれば日本語はうんとすっきりする、と文化勲章までもらった大学者の梅棹忠夫が主張しましたが、大間違いです。日本の漢字は音と訓と二通りあるからこそ安定しているのです。これが私の漢字論の最重要なところです。

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私が在職していた頃、毎年かならず複数の中国人留学生がいて、彼らの案内で広東や内モンゴルを回りましたが、そのとき痛切に感じたのは、中国の漢字があまりにも簡単になりすぎて、発音も意味も分からないものが多くなっているということでした。

こんなに簡単にして、見ても意味の分からない漢字にするくらいなら、それこそいっそのことローマにしたらどうかと言いたくなったほどです(小学校初級の中国語教科書では、読みがなとしてローマ字を使用しているのですから)。

他方、私が『肉声でつづる民衆のアメリカ史』(明石書店)を訳しながら改めて発見したのは、漢字の面白さでした。というのは難しい漢字ほど、そのなかに意味と発音が組み込まれていることを、再認識することができたからです。

これは、一見すると難しい英単語ほど発音もローマ字読みすればすみますし、ラテン語やギリシャ語の教養があれば、意味もすぐに分かってしまうのに似ています(多音節語の方がいかに発音が易しいかは拙著『英語にとって音声とは何か』第3部で詳述しました)。

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<註> 私が院生として教えた中国人留学生が、帰国してから大学に職を得たというので、その大学を訪れたとき、いつもの着慣れた和服姿で外国学部長に会いに行ったのですが、右翼=日本軍国主義の教授がきたとして問題になったということを、後で聞きました。日本でも男が和服姿で教壇に立つと変な目で見られるから、今から思うと当然のことだったのかも知れません。

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もう一つ上記の引用箇所でおもしろかったのは、「英語だって世界に広がったという事実は、英語が世界中で変わっていったことの証明にほかならない。英米の英語がそのまま世界に広まったわけではない」という指摘でした。

というのは今では英米語がいわゆる「英語」の標準語ではなく、今や "Englishes" の時代になっているのに、いまだに「英米人 Native Speakersはそのような言い方はしない」という言い方がまかりとおっていることです。

今や「英語」は「庇(ひさし)を貸して母屋(おもや)を取られる」という状態になっているのに、悲しいことに、いまだに "Native Speakers" という神話にとらわれている英語教師自身が少なくないのです。

英米人に「私たちはそのような言い方はしない」と言われたら「あなたこそ英会話学校に行って英語を学び直すべきだ」と、ダグラス・ラミスが『イデオロギーとしての英会話』(晶文社)で述べていたことを思い出します。

元津田塾大学教授のアメリカ人=ダグラス・ラミスがこの本を著したのは1978年で、何とすでに35年も経っているのです! にもかかわらず、日本人の頭はほとんど変わっていないのですね。

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<註> 上記のエピソードは、鈴木先生が「自分は英語で書いたものを英米人にチェックしてもらったことがない」と言っておられたことを思い出させます。
 私も、拙著『センとマルセンで英語が好き!に変わる本』(中経出版、2004年度全国学校図書館協議会選定図書)という本を出したとき、英文を知り合いのアメリカ人に見てもらったところ、「あなたがこんな英文を書けるはずがない。盗作はやめなさい」と言われて驚いたことがあります。それ以来、私は英米人に英文の校閲をしてもらう気がなくなりました。

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こんな調子で紹介していると、あまりにも紹介したいことが多すぎて切りがないので、ここで断念します。ぜひ同書を読んでいただきたいと思います。

しかし次の点だけは確認しておきたいと思います。

それは、1990年前後の「世界第二位の経済大国」という地位から日本が転落したのは、日本語のせいではなく別の要因によるものだということです。

私は日本の戦後史について次のような仮説をずっと胸にいだき続けてきました。私がTESOLの学会に参加するため渡米し、毎年1か月くらい滞在する生活を10年くらい続けている間に、この仮説をますます確信するようになりました。

これは以前のブログでも書いたことですが、もういちど以下に再録させていただきます。いま日本にかけられてきているTPPという攻撃は、本質がまったく同じものだと考えるからです。

1)アジアの国々にたいして日本が侵略戦争にたいする謝罪をせずに済んできたのは、ドイツと違って日本はアジアの隣国と貿易せずとも、アメリカの庇護の下で、基本的にアメリカと貿易するだけで復興してきたからだ。

2)それどころか朝鮮戦争やベトナム戦争などアメリカがおこなってきた戦争の後方部隊をつとめることによって(いわばアジア人の血によって)莫大な経済的利益を得て戦後の復興をなしとげた。こうして、アメリカはアジアにたいする謝罪の機会を日本から奪うことになった。

3)ソ連や中国などの社会主義国が存在し、医療や教育の無償化など国民の生活を安定させる実績をあげている国があるかぎり、その対抗上、資本主義国でも同じことが可能であることを実証せざるを得なかった。アメリカが日本の経済復興を援助したのは、上記のことを証明するためのモデル国家として日本を世界に陳列するためであった。

4)しかしソ連が崩壊し、その結果、社会主義の東欧も姿を消した。こうして社会主義の良さを実践する国は存在しなくなった。中国も名前は「社会主義国」だが、実態はアメリカで学んだ経済エリートが新自由主義的経済運営をおこなう国家独占資本主義国となってしまい、国内では極端な貧富の格差が生まれている。

5)したがってアメリカにとって、社会主義国に対抗するための「モデル国家」として日本を庇護しなければならない理由は消滅した。むしろいま必要なのはアメリカに対抗するまでの経済力を持つにいたった日本を徹底的に叩きのめし、日本がもつ豊かな資産をアメリカに移し替えることである。これがアメリカから毎年のように日本に突きつけられてきた「規制緩和」「年次改革要望書」だった。



軍事訓練すら受けていない若者二人を逮捕するのに戒厳令が必要なのか


http://rt.com/usa/boston-marathon-explosions-updates-911/

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緊急速報:ボストンマラソンで起きた爆破事件を仕組んだのは果たして誰か,利益を得るのは誰か?

いま世界中を賑わせている話題の一つがボストンマラソンの最終地点ちかくで起きた爆破事件でしょう。チェチェン出身の若者がこの事件の犯人だと言われていますが、いま数々の疑問が噴出し始めています。それを思いつくまま以下に列挙しておきます。

1)この若者はすでに2011年以来その一挙手一投足をFBIによって監視されてきた。そのような状態でどうしてあのような事件をおこすことができたのか。
Boston Bombing Suspects Were on FBI Radar for Years
http://www.globalresearch.ca/boston-bombing-suspects-were-on-fbi-radar-for-years/5332199

2)この10年間にアメリカ国内で起きた爆破テロ事件のすべては、FBIが資金や武器・爆破材料を提供して仕組んだものだったことが判明している。だとすれば今回の事件も同じである可能性が十分にある。
American Terror: Manufactured by the FBI
http://tv.globalresearch.ca/2013/04/american-terror-manufactured-fbi

3)「FBIの情報は、矛盾に満ち、首尾一貫性に欠けている」
アメリカは、いま国内にうずまく国民の不満、国外でますます手を広げつつある戦争など、難題をたくさんかかえている。したがって911事件に匹敵するような事件をおこして国民の関心を他にそらす必要がある、と元FBI職員が語っている。
'Confusion and inconsistencies': How US plans to distract public from real truth about Boston
http://rt.com/op-edge/boston-suspect-russia-chechnya-154/
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