英語力 は貧困力(その5-1) 世界を破壊する先兵としての英語 (上 )――オバマ政権とエジプト特権階級によって仕組まれた軍事クーデター

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軍事クーデターに抗議するムスリム同胞団

http://rt.com/news/cairo-protest-morsi-scuffles-327/
(横断幕が英語で書かれていることに注目ください。)

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私は前回のブログで、現大統領モルシの退陣を要求しつつ、エジプト全土であっというまに何百万もの署名を集めた‘Tamarod’(アラビア語で「反乱」)という若者集団は、IT機器を駆使する上層階級の出身者だったことを紹介し、最後を次のように結びました。

要するに、繰り返しになりますが、このような「IT機器を駆使し」「英語を自由にあやつることができる」高学歴の若者すら、まともな仕事にありつけない、これがエジプトの現状なのです。

このような現状を見れば、「経済活性化のために英語力を!」「そのためには大学入試にTOEFLを使え!」「大学でも英語でおこなう講座をつくれ!」「小学校低学年から英語を教科として教えろ!」という政策が、いかにバカげたものかがよく分かるはずです。

しかも単にバカげたものならあまり害悪はないのですが、こんなバカげたことのために膨大な税金を使われる一方で、消費税は大幅増税され、福祉その他が大幅削減されるのです。今まさに求められているのは、日本の‘Tamarod’ではないでしょうか。

ちなみに、TOEFLの受験料は225USドル(約2万2500円)です。米軍基地の維持費と同じように、国民の税金によって支払われるTOEFL受験料は、アメリカにたいする巨大な「思いやり予算」となるでしょう。


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私が上記のブログを載せた後すぐ、この‘Tamarod’と呼ばれる若者集団がエジプトの億万長者から資金援助だけでなく事務所などの物質的援助も受けていたことが明らかになりました。

Bill Van Auken氏の論文(Global Research、July 12, 2013)によると、ニューヨークタイムズは次のように報じているそうです。
http://www.globalresearch.ca/us-ships-f-16s-to-egypt-as-junta-intensifies-crackdown/5342497

「モルシ追放劇の裏で暗躍していたのは、旧来の支配者集団で、その中には既に追放されたムバラク氏の取りまきやエジプト軍の高官たちもいた。彼らは、ムスリム同胞団が主導権をにぎっている現政権を倒そうとしている若者たちに金銭的援助を与えただけでなく運動の組織方法も教えた。この援助者のひとりが億万長者であり同胞団の敵として名高いNaguib Sawirisだった。」

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<註> 英語原文は次のとおりです。
US Ships F-16s to Egypt as Junta Intensifies Crackdown
http://www.globalresearch.ca/us-ships-f-16s-to-egypt-as-junta-intensifies-crackdown/5342497
“Working behind the scenes, members of the old establishment, some of them close to Mr. Mubarak and the country’s top generals, also helped finance, advise and organize those determined to topple the Islamist leadership, including Naguib Sawiris, a billionaire and an outspoken foe of the Brotherhood,” the New York Times reported.

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しかし、このような事実が明らかになったからといって、既に何度も述べてきた下記の仮説が間違っていたとは思えません。

「英語が中東に広がっていった」のと「貧困が中東に広まって行った」のが同時進行であり、その結果として高学歴のものでさえ仕事につけない状況が「アラブの春」を生み出したのではないか?

というのは、若者集団「IT機器を駆使し」「英語を自由にあやつることができる」高学歴の若者すらまともな仕事にありつけないエジプトの現状は、変わりようがないからです。

また若者集団‘Tamarod’は、自分たちの運動を支援してくれていたのが独裁者ムバラクと親しかった億万長者Sawirisだったことを知らなかったようです。Sawiris氏はニューヨークタイムズ紙に次のように語っています。

「それが俺だったということをTamarod’の連中はまったく知らなかった」「恥ずかしくないかって?何が悪いんだ!」と彼は言った。


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<註> 英語原文(下線部)は次のとおりです。
US Ships F-16s to Egypt as Junta Intensifies Crackdown
http://www.globalresearch.ca/us-ships-f-16s-to-egypt-as-junta-intensifies-crackdown/5342497
Sawiris told the Times that he “donated use of the nationwide offices and infrastructure of the political party he built, the Free Egyptians. He provided publicity through his popular television network and his major interest in Egypt's largest private newspaper. He even commissioned the production of a popular music video that played heavily on his network. “Tamarod did not even know it was me!” he said. “I am not ashamed of it.

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アメリカ国旗を燃やす、モルシ元大統領の支持者たち

http://rt.com/news/cairo-protest-morsi-scuffles-327/

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Auken氏の論文を読んでいて、もっと驚いたことがあります。それは、モルシ大統領の追放劇を仕組んでいたのは、単に独裁者ムバラク氏の取りまきやエジプト軍の高官たちだけでなく、裏でオバマ政権も暗躍していたという事実でした。

Auken氏の論文では次のように書かれています。

複数の新聞がモルシ政権を転覆させるクーデターにアメリカが直接かかわっていたことを指摘している。

7月6日づけのニューヨークタイムズ紙は、モルシ追放が進行していた頃に、国家安全保障問題担当補佐官Susan Riceと他のアメリカ政府役人たちが加わった会談を詳述している。(中略)

モルシ大統領の外交顧問Essam el-Haddadは、アメリカのエジプト大使Anne Pattersonや国家安全保障問題担当補佐官Susan Riceと会談したが、大統領がアメリカの提案を断ればクーデターになると脅迫された[と語った]。


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<註> 原文は次のとおりです。
US Ships F-16s to Egypt as Junta Intensifies Crackdown
http://www.globalresearch.ca/us-ships-f-16s-to-egypt-as-junta-intensifies-crackdown/5342497
Multiple press reports have pointed to a direct US role in the coup that toppled Mursi. In a July 6 report, the New York Times detailed discussions involving US national security adviser Susan Rice and other US officials in the period proceeding Mursi's overthrow.
(中略)
Mursi's foreign policy adviser, Essam el-Haddad, then held discussions with the US ambassador to Egypt, Anne Patterson, and with national security adviser Rice and was told, after Mursi rejected the offer, that the coup would begin.

[この論文ではMursi(ムルシ)となっていますが、他の英字紙ではMorsi(モルシ)と書かれていることが多いので、和訳は「モルシ」としました。英語の人名や地名をカタカナでどう表記するかで悩むのと似ています。]

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上記で「アメリカらの提案」というのは、モルシ氏にたいする次のような最後通告final ultimatumでした(出典は同上)。

軍が任命する閣僚を受け入れて名目だけの大統領(figurehead president)になるか、それを拒否して軍によって追放されるか
(a final ultimatum to Mursi ordering either that he accept being turned into a figurehead president with a government appointed by the military, or that the military would overthrow him.)

いわゆる「アラブの春」では、結果として独裁者ムバラクは追放されましたが、その中で多くのひとが殺され、多くのひとが牢獄につながれました。

しかし新しく選挙で選ばれたモルシ大統領は、自分の政権を維持するため上記のような軍の犯罪に眼をつむり、アメリカの要求する(IMF資金と引き替えの)「緊縮財政」政策も受け入れました。

この「緊縮財政」政策はスペイン、ギリシャなどの南欧諸国を見れば分かるように、国民に更なる犠牲を強いるものでした。ですから民衆がモルシ氏の強権的なやり方や緊縮政策に抗議して巨大な反対運動になったわけです。

しかし、モルシ氏がこの運動を武力で弾圧した結果、国民の怒りがいっそう高まりました。

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アメリカやエジプトの富裕層にとっては、モルシ大統領が自分たちにすり寄った政策をとっていたにもかかわらず、それでもモルシ氏には満足できなかったようです。

前述のとおり、アメリカ政府は、軍の傀儡になるよう(スーザン・ライスなどを通じて)モルシ氏に直接せまっただけでなく、驚いたことに、エジプト民衆を裏で煽動する工作までもしていたからです。

そのことを示すのがアルジャジーラによって暴露された次のような事実です(出典は同じくAuken氏の論文)。
http://www.globalresearch.ca/us-ships-f-16s-to-egypt-as-junta-intensifies-crackdown/5342497

カリフォルニア大学バークレー校の「調査報道プログラム」(the Investigative Reporting Program)が情報公開法を通じて入手した文書によると、

オバマ政権はモルシ大統領追放を呼びかけているエジプトの有力者たちに、秘かに資金援助をしていた。

この資金は、次のような団体を通じて、「民主主義援助」という名目で[エジプトの有力者や民間NGOを装った組織に]手渡された。

MEPI (the Middle East Partnership Initiative)
NED (the National Endowment for Democracy)
DRL (the State Department's Bureau for Democracy, Human Rights and Labor)
USAID (the US Agency for International Development)

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<註> 原文は次のとおりです。
US Ships F-16s to Egypt as Junta Intensifies Crackdown
http://www.globalresearch.ca/us-ships-f-16s-to-egypt-as-junta-intensifies-crackdown/5342497

In a separate report Thursday, Al Jazeera cited documents obtained under the Freedom of Information Act by the Investigative Reporting Program at University of California Berkeley establishing that the Obama administration had “quietly funded senior Egyptian opposition figures who called for toppling of the country's now-deposed president Mohamed Morsi.”

The funding, provided under the guise of “democracy assistance,” came through various US agencies, such as the Middle East Partnership Initiative (MEPI), the National Endowment for Democracy (NED), the State Department's Bureau for Democracy, Human Rights and Labor (DRL) and the US Agency for International Development (AID).

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<参考> 上記の資金がエジプトのどのような個人や組織に手渡されたかは、下記論文に詳しい分析がありますが、長くなるので割愛させていただきます。

US Bankrolled Anti-Morsi Activists: US Money Trail to Egyptian Groups that Pressed for President’s Removal.
http://www.globalresearch.ca/us-bankrolled-anti-morsi-activists-us-money-trail-to-egyptian-groups-that-pressed-for-presidents-removal/5342377

ただ一つだけ付けくわえておきたいのは、アメリカ政府がNED、DRL、MEPI、USAIDなど様々な組織を使って撹乱工作をしているのは、エジプトだけではないということです。

特にその活動が顕著なのは中南米で、最近ではチャベスが亡くなった後でおこなわれたベネズエラ大統領選挙でした。

これについては下記ブログ(2013.3.12、2013.4.19、2013.5.22)に書きましたので、時間がある方は御覧ください。

http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=4800792
http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=4852710
http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=4899289

またオバマ氏は [他国への撹乱工作どころか] 悪名高いブッシュ氏でさえおこなわなかった中南米のクーデターにも手を出しています。

これについても下記ブログ(2010.10.17、2011.1.5、2012.6.26、)で取りあげました。時間があれば御覧いただければ幸いです。

いずれのクーデターも選挙で選ばれた人物を追い落として、代わりに独裁政権・軍事政権を据え付けたところが共通しています。

http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=3245737(ホンジュラスのクーデター)
http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=4396635(ホンジュラスのクーデター)
ttp://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=3404860(パラグアイのクーデター)

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