翻訳 ウクライナ紛争の記録(その2)―暫定政権による政治的抑圧、ネオ・ナチ体制に抵抗する東部への弾圧[a]

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世界中に広まった「ウクライナ政府軍の爆撃からドンバスの子どもたちを救え!」の訴え
 
https://encrypted-tbn2.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRuihxIjFgqu9OqTz-7iv91IN8VxFw72L11LES3t-3WYF0vgjei

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 ウクライナの東部では、病院・学校・幼稚園にまで爆撃の被害が出始め、子どもたちが疎開せざるを得ない状況になってきています。
 前回のブログで述べたように、私が主宰している研究所の研究員から下記のようなメールが届き、翻訳が添付されてきました。
 今の私には差し迫った事情があり、この翻訳を手直ししている暇がありません。そこで届いたものをそのまま載せます。誤訳など気づいた点がありましたら私宛にお送りください。
 (しかし少し誤訳があったとしても、当時のウクライナがどういう状況であったか、なぜ現在のような事態になったのかが,よく分かっていただけると思います。驚くべき事実がたくさん報告されていますから。)
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みなさんへ
 ウクライナ情勢に関して2つの報告を翻訳してみました。
 「ウクライナ国家保安局は米国CIAユニットか?」と「ウクライナにおける政治的抑圧:ネオナチ体制に対抗する蜂起への弾圧」です。どちらもグローバル・リサーチからとりました。
まだ地名や人名など、チェックできないところがあります。また、誤訳しているところがあると思いますので、気づかれた点があれば、教えてください。
 なにしろ、最近の中日新聞では東部の親ロシア派のことを「親ロシア派過激集団・・」(5.27朝刊)と書かれています。そして学校に向かう車の中で、NHKのニュースも「親ロシア派過激集団」という用語を用いているではありませんか。(朝日新聞も「親ロシア派の武装集団」5.27朝刊)
 これでは政府軍が正統派で、親ロシア派は悪者という印象を与えてしまいます。何か情報の統一があるのでしょうか。それとも欧米通信社の受け売りなのでしょうか。
 私が訳出した二つの文章は、2月の政変から政権側がいかに弾圧を続けてきたかを明らかにしています。極右とネオナチ連合政権だったら、きっと東部の占拠運動は無惨に弾圧されるだろうと予測していたら、案の定、5月28日「交戦」が始まりました。
 そしていつの間にか「親ロシア派武装集団」という語が突然出てきて、悪者にされているのです。反ロシア、反ユダヤの暫定政権側が何をしてきたか、拙い翻訳ですが読んでください。

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ウクライナにおける政治的抑圧―ネオナチ体制に対抗する蜂起への弾圧(上)
Political Repression in Ukraine―Crackdown on Uprisings Against the Neo-Nazi Regime
http://www.globalresearch.ca/political-repression-in-ukraine-crackdown-on-uprisings-against-the-neo-nazi-regime/5377473
By Oriental Review、Global Research, April 11, 2014


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ドネツクの抗議


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最近、ウクライナの政治的抑圧に拍車がかかっている。ヤヌコービッチ大統領による「ユーロ・マイダン」支援者に対する民主的な取り扱いと鋭く対比されるのが、キエフの暫定政権が、キエフ東部および南部で、ネオナチ政権に対抗する民衆蜂起の取り締まりにまったく躊躇しなかった。

今日、クラコフだけで少なくとも70人の活動家が、いわゆる「反テロリスト作戦」で逮捕された。その報告によれば、おそらく米国グレイストーン軍事請負会社からきた外国の傭兵が、国防軍(主に極右国家主義戦闘員からなる)や国家内務省チームとともに作戦に参加していた。 

ジョージ・オウエルは、想像上の未来の全体主義社会の集団思考を描くために「戦争は平和だ」という言葉を作りだしたとき、気づいていた。オウェルだったら、最近のウクライナ政府打倒の示威行進によるプロパガンダに、「平和的抗議者」が殺人や放火や略奪を行っていて、そして今も続いていることを、難なく気づいただろう。

しかしクーデターはまだ終わっていない。権力奪取は一つのことだけだ。しかしそれを保持することは別物だ。そしていま私たちは、必然的な困難さが生じていることを見ている。つまり1ヶ月と少し前にキエフの暫定政府はクリミアを失い、ウクライナ南部や東部で命知らずの抵抗に直面したのだ。

新政府は、「平和的抗議」、「民主主義の戦い」、「言論の自由」など、これ見よがしのスローガンを使うこととなった。しかし同時に反対派の粛清を開始して、テレビやラジオ報道を統制して、ウクライナ南部と東部の市民の抗議活動を黙らせるために政治的抑圧を用いたのである。

反対する兆しのある者に対して、公然とした肉体的弾圧が、クーデターのまさに最初の数時間に始まった。2月20日、ウクライナ国会の親マイダンの多数派が共産党や地域党副委員長に暴力を用いた。多くの者が、彼らの投票カードを取り上げられ、それはその後「必要とされる」投票用に、他の者によって使われた。

地域党副委員長ビタリー・グルシェフスキー


2014年2月22日、ヤヌコービッチ政権への抗議者によって、キエフのウクライナ国会議事堂の外で襲撃されるグルシェフスキー(ロイター/ワシリー・フェドセンコ)
http://www.globalresearch.ca/political-repression-in-ukraine-crackdown-on-uprisings-against-the-neo-nazi-regime/5377473

それからテレビチャンネル「インター」への攻撃が行われた。その番組は国中で視聴され、2番目に高い視聴率を得ている。武装した人々が、ライブ放送の最中に、スタジオに突入してきた。ジャーナリストのムスタファ・ナイェム(ユーロマイダンの組織者の一人)は、すでに新政府の計画を放送していた・・・そしてそのチャンネルを国営化した。ご存じのように、テレビ局は現在、FBIの要請でウィーンで拘束されていたオリガルヒのドミトロ・フィルタシュのものになっている。

ばかげているのはもちろん、2・3週間前にムスタファ・ナイェムと彼の同僚が、フロマツケ(公共)テレビ(ユーロマイダン抗議の始まりとほとんど同時にアメリカ資金を使って開始されたインターネットTV計画)で逆の方法をとったことである。つまりそれは第一ナショナル・テレビチャンネル(それは国営である)で放送の一部を民営化していたのだ。 
ラジオ・テレビ国家委員会(数々の不成功に終わった政策後)は、ついにウクライナにおける主要なロシアテレビの放送を完全に禁止することを決定した。そしてイゴール・コロモイスキーやビクトル・ピンチュックやリナト・アクメトフやドミトロ・フィルタシュが所有する会社が始めた全てのテレビ放送は、突然饒舌で、中央にコントロールされたプロパガンダ機械として機能し始めた。

先月はずっと、反対派メディアの編集スタッフに何十回と攻撃(肉体的にもサイバー空間でも)があった。そして2月27日いわゆる人民自衛軍はGolos.uaニュース局を押収し、その局と密接に連携しているウクライナ国営テレビチャンネル・ガンマに厳しい圧力が加えられた。間もなく、ウクライナ共産党の公式出版物であるコミュニスト紙が襲撃された。またウクライナ共産党のウェブサイトはしばしば閉鎖された。ビニスタ市では、恥知らずな勢力が、ウクライナ共産主事者と協力している地方テレビ局を押収するのに使われた。親マイダンのジャーナリストがこの情報をあからさまに喜んで報告した。

また、オンライン出版ウクライナ・クリブダにも攻撃がなされた。クリブダは、親マイダンメディアを戯画化し、彼らの出版物特有のドグマを事実確認している。彼らのウェブサイトも現在閉鎖されている。

有名な政治評論家ウラジミール・コルニロフによって率いられたウクライナ・プラウダ・ウェブサイトのジャーナリストグループは、国を去るか、彼らの記事の出版をやめるか、どちらかを選ぶように強要された。彼らは残忍な報復と死の恐怖に脅されている

反対派メディアの唯一の代表であり、よく信頼され、国内でとてもよく読まれている週刊2000の最終号は、3月14日にできあがった。しかしその出版は、ウクライナ・プレスという印刷所でいつものように活字に組まれていたが、圧力によって差し止められた。印刷所は国営の組織で、一方的に新聞印刷の条件を変更し、印刷を不可能にした。

そしてもちろん悪名高い例は、ナショナリスト・スバボーダ党メンバーによる第一国営テレビ局の視察であった。アレクサンドル・パンテレイモノフが暴行されているところがビデオでおさめられていた。そして彼は恐怖と暴力にさらされた後、辞職願いを書かされた。

動画ビデオは下記Youtube(約1分)を御覧ください。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=UBD42RxlS9I


西欧メディアが「クリミアにおける人権侵害」といわれるものを無理矢理引き出しているにもかかわらず、国際監視団は忙しすぎてウクライナの他の地域で何が起こっているかに関心がないようだ。奇妙なことに、ウクライナにおける政治的抑圧が「氷山の一角」にすぎないことを示す事実がいくつかある。

(以下、次号に続く)


<註> 小手川大助氏(元大蔵官僚、元IMF理事)の下記コラムも参考になると思います。
http://www.canon-igs.org/column/network/20140519_2575.html
2014.05.19 窮地に立つオバマ政権
2014.05.15 ウクライナ問題について その4
2014.05.13 ウクライナ問題について その3
2014.04.10 ウクライナ問題について その2
2014.03.20 ウクライナ問題について
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