翻訳:オバマ大統領が皆に知られたくない、「イスラム国」に関する26の事実

平和研究、国際教育、アメリカ理解(2015/01/24)
イスラム国領土の急拡大
アメリカの空爆で、シリア領内で「イスラム国」が支配する地域は3倍に拡大
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201501190000/

 イスラム武装集団が、72時間以内に2億ドルを払わなければ拘束している日本人2人を殺害すると予告するメッセージを動画サイトに投稿し、日本中に衝撃波が走りました。
 しかし、この「イスラム国」については不可解なことが多すぎます。突然この集団が大手メディアに登場したとき、私にふたつの疑問が湧きました。
 ひとつは彼らがシリア方面からイラクの首都バクダッドに向かって進撃してきたときの速度があまりにも速かったことです。
 アメリカのブッシュ政権が嘘をついてイラクに侵略を開始したとき、イラク南部のクウェートから上陸を開始したのですが(2003年3月20日)、バクダッドに達する(4月7日)までに要した日数よりも、はるかに短い日数で、バクダッド近くまで侵攻しています。
 世界最大最強の軍隊を誇るアメリカ軍が、イラク戦争でイラク軍と闘いながらバクダッドに達することができたよりも短い日数で、どうして「イスラム国」の武装勢力が、易々とバクダッド近くまで侵攻できたのでしょうか。
 というのは、イラク軍はアメリカの最新兵器で武装されていましたし、裏でアメリカの援助や軍事指導があったのですから、寄せ集めのゲリラ部隊であった「イスラム国」の武装集団と闘って、そんなに簡単に敗走するというのは、考えられないからです。

 もう一つの疑問は、アメリカの情報機関は、「イスラム国」なるのものが突然うまれてきたこと、その武装集団がバクダッドに向かって進撃していたとき、なぜそれを放置してきたのか、という疑問です。
 いまアメリカはシリア領内で「イスラム国」の武装集団を空から爆撃しているわけですが、ニュースの映像を見ていると、「イスラム国」の武装集団がバクダッドに向かって進撃しているとき、たくさんの武装集団を乗せたトラックが旗をなびかせ列をなして砂漠を横切っていく光景が、繰りかえし画面に映し出されました。
 アフガニスタンやパキスタン、さらにはイエメンにおけるアメリカの無人爆撃機を見れば分かるように、米軍は地上を走る車の人物までも空から特定して攻撃できる能力を誇っているのですから、砂漠をある意味では裸同然の状態で走っているトラックを空から攻撃して壊滅させることができたはずなのです。
 それが、ほとんど無傷の状態でバクダッド近くまで侵攻できたのは、実に不可解としか言いようがありません。これが大手メディアに「イスラム国」が登場したときに私の頭に浮かんだ二つ目の疑問でした。

 しかも、最近の映像を見ていると、アメリカによる「イスラム国」への爆撃が進めば進むほど「イスラム国」の領土は広がって行くばかりです。これは、ますます奇怪です。櫻井ジャーナルによると、昨年9月と比較してシリア領内で「イスラム国」が支配する地域は3倍に拡大したそうです。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
 もともと「イスラム国」の武装集団は、シリアのアサド政権を倒すために、アメリカやイスラエル、フランスなどのEU諸国、さらにはサウジアラビアなどイスラム原理主義諸国によって訓練や支援を得てシリアに送り込まれた種々雑多な反乱軍の一派に過ぎませんでした。それなのに、いつのまにアメリカや欧米と敵対する勢力になったのでしょうか。
 このように「イスラム国」についての疑問は尽きることがありません。そんな疑問をいだいていたとき、次に紹介するカナダのオタワ大学教授ミシェル・チョスドフスキー氏の「Twenty-six Things About the Islamic State (ISIL)that Obama Does Not Want You to Know About」という論考を目にして、その疑問の一部が解けたような気がしました。
 このたび私の主宰する研究所の研究員からその翻訳が届きましたので以下に紹介します。なるべく早い方がよいと考え訳文を十分に推敲していませんが、チョスドフスキー氏の言いたいことは十分に伝わるものと考えます。


<註1> なお、同じく「イスラム国」に関するもので下記のインタビューも非常に示唆に富むものではないかと思います。これは元FBI職員だったエドモンズ女史(Sibel Edmonds)へのインタビューだけに、非常な迫力と説得力を感じました。英文を読むゆとりのある方はぜひ参照ください。
「アメリカは、テロ戦争産業を維持するために、テロの恐怖を復活させたいのだ」
U.S. wants to revive terror scare in order to keep up the terror war industry - FBI whistleblower

<註2> アメリカの民間軍事会社Black Waterはイラク戦争で悪名を高めましたが、前回のブログで紹介したジェレミー・スケイヒルの著書『Black Water(黒い水=石油)』、これを元にした映画『Dirty Wars=汚い戦争』(ドキュメンタリー賞受賞)で、アメリカの残虐非道ぶりは完膚無きまでに暴露されました。しかし、このBlack Waterが今こっそり名前を変えて、ウクライナその他で相変わらず暗躍しているようです。[それにしても、「黒い水=石油」という会社名がすでにアメリカによるイラク侵略の本質をみごとに表してはいないでしょうか。]

<註3> しかし私が今度の「日本人の人質事件」で驚いたのは、すでに日本にもそのような民間軍事会社が存在し自衛隊と結びつきを深めているということでした。安倍政権がアメリカのプードル犬になって、アラブ諸国の紛争に介入するようになれば、フランスで起きたような事件が日本でも起きる可能性があります(それが、日本を米仏と同じ監視国家にするための、安倍氏の狙いなのかも知れません)。なお、この事件で人質になったふたりの人物の不可解な背景については下記ブログ「世に倦む日々」を御覧ください。
http://critic20.exblog.jp/23360557/


オバマが皆に知られたくない、
「イスラム国」に関する26の事実

Twenty-six Things About the Islamic State (ISIL)
that Obama Does Not Want You to Know About

ミシェル・チョスドフスキー
Michel Chossudovsky
Strategic Culture Foundation 2014.11.19
(原文はGlobal Research 2014.11.19に掲載)


イスラム国に対するアメリカ主導の戦争は、大きなペテンである。

「祖国アメリカを防衛する」ために、「イスラムのテロリスト」を追撃し、世界中で先制攻撃の戦争を仕掛けることは、この軍事計画を正当化するための方便である。

イラクとレバントのイスラム国家(ISIL)は、米国情報機関がつくったものである。イラクとシリアにおけるワシントンの「反テロリズム計画」は、テロリストを支援することにある。 (訳注:レバントは地中海東部沿岸地方)

2014年6月に始まったイスラム国(IS)戦闘団によるイラクへの侵入は、米国やNATOやイスラエルによって秘かに支援され、綿密に計画された軍情報部作戦の一部である。

反テロ指令は作り話である。米国こそが、筆頭「テロ支援国家」である。
イスラム国は、米国やその同盟国によって守られている。もしイスラム国の軍団を壊滅させたかったのならば、6月に、トヨタのピックアップトラックの軍用車隊が、シリアからイラクへ入る砂漠を横断するときに「絨毯爆撃」ができたはずだ。

シリア・アラビア砂漠は遮るものない地域である(下図参照)。ジェット戦闘機(F15, F22 Raptor, CF-18)の技術を持った国だったら、軍事的観点からすれば、短時間で有効な掃討作戦ができたはずだ。

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この記事で、私たちは大きな嘘に反駁する26項目を取り上げる。メディアでは人道的行動だと言っているが、シリアとイラクに向けられた大規模な軍事作戦は、数え切れない市民の死者を出すこととなっている。

反テロ作戦としてオバマの行動を支える、西欧メディアの強固な支持がなかったら、この軍事作戦は不可能だったはずである。


アルカイダの歴史的起源

1.米国は、アルカイダとその関連組織をソ連のアフガン戦争の最盛期からほぼ半世紀にわたって支援してきた。

2.CIAの軍事訓練所がパキスタンに作られていた。1982年から1992年までの10年間に、43カ国のイスラム諸国から約3万5千人のジハード戦士が、アフガニスタン聖戦で戦うためにCIAによって徴募された。
「CIA資金によって支払われた宣伝は、世界中の新聞とニュースレターに掲載され、ジハード参加への勧誘と動機づけがなされた。」

3.レーガン政権以来、ワシントンはイスラムのテロ・ネットワークを支援してきた。
ロナルド・レーガンはテロリストたちを「自由戦士」と呼んだ。米国はイスラム戦闘団に武器を供給した。それはすべて「良い大義」のためであった。つまりソ連と戦って体制転換をし、アフガニスタンの世俗政権を消滅させることにつながるのだ。
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ロナルド・レーガンは、1985年にホワイト・ハウスでアフガンムジャヒデン司令官たちと会見している。(レーガン・アーカイブ)
http://www.reagan.utexas.edu/archives/photographs/atwork.html

4.聖戦士(ジハーディスト)の教科書がネブラスカ大学によって出版された。「米国は数百万ドルを使って、暴力的な絵やイスラム戦闘団の教えに満ちた教科書を、アフガンの生徒たちに与えた。」

5.オサマ・ビン・ラディン(アメリカにとって怖い怪物であり、アルカイダの創設者)は、米国が支援した対アフガニスタン聖戦の初期の1979年に、CIAによって徴募された。彼は当時22歳で、CIAが支援するゲリラ訓練キャンプで訓練を受けた。

アルカイダは9・11攻撃の背後にはいなかった。2001年9月11日の事件は、アフガニスタンに対する戦争を正当化する根拠を与えた。つまりアフガニスタンがテロ支援国家であり、アルカイダを支持しているからという理由である。9・11攻撃は「テロに対するグローバル戦争」を公式化するために役立ったのだ。


イスラム国(ISIL)

6.イスラム国(ISIL)は元々、米国情報機関によって作られたアルカイダ系列の機関だった。それを支援したのは、英国M16、イスラエルのモサド、パキスタンのインター・サービス情報局(ISI)、サウジアラビアの総合情報最高機関(GIP)、つまり国家秘密警察マバーヒスRi’āsat Al-Istikhbārāt Al-’Āmah( رئاسة الاستخبارات العامة‎)であった。

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7.ISIL戦闘団は、アサド政権に向けられた、米国とNATOが支援するシリア反乱軍に参加していた。

8.2011年3月のシリア蜂起の開始から、NATOとトルコ最高司令部は、ISILとアルヌスラ(Al Nusrah)傭兵の徴募をおこなっていた。イスラエル情報筋によると、これは次のようにおこなわれていた:

「シリア反乱軍と共に戦うために、中東諸国やムスリム世界で、何千人というムスリムの志願兵を募集するキャンペーンがあった。トルコ軍はこれらの志願兵に兵舎を提供して、彼らを訓練し、確実にシリアへ侵入させた。(DEBKAfile, NATOが反乱軍に対戦車砲を与える。2011.8.14)」
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「オバマよ、私は、シリアのお前のアルカイダ反乱軍のために兵を配備するつもりはない。民衆よ、目覚めよ。」

9.ISIL軍の中には、西欧の特殊部隊や諜報作戦部員がいる。イギリスの特殊部隊やM16は、シリアの聖戦士(ジハーディスト)反乱軍を訓練することにずっと関わってきた。

10.西欧軍事顧問はペンタゴンと連絡をとって、テロリストたちに化学兵器の使い方を訓練してきた。

「米国といくつかのヨーロッパの同盟者たちは、シリアにおける化学兵器の備蓄方法について、シリア反乱軍を訓練するために、防衛請負会社を使っている」と米国高官と複数の上級外交官が日曜日CNNに話した。(CNNレポート、2012.12.9)

11.ISILの斬首の風習は、米国支援のテロリスト訓練プログラムの一部で、サウジアラビアやカタールで実行されている。
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(旗印のCIAの文字に注意)

12.米国の同盟者によって徴集された大多数のISILの傭兵は、ISILに加わることを条件にサウジの牢獄から解放された、有罪宣告を受けた犯罪者たちである。サウジの死刑囚監房棟の収容者が、テロ戦闘団に加わるように募集されたのだ。

13.イスラエルは、ゴラン高原からISILやアル・ヌスラ軍団を支援してきた。
(訳注:アル=ヌスラ軍団は、シリアで活動するサラフィー・ジハード主義の反政府武装組織。シリア、レバノンにおけるアルカーイダの下部組織である。)

ジハード戦士は、ネタニアフ首相やイスラエルIDF(イスラエル防衛軍)将校とも会っている。IDF高級将校が暗黙のうちに認めているところによると、「シリア内部のグローバル・ジハード要素」(ISILとアル・ヌスラ)は、イスラエルによって支援されている。

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上の写真で「イルラエル首相ベンジャミン・ネタニエフ(手を差し伸べている)と防衛大臣モシュ・ヤアロン(首相の向かって右)が負傷した傭兵を見舞ってしる。シリアとのゴラン高原占領地区国境のイスラエル野戦病院、2014.2.18」


シリアとイラク

14.ISILは西側軍事同盟の歩兵部隊である。彼らが口には出せない指令とは、米国というスポンサーに身代わりになって、シリアやイラクで大混乱や破壊活動を起こすことなのである。

15.アメリカ上院議員ジョン・マケインは、シリアでジハード・テロリスト指導者たちと会っている。(写真を参照)
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16.イスラム国(IS)民兵団は、現在「反テロ」指令の標的とされているが、秘かに米国による支援が続いている。ワシントンとその同盟軍は、イスラム国に軍事援助を与え続けている。

17.米国とその同盟者たちの爆撃は、ISILをねらってはいない。彼らは、イラクやシリアの工場や石油精油所を含む、経済的インフラを爆撃している。

18.ISのカリフ(教主)統治計画は、イラクやシリアを、別々の領土に切り分けるための長期にわたる米国外交政策計画の一部である。つまりスンニ・イスラム・カリフ国とアラブ・シーア共和国とクルド共和国に分けることである。


テロに対するグローバル戦争(GWOT)

19.テロに対するグローバル戦争(GWOT)は、競合する価値と宗教の間の戦争という「文明の衝突」とされているが、現実にはそれは、戦略的・経済的目的によって導かれた、まさに侵略戦争である。

20.米国に支援されたアルカイダ・テロ戦闘団は、(秘かに西欧情報機関に支援されて)マリ共和国、ニジェール、ナイジェリア、中央アフリカ共和国、ソマリア、イエメンに展開してきた。

中東やサハラ以南のアフリカやアジアの、こうした様々なアルカイダ関連組織は、CIAに支援された「情報機関の財産」である。それらは混乱を起こし、内部衝突をつくり出し、主権国家を不安定化するために、ワシントンによって利用されている。
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ミシェル・チョスドフスキーによる著書『米国の「テロ戦争」』

21.ナイジェリアのボコ・ハラム、ソマリアのアル・シャバブ、リビア・イスラム主義戦闘グループ(2011年NATOによって支援されていた)、イスラム主義モグレブのアルカイダ(AQIM)、インドネシアのジェマー・イスラミア(JI)、その他アルカイダ系のグループは、ひそかに西側情報機関によって支援されている。

22.米国はまた、新疆ウィグル自治区のアルカイダ系テロリスト組織を支援している。その主要な目的は中国西部に及ぶ政治的不安定化を引き起こすことである。

中国のジハード主義者たちは、「中国で攻撃をおこなうために」イスラム国家から「テロリストの訓練」を受けていると報告されている。これら中国に基盤を置くジハード主義者組織の公表された目的(それは米国の利益になる)は、中国西部にまで及ぶイスラム・カリフ国を打ち立てることである。(ミシェル・チョスドフスキー、米国のテロ戦争、グローバル・リサーチ、モントリオール、2005年、第2章


自家製のテロリスト

23.テロリストR Us: 米国がイスラム国の暗黙の創設者であるにもかかわらず、オバマの聖なる指令は、ISILの攻撃から米国を守ることである。

24.自家製のテロリストの恐怖というのは、作り話である。それは、欧米政府やメディアによって、市民的自由を廃止して、警察国家を導入しようと目的で宣伝されているものである。ジハード主義者によるテロ攻撃やテロ警告は、いつも仕組まれた出来事である。それらは周囲に恐怖や脅しの雰囲気をつくり出すために用いられる。

一方、「イスラムのテロリスト」を逮捕し、裁判にかけ、宣告を下すことは、祖国米国の安全保障体制と法執行機関の合法性を維持するものであり、それはますます軍国主義化している。

その究極の目的は、何百万人の米国人の心に、敵は現実に存在して、米国政府は市民の命を守ってくれるという考えを植え付けるためである。

25.イスラム国家に対する「反テロリズム」キャンペーンは、イスラム教徒を悪魔化することに貢献した。イスラム教徒は、欧米世論の目には、ますますジハード主義者を連想させるものとなった。

26.「テロリズムに対するグローバル戦争」の正当性にあえて疑問を投げかける人は誰でも、テロリストと烙印を押され、反テロリスト法に問われることになる。

「テロに対するグローバル戦争」の究極の目的は、市民を従わせることであり、全体的に米国の社会生活を非政治化させることであり、人々が考えたり、概念化して事実を分析して、米国を支配している疑わしい社会秩序に、疑問を抱いたりしないようにすることである。

オバマ政権は、国連安保理との共犯的な役割は言うまでもなく、同盟国の支持を得て、邪悪な合意を押しつけた。西側メディアはその合意を喜んで受け入れた。西側メディアは、イスラム国家を独立した存在として、つまり西側世界に恐怖をもたらす外敵として描いた。

大きな嘘が「真実」になった。

「大きな嘘」にノウを突きつけよう。その声を広げよう。真実は、究極的に力強い武器だ。



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狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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