日本の新しい国家機密法が、内部告発者を黙らせ報道の自由を危険にさらす


フク・シー(黙れ、静かにしろ!)・マ
日本の新しい国家機密法が、内部告発者を黙らせ報道の自由を危険にさらす


http://rt.com/news/japan-state-secrets-law-712/
Japanese Prime Minister Shinzo Abe (3RD-L) speaks during a joint-meeting by Nuclear Emergency Response Headquarters and Nuclear Power Disaster Management Council at the prime minister's official residence in Tokyo (AFP Photo)


<解説> 以下は、RTニュース を翻訳したものです。
Fuk-‘hush’-ima:Japan's new state secrets law gags whistleblowers, raises press freedom fears
http://rt.com/news/japan-state-secrets-law-712/(October 25, 2013)
 今まで日本のことが世界のメディアに登場することはあまり多くなかったのですが、福島原発事故いらい、その頻度が激増しました。
 ところが、11月8日から始まる福島第1原発4号機の燃料棒の取り出し作業は、一歩間違うと福島や日本どころか北半球全体を包み込む大惨事になる恐れがあるにもかかわらず、それを日本の大手メディアはまったく報道していません。
 今でさえこんな状態なのですから、いま安倍内閣が可決させようとしている「特別秘密保護法案」が成立すればどんな日本が出現することになるのか、それは単に日本を破滅に導くだけでなく、北半球全体をも道連れにしかねない――そんな思いがRTの記者にこのような記事を書かせたのだと思います。
 蛇足ですが、記事の題名が、Fuk-‘hush’-ima となっていることにも注目ください。福島(Fukushima)と「黙れ」「しっ!, 静かに!」(hush)が、掛詞になっています。RTのニュースは、このように題名のつけ方が抜群なので、いつも感心して見ています。[November 5, 2013]


 
新しい法案のもとで、福島原発の状況のみならず多くの国民的重要問題が国家機密に指定されるだろう。ひとたびこの法案が成立してしまうと,内部告発者は最長10年間も投獄される可能性がある。
 他の国々と比べると日本は国家機密の漏洩に対する罰則がゆるいとも言えるが、この新しい法律の導入でそれが大きく変わるだろう。金曜日に閣議決定したこの法案を、安倍内閣は12月6日の閉会までに国会で採決にもちこみたいとしている。
 連立与党は両院の安定多数を占めているから、これにたいする反対を難なく乗り越えることができると思われている。しかし反対派は、この新しい法律が行政側に巨大な権力を与えてしまい、国民の眼から情報を隠蔽し報道の自由を大きく侵害することにつながる、と批判している。

 現在の日本では防衛上の問題だけが国家機密に指定されており、しかも軍関係者以外は、その情報を漏洩しても、最高でも1年の刑期だ。ただし防衛省の職員が機密を漏洩した場合は5年の刑期、極秘情報が米軍関係のものであった場合には10年になる可能性がある。
 新しい法律は秘密漏洩者にもっと厳しい罰を与えることになるだろうが、もっと重要なことは、この新しい法律で、防衛省以外の行政機関も自分たちの情報を国家機密に指定できるようになることだ。この法案では保護の対象となる分野は、防衛・外交・テロ対策・スパイ対策の4つだ。

 新しい法律では情報を5年間の機密扱いにできる。そしてさらに最長で30年間の延長ができることになっている。しかし30年の期限が切れた後、それを延長するためには閣議決定が必要としているが、それを何年の延長にするかについては何の縛りもない。
 日本弁護士連合会「秘密保全法制対策本部」の武藤忠明弁護士は、ロイター通信社の質問にたいして次のように答えている。
 したがって「この法案によって人々に知らされるべき情報が永遠に秘密にされてしまう可能性が出てきた」だけでなく「この法案のもと、行政機関は自分たちの好き勝手に機密情報の範囲を決めることができます。」<訳註1>


 日本のマスコミ監視組織は、この法案により、規制官庁と電力会社との結託・なれ合いといった大きな不正も、政府が隠蔽してしまうことになりかねないとを恐れている。というのは、すでにそのような結託が2011年の福島原発事故の重大な要因となったからだ。地震と津波で原子力発電所はメルトダウンを起こしたが、発電所の運営会社である東京電力はその汚染水を食い止めるのに失敗し、今も汚染水は漏れ続けている。
 東京電力はその危機と福島の事実を曖昧にしてきたことで、この間ずっと非難されてきた。事態の推移とその詳細は、メディアによって報道されたあとになって、やっとそれらの事実を追認する始末だった。

 秘密保護法法案を批判する学者たちも、その新しい法案によって、政府とその政府が守ろうとしている者たちの行動をメディアが監視できなくなると言っている。
 「その法律は日本のジャーナリストを萎縮させることになるのは明らかだ」と明治大学法学部教授のローレンス・レペタ氏は言う。


http://rt.com/news/japan-state-secrets-law-712/
Fukushima Governor Yuhei sato (orange helmet) inspects the spent fuel pool in the unit 4 reactor building of Tokyo Electric Power Co (TEPCO) Fukushima Dai-ichi nuclear power plant at Okuma town in Fukushima prefecture on October 15、 2013. (AFP Photo/Jiji press)
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 そのような懸念に答えるものとして、安倍内閣は、市民の知る権利と報道の自由に対しては「最大限の配慮」をするという条項を法案に付け加えた。
 この追加は安倍首相ひきいる自由民主党の連立与党である公明党の要求によって行われたものだが、それによれば、その情報を得る目的が公共の利益にかなうものであり、かつ違法な行為や極端な不正行為によって得られたものでないかぎり、その報道は合法であるとしている。

 このような追加条項の背景には1970年の「不祥事」がある。そのとき新聞記者が違法に政府の機密情報を入手したとして告訴され有罪とされたのだが、1972年にアメリカが沖縄を日本に返還する際「費用の約400万ドルを日本政府がもつ」という密約を、その記者・西山太吉氏が暴露したのだった。
 西山氏の報道は2000年になって事実だったことが判明した。しかし情報源が氏と関係のあった既婚女性の外務省職員から受け取った文書だったことから、氏は辞職に追い込まれ、氏の勤務していた新聞社にも大きな打撃となった。

 日本の法律では、どんな取材活動が「非常に不適切」と見なされるのかという明確な定義がない。この法案が通ると、そのような「非常に不適切な」方法を使って情報を得たジャーナリストなど非公務員に対して、最長5年の刑期を言い渡すことになる。しかし、合法的にその情報を得たことが判明したとしても、国家機密を報道したジャーナリストが罰を受けないということは条文のどこにもない。この法案の「報道の自由」という条項はたんなる政治的な飾りにすぎないとして痛罵されている所以(ゆえん)である。

 このような批判にも係わらず、安倍内閣はこの法案の速やかな採択を主張している。いま計画されている国家安全保障会議(NSC)の設立にこの法案が必要不可欠だだからという。NSCには様々な省庁から参加するから、この法案がなければこの新しい組織のなかを飛び交う情報を保護することができなくなるというのである。

 自由民主党は過去にもさらに厳しい秘密保護法案を成立させようとしたことがある。その動きは、2010年にひとつのビデオ映像が「漏洩」して、さらに強くなった。それは、東シナ海尖閣諸島付近で中国漁船と日本の巡視船が衝突した映像で、現在は野党となっている当時の与党・民主党は、その時すでに緊張関係にあった中国政府とのさらなる関係の悪化を恐れて、そのビデオの公表を避けようとしたのである。<訳註2>

 日本にも第2次世界大戦前および大戦中は厳しい国家機密法[治安維持法]があった。そのゆえ敗戦後、政府の秘密主義は、軍国主義的伝統および旧日本帝国時代を連想させる他のものと共に、強い疑惑の目で見られてきた。安倍氏の自由民主党はこのような流れに楔(くさび)を打ち込もうとする日本の[右翼的]政治集団の一つだ。


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<訳註>
1 日弁連「秘密保全法制対策本部」が作成した「秘密保護法に反対!」の分かりやすい資料が下記URLにあります。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret.html

2 上記のビデオ映像は海上保安庁内で研修用に作成されたもので、政府が保秘を命じるまでは比較的自由に閲覧できるようになっていました。また当時の自民党は上記の映像を国民に全面公開せよと迫っていたのですから、現在の法案とまったく整合性が取れません。

3 ドイツのキール海洋研究所(GEOMAR)が2012年7月6日づけで発表した福島第一原子力発電所の事故による太平洋の海水放射能汚染の長期シュミレーションが下記動画にあります。
http://www.youtube.com/watch?v=vAU00aL-_ic&feature=youtu.be
http://www.youtube.com/watch?v=MqRogjLKbzk
 太平洋岸の魚はもう食べれないことは明らかでしょう。日本の大手メディアは、このような情報をまったく出していません。「秘密保護法」が通れば、もっと深刻な事態になるでしょう。
 なお、この動画は下記ブログを参照していて発見したものです。
http://tkajimura.blogspot.jp/2012/07/blog-post_13.html
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