国際社会の巨大かつ醜悪な「いじめ」―イスラエルによる「自由船団」襲撃によせて

文科省も教育委員会も「いじめ」を放置するなと声高に叫んでいます。しかし世界的規模でおこなわれているパレスチナに対する「いじめ」については、不思議なことに、日本ではほとんど問題にされていません。

 むしろ英語教育界では岐阜県出身の杉原千畝を教材にした副読本が話題になることはあっても、現在イスラエルがおこなっていることを問題にしている記事は,残念ながらほとんど眼にすることはありません。

 しかし、最近(2010年6月1日(火))イスラエルがおこなった「自由船団」フリーダム・フローティラに対する残虐な攻撃ほど、この「いじめ」を典型的に示す事件は、今までになかったのではないでしょうか。

 封鎖状態にあるガザ地区への援助物資を満載した6隻に乗船している無防備のひとに、重武装したイスラエルの特殊部隊が海と空から襲いかかったのです。しかも、この6隻にはノーベル平和賞の受賞者など著名人も少なからず含まれていました。

 ところがオバマ大統領はイスラエルの蛮行を糾弾する発言をついに最後までしませんでした。これでは世界的規模の「いじめ」がなくなるはずはありません。「いじめ」をめぐる子どもの言動と同じように、日本政府を初めとして周りの取り巻きはボスの言動を見ながら自分の行動を決めるわけですから。

 しかし、この事件を機に民衆レベルでは確実に流れが変わりつつあります。というのは、米国加州オークランド港では港湾労働者がイスラエル商品の荷揚げを拒否する運動に参加していますし、同じ動きは欧州にも広がり始めているからです。これについては、ベトナム戦争時の司法長官だったラムゼー・クラーク氏が代表を務める反戦団体ANSWERの下記呼びかけを御覧ください。

http://answer.pephost.org/site/News2?news_iv_ctrl=-1&abbr=ANS_&page=NewsArticle&id=9677

 実は(米国在住のユダヤ人を初めとして)イスラエルに対する世界の世論が大きく変わり始めたのは、イスラエルが(ガザを封鎖することだけに飽きたらず)ガザ地区住民に対する総攻撃を始めた2008年12月28日からだと言ってよいでしょう。この総攻撃は3週間にもわたって継続され、オバマ大統領の就任演説直前に見事に(?)中止されました。

 この攻撃の残虐ぶり、そしてオバマ大統領の就任演説直前に攻撃を中止した意味については、下記のチョムスキー論文をぜひ御覧ください。

チョムスキー090119 「すべての野蛮なものたちを絶滅せよ」
http://www42.tok2.com/home/ieas/Chomsky-yaban091208.pdf

 自分自身がユダヤ人でありながら(あるいは「だからこそ」)チョムスキーがイスラエルに対して抱いた憤りの強さが、論文の行間からひしひしと伝わってきます。イスラエルにとってパレスチナ人は、単なる「けもの」「虫けら」に過ぎなかったのだということが、この標題「すべての野蛮なものたちを絶滅せよ」によく表れているのではないでしょうか。

 ところで、上記の攻撃がイスラエルに対する世論を確実に変えつつあることは、下記の番組DemocracyNowJapanを見てもよく分かります。

イスラエルに対するボイコットは有効か?
http://democracynow.jp/submov/20100304-2
米国急進派ノーマン・フィンケルスタイン
http://democracynow.jp/submov/20100323-2

 イスラエルによる「フリーダム・フローティラ」攻撃について解説するつもりが、かなり横道に逸れてしまいました。今回の事件についてチョムスキーは下記に訳出した短い声明しか発表していませんが、この事件に対するチョムスキーのイスラエルに対する怒りの強さは、前回の事件以上のものがあります。

チョムスキー100611「フリーダム・フローティラ(自由の船団)の脅威」 
http://www42.tok2.com/home/ieas/chomsky100611freedomflotila.pdf

 それは声明の行間からも強く伝わってきますが、それよりももっと驚かされるのは、こんなに短い文章の中に、「パレスチナ問題の本質」「米国が果たしてきた役割」が見事に書き尽くされているという点です。唯々、脱帽するのみです。
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