「軍事費世界地図」―世界人口の5%で世界の軍事費50%を占める国アメリカ

軍事費世界地図、世界の憲兵(Global Policeman)、悪の枢軸(Axis Of Evil)、人口5%で軍事費50%の国、平和研究(2015/09/14)

軍拡世界地図 Military-Expenditures-World-Wide
http://www.wtcphila.org/uploads/4/9/5/7/49572435/bofaml-transforming-world-atlas-2015-08.pdf


 いま国会は戦争法案をめぐって大揺れに揺れています。なぜ戦争法案が必要かと問われて政府がいつも答弁する内容は、「危急存亡のとき自衛隊が米軍を守らねばならない」というものです。
 しかし、これを聞いていると頭がおかしくなりそうです。というのは、今まで私たちが聞かされてきたのは、米軍が日本を守ってくれるから沖縄その他に米軍基地が必要だというものでした。
 ところが今はこれが全く逆転して「自衛隊が米軍を守ってやる」というのです。しかし米軍が自力で戦ったのでは負けるような敵を相手にして、どうして自衛隊が勝てるのでしょうか。
 冒頭に掲げた「世界の軍事費地図」を見てください。この地図はGlobal Researchから採ったものですが、ご覧のとおり、世界の軍事費の半分はアメリカが占め、中国の軍事費はその約3分の1にすぎません。
 ところで、この地図の出典を調べてみたら、アメリカの大銀行「バンカメ」Bank of Americaの "Transforming World" atlasに載っていることが分かりました。そして、この地図には次のような四つの注釈が付いていました。拙訳で紹介します。

1)アメリカの軍事費は、次位15カ国の軍事予算を全て足したよりも多い。
2)ペンタゴンは、アメリカ50州すべての医療費・教育費・社会保障費を合計した額よりも多い金額を軍事費に使っている。
3)実際、アメリカの人口は世界の人口の5%に過ぎないにもかかわらず、世界全体の軍事費の50%をアメリカが占めている。
4)突出した軍事費と科学技術の優位性がアメリカを世界の超大国にしている。アメリカが強大な地政学的影響力をもち世界の憲兵として果たすべき役割を期待されているのは、このためだ。


 私は最初なぜアメリカの大銀行「バンカメ」がこのような「世界の軍事費地図」を公表しているのか奇異な感じがしましたが、最後の4)を読んで納得しました。このような見解だからこそ、ではないかと思い当たったのです。
 それはともかく、アメリカの軍事費は御覧のとおり突出していて、しかも、その兵器は世界最先端を行くものですから、それと正面から戦って勝てる相手はいないのです。ですから、「自衛隊が米軍を守る」というのは笑止千万で、それを理由に戦争法案を通そうとしても誰も信用しないでしょう。
 ついでに付け加えておくと、上記の「軍事費世界地図」で北朝鮮を探すと、芥子粒(けしつぶ)ほどの大きさです。韓国の軍事費を示す円グラフの頂点にかすかな黒点として存在するにすぎません。ですから、このような国がアメリカや日本にとって脅威であるはずがないのです。しかし戦争するためには相手を悪魔化する必要があります。イラクと並んで北朝鮮が、Axis Of Evil「悪の枢軸」と名指さしされ、悪魔化されたゆえんです。

 だとすれば、天下無敵の米軍がなぜ自衛隊を必要とするのでしょうか。それは嘘をついて始めた戦争が世界に拡大していくことにたいしてアメリカ国民の多くが嫌気をさし、反戦意識が国内で強くなっているからです。また黒人を武装警官が射殺する事件が相次ぎ、国内でも一種の騒乱状態が生まれていることも、その要因になっているでしょう。
 最近はBRICS諸国の存在感が大きくなり、このまま放置しておくと超大国アメリカの地位が崩壊しかねません。ですからその牽引車となっているロシアと中国の勢力を何としても削(そ)がねばなりません。しかし国内では反戦意識が強くなっていますから、米兵を直接の戦闘に差し向けるわけにはいきませんから、代わりの傭兵が必要です。
 そこでロシアにたいしてはNATO軍を使い、中国に対しては自衛隊を使おうというのが、アメリカの戦略です。ただし戦争を仕掛けるためには口実が必要です。そこで最近よく使われるのが「人道的介入」「民主主義擁護」で、ウクライナ領クリミアをロシアが占領したというのが、そのひとつの口実になっています。
 しかし、そもそもウクライナに大金を注ぎ込んでクーデターを起こさせたのはアメリカでした。これは国務次官補ヌーランド女史自身が「米国ウクライナ基金」の大会講演で明らかにしています。それによると、アメリカは1991年からウクライナを支援するために50億ドルを投資したというのです。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201508110000/
 また中国にたいしては尖閣列島の問題が口実として使われています。中国との間で棚上げになっていた問題を、自民党右派の言動を利用しながら、火を付けようというわけです。これについて詳述しているゆとりがありませんので、時間がある方は下記を参照していただければ有り難いと思います。

John V. Walsh(2013/02/08)「日本に中国との対決をけしかけるアメリカ」
資料: 国際戦略研究所(CSIS)「アーミテージ/ナイ報告」

 いずれにしても、自衛隊がアメリカの傭兵として使われて私たちに利益になることは何一つありません。日本の防衛費が激増し、その分だけ教育や福祉への予算が削られるだけです。それでも軍事費が足りないというので消費税を値上げしたばかりですが、他方で福島のひとたちは放射能汚染にさらされたまま置き去りにされています。
 安倍政権が、沖縄住民の圧倒的意思を無視して、米軍基地の辺野古移転に断固たる意思を示しているのは、上記のようなアメリカの戦略に根ざしていることは疑いようのない事実です。アメリカは他国に干渉するとき「民主主義擁護」を高々と掲げるのですが、ウクライナや沖縄の現状をみれば、それがいかに「大いなる偽善」かはよく分かるはずです。
 「民主主義」というのは「民衆の意思を尊重する」ということのはずです。しかし安倍政権もオバマ政権も、やっていることは「民衆蔑視」そのものです。


<註1> 憲法9条を無視して自衛隊が中国近海どころか中東にまで出かけるようなことになれば、今まで日本に大きな親近感をもっていたアラブの人たちを敵に回すことになるだけでなく、日本国内をEU諸国と同じようなテロ攻撃の舞台として提供することになるでしょう。

<註2> 悪の枢軸(Axis Of Evil)という場合、アメリカが名指したのはイラン、イラク、北朝鮮でした。しかしチョムスキーがしばしば言及する「世界を危険にさらす」「悪の三大国」とは、氏の祖国アメリカ、そしてイスラエル、サウジアラビアの三つでした。これは記憶しておくに値する事実ではないでしょうか。 
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