国際社会は法案の「根本的修正」を求めている(2)――国連人権高等弁務官からの訴え、ニューヨークタイムズ「秘密法案は戦後の平和主義から日本を遠ざける」

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秘密保護法反対のキャンドル行動、12月2日午後6時半から参議院議員会館前

http://www.labornetjp.org/news/2013/1202hokoku
開始30分ほど前から、歩道を参加者が埋め始め、開始時には400人を超え、7時には用意したキャンドル50本、ペンライト500本が出払い、最終的には1500人が集まる大行動となった。

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事態は緊迫しています。今後の緊急行動については下記HPを御覧ください。
http://www.himituho.com/
http://www.labornetjp.org/

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前回のブログでは、安倍内閣が「特定秘密保護法は国際社会の要請である」と言っているにもかかわらず、その「国際社会」から聞こえてくるのは、「廃案」また「根本的修正」ばかりだということを、下記のように、幾つもの事例で紹介しました。

*アメリカ政府元高官ハルペリン氏【秘密保護法案、国際基準を逸脱】
http://www.47news.jp/47topics/e/247843.php(2013年11月23日、共同)
*国連人権理事会の特別報告者の二人特定秘密保護法案に強い懸念
http://www.un.org/apps/news/story.asp/html/story.asp?NewsID=46560&Cr=japan&Cr1=#.Upfweycw_P9(2013年11月22日)、以下、省略

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この国際社会からの強い懸念、法案の廃案または根本的見直しを要請する声は、弱まるどころか、ますます強くなっています。たとえば【共同通信】は昨日(2013/12/03)、次のような記事を配信しました。

日本の特定秘密保護法案に懸念 国連人権高等弁務官
http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013120201002702.html

【ジュネーブ共同】国連のピレイ人権高等弁務官は2日の記者会見で、日本の特定秘密保護法案について「『秘密』の定義が十分明確ではなく、政府が不都合な情報を秘密扱いする可能性がある」と懸念を表明した。

ピレイ氏は「日本の憲法や国際人権法が定める情報へのアクセス権や表現の自由に対する適切な保護規定を設けずに、法整備を急ぐべきではない」と指摘。「政府と立法府に対し、国内外の懸念に耳を傾けるよう促す」と述べた。


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先に社説で、この法案に強い疑念を提示していたNew York Timesも、同法案が衆議院で強行採決された翌日(11月28日)、巨大な写真入りで、次のような記事を載せました。

「秘密法案は、戦後の平和主義から日本を遠ざける恐れ」
Secrecy Bill Could Distance Japan From Its Postwar Pacifism
http://www.nytimes.com/2013/11/29/world/asia/secrecy-bill-could-distance-japan-from-its-postwar-pacifism.html?pagewanted=1&ref=asia&_r=0

ところがNHKは、声を上げて強行採決に抗議する傍聴者を強制的に排除するようすが映像に残らないようにするためでしょうか、審議を終えていよいよ強行採決する直前に放送を打ち切ってしまったのです。

NHKは公営放送であり、国民の税金と視聴者から集めた視聴料で運営されているのですから、審議の一部始終を国民に知らせる義務があるはずです。このような放送の仕方は「特定秘密保護法」のあり方を先取りするものと批判されても仕方がないのではないでしょうか。

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強行採決に抗議する傍聴者を排除する警備職員

Toru Hanai/Reuters、A protester was removed by security officers after Japan's lower house of Parliament passed a national secrets act on Tuesday.
http://www.nytimes.com/2013/11/29/world/asia/secrecy-bill-could-distance-japan-from-its-postwar-pacifism.html?pagewanted=1&ref=asia&_r=0

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以下ではNew York Timesの記事で私の目にとまった箇所を訳出しながら、若干のコメントを付けくわえたいと思います。記事は次のような書き出しで始まっています。

多くの人たちが街頭で表明している怒りや、民主主義の死を予言する一流紙の社説を、掃き捨てるかのように無視して、日本の保守的総理大臣安倍晋三氏は、いよいよ立法議案の最重要議題に王手をかけたようだ。戦後の国家をかたちづくってきた日本の平和主義を戦前に巻き戻そうとする国家機密法を、この国会で通そうとしているのだ。

Brushing past angry street protests and apocalyptic editorials in leading newspapers, Japan's conservative prime minister, Shinzo Abe, appears set to achieve one of the first items on his legislative agenda to roll back his nation's postwar pacifism: passing a national secrets law.


上記でNYタイムズ紙は、この法案を、「日本を戦前に巻き戻そうとする」ものだとしていることに注目していただきたいと思います。日本の大手新聞が今まで遠慮して言わなかったことを、NYタイムズ紙が明言しているのです。

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しかし(雷が避雷針を通って地上に落下するように)この国家機密法が国民の頭脳に衝撃波を送ることになったとタイムズ紙は述べています。この法案が強大な権力をもつ官僚に何が秘密かを決める権限を与えるからです。

しかし,この秘密法は反対する人たちにとって避雷針を流れる衝撃波となった。報道関係者や大学の研究者の多くは、この法案が強大な権力をもつ官僚に何が秘密かを決める一切の裁量権を与えることになりかねないと言う。それは同時に、今まででさえ不透明で有名だった政府に、いっそうの情報隠しを許すことになるからだ。

この法案が政府による権力の乱用を招きかねないと彼らは警告している。なかには、この法案を戦前の恐ろしい取締法[治安維持法]になぞらえるひともいる。治安維持法は、言論の自由をきびしく取り締まり、結局は軍部が日本を第2次世界大戦に引きずり込むことを許すことになったからだ。

But the secrecy bill has quickly become a lightning rod for opponents, many in the news media and at universities, who fear that it gives too much discretion to the nation's powerful bureaucrats to decide what is a state secret and allows a famously opaque government to provide even less information to the public.

Many have warned that the bill could lead to abuses of power by the government, and some critics have gone so far as to compare it to much more draconian prewar laws that placed severe restrictions on speech, and ultimately allowed the military to drag Japan into World War II.


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またタイムズ紙は、この秘密法がアメリカからの要請によるものであること、また学者のなかには「この法案により機密保護がアメリカのレベルになった」と言うものもいることを、次のように紹介しています。

今週の議会で安倍氏は、この法案が機密情報の扱いを強化することに役立つだけでなく、アメリカからの要請があったことに答えるものだと述べた。防衛上の秘密をめぐって[毎日新聞の西山記者による]漏洩事件などいろいろな問題が起きたからだ、という。

「これでやっと日本も機密の扱いがアメリカ並みになった」と東京大学(情報法)の長谷部恭男(やすお)教授は述べている。[訳註:タイムズ紙は長谷部氏の専門を「情報法」としているが、専門は「憲法」である。]

In Parliament this week, Mr. Abe said the bill was needed to help Japan strengthen its management of classified information, something he said the United States has asked Japan to do after scandals here over leaked or mishandled security secrets.

“I think this just brings Japan up to the levels of secrecy management of the United States,” said Yasuo Hasebe, a professor of information law at the University of Tokyo.


日本の大手メディアでは、日本がアメリカの属国になって、言われたとおりに行動していることを指摘するのにためらいがみられますが、NYタイムズ紙は意外と簡単にそれを暴露しています。中国包囲網を当然視しているから、その一貫として日本もそれに協力すべきだと考えているからでしょうか。

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それにしても東大教授がまたもや安倍内閣を援護射撃しているのを見ると、原発事故の時と同じく、「東京大学はやはり御用学者の巣窟か!?」という思いが強くなります。これでは東大卒であるひとたちは、恥ずかしくなってその肩書きを返上したくなるのではないでしょうか。

アメリカ政府の悪事を内部告発して告訴・投獄された政府高官がオバマ政権になってから激増していることを知っていて、長谷部氏は、このような発言をしているのでしょうか。知らないで発言しているのであればその無知を恥ずべきだし、知っていて発言しているのであれば悪辣の極みです。

オバマ氏が機密保護法=スパイ防止法を利用して告訴した人数は、それ以前の大統領によるものをすべて合計しても、その2倍を超えるのですから。またオバマ氏が無人爆撃機Droneを使って主権侵害の殺人行為(これは宣戦布告なしの戦争行為に等しい)はパキスタン、アフガニスタンを越えて、イエメンやソマリアまでにおよんでいます。

ですから、「テロ国家アメリカ」(チョムスキーの言)の要請にしたがって日本版NSCとセットで日本版スパイ防止法(=特定秘密保護法)をもうけ、アメリカと一緒になって「集団的自衛権」を行使するということは、アメリカが世界に撒き散らしているテロ行為=戦争に日本も巻き込まれることを意味します。

それどころか、アメリカが世界に撒き散らしているテロ行為の恨みを買って、日本もテロ攻撃の対象になるということです。なぜなら前回のブログでも書きましたが、「Droneで無実の民衆ひとりを殺すたびに、復讐の念に燃えた40人のテロリストが生まれる」(チョムスキーいわく)からです。 

ですから本当にテロ行為から日本を守りたいのであれば、日本をアメリカ並みの「普通の国」にしないことです。日本が憲法9条を掲げて平和外交に徹するかぎり、日本が攻撃される原因・理由は決して湧いてきません。また原発がテロ攻撃の対象になる恐れがあるのであれば、廃炉にするのが最良の国防政策になるでしょう。

(ただしアメリカ並みに武器輸出をしい勢力にとっては、意図的に紛争の種を周辺に撒き散らし、国民の危機感を煽りながら、国内の軍事産業を肥え太らせていくでしょう。そして集団的自衛権を行使できる国にしたいアメリカは、日本のこの動きを裏で支援することは間違いありません。)


ついに日本弁護士連合会まで「街頭宣伝」に立ち上がった!

http://www.labornetjp.org/news/2013/1385884402349staff01

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ところでNew York Timesの記事は次のような文章で終わっています。

しかし[アメリカ並みになりたいと言って]アメリカを模倣することは、まさに問題の上塗りだ、と多くの識者は指摘する。アメリカや他の国々が秘密をもっと減らして国家の透明性を高めたいという動きを押し進めているときに、よりにもよって、こんな法案を通そうとするのだから。

NSA(国家安全保障局)の契約職員だったエドワード・J・スノーデンのことにふれながら、上智大学の田島教授は次のように述べた。「スノーデンによる悪事の暴露はアメリカ国内の成人に自国の政策にたいする再考をうながした」「ところが今この日本ではまったく逆の方向に走り出している」

But imitating the United States is exactly the problem, many critics say, arguing that Japan should not pass such a bill when the United States and other nations are pushing for less secrecy from their own governments.

“The Snowden disclosures caused a major rethink in the United States,” said Mr. Tajima, the Sophia University professor, referring to the former National Security Agency contractor Edward J. Snowden.“And now here comes Japan, running in the wrong direction.”


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アメリカが五つの同盟国(Five Eyes)を道連れにして世界中の元首・市民・企業を盗聴していることが、スノーデンによって暴露され、今やオバマ大統領=アメリカ政府の権威は地に落ちつつあります。

映画『JFK』で有名になった映画監督オリバー・ストーンでさえ、「オバマ氏は羊の皮をかぶった狼だ」と評して話題を呼びましたが、この言い方を借りれば、「安倍氏は鼻の下に髭のないヒトラーだ」とでも言うべきでしょうか。

そう言えば、麻生副総理も「日本だってナチスの手口に学んだら」と発言していましたが、今度は自民党の石破茂幹事長がこの法案に反対する市民の抗議行動を「テロ行為と変わらない」とブログに書きみ、これに対して強い怒りの声が上がっています。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1693

デモや集会における音楽やシュプレヒコールを「テロ行為」だと言うのですから、この法案が通過したらどのような社会になるか、それを石破発言は暗示しているのではないでしょうか。
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