英語力 は貧困力(番外編その下) 安倍内閣が育てたい「グローバル人材」とは――ワイマール憲法はどのようにして停止状態に追い込まれたか、そして同じ手口で平和憲法も?

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憲法「改正」で麻生氏講演

http://rt.com/news/revising-constitution-nazi-weimar-890/

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Key Words: トレイボン・マーティン、ジョージ・ジンママン、ブラッドリー・マニング、TOEFL、留学政策、英語ディベート、麻生副総理・財務大臣、ワイマール憲法、ヒトラー政権、授権法(全権委任法)、

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そんなことを思っていると、麻生副総理にかんする次のような報道が目に飛び込んできました。歴史が逆転しているのはアメリカだけかと思っていたら、日本も同じ状況のようです。

ナチスの手口、学んだら…憲法改正で麻生氏講演
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130730-OYT1T00050.htm

戦前のように自由に海外で戦争するためには平和憲法を改悪しなければならないわけですが、そのために、かつてナチスがおこなった手法を学んだらどうか」というのですから、空いた口がふさがりません。

しかも、当時「世界で最も進歩的憲法」と言われていたものを、ヒトラー政権が暴力的な方法を用いずに「ナチス憲法」に「改正」したと言うのですから、無知も甚だしいと言うべきでしょう。

このような人たちが日本を代表して海外に出かけたりしているのですから、安倍内閣が学生にTOEFLを強制受験させて育てたいとする「グロ-バル人材」なるものがどの程度のものかよく分かります。

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しかし、ここでもう一つ確認しておきたいことは、ワイマール憲法も「いつの間にかナチス憲法に変わっていた。(国民が)騒がないで、納得して変わっている」と麻生氏は言っていますが、具体的事実はどうだったのかということです。

日本人が大部分は、中学・高校で世界史を学んでも受験勉強としてしか学んでいませんし、ともすれば現代史を教えることはタブ-視されていますので、本当の経過を知らないなのではないでしょうか。

そこで私が一員となっている「レーバーネット日本」のメーリングリストに寄せられた情報を以下に紹介することにします。ナチスによる「ワイマール憲法」停止の流れがよくわかるものだったからです。

(なお、これは「レーバーネット日本」の松原明氏が「市民社会フォーラム」へのD氏投稿を上記メーリングリストで紹介され、それを私が再転載させていただくものです。)

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行進する自衛隊員

http://rt.com/news/japan-pre-emptive-strikes-564/

ーー以下、転載ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
麻生発言を、今朝の読売新聞(2013年7月30日07時32分)も報じていました。

▽▽ナチスの手口学んだら…憲法改正で麻生氏講演
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130730-OYT1T00050.htm
 麻生副総理は29日、都内で開かれた講演会で憲法改正について、「狂騒、狂乱の中で決めてほしくない。落ち着いた世論の上に成し遂げるべきものだ」と述べた。
 その上で、ドイツでかつて、最も民主的と言われたワイマール憲法下でヒトラー政権が誕生したことを挙げ、「ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうか。[国民が] 騒がないで、納得して変わっている。喧騒(けんそう)の中で決めないでほしい」と語った。△△



朝日新聞も同じ講演を記事にしていますが、なぜか「ナチスに学べ」の部分だけ削除しています。この発言はいずれ海外から激しく非難されると予想されます。その前に国内批判を高めないと。

みなさんはよくご存知でしょうが、麻生発言のデタラメさを年表にもとづいて検証しました。

> ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。

【間違い】 ドイツワイマール憲法は「変わった」のではない。

ワイマール憲法は変えられたのではなく、なくなったのでもない。「ナチス憲法」というものも存在しない。

「非常事態」を口実に導入された「授権法」「全権委任法」(ヒトラーに全権を委任する法)により、憲法が執行停止にされたのです。

自民党改憲案99条には、「緊急事態」の定めがあり、議会の同意を得ないまま内閣が法律の効果をもつ政令を発布できるとしています。 おお、怖っ!
 
> (国民が)騒がないで、納得して変わっている

【間違い】 大騒ぎの中で強権的に停止させられた。

ワイマール憲法が停止に追い込まれるまでの、たった1ヶ月の年表を繰ってみます。

1933年2月27日
 国会議事堂が何者かの手で放火された。 ヒトラーはこれを共産党の仕業であると決めつけ、弾圧を開始した。 同時に緊急大統領令を布告して非常事態を宣言した。ワイマール共和国憲法の保障する基本的人権や労働者の権利のほとんどは停止された。

1933年3月1日
 ゲーリングがラジオ放送で「共産主義を我々の民族から抹殺する」と叫び、政府自らが共産主義者に対してテロルを振るうことを宣言した。共産主義者は次々と警察によって予防拘禁され、2日後には無政府主義者、社会民主主義者も対象に加えられた。

このさなかに選挙が実施され、各地で共産党や民主主義政党の集会がナチス突撃隊に襲われた。選挙期間中に殺害された共産党員など51人、負傷者は数百人にのぼった。

選挙の結果、100議席を持っていた共産党は81議席へと後退した。一方ナチス党は199議席から288議席へと躍進し、ヒトラーが首相に就任したが、全体の647議席の過半数獲得には至らなかった。

1933年3月23日
 連立政権を組んだ右翼政党の協力で、 授権法(全権委任法)が成立。 ワイマール憲法は執行停止された。立法権を政府が掌握し、議会が無力化されて独裁体制が確立された。

麻生のいう「騒がないで納得して変わった」というのは、こういう状態でした。さて、その後。

1933年7月14日
 「政党新設禁止法」公布。ナチ党以外の政党の存続・結成が禁止された。授権法に賛成した連立政党も解散させられた。(公明党は他山の石とすべきだ)

1933年12月1日
 「党と国家の統一を保障するための法律」公布。ナチ党と国家の一体化が定められた。

ヒトラーは「政権を取ったらヨーロッパ中に戦争を仕掛けまくるぞ」と公約して政権を取ったのではない。「(ドイツが敗北して)ベルサイユ講和条約で失われたドイツの誇りを取り戻そう」と訴えたのだった。

 「(日本が敗北して)サンフランシスコ講和条約で失われた日本を取り戻そう」という安倍とそっくりだ。勝利におごり、歴史をねじ曲げてナチスに学ぶ自民党内閣を、一日も早く打倒しなければ。

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自衛隊「戦車部隊」

http://rt.com/news/japan-pre-emptive-strikes-564/

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以上が、D氏の投稿内容です。

この麻生発言について、日本維新の会の橋下共同代表は1日、大阪市役所で記者団に、「行き過ぎたブラックジョークだ。ナチスドイツを正当化した発言ではない。国語力があればすぐにわかる」と語り、麻生氏を擁護したそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130802-OYT1T00257.htm?from=popin

しかし、麻生副総理が7月29日、都内の国家基本問題研究所月例研究会で講演した発言要旨は次の通りです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130801-OYT1T01081.htm?from=popin
(2013年8月1日19時38分 読売新聞)

これを読めば、麻生氏が「ナチスの手法を学べ」と言っていることは間違いようがありません。国語力がないのは、むしろ橋下氏の方でしょう。

その証拠に、与党からも苦言を呈する声が出ており、公明党の山口代表も1日の記者会見で、「枢要な立場にある政治家は発言に重々配慮することが重要だ」と語っています。

「ナチス発言」火消し急ぐ…麻生氏撤回表明
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130802-OYT1T00257.htm?from=popin
(2013年8月2日09時04分 読売新聞)

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今の安倍政権は従順な同盟者としてアメリカのTPP推進に力を注いでくれているので、大喜びしていたところ、このような発言が飛び出してきたのですから、オバマ氏も今ごろ頭をかかえていることでしょう。

というのは、日本と韓国を協力させて強固な中国包囲網をつくりあげようと努力している最中のことだったからです。

韓国を苛立たせている従軍慰安婦問題だけでも頭が痛いのに、それに輪をかけた麻生発言ですから、アメリカにとって今の安倍政権は、「沖縄の基地を国外へ」と言った鳩山内閣に劣らず、頭の痛い存在になるかも知れません。

というのは、アジア諸国からも「発言が多くの人々を傷つけるのは明らかだ」(韓国外交省報道官)、「国際社会の懸念と警戒を呼び起こさずにはいられない」(中国外務省副報道局長談話)などと批判が出ているからです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130802-OYT1T00257.htm?from=popin

アジア諸国どころか、次のRT記事「“ナチスのスタイル” 日本国憲法「改正」の提案が怒りをかきたてている」を見れば分かるように、国際社会からも大きな反響や批判が聞こえてきます。

‘Nazi style’: Japan constitution revision proposal sparks outrage
http://rt.com/news/revising-constitution-nazi-weimar-890/(August 01, 2013)

何度も言いますが、TOEFLを強制受験させて育てたいとする、安倍内閣の「グロ-バル人材」なるものは、この程度の世界認識しか持たない閣僚たちによって提案されているのです。

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<註> 上記RT記事の最後は次の文章で終わっています。

 「また麻生氏は、政治的に問題を呼ぶ乱暴な『見識』を撒き散らす人物としても有名だ。氏は今年も早々に、税金による医療費支出を減らすため老人は『さっさと墓場に行ってくれた方がよい』という趣旨の発言をして物議を醸(かも)した。」
 Aso has a reputation for dispensing harsh, politically charged “wisdoms.” Earlier this year he suggested that elderly people should "hurry up and die" to avoid taxing the country's medical system.
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