劉暁波とジュリアン・アサンジ (下)

KeyWords:ノーベル平和賞、Liu Xiaobo、ウィキリークス、Julian Assange、米国民主主義基金(NED)、国際民主主義基金 (IED)、イスラエルの核開発、モルデハイ・バヌヌ、ムミア・アブジャマール 、国連環境会議 COP16
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心臓病手術の傷跡が寒くなるとうずくので痛み止めを飲みながら、(前回のブログで述べたように)、Howard Zinn &Anthony Arnove, Voices of a People's History of the United States翻訳の仕事をしていますが、ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ氏が釈放されたニュースを聞くと、この翻訳を中止してついブログを書きたくなってしまいます。

しかし、一方で歯医者にも通わなくてはならないし翻訳も遅れ気味なので、その時間をかせぐためにブログは今まで禁欲してきました。が、『日経オンライン』などで次々とウィキリークスと創設者ジュリアン・アサンジに関する的外れな(と私には思われる)記事が載るのを見ていると、このまま放置しておくわけにはいかないと思い始めました。

そこでやむを得ずペン(?)をとった次第ですが、年賀状を書く余裕もない状態ですので、前回同様、引用を大幅に割愛せざるを得ません。本当は自分の書くことについてきちんと出典や引用を明確にしながら論述を進めるべきなのですが、お許しいただければ幸いです。[以下で、DNとあるのは、Democracy Now!の略記です。]
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しかしジュリアン・アサンジ氏のことに移る前に、劉暁波氏について(時間と紙幅の関係で)書き残したことがありますので、まず劉氏について述べたいと思います。というのは、劉氏のニュースがテレビ画面に登場したとき、何となく違和感を覚えたのです。

その違和感が何であるかは、その時よく分からなかったのですが、ベッドに寝ているときに理由が分かりました。その時にテレビで映っていたのは劉氏が書斎か居間かで寛(くつろ)いでいるようすだったのですが、その部屋は私には豪邸の一室のように見えました(劉氏の豪華な部屋の様子は、下記DNの映像で確認できます)。
http://www.democracynow.org/2010/12/10/china_faces_international_criticism_at_nobel

ニュースの報道では、劉氏は反体制運動をしたという理由で職が得られず奥さんの稼ぎで生活しているはずでした。しかし、その彼が何故あのような豪邸に住むことができるのか、という疑問が浮かんできて、それが無意識に私の違和感になっていたのでした。

中国の一部では大富豪が続々と誕生していますが、一般民衆で劉氏の住んでいるような豊かな空間と素晴らしい調度品の中で生きているひとは、そう多くないはずです。

こんなことを思いながら下記の記事を読んでいたら、その謎が解けました。中国に拠点を置きながら環境運動をしているアメリカ人女性Lucia Green-Weiskelが、DNのインタビューの中で劉氏について次のように語っていることを発見したからです(下線部に注目ください)。

http://www.democracynow.org/2010/12/10/china_faces_international_criticism_at_nobel
But now China has changed. And as I started saying before, many of my friends, or the people that I work with in China, are quick to point out that democracy in the way Liu Xiaobo represents is "big D" Democracy, American democracy. And in fact, Liu Xiaobo is funded by the Endowment for Democracy in Washington.

上記の下線部から分かるように、劉氏はワシントンに拠点をおく組織「米国民主主義基金」(National Endowment for Democracy, NED)からお金をもらっているのです。一般の中国人が劉氏を批判するのであれば、ある意味で当然なのですが、米国人がこのような指摘をしていることが私には大きな驚きでした。

というのは、このNEDなる組織はCIAの隠れ蓑であり、世界各地でクーデタを起こす道具として使われてきたことは、少しでも米国外交史を知っているひとには衆知の事実だからです。しかしこのことを知っている日本人は意外と少ないように思われますので、下記にで 益岡賢氏の訳「トロイの木馬」を載せておきます。

トロイの木馬:米国民主主義基金(NED)
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/c19.html

上記「トロイの木馬」は、元国務省に勤めていたWilliam Blum氏の著書: Rogue Stateならず者国家(Common Courage Press、2000)[邦訳『アメリカの国家犯罪全書』作品社、2003]第19章ですが、ウィキペディアで調べてみても下記のような一節があって、「やはりそうか」と思わされました。

<NED設立法案の起草に関わった米国公文書管理官のアレン・ワインスタインは1991年「我々が今日やっていることの多くはCIAが25年前に密かに行っていたことだ」と語った。>

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ところで、上記で引用したアメリカ人女性Lucia Green-Weiskel氏は、メキシコのカンクンでおこなわれた国連環境会議COP16に参加した折りに、DNのインタビューを受けたわけですが、先の発言に続けて次のように語っています。

 Now China—many Chinese citizens are very quick to point out China's own history of nonintervention, the fact that China is one of the only countries in the world that's never colonized another country in the way that America and European countries have colonized countries, that also China has lifted 30 million people out of poverty.

つまり中国の一般民衆が誇りに思っていることは、アメリカやヨーロッパの国々がアフリカやアジアを植民地化したようなやり方で中国は他国を植民地化したことはないし、今の中国政府が今まで貧困にあえいできた13億の民衆のうち3億をどん底から救いだしたことだというのです。

これは(もちろん政府の宣伝工作もありますが)単に中国政府による宣伝の結果だけではなく、高度の経済成長をなしとげ、北京オリンピックも成功させた中国民衆の一般的な感情ではないかと思います。むろん今の中国は豊かなひとが現れた一方で、貧富の格差が拡大していますし、奴隷工場の劣悪な環境に抗議する暴動やストライキも多発しています。

しかし今の中国は、文化大革命の頃の中国と比べれば、はるかに良くなったというのも一般民衆の偽らざる感情ではないかと思います。しかもストライキの多くが外資系企業であることにも注目すべきでしょう。つまり自国では許されないような劣悪な労働条件で働かせることができるからこそ中国に企業進出している国が多いということです。

以上のことを念頭におくと、Lucia Green-Weiskel氏がDNのインタビューで更に次のように語っていることの意味が、さらに明瞭になってくるように思います。

Liu Xiaobo—the Chinese have had a problem with Liu Xiaobo because he's a bit of an anachronism. He represents a type of democracy that doesn't really exist in China today. Also, many people—many Chinese citizens believe that the award for Liu Xiaobo was basically an effort to humiliate China and, in the end, has counterproductive results rather than moving towards peace between the United States and China or within China itself. The reason is that China does not respond very well. The Chinese government does not respond very well to this sort of public shaming.

つまり、Green-Weiskel女史は、劉暁波氏の言動は「少し時代錯誤」a bit of an anachronismではないかと言っているのです。これを読んだとき、学生用語で言うと「目が点に」なりました。中国の一般民衆ではなく環境運動をしている知的な米国女性の言葉だったからです。

そして多くの中国人は、劉暁波氏およびノーベル平和賞委員会の言動が中国に恥をかかせるものであるだけでなく(裏に「米国民主主義基金」がからんでいるから)米中関係をも悪化させるものだ、と信じているというのです。

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以上のような事実があったので、私は「劉暁波氏のノーベル平和賞を手放しでは賞賛できない」と前回のブログで書きました。すると、このブログを読んだ友人から「それに関連して興味ある記事を見つけた」と言って、宇野木洋氏(立命館大学文学部教授)の「劉暁波のノーベル平和賞受賞に思う」と題する記事を送ってくれました。

宇野木氏は劉氏の文芸思想に関する論文を二本ほど書いたことがあったため、受賞決定後に「京都新聞」から取材があり、「感想は?」と聞かれて「複雑な思いです」と答えるよりなかったと述べ、その理由を次のように述べています(長くなるので要約して紹介します。詳しくは下記を参照ください)。
http://www42.tok2.com/home/ieas/china-nobelprize=img0311.pdf

1)佐藤栄作氏やダライ・ラマ氏の受賞を見れば分かるように、ノーベル平和賞は政治的利用されてきた側面がある。今回も大国化した中国に対する牽(けん)制(せい)の意味合いが存在していたことは否めないだろう。
2)劉氏の文芸思想は発表された当初から「全面欧化論」すなわち米国型民主主義を唯一絶対のモデルとする傾向が顕著だった。
3)米国がアフガン侵攻に踏み切ったとき、それに支持を表明する「ブッシュ大統領への公開書館」をインターネットで発表し、賛同者をつのったりしていた。
4)その延長線上で、大量破壊兵器を口実にした米国のイラク侵攻に対しても、当初、肯定的な評価をしていた。
5)したがって中国社会主義実践の優良な伝統を生かして、中国の政治文化に即して民主化を進めようとする知識人の間では、彼の思想や民主化プログラムは、現実的・内発的ではないとして評価が低いのも事実だ。

上記で宇野木氏は政治的受賞としてダライ・ラマ氏に言及しているので、私はまた驚いてしまいました。米国との安保条約密約が暴露された今となっては、佐藤栄作氏への受賞が政治的だったことは明々白々だと思いますが、「ダライ・ラマ氏までがそうだったのか」と思ったからです。

ところが、米国民主主義基金NEDを調べているうちに、下記の記事を発見して、どうもダライ・ラマ氏もNEDと深い関わりがあるのではないかと思うようになりました。というのは、ダライ・ラマ氏にNEDから「民主主義功労勲章」が贈られていることを発見したからです。
http://www.tibethouse.jp/news_release/2010/100219_accolade.html

上記の記事を読んで、宇野木氏の言及が中国の実情をよく知った上でなされたものであるとの確証を得た思いがしました。と同時に、前回のブログで私が書いたことが、それほど的外れなものではなかったのだと改めて安心した次第です。

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私は過去のブログ(2010年10月26日)で、イスラエルの核兵器所有を勇気をもって内部告発して牢獄に入れられたモルデハイ・バヌヌ氏のことを紹介し、最後を次のように結びました。

<モルデハイ・バヌヌ氏は「核開発どころか核拡散にも手を染めたペレスが貰うような賞であれば、こちらから願い下げだ」と言ったわけです。・・・だとすれば、劉暁波氏も米国などに亡命する道もあったにもかかわらず中国にとどまって闘う道を選んだのですから、「オバマ氏がもらうような賞ならお断りします」と言った方が、氏の権威がより高まるし、世界の平和と民主化に貢献するのではないかと思ったのですが、これは氏に対して余りにも酷な要求でしょうか。>

「劉暁波氏へのノーベル平和賞によせて(下)―モルデハイ・バヌヌ氏の受賞拒否」http://pub.ne.jp/tacktaka/?entry_id=3264792

しかし上記で紹介した宇野木洋氏の言が正しければ、劉暁波氏に対して私は全くの「無い物ねだり」をしていたことになります。劉氏がブッシュ氏のアフガン戦争やイラク戦争の支持者であれば、その延長上で戦争を拡大しているオバマ氏に対して抗議の意志を表明することはあり得ないと思われるからです。

また、前回のブログでは「ノーベル平和賞委員会は、人権侵害を理由に中国政府を批判しているが、無実の罪で30年近くも死刑の恐怖にさらされながらも米国政府と闘っているムミア・アブジャマール氏にもノーベル平和賞を与え、米国政府を批判する勇気があるのだろうか」とも書きました。

さもなければ全くの「二重基準(ダブルスタンダード)」に基づいた政治的受賞と言われても仕方がないでしょう。これも前で書いたことですが、(グアンタナモ刑務所はもちろんこと)米国には、無実の罪で獄につながれているひと、また過去につながれていたひとは、数多くいるからです。

同じことはイスラエルについても言えます。「ノーベル平和賞委員会は、人権侵害を理由に中国政府を批判しているが、イスラエルによる秘密の核開発を暴露した罪で18年間も牢獄につながれたモルデハイ・バヌヌ 氏にもノーベル平和賞を与え、イスラエル政府の人権侵害を批判する勇気があるのだろうか」と思うからです。

イスラエルによる人権侵害は中国政府の比ではありません。それどころか現在、パレスチナでおこなわれていることは「民族抹殺(ジェノサイド)」と呼ぶにふさわしいものでしょう。特にガザ地区は「生きた牢獄」と呼ばれ、下記のチョムスキー論文を読んでいただければお分かりのように、イスラエルはカザ地区の住民を「野獣」と呼び、それを「絶滅せよ」とすら言っているのです。

チョムスキー090119「すべての野蛮なものたちを絶滅せよ」
http://www42.tok2.com/home/ieas/Chomsky-yaban091208.pdf

他にもカザ地区やガザ地区への援助船への攻撃については、最近いろいろなところで目にするようになりましたが、以下のものは動画で日本語字幕が付いているので、理解するのに容易かと思います。

ガザのゲルニカ イスラエルによる空爆で300人以上が死亡
http://democracynow.jp/video/20081229-1
壊滅地帯 封鎖されたガザの経済
http://democracynow.jp/video/20090406-3
ガザに向かう支援船団をイスラエル海軍が公海で襲撃
http://democracynow.jp/video/20100601-2

今回の授賞式で、ノーベル平和賞委員会は、劉氏夫妻の椅子を空席にし、巨大な劉氏の写真を飾ることによって、中国政府にたいする全面的批判を演出しました。だとすれば、、中国とは比べもにならないくらいの残酷な人権侵害を繰り返しているイスラエル政府をなぜ批判しないのでしょうか。

ノーベル平和賞委員会は、米国に全面支援されたイスラエルを敵に回してでも、モルデハイ・バヌヌ氏に平和賞を与える勇気があったのでしょうか。もしそのようなような勇気がないくせに、「いま世界で最も叩きやすい相手だから」という理由で中国を選んだのであれば、それはノーベル賞の政治利用といわれても仕方がないのではないでしょうか。

こんなことを思っていたら、「非政府組織(NGO)の国際人権連盟は、モルデハイ・バヌヌ氏が軍縮促進に貢献したとして、カール・フォン・オシエツキー賞を贈ることを決めた」という記事を見つけました。

イスラエル、出席認めず=核開発暴露の元技師、人権団体授賞式
時事通信 【ベルリン時事】12月11日(土)16時47分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101211-00000082-jij-int
<イスラエルの核開発に関する機密情報を暴露して国家反逆罪に問われ、18年間にわたって服役した元原子力研究所技師モルデハイ・バヌヌ氏(56)に対し、国際人権団体が賞の贈呈を決めたところ、イスラエルが同氏の出国を認めなかった。AFP通信によると、バヌヌ氏はベルリンで12日に予定されていた授賞式への出席が不可能になり、式は取りやめになった。非政府組織(NGO)の国際人権連盟は、バヌヌ氏が軍縮促進に貢献したとして、カール・フォン・オシエツキー賞を贈ることを決めた。賞の名称は、ナチス政権下の1935年にノーベル平和賞を受賞しながら(今年の受賞者である中国の民主活動家、劉暁波氏と同様)拘束されていて本人も親族も授賞式に出席できなかったドイツの平和活動家に由来している。>

モルデハイ・バヌヌ氏は「核開発どころか核拡散にも手を染めたシモン・ペレス、そのような人間が貰(もら)うような賞であれば、こちらから願い下げだ」と言ったわけですが、今度の賞=「カール・フォン・オシエツキー賞」は拒否しなかったようです。

イスラエル政府がバヌヌ氏の出国を認めるはずがないにもかかわらず、この国際人権団体は賞を与えたわけですから、まずこの国際人権団体の勇気を讃(たた)えたいと思います。また考えようによっては、この授賞は、ノーベル賞平和委員会に対する間接的批判とも言えます。ノーベル平和賞の権威がますます失墜していくのが目に見えるようです。

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さて今回は、先日16日に保釈されたウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジ氏についても書く予定でしたが、ここまで書いてきたら疲れてきたので、以下は全くの走り書きで終わりたいと思います。詳しい出典・引用なしになりますが、お許しください。

まず第1に気になるのは、一般のメディアでは「婦女暴行による逮捕」としてしか報道されていないことです。合意の上での性交であり、単にコンドームを使ったかどうかの問題を「婦女暴行」としてしか報道しない大手メディア(NHKも含めて)の姿勢に何か意図的なものを感じざるを得ません。

この「コンドーム使用」問題についても、相手の女性は「NO」と言っていないのですが、と主張するフェミニストもいて、映像で見ていて恐ろしいくらいの論争が、著名な二人のフェミニスト同士の間で展開されました。興味がある方は下記を御覧ください。

Naomi Wolf vs. Jaclyn Friedman:
Feminists Debate the Sexual Allegations Against Julian Assange
http://www.democracynow.org/2010/12/20/chris_hedges_obama_is_a_poster
Part II...Feminists Debate Sexual Allegations against Julian Assange
http://www.democracynow.org/2010/12/21/part_iifeminists_debate_sexual_allegations_against

私が上記の論争を視聴した限りでは、初めから終わりまで「「たとえNOと言っていなくても強姦にあたる」ということしか主張していないJaclyn Friedman氏よりも、「この事件を単なるコンドーム問題に貶めてはいけないとし、アサンジ氏をめぐる広い背景の中でこの事件を論じたNaomi Wolf氏の論に、深い共感をおぼえました。以下は、Wolf氏の論を通じて知った事実です。

この論争を視聴していて、まず私が驚いたのは、スウェーデンはレイプ天国であるにもかかわらず、つまり誰が見ても明らかなレイプは放置されてきたにもかかわらず、この「合意の上での性交であり、コンドーム使用について合意があったかどうかだけが争われている事件」をスウェーデンとイギリスの警察が問題にしたという事実でした。

また当初は告訴する意図がなかったにもかかわらず、スウェーデン警察が無理に告訴させようとしたフシがあります。また警察に告訴した女性たちは、単にHIVの恐れがないかを調べて欲しいと思っただけだと言っているようですが、なぜ二人そろって警察に行ったかは不明です。この不明さが、CIAなどから送り込まれた人物ではないのかという噂が飛び交う原因になっています。

だから何度も「告訴」と「告訴の取り下げ」が繰り返され、しかもスウェーデン警察から正式な告訴状が届いていないにもかかわらずイギリスの警察が動き始めて、アサンジ氏は容疑を晴らすために自ら出頭したにもかかわらず、逮捕・投獄され、初めは保釈すら認められないという、奇怪な事件です。

しかもロンドン警察は作家オスカー・ワイルドさえも狂気に陥れたと言われる地下の独房に、アサンジ氏を10日間近くも閉じ込めたのでした。ですからイギリスでもアサンジ氏の救出に多くの著名人が駆けつけました。その中の主だったひとをあげると次のようになります。

タリク・アリ:パキスタン出身で英国在住の著名な作家・批評家
ケン・ローチ:数々のカンヌ映画祭受賞作を生み出している著名な映画監督
ジャマイマ・カーン:名高い作家で慈善活動や人権活動家としても知られる
ジョン・ピルジャー:オーストラリア出身で英国在住の著名なジャーナリスト
ビアンカ・ジャガー:ローリング・ストーンズのミック・ジャガーの元妻で映画監督、人権活動家として名高い。

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ところで、アサンジ氏の莫大な保釈金(24万ポンド=約3150万円、この金額も根拠不明ですが)については、上記の人たちだけでなく、有名な映画監督マイケル・ムーアも喜んで一部を負担することをいち早く表明しました。

またアサンジ氏が保釈されたとは言っても、一種の「自宅軟禁」状態であり、しかも監視用の電子タグを常に「腕」または「足首」に付けていなくてはならないだけでなく毎晩m警察に出頭しなくてはならないというのも、全く異常な「保釈」の仕方です。なぜなら氏はいまだにスウェーデンから正式に起訴すらされていないのですから。

アサンジ氏に対する支援が世界的な広がりを見せているのも、このような異常な逮捕劇への怒りからではないでしょうか。

たとえば、イギリスの出版社オーナー・フェリックス・デニスやノーベル生理学・医学賞受賞者のジョン・サルストン博士もアサンジ氏の裁判費用を負担することを明らかにしていますし、ジョン・ピルジャー氏らは「ジュリアン・アサンジ防衛基金」を設立して、アサンジ氏を支援するための資金集めに奔走しています。

米国でも、ベトナム戦争時に国防総省の高官だったにもかかわらず、最高機密である「ペンタゴン・ペーパーズ」をニューヨーク・タイムズなどの新聞社に漏洩させてベトナム戦争を終結させることに貢献したダニエル・エルズバーグ氏、コリン・パウエルに仕えた国務省高官ラリー・ウィルカーソン氏、元FBI特務員だったコリーン・ローリィ氏なども、アサンジ支持をはっきりと表明しています。

ダニエル・エルズバーグ氏らは,大略、次のように主張していいます。
http://www.democracynow.org/2010/12/10/whistleblower_daniel_ellsberg_julian_assange_is

「アサンジ氏は情報を盗み出したわけではなく、内部告発者から送られてきた情報を精査したうえで公表する活動をしている。もしリークされた情報を一切報道してはならないというのであれば、ウィキリークスから送られてきた記事を載せたニューヨークタイムズなどの新聞社やこれを報じるDemocracy Now!も犯罪者ということになってしまう。これは民主主義の死を意味する。ジャーナリズムの基本的役割は権力の監視役だからだ。また、だからこそ、企業や政府の腐敗を内部告発する権利と告発者を守る制度が今こそ求められているのだ。」

しかし、日本の大手メディアからは、上記のような記事を目にすることはほとんどありません。これは悲しむべきことではないでしょうか。

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<NOTES> 国際民主主義基金 (IED)について

 先に「米国民主主義基金NED」について紹介しましたが、それに対抗する組織として国際民主主義基金 IED(International Endowment for Democracy)なるものがあることを最近、知りました。

これは「趣意書」によると、米国が口では民主主義を標榜しながら、実際にやっていることは、国内でも国外でも全くそれに反していることが少ないことを嘆き、米国に真の民主主義を根付かせるために地道に活動している団体に資金援助すると同時に、常に不正が絶えない米国の大統領選挙を監視するための監視団を世界中から送ってもらうための資金を積み立てようとするものです。

「趣意書」(STATEMENT OF PURPOSE)
http://www.iefd.org/lang/ja02.php

上記のような「趣旨」を読むと、それだけでも私にとっては大きな驚きでしたが、その寄付金を世界中に呼びかけていること、その呼びかけ人に次のような著名人が名前を連ねていることが、二度目の驚きでした(この呼びかけ人の中に、先頃亡くなったばかりのハワード・ジン死や獄中で闘っている死刑囚ムミア・アブ=ジャマール氏があることに、特に注目していただきたいと思います)。

「世界の人々への緊急アピール」
http://www.iefd.org/lang/ja01.php
「呼びかけ人」」
ハワード・ジン/HOWARD ZINN (アメリカの指導的な歴史家)、
ムミア・アブ=ジャマール/MUMIA ABU-JAMAL (アメリカで最も有名な政治囚)、
ゴア・ヴィダル/GORE VIDAL (アメリカの著名な小説家・エッセイスト)、
ラムゼイ・クラーク/RAMSEY CLARK (世界的に有名な人権派の法律家,元司法長官)、
バーバラ・フォーリー/BARBARA FOLEY (革新的な学者達によるthe Left Alliance議長)、イマニュエル・ウォーラーステイン/IMMANUEL WALLERSTEIN (国際社会学会前会長)、マイケル・ラトナー/MICHAEL RATNER (the Center for Constitutional Rights代表。the Lawyers' Guild元代表)
以下、省略
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