「知の拠点はいま(9)―金沢大学➄英語狂騒曲」北國新聞20160113

教育原理(2016/02/05)、国語力上限の法則、スーパーグローバル大学、英語で大学が亡びるとき、「英語力=グローバル人材」というイデオロギー
 
 私の出身地である石川県の地元紙『北國新聞』からメールが届き、次のようなインタビューの依頼がありました。
 「書店で先生の『英語で大学が亡びるとき』を手に取り、興味深く拝読させていただきました。石川県出身で、金沢大学でも学ばれた先生に、英語化にまつわる課題についてご高見をうかがいたく、ご連絡差し上げた次第です」
 初版はたいした部数を印刷しているわけではないので一般の書店にはあまり並ばないだろうと思っていましたから、書店で拙著を見かけたというメールは驚きでした。
 話をうかがってみると、北國新聞では2016年の新年を迎えて、大学をテーマに「知の拠点はいま」と題した連載を企画しており、第1回目として金沢大学を取り上げる予定だとのことでした。メールでは企画の意図として次のようなことが記されていました。

 現在、社会部の記者数人で取材を進めております。少子化とグローバル化が進行し、国からは運営費交付金の継続的な減額提案や、「人文系廃止」通知が出されるなど、「逆風」の中で、石川・富山県内の大学がどのように変わろうとしているのか、を紹介する計画です。
 その中で[まず最初に]金沢大学のグローバル化について取り上げる予定でおります。金沢大学はスーパーグローバル大学に採択され、2023年度までに学部講義の50%、大学院講義の100%を英語で行うとの目標を掲げました。現在、教職員の英語研修を急ピッチで進めているところです。(後略)


 金沢大学がスーパーグローバル大学に採択されたことは知っていましたが、「2023年度までに学部講義の50%、大学院講義の100%を英語で行うとの目標を掲げた」ことまでは知りませんでした。
 これでは私が『英語で大学が亡びるとき』で批判した京都大学の計画よりも、もっと「英語化」が極端に進んでいますから、驚くと同時に不安にもなりました。というのは、拙著でも詳しく述べたように、こんなことをしていたら金沢大学の学生の学力低下は5年も経たないうちに顕在化するのではないかと思われたからです。
 しかも、拙著の「あとがき」でも書いたように、京都大学では外国人教員を公募したところ応募が少なくて英米人の確保に四苦八苦していて、学部の講義どころか共通教育の講義すら、その50%を英語でおこなうのは難しくなっているというニュースも耳にしているからです。
 下記に北國新聞インタビューの記事を掲載しておきますが、それをお読みいただければお分かりのように、私はインタビューで「3年もたたずに破綻するだろう。進むも地獄、退くも地獄だ」と語ったことになっています。
 しかし、あの場で「3年」と言ったかどうかは記憶にありません。とはいえ、5年も経たないうちに矛盾が顕在化することだけは確実ではないかと思っています。
 というのは、講義内容を日本語で説明してもなかなかうまく学生が理解してくれるわけではないからです。それが大学の授業の実態です。ましてや英語では「推して知るべし」でしょう。
 母国語でうまく説明できないことを、それ以上に英語でうまく説明できるはずがありませんし、また母国語で理解できないことを英語でなら理解できるということも考えられないからです。私の言う「国語力上限の法則」です。
 しかし数値目標を掲げて応募し、文科省から大金の支援を受けているわけですから、今さら退くわけにはいかないでしょう。私が「進むも地獄、退くも地獄」と述べたゆえんです。


<註> 北國新聞の「知の拠点はいま」という連載は、「プロローグ」①~④、「金沢大学」➄~⑩)という10回で、いったん完結しています。私へのインタビューは「金大➄英語狂騒曲」という題名でした。「プロローグ」もなかなか読ませる内容で、次回の連載「富山大学編」が楽しみになりました。
 なお次に掲げるJPEG版が読みづらいというかたは下記のPDF版を御覧ください。
http://www42.tok2.com/home/ieas/InterviewHokkokusinbun20160113.pdf



北國新聞インタビュー「知の拠点はいま」20160113+(2)_convert_20160205134527


<註> また拙著『英語で大学が亡びるとき』については、下記のような書評・紹介が新聞やネットに載っていることを発見し嬉しくなりました。時間があれば覗いてみてください。
『長周新聞』(20151221)
「街の弁護士日記」(20160121)
「マスコミに載らない海外記事」(20160121)
「マスコミに載らない海外記事」(20160122)
「マスコミに載らない海外記事」(20160215)

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