内部告発者が明かす、福島「原発ジプシー」の実態――秘密保護法は、政府・東電とつながる「闇の世界」を、いっそう暗く厚くおおい隠すだろう

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秘密保護法が強行採決された翌日(12月7日)、3000人を超えた「大デモ」参加者

誰も めげて いない。反転攻勢に向けてパワーを爆発させた渋谷(写真:田中龍作)
http://tanakaryusaku.jp/2013/12/0008380
山本太郎氏らと共に三宅洋平氏が「大デモ」開催
「デモは、いてもたってもいられない人たちの行き場所」

http://www.huffingtonpost.jp/2013/12/07/big-demo_n_4405941.html

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 2013年12月6日の深夜、自民党と公明党は参議員本会議で秘密保護法案を強行採決しました。日本の憲法が止まった歴史的瞬間でした。
 この法案が本格実施されれば、今でさえ秘密の多い原発行政が、そして戦争推進政策が、ますます闇に包まれ、下手をすると日本を沈没に追い込むかも知れません。
 というのは、東電が大量の汚染水を海に捨ててきたことを公表したのは、参議院選挙が終わった直後のことだったからです。これを選挙以前に公表していれば自民党があれだけ大勝することはあり得なかったでしょう。
 このように権力をもつものは自分に都合の悪いことはめったに公表しません。だからこそ、そのような秘密を保持できるようにするために、秘密保護法が必要になるわけです。
 以下の翻訳で紹介するように、原発推進政策が裏組織(やくざ)と深い関わりがあったことは、公然の秘密だったはずですが、それを大手メディアがきちんと取りあげて政府を追及したことは、ほとんどありませんでした。それは日本では、一種のタブーだったからです。
 だからこそ、それが暴露されるにはロイターやRT(ラッシア・トゥデイ)の力が必要でした。以下で紹介する記事はRTによる記事ですが、秘密保護法により外国人記者でさえ、今後は、このような事実を調査することが許されないような事態になるかも知れません。
 というのは、自民党幹事長の石破氏は、デモ行為をしている人たちを「テロリスト」と呼んで前言撤回に追い込まれた舌の根も乾かないうちに、今度は「秘密指定」の情報を漏洩した公務員だけでなく、それを報道した記者も罪に問われると恫喝しているからです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013121302000115.html
 思わず自民党の本音が露呈させたと言うべきでしょう。そのようなことを念頭におきながら以下の記事を読んでいただきたいと思います。

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<註> ノーベル賞受賞者2名(益川敏英・白川英樹)を含む「特定秘密保護法に反対する学者の会」は強行採決に強い抗議声明を発表しています。
http://anti-secrecy-law.blogspot.jp/2013/12/blog-post_7.html
また同法案の廃止・停止を求めて抗議声明への賛同者を募っています(当面の目標5000名)。学者・研究者でなくても署名できます。
http://anti-secrecy-law.blogspot.jp/

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福島の内部告発者が明かす

「ヤクザ・暴力団とのつながり」

「廃炉・除染労働者へのピンハネ」

Fukushima whistleblower exposes yakuza connections, exploitation of cleanup workers
http://rt.com/news/fukushima-workers-violations-yakuza-730/
RT News, 2013.10.25


20分で致死量に達するところもある現場で働く労働者たち
Record outdoor radiation level that ‘can kill in 20 min’ detected at Fukushima

http://rt.com/news/fukushima-radiation-record-outdoor-912/
Workers check a transport container and a crane in preparation for the removal of spent nuclear fuel from the spent fuel pool inside the No.4 reactor building at the Tokyo Electric Power Corp's (TEPCO) tsunami-crippled Fukushima Daiichi nuclear power plant, in Fukushima (Reuters / Kimimasa Mayama / Pool)

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 福島原発の廃炉・除染作業員が、原発下請け企業の無秩序な体制を内部告発した。いわゆるヤクザとのつながりや、この危険な作業に従事する貧しい労働者のひどいピンハネ状態などの暴露だ。
 ロイターで報道されたこの内部告発は、下請け企業の実態が日本の原発産業全体に深く根ざした問題であることをも明らかにしている。この調査記事は、ロイターが約80人の臨時工と現場監督にインタビューし、破損した原発施設で働く労働者の実態を詳しく述べたものだが、彼らの最も共通した不満の声は、廃炉・除染作業を下請けに丸投げしていることだった。それは労働者の権利を侵しているだけでなく生命をも危険にさらしている、と彼らは主張していた。 
 元建設労働者の林哲哉(41歳)は、福島第一原発が予想以上に深刻な状況にあるのではないかと思って、破損した原発の仕事に応募した。今後数十年にわたって続くと予想される15兆円の廃炉・除染作業は、すでに5万人におよぶ労働者を要したが、そのほとんどが日雇い労働者だった。
 しかし林はその仕事をたった2週間でやめることになった。それは廃炉・除染作業にかかわる下請け業者の巨大な網の目が、彼の権利(または彼の健康)のことをまったく考慮せず、かたや原発運営会社である東京電力(TEPCO)は下請けに軽い注意を与える以外何もしていないことが分かったからだ。
 林は2012年の夏に、仕事現場から引き上げてきた原発労働者の放射線被曝量を検査する仕事に雇われたはずだった。しかし最も危険な部署に配置され、放射線防護服を与えられた。防護服を着ていても、1時間以内で年間放射線許容量を超えてしまった。
 ロイターによれば、林を雇った下請け企業は、IAEA(国際原子力機関)の被爆ガイドラインによる放射線安全基準に従っていなかった。
雇用されて2週間後に被曝量を示す放射線管理手帳を見て、だまされていたのではないかという疑問が林に湧いてきた。自分の雇用はRH工業だったはずなのに、もっと上部の請負業に雇われたことになっていた。放射線管理手帳では、鈴志工業が彼を2012年5月から6月まで雇い、その後、6月に10日間だけ、別の会社テイク・ワンが彼を雇ったことになっていたからだ。しかし彼が1年間の契約を交わしたのはRH工業だった。
 ロイターによれば、「雇用を外部に委託したことを隠すために文書を偽造したのではないか」と林は語っている。
  これが彼の苦難の始まりだった。「だまされた、わなにはめられたと思った。・・・何一つ同意していないからだ」と林はロイターに語っている。
 林は上部の請負会社に文句を言ったら解雇された。そこで労働基準局に訴えたが、1年間も返事がなかった。しかたなく彼は原発の別の仕事についた。それは燃料棒を保管する冷却タンクのコンクリート土台をつくる仕事だった。


http://rt.com/news/fukushima-workers-violations-yakuza-730/

 その仕事に月15万円が支払われるはずだった。しかしロイターによれば、収入の3分の1が下請け業者によってピンハネされていたと彼は言っている。それは何千という廃炉・除染労働者の共通の問題で、東電が正義を回復する見込みはほとんどない。これはアジア最大の電力企業が抱える問題の氷山の一角にすぎないからだ。これが廃炉・除染作業に携わる労働者の最も大きな苦情だった。東電は廃炉・除染作業の全体に責任を負っているが、そこには日本の4大建設業、別名“ビッグ4”として知られた鹿島建設、大林組、清水建設、大成建設も関わっている。これらの企業が東電に代わって福島県一帯の何百という会社に資金や事業を提供している。そして結局は、それらの末端企業は東電から何の監督も受けていないことになる。
 廃炉・除染作業を批判するひとたちは、この下請けによる規制なしの雇用が労働者の権利侵害や組織暴力団のピンハネ・恐喝への道を開いていると言う。しかし、福島県一帯の労働問題を扱っている弁護士のなかには、それでも失業するよりはましと言うものもいる。      
 8つの主要な請負企業も原発の運転責任者も林の件には口を閉ざしているが、東電の原子力立地本部長代理・尾野昌之はロイター通信に次のように語った。「入札に基づいて元請企業と契約し、それらの企業はその契約をもとに労働者を雇う。だから我々が彼らの下請けの契約に介入して監督・点検することは難しい」。
 林は、記者の助言で、自分の話を裏付けるための写真やビデオおよび業務記録のコピーなどを保存しておいたと言う。
 労働者不足の危機が、原発内部も福島県一帯も、同時に深まり続けている。政府の資料では、応募者が求人数より25%も足りない。
 したがって賃金を上げれば雇用は拡大するはずなのに、東電は政府から、2014年3月までに赤字を解消するように圧力をかけられている。それに応じて東電は社員の賃金を20%も下げた。
 この労働者の権利や賃金を悪化させる競争の中で、反社会的集団とつながりをもつとされる多くの請負業者が、貧困化した福島県の廃炉・除染市場を支配した。まさにこれらの請負業者が、廃炉・除染労働者の膨大な不足を利用して、原発関連企業とそれに結びついた日本の組織暴力団(やくざ)が栄えるのを許してきた。福島県だけでも、3つの大きな暴力団の下に、50近くの支部暴力団がある。それらの支部暴力団が2011年3月の震災以前から、この地域の労働力市場ににらみをきかしていた。


http://rt.com/news/fukushima-workers-violations-yakuza-730/

 行政当局は、請負業者の最終損益にしか関心が無いから、彼らの活動はしっかり監視されていない。最悪なのは、下請け業者がしばしば放射能除染活動にほとんど経験がないか、あるいはまったく素人のところが少なくないことだ。
 今年はじめの調査が明らかにしたところでは、廃炉作業の契約がなされた中小企業の7割近くが労働法規に従っていなかった。その事実は7月になってやっと厚労省によって報告された。
 しかし廃炉の責任者である日本の経産大臣・茂木敏充は、東電には今のところ労働条件の改善を命じることしかできないと言う。「廃炉には多くの企業の協力が必要ですからね」
廃炉・除染作業に関わる犯罪を取り締まるために、警察に特別捜査班が設置されたとき、巨額の予算が横領・ピンハネされていることが判明した。しかし東電が政府との直接契約以外の活動について全く監督できていないのと同じく、いわゆる「4大請負企業」の一つである大林組の広報担当は次のように言うだけだった。「下請け企業の一つがヤクザを使って労働者を雇っていることは全く知らなかった」
 それどころか大林組は、下請けとの契約書には「組織暴力団と協力しないという条項がある」と言い張った。


低賃金労働に依存する福島 

 福島を廃炉にすることは特にやっかいで悪夢のような仕事だということを東電も分かってきている。冷却作業だけでも、毎日その操作を続けるのに何千という労働者が必要とされる。また毎日、処理しなければならない汚染水は、オリンピック・スタジアム130個分に相当する。東電の予測でも、2015年までに合計1万2千人の労働者が必要だ。それに比して、今のところ現場で登録されているのは8,000人をわずかに越えているにすぎない。しかも少し前までは、その数は6,000人だった。
 事態を一層複雑にしているのは、福島の労働市場における無法状態の根源が1970年代にまでさかのぼるということだ。
 日本の原子力産業は40年以上にわたって低賃金の労働力に依存してきた。このため、失業した困窮者であふれる東京と大阪の貧民街から労働者をかき集めてきた。林は、このようにして雇われてきた推定5万人の廃炉・除染労働者の1人にすぎない。いわゆる「原発ジプシー」として知られるこれらの生活困窮者は、安い労働力を探す下請業者の格好の餌食だ。
 ロイターによれば、村田三郎(大阪中央病院副院長)は次のように述べている。「原子力産業の労働条件はいつも悪かった。賃金のピンハネ、仕事を下請け孫請けにまわすアウトソーシング、そして病気や怪我をしても保険がないことなど、これらは何10年も続いている問題だ」と。
 そして、2011年3月の福島原発事故による放射能汚染が、これらの長期間にわたる問題を一挙に明るみに出すことになった。
 この大災害の結果、日本の議会は原発の除染と廃炉に向けた予算に同意した。しかし、その法案には建設業者に適用されている規制が盛り込まれなかった。要するに、労働者を供給する請負業者は、廃炉・除染作業の詳細を明らかにする義務がないだけでなく、また原発作業にかかわったという経歴・経験も求められない。その結果、誰でも一夜にして原発の請負業者になれる。東電にも政府にも無断で、気兼ねすることなく。


http://rt.com/news/fukushima-workers-violations-yakuza-730/

 請負業者は契約を確保しようと突進した。そして入札に勝つため斡旋業者を使って労働者を集めた。当然のことながら、その斡旋業者には、面倒な注文は何一つ付けなかった。
 ある場合には、ヤクザに借金がある労働者が、斡旋業者によって雇われ、借金の返済金を給料袋(茶色の封筒)から差し引かれていた。こうして賃金を大幅に減らされた労働者は、借金を払うために休む暇なく働くことになる。約束された賃金は、初めから日本の平均賃金より3分の1低い。東電は、時給を公表しないので、ロイターはやむなく労働者自身にこの問題を提起した。平均の時給1,200円だが実際は600円にまで下がることがある、というのがその答えだった。
 元アメリカ原子力調査官で東電顧問のレイク・バレットは、ロイターの取材にたいして次のように語った。
 「現状を急に変えることは不可能だろう。日本の大企業が請負業者を使うことは100年の伝統がある。そしてそのように日本はやってきた。この福島で新しい仕事があるからといって、それを一晩で変えるのは無理だろう。だから、郷に入っては郷に従えだ。」
 ある業者に雇われたはずなのに、気がついてみたら別の業者の下で仕事をしていたという場合もある。裁判で労働者が訴えたのは、小さい部屋に押し込められ、毎日そまつな食事しか与えられなかっただけでなく、交通事故に遭ったとき[その企業が労災保険に入っていないことを隠すため]作業服を脱がされ、それぞれ別々の病院へ入れられたことだった。こうして、何の監督もなく権利侵害が横行していることにたいして告発が絶えないにもかかわらず、どの会社も罰せられていない。


http://rt.com/news/fukushima-workers-violations-yakuza-730/

 福島の労働者の権利を守るために活動しているグループの弁護士は、この事態を次のように説明している。「彼らは目をつけられるのを恐れている・・・。いったん目をつけられたら、どんな仕事にもありつけなくなる」。林の語ったような事例が、労働者の権利を擁護する団体―それがいま林が加わっている団体―の結成を促した。「仕事を失うのを恐れて労働者は事実を話さないだろうと、この体制で甘い汁を吸っている大手請負業は高をくくっている。だが日本はこの問題を永遠に無視し続けるわけにはいかない」とその弁護士は言った。
 原発事故とその後に起きた一連の不幸な出来事(一部は自然災害として起き、その他は人為的な誤りによって起きたものだが)の余波として、以上のような事実が次々と明らかになってきた。そして11月には、これまでに経験したことのない最も危険な廃炉・除染作業が予定されている。地上18メートルの高さにある冷却プールから、使用済み核燃料1300本を取り出す作業だ。この作業は、原発全作業員の正確で完璧な協同作業が要求される。コンピュータではなく手動で、1つ1つの燃料棒を引き出す作業だからだ。多くの燃料棒が斜めに傾いていたり、以前あった位置にはなかったりするので、いかなる失敗も許されない。燃料棒を動かす際に別の燃料棒にぶつかったりすれば[核の連鎖反応が起きて]チェルノブイリ以上の大惨事になりうる、とクリストファー・バズビー(欧州放射線リスク委員会、放射線による健康被害の専門家)は言っている。1300本の燃料棒から放出される放射性物質の総量は、広島に落とされた原爆をはるかに越える[広島型原爆14000個に相当する]からだ。


<註> なお上記の翻訳をPDF版にしたものは下記にあります。
*福島の内部告発者が明かす、「ヤクザ・暴力団とのつながり」「廃炉・除染労働者へのピンハネ」
http://www42.tok2.com/home/ieas/Fukushima_whistleblower.pdf
また、本文中にしばしば言及されているロイターの記事は、調べて見ると下記のものが見つかりました。
*福島第一原発作業員の現状「違法雇用」と「過酷労働」
http://www.huffingtonpost.jp/2013/10/27/fukushima-nuclear-power-plant-glow-boy_n_4167341.html?view=print
*焦点:福島原発汚染水、漏えいタンクに違法労働の影
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE9B906720131210?sp=true
                                                              

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