続「時代は変わる」(その1)――カタロニア独立運動の新展開とアメリカ大統領選挙で善戦するサンダース

国際教育(2016/01/16)、カタロニア独立運動、新首相カルレス・プチデモン、アメリカ大統領選挙、上院議員バーニー・サンダース

「社会主義者」を自認するサンダース
https://www.rt.com/usa/328689-sanders-leads-new-hampshire/
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 長周新聞に載った拙論「時代は変わる」 "The Times They Are a-Changin"を、前々回のブログ(2016/01/01)で紹介しました。そこで私は次のように書きました。

 先述のとおり、イギリスでもスコットランドの圧倒的多数が独立を目指して運動していますし、スペインでも一四〇万人を超えるカタロニアの人々が独立をめざす巨大な集会を開き、バルセロナ市内を埋め尽くしました。
 欧州では、このようにスコットランド、バルセロナ、そしてイタリアではベニスの独立運動がすすんでいるだけでなく、先にも紹介したように、イギリスの議会政治においても、大きな変化が起きています。
 党内最左派の人物、「鉄道の再国有化、教育費の無償化、シリアへの内政干渉反対」などを政策として掲げてきたコ―ビン氏が、イギリス労働党の党首として選ばれたからです。
 こうして、労働党の結党理念である社会主義に立ちかえるよう堂々と主張する人物が、党首に選ばれ、それを契機に復党するものが激増し今や党員数が四〇万人なったことは既に述べたとおりです。このようにイギリス民衆の意識は確実に変わりつつあるのです。
 また、これもすでに紹介したことですが、アメリカでも、社会主義者を自称するサンダース氏が民主党から大統領選に立候補し、各地の世論調査でヒラリー・クリントンを追い抜く勢いで快進撃を続けています。
 このようにイギリスでもアメリカでも、民衆の意識は確実に前進しつつあるのです。
 さらに、もう一つの新しい動きは、アメリカ追従の姿勢をとり続けてきたオーストラリアのアボット首相が、党内の党首選で敗北し、辞任に追い込まれたことです。安倍晋三首相を「最高の友人」と呼んで日豪の蜜月関係を築いてきた人物が敗北したのです。
 このように世界は変わり始めています。つまり、いま世界中の民衆が、財界寄りの権力政党・権力政治家にトコトン嫌気がさしているのです。
 ですから、何度も言いますが、もし安倍政権とアメリカ政府がこのような民意無視と自然破壊の姿勢をとり続けるならば、沖縄は独立を宣言せざるを得なくなるかも知れません。しかも世界の世論は多分それを支持するでしょう。今や沖縄とフクシマは世界中で注目の的になっているからです。

 いま沖縄では、米軍基地の辺野古移転を大きな争点のひとつとして宜野湾市長選が闘われようとしています(17日告示、24日投票・開票)。
 しかし政府側は「ディズニーランド」という「飴」と「裁判による恫喝」という「鞭」、つまり金力と権力で、これまでに示されてきた沖縄県民の圧倒的意思を強引に押しつぶそうとしています。
 これでは私が上記の拙論で危惧していた「沖縄独立」という動きがいっそう加速せざるを得なくなるように思われます。というのは、AFP通信(2016/01/11)は、「カタルーニャ議会、新たな州首相を選出 内部対立に終止符」という見出しで、次のように報じているからです。

 スペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)自治州の議会は10日、新たな州首相にジローナ(Girona)市長のカルレス・プチデモン(Carles Puigdemont)氏(53)を選出した。内訳は賛成70票、反対63票、棄権が2票。
 カタルーニャでは昨年9月の州議会選挙で独立派の主要政党連合が勝利して以来、州首相の人選をめぐる内部対立が続いていたが、先週末になって[独立運動を推進してきた]アルトゥル・マス(Artur Mas)州首相が退陣を表明し、プチデモン氏を後任に指名したことで、再選挙の事態は土壇場で回避された。筋金入りの独立派一家出身のプチデモン氏が、州首相として組閣に臨む。

 このようにカタロニア議会では「筋金入りの独立派一家出身のプチデモン氏」が州政府の首相に選ばれたわけですが、これを受けて議会はさらに独立への動きを一歩進めようとしています。それを、DemocracyNow!(January 11, 2016)の記事は「カタロニア議会は独立派の新首相を選ぶ」という見出しで、次のように報じています。

Catalonia Lawmakers Elect New Pro-Independence Leader
 カタロニア議会は投票で新しい独立派の指導者を承認した。このことで、来る18ヶ月の間にスペインから分離するための動き・手続きが再出発することになる。新しい指導者カルレス・プチデモン(Carles Puigdemont)は独立した軍隊、中央銀行、司法制度を樹立する作業を始めるものと思われる。
http://www.democracynow.org/2016/1/11/headlines/catalonia_lawmakers_elect_new_pro_independence_leader

 同時にスペイン全体でも新しい動きがありました。
 すでに昨年12月20日に行われたスペインの総選挙で、民営化・規制緩和・社会福祉削減に強く反対する新興の左派政党「ポデモス(Podemos)」が事前の世論調査を上回る支持を集めました。50議席程度の獲得予想に対して69議席(票率20.7%)を得たのです。
 他方で中道右派の現与党 「国民党(PP)」が第1党の座を死守したものの、2011年の前回総選挙(186議席、同44.6%)から大幅に議席を失い、122議席(票率28.7%)という激減ぶりでした。
 このように「時代は確実に変わり始めている」のです。それを示すもうひとつの出来事が、アメリカ大統領選挙の動きです。
 自称社会主義者のサンダース氏が民主党から立候補し、ヒラリー・クリントン氏を相手に互角の闘いを演じていることは、拙論「時代は変わる」でも紹介しましたが、RTニュースによれば、互角どころか、ヒラリー女史を追い落とす勢いすらあるというのです。
 それをRTニュース(12 Jan 2016)は、「バーニー氏はニューハンプシャー州の世論調査で二桁のリード」という見出しで、次のように報じています。[ただし和訳は拙訳、以下すべて同じ]

Bernie gains double-digit lead on Hillary in New Hampshire
 バーモント州から無所属で選出の上院議員バーニー・サンダースは現在、民主党第一次予備選までに1ヶ月を切った世論調査で、同党の大統領候補であるヒラリー・クリントンを14ポイントも差をつけている。また氏は「草の根運動組織MoveOn.org」からも決定的に重要な支持を取り付けた。
 ニューハンプシャー州の有権者の半分以上53%が上院議員バーニー・サンダースを支持している。他方、クリントンは39%の支持しかない。これが火曜日に発表されたモンマス大学による世論調査の結果だ。
 この大選挙区ニューハンプシャーは、かつてはクリントンの票田であり、登録民主党員はもちろん老人や女性なども彼女を支持していた。これらの階層の多くはクリントンを支持し、昨年11月の調査では、クリントン支持は48%で、サンダースは45%だった。
 ところが「花崗岩の州」というあだ名をもつニューハンプシャーで、クリントンの地位は逆転し、今やサンダースの後を追いかける立場となってしまった。
https://www.rt.com/usa/328689-sanders-leads-new-hampshire/

 しかし、このままサンダース氏がクリントン女史を追い越して民主党の大統領候補になるかどうかは、予断を許しません。
 というのは大手メディアはサンダース氏の動きを無視したり、その主張を正しく伝えませんし、クリントン女史を支持する財界・金融界もサンダース氏が民主党の大統領候補になることを絶対に許さないだろうと思われるからです。
 とはいえ上記のような世論の変化はアメリカ民衆の願いを反映していることだけは間違いないでしょう。


<註> サンダース氏の国内政策は社会主義者を自認しているだけに民衆の願いに沿ったものですが、外交政策になるとクリントン女史とあまり変わらなくなるのが残念です。
 シリア問題についてもアサド大統領が独裁者だから辞めさせなければならないという点ではクリントン女史と同じです。違いは、サンダース氏がロシアと協力してテロ集団「イスラム国」を排除しなければならないと主張しているのにたいして、クリントン女史はアサド政権打倒を絶対に譲らないという点です。
 しかしロシアのプーチン大統領も言っていることですが、シリアの指導者はシリアの民衆が選ぶべきで、アメリカから指図されるいわれはどこにもありません。それどころかシリアで本当に開かれた選挙をすればアサド大統領が再選されることは、ほぼ間違いありません。
 アメリカには真のリベラルも真の左翼もいないとチョムスキーが嘆く理由は、こんなところにあるのかもしれません。



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