何故それを改訳したか ― NYTimes の社説も批判する秘密保護法案

「自由主義」を標榜する国日本の、

「不自由」を強制する秘密保護法


Japan's Illiberal Secrecy Law:
New York Times editorial (October 29, 2013)
http://www.nytimes.com/2013/10/30/opinion/international/japans-illiberal-secrecy-law.html?_r=1&

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http://seiji.yahoo.co.jp/close_up/1372/

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<解説> 
 ニューヨークタイムズが10月29日の社説で、"日本の「秘密保護法案」が、日本版NSCとセットでアメリカ政府から要請されたものであり、それは自由と民主主義を根底から堀り崩すものである" ときびしく批判ていることを知りました。
 以下にその拙訳を紹介します。[ ]内の挿入語句は訳者による補足です。
 それにしても、ニューヨークタイムズでさえ社説でこのような批判をおこなっているのに、そのことを日本の大手メディアは私たちに紹介していません。これもチョムスキーのいう「メディアの家畜化」の一例ではないでしょうか。
 アメリカのNSCがCIA、NSAという諜報機関を使って、世界中を盗聴し世界中に殺戮と戦争をバラ捲いていることは、マニング氏やスノーデン氏によって今や天下周知の事実になっているにもかかわらず、そのアメリカのプードル犬となり日本版NSCと日本版スパイ防止法をつくろうとしていることは、日本国民として恥ずかしいかぎりです。
 というのは、オバマ氏以前は、1917年につくられた「スパイ防止法」で3人しか訴追されていないのに(悪法として名高いから当然でしょう)、彼が大統領になってからは、その2倍以上もの政府高官が裁判にかけられたり刑務所に送られたりしています。
 政府の悪行を暴いた人物が処罰され、悪行を働いた人物は誰ひとりとして処罰されていないのです。安倍氏は「第2のオバマ」になりたいのでしょうか。
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日本政府は、人々の知る権利を土台から堀り崩す秘密法案を、成立させようとしている。この法律は、すべての政府省庁に、防衛、外交、スパイ防止、テロ防止に関連する情報を秘密指定できる権利を与える。しかし何をもって秘密とするかの基準がない。このような基準なしでは、政府にとって不都合な情報は、すべて秘密指定できる。

この法案では、秘密をもらしたことが発覚したばあい、その政府職員は最高10年の懲役となる。このような条項は、不正行為を内部告発しようとする職員の意欲・勇気を奪い、情報を秘密指定することに拍車をかけることになろう[まさにそれがこの法案の狙いなのだ]。

これまでは情報を「防衛機密」として秘密指定する権限をもつのは防衛省だけだった。しかしその前科たるや凄まじいものだ。防衛省によって2006ー2011年に秘密指定された5万5千件の文書のうち、なんと3万4千件が、秘密指定期間が終わったとき破棄された。国民に知られては困るものだったわけだ。こうして、公開されたものは、たった1件だけだった。

この新法が通れば、秘密の指定期間も無期限延長が可能となる。しかもこの法案は政府の説明責任をいっそう限定し縮小させるものとなっている。選挙によって選ばれた国民の代表者[国会議員]に、秘密について議論する場を保証する、明確な条項がないからだ。

この法案は、もうすでに不透明な政府を、さらに不透明なものにするだろう。というのは、「不正」「不当」な方法で情報を得たばあいは最高5年の懲役にするぞ、と報道関係者を脅迫しているからだ。日本の新聞各社は、記者が政府職員に取材できなくなるのではないか、と懸念している。世論調査によると、国民もこの法案がもたらす悪影響について大きな不安、強い疑いを抱いている。にもかかわらず安倍晋三政権は、この法案を一刻も早く通すことにのみ熱心だ。

安倍氏がこの法案を必要としているのは [アメリカ政府の要請で] アメリカ型の国家安全保障会議NSCを設立するためだ。ワシントンが「日本が情報統制をもっと厳しくしないと、これ以上の情報を与えないぞ」と言っているからだ。安倍氏が提案しているNSCは6部門をもうけているが、他の部門は「同盟・友好国」「その他の地域」などとなっているのに、1部門だけは国名を名指しで「中国・北朝鮮」となっている。

このような動き [新たにNSCを設置し秘密法案をつくること] は、これまで安倍政権が中国にたいして取ってきた対決的姿勢を反映しているだけでなく、安倍政権のタカ派的外交政策を示すもうひとつの前兆となる。それは当然ながら、市民の人権を害するのみならず、東アジアに、日本政府にたいするいっそうの不信感を生み出すことになるだろう。


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<註> 上記のニューヨークタイムズ社説は下記ブログで知りました。このブログはドイツ在住の日本人が書いていて、興味深い記事がいっぱい載っています。
ブログ「明日うらしま」
http://tkajimura.blogspot.jp/

また下記に乗松聡子氏による上記社説の翻訳(Nov.13,2013)が載っていましたが、一般の読者にはやや分かりにくいと思われたので、全面的な改訳を試みたのが上記のものです。
PeacePhilosophy
http://peacephilosophy.blogspot.ca/2013/11/japans-illiberal-secrecy-law-new-york.html

<参考>
日本外国特派員協会:
「特定秘密保護法案」は報道の自由及び民主主義の根本を脅かす悪法であり、撤回、または大幅修正を勧告します。(平成25年11月11日)
ルーシー・バーミンガム。日本外国特派員協会々長
http://www.fccj.or.jp/ (特派員協会ホームページ)
http://tkajimura.blogspot.jp/2013/11/designated-secrets-billprotest.html
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/11/foreign-correspondents-club-of-japan.html
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