書評 『英語教育原論 ― 英語教師、三つの仕事、三つの危険』

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1月24日(金) 「秘密法」廃止を求めて3千人が国会包囲、昨年の熱気は収まることはなかった!!

http://www.labornetjp.org/news/2014/0124shasin
今後の運動および資料については下記を御覧ください。
http://www.himituho.com/

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 1月21日(火)の早朝に入院し、午後、白内障の手術を受け、翌日に退院しました。そして手術後の経過をみてもらうために昨24日(金)に再び病院へ行きました。今のところ経過は順調のようです。
 というわけで、やっと少しずつブログに復帰できそうです。しかし2週間以上[経過次第では1か月]、3種類の点眼薬を5分おきに1日4回も、右目にさし続けなければならないのが、私にとっては少し難行です。

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 さて前回のブログで、新年早々に、インド在住の日本人女性作家モハンティ三智江さまからいただいた、拙著『英語教育が亡びるとき』への書評を紹介しました。
 実を言うと、この書評が届いたときさっそく御礼メールをさしあげたのですが、折り返し、またもや次のような有り難いメールをいただきました。
 ご丁寧にご返信ありがとうございます。
 先生のご著書は難しいとのお声もあるとのことですが、私には読みやすいです。好み(嗜好、主観)の問題もあるのかもしれません。小説だけでなく、社会的なノンフィクションも結構好きですが、やはり文章のうまい人でないと、読む気がしません。
 何を持ってうまいとするか、この辺も主観が入ってきますが、先生の文章を私は好きなのだと思います。堅苦しい論文調ではなく、テーマの明確に生きた効果的な文体と思います。表現がとても的確でわかりやすいです。
 『チョムスキーの教育論』も、一気に読み通せました。南米情勢などは知識のない人には難しく感じるかもしれませんが、私は昔から国際ニュースを読むのが好きなので、興味を持って拝読させていただき、大変に勉強になりました。
 翻訳小説も若い頃好きでよく読んでいましたが、翻訳者にも本当にうなるようなうまい人がいます。直訳でなく、小説としての日本語になっている翻訳文には感心させられ、いわゆる文学の大家の訳を請け負う人には、それ相応の力量があるということを、しみじみ感じます。
 なお、すでに読み終えた『英語教育原論』につきましても、近日中にEHを通して感想を送らせていただく予定です。
 お返事のほうはどうかくれぐれもお気になさらずに、いつでもお時間のあるときで結構でございます。ご多忙の身上、くれぐれもご自愛ください。


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 このメールで第一に驚かされたのは、あの分厚い『チョムスキーの教育論』を一気に読み通された三智江さまの速読力(日本語力)と旺盛な知的好奇心でした。さすが受賞作家のレベルは一般の英語教員のそれをはるかに越える!と驚嘆させられました。
 というのは私の主宰する英語教育研究会の会員でさえ(あるいは私の主宰する研究所の研究員でさえ)あの分厚い本を目の前にすると、「チョムスキーの本は難しい」という先入観のせいか尻込みするひとが多く、これを一気に読み通したひとを私はあまり知らなかったからです。
 私としては、教員であるからには教育論に関心を持っているはずだ(それどころか、持つべきだ)し、まして英語の教員であるからには生成文法の創始者であり知の巨人と言われているチョムスキーが教育をどう思っているかに関心をもってほしいと思っているのに、私が主宰する研究会の会員でさえこんな状態では「英語教育界の未来は暗い」と思わざるを得なかったのです。
 ところで、上記で紹介したメールをいただいた三日後に、拙著『英語教育原論』の書評が届きました。そこで私のブログへの転載を御願いしたところ快諾をいただきましたので、以下に紹介させていただきます。
 この三智江さまの書評を通じて、安倍内閣や文科省が「教育再生」と称してとり組もうとしている「英語教育の改革」がいかに危ういものであるか、その片鱗だけでも知っていただけると有り難いと思います。

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寺島先生
CCみなさまへ

インドのモハンティ三智江です。
さて、先般読了した寺島先生の「英語教育原論」(明石書店)についての感想を記させていただきます。

まず、読後感は、一教育者としての真摯な姿勢に打たれたというのが本音です。教育者の責任、それも言語を授ける者としての義務、未来を担う子どもたちに教育者が及ぼす影響は親と比較しても、優るとも劣らず、その覚悟を踏まえたうえでのよりよい未来を作っていこうとの意思が見られます。

子どもの人格形成に及ぼす影響が大であることからも、生徒を教えるとともに教える側もともに学び成長していく、そのことでまた価値ある教育が授けられ、子どもも伸びる、科目を問わず、教育者の良心というようなものを本書に嗅ぎ取った次第でした。

ちなみに、先生がかつて定時制高校の生徒さんに教えられた「見えない学力」の、集中力、持続力、計画力は、人生全般に通用する生き方指南ですね。私自身、人生方針として大切にしている三点でもあります。

リズム読みで英語の歌が簡単に歌えるようになったとの体験談も実に興味深いものでした。先生ご自身が一ヶ月かかってご習得なさったビートルズの「Yesterday」を、生徒たちがリズム読みで一週間でマスターしたとのこと、「Don’t you」を「ドンチュー」と読むなど少し書かれていますが、いったいリズム読みとはどんなものだろうと想像をたくましくしました。

先に紐解かせていただいたご高著「英語教育が亡びるとき」(明石書店)でも英語の読み方指南を授けていくにあたっての、さまざまな工夫を凝らされた教え方の技術が紹介されていましたが、現場を見てみたいとの興味を喚起させられたものでした。

アメリカのサウス・ダコタ州南西部のインディアン保留地を訪ねられたエピソードも、原作(邦訳版)「Dances with Wolves」を読んでいただけに、スー族の女性子どもを含む三百名が第七騎兵隊に虐殺された現場をご自分の目で目撃された体験は貴重で、聞く側の生徒のほうも身を乗り出してくるものと思われ、教育者として常に自己研修してともに学んでいる姿勢に感心させられました。

岐阜県にブラジル人子弟が多いという事実も初めて知りました。嫁不足の農家がフィリピン嫁をめとったり、3Kの下請工場にアジア人在住者が多いことはものの本で読んでおぼろげな知識としてもっておりましたが、まさに英語一辺倒の教育方針を見直さなければならない足元の現実ですね。白人崇拝主義に堕し、ほかの国を度外視する危険性について悟らされた次第です。英語偏重でなく、隣国の中国や韓国の言葉、在日ブラジル人が増えている現在、ポルトガル語を学ぶことなども大事ですね。

小中よりも中高一貫英語教育の重要性、小学校の英語教育でネイティヴの派遣教師の給与にかける金を、英語教師の外国研修に回したらどうかとの案も説得力のあるもので、何より、小学校の先生がたが、英語教育にプレッシャーを感じている現実、悩み苦しみながらも、自己保身から口にできない事情なども、よくわかりました。

教育現場のさまざまな問題、不登校や学校荒廃、プレッシャーから来る教師の精神疾患についても、改めてその実態を知りました。

以上、思いつくままを書き連ねてみましたが、門外漢ゆえ、的外れのことを申していたら、ご容赦ください。

年明け早々、寺島先生のご高著を二冊を拝読させていただいたことで、私のような部外者にも日本の教育の現場、英語教育の抱える問題点、さらにマクロに世界の問題、企業の利益が絡んでくる資本主義にいたるまで、社会問題にも目を向けさせられたような気がいたします。本当にありがとうございました。

未知の分野を学ばせていただいたこと、改めて篤く御礼申し上げます。今後のよりよき教育へ向けての更なるご提言、期待しております。ご多忙と存じますが、くれぐれもご自愛なさって、今年もお元気でご活躍くださいますように。

以上、拙いながら、感想に代えさせていただきました。
    
    モハンティ三智江

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狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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