ウクライナ情勢の読み方(2)、翻訳:ロバーツ 「オバマ政権の偽善は、史上空前の記録をつくる」

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 ウクライナ&クリミア情勢は緊迫の度合いを強めています。クリミヤではウクライナから分離してロシアに加盟するかどうかをめぐる住民投票が3月16日(日)におこなわれました。
 アメリカやEUは、これを「ウクライナ国民全員が投票に参加していないから国際法では認められていない違法行為だ」と非難していますが、自分たちがコソボや南スーダンを、セルビアやスーダンから引き離すときには、住民投票をおこなわせて独立させています。
 スペインではカタロニアの独立運動が盛んですし、イギリスでもスコットランドが独立のための住民投票をしようとしていますが、「国民全員が投票に参加していないから違法行為だ」という非難はありません。
アルゼンチンの対岸にあるフォークランド諸島のイギリス帰属も、1913年の島民による住民投票で決めました。地理的に見るかぎりフォークランド諸島はアルゼンチンに帰属していてもよいようにみえます。が、イギリスはフォークランド紛争のあと強引に住民投票でイギリス帰属を決めたのですから、ロシアに文句を言う筋合いはないはずです。
 カナダのフランス語圏であるケベック州も、何度か独立のための住民投票をしていますが、ここでも「国民全員が投票に参加していないから違法行為だ」という非難はありませんでした。そもそも、ケベックの独立をカナダ全員の国民投票で決めることは、初めから独立を認めないと言っているに等しいからです。
 アメリカが、こんな子どもでも分かるような論理を持ち出していることは、二重基準(ダブルスタンダード)の極致と言うべきでしょう。しかも、それを主張しているのがハーバード大学ロースクールを出て、シカゴ大学で憲法を教えていたオバマ大統領なのですから、こちらの頭の方がおかしくなりそうです。

 話はいきなり飛びますが、このクリミア情勢の報道を見ていたら、「いっそのこと沖縄も日本から独立するための住民投票をしたらどうか」「沖縄が独立を言いだしたら日本政府はどういう口実でそれを阻止するのだろうか」という考えが急に浮かんできました。
 そもそも沖縄は、かつては琉球王国という独立国だったわけですし、戦前はアメリカ軍上陸の激戦地にされ戦後も米軍基地として使われてきました。ですから、沖縄の人たちにとっては、アメリカ軍による占領終結後、苦労して日本に復帰しても良いことはほとんどなかったように見えるからです。

 それはともかく、このような疑問をもっていたとき、"Obama Regime's Hypocrisy Sets New World Record" 「オバマ政権の偽善は、史上空前の記録をつくる」という面白い論考を見つけました。そこで半日かけて以下に訳出しました。参考になれば幸いです。

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オバマ政権の偽善は、史上空前の記録をつくる
Obama Regime's Hypocrisy Sets New World Record
By Dr. Paul Craig Roberts
Global Research, March 12, 2014
http://www.globalresearch.ca/obama-regimes-hypocrisy-sets-new-world-record/5373227

ヒトラー式で演説をする極右政党の党首チャーニボク(Tyahnybok)



ワシントンがキエフを指揮してそのクーデター開始した瞬間から、アメリカは「ロシアがウクライナに干渉している」とロシアを非難し続けてきた。この宣伝・策略は成功を収めた。西側の体制順応型のメディアが(ありもしない)ロシアの干渉について報道し、肝心のワシントンによる干渉を報道の枠から排除したからだ。

ロシアがクリミアを侵略していると非難する一方で、オバマ政権は今度はクリミアに干渉しろと要求している。次の日曜日に予定されている国民投票を力尽くで阻止しろという。「クリミアの民衆が自決権を行使するのをロシアが軍隊を使って阻止しないなら、今後はロシアと協議しない」とケリーは宣言した。

だとすると、ケリーは、ロシアがクリミアに干渉する権利を認めたわけだ。

西側の歪んだメディアはケリーの矛盾をまったく無視した。ケリーが一方でロシアを干渉のゆえに非難し、他方でロシアに干渉しろと要求していることを、まったく報道しない。ワシントンの利益のためにクリミア民衆の自治権を抑圧しろとケリーはロシアに要求しているのだ。

そのようなバカげた要求をロシアにできる根拠は何か?

オバマ政権は「クリミヤの民衆に投票する法的権利はない」と主張している。ウクライナの全員がクリミアの未来について投票するわけではないからだという。では尋ねてみよう。ワシントンがコソボをセルビアから盗み取ったとき、コソボの分離についてセルビア人全員に投票することを許したか?いまイギリスではスコットランドの分離独立を決める投票が近づいているが、それを決めるのはスコットランド人の投票であって、イギリス人ではない。

しかし、これらの国際法で確立されている通常の手続きはクリミア人には許されていないようだ。この国民投票がワシントンの意向に沿わないからだ。

この恥知らずのオバマ政権には、文字通り、恥も外聞もない。

オバマ政権を牛耳っているネオコン(市場原理主義)の戦争挑発屋たちは豪語している。ロシアがクリミア人の自決を阻止しなければ、経済制裁で「ロシア経済に大打撃」を与えてやると。

しかし経済制裁は逆効果になる可能性もある。制裁はNATO体制下にあるワシントンの傀儡国家に経済的打撃を与えるからだ。そして彼らにワシントンの攻撃的な言動を、このまま擁護しつづけてもよいかと再考をうながすことになるだろう。

また経済制裁は、BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア)が、ドル体制から脱却するための協議を速めて、国際的金融取引の独自通貨体制を確立することになるかもしれない。西側と金融的経済的につながっているかぎり、ワシントンによって脅迫されたり罰せられたり不安定化されたりするからだ。国家の主権はアメリカのドル体制と共存できない。

ワシントンの立場からすれば、経済制裁の重要性は、単に経済効果だけの問題ではない。

それは、悪者のレッテルを貼りロシアを罰することができる、という宣伝効果にある。この宣伝はロシアを悪者にできるだけでなく、ロシアをワシントンにひれ伏した国として描くことができる。

クリミア政府は実際に選挙で選ばれた政府だ。ところがワシントンがキエフに送り込んだ政府はそうではない。次のレポートはグローバル・リサーチ(Global Research)に載ったものだが、選挙で選ばれずにできあがったキエフ政府が、「民主主義者」と自称するどんな連中で構成されているかを報告している。

「新しく誕生した "セミ・ファシスト" 政府の人物像: アメリカとEUがウクライナで支援している人物たちを直視する」
Who's Who in Ukraine's New “Semi-fascist” Government: Meet the People the U.S. and EU are Supporting
http://www.globalresearch.ca/whos-who-in-ukraines-new-semi-fascist-government-meet-the-people-the-u-s-and-eu-are-supporting/5372422

アメリカの政府高官のなかでも、国務副長官ビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)と上院議員マケインが、ヒトラー信奉者のチャーニボクと一緒に、満面笑みを浮かべて写真に収まっている姿が、ここ数ヶ月、連日紙面を賑わせている。

中央の女性が国務副長官ヌーランド、
その左が極右党首チャ-ニボク、ヌーランドの右がクーデター後の現在の暫定首相

 

上院議員マケインの右側にいるのがチャーニボク


ファシスト極右党Svobodaの党首チャ-ニボクの向かい側にいるのが国務副長官ヌーランド

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<註> ウクライナにおけるファシストたちへの支持は激増している。2006年の選挙では、ファシスト党であるスボボダ(Svoboda)は0.36%の得票だったが、2012年には10.45%の支持を得て、議会450議席のうち37議席を占める、第4政党に成長した。2月の始めにおこなわれた世論調査では、現大統領(Yanukovych)の対抗してチャーニボク(Tyahnybok)が立候補すれば彼に投票すると54%が答えている(この世論調査は、ヤヌコービッチが引きずり下ろされる3週間前におこなわれた)。このウクライナの右傾化をアメリカが裏で促進しているのだ。貧困化が右傾化をさらに促進させる。日本の右傾化も同じだ。

 
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