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「言論の自由」の崩壊――アメリカ民主党・リベラル派の腐敗・堕落

アメリカ理解(2017/12/02) ロシアゲイト、RT(Russa Today)、外国エージェント登録法(FARA)、「裏国家、闇の政府」(Deep State)


書評チョムスキー『アメリカンドリームの終わり』東京新聞2017/11/19
東京新聞チョムスキー書評20171119071

 現在(2017年2月)のアメリカは機能不全に陥っています。
 というのは、アメリカ議会が、「ロシアが裏でアメリカ大統領選挙に干渉し、そのおかげでトランプは選挙に勝利した」とする、いわゆる「ロシアゲート」を一貫して取りあげ、その他のことはまともに議論されていない観があるからです。
 しかも、この「ロシアゲート」を大々的に取りあげ、トランプ大統領の公約「アメリカファースト」すなわち「軍隊を海外に送って他国の政治に干渉したり政権転覆したりすることをやめる」という政策の実行を一貫して妨害してきたのは、ヒラリー・クリントンを先頭とする民主党幹部でした。
 こうしてトランプ氏は今では「裏国家」「闇の政府」(いわゆるDeep State)の言いなりになって「CIAの解体」「NATO解体」という公約を取り下げるどころか、今ではロシア国境近くにNATO軍を終結させ、一触即発の近況が続いています。いつ核戦争になってもおかしくない状況です。
*「戦争が差し迫っているのが見えないのだろうか」
Paul Craig Roberts (元アメリカ財務次官) 20171127
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-412f.html

 これはアジアについても同様で、トランプ氏はアフガニスタンからの撤兵を取りやめ、さらに北朝鮮との対話を始めるどころか「北朝鮮を破壊してやる」とわめき出す始末です。他国を侵略し破壊することは、ナチスドイツを裁いたニュルンベルク裁判で「人道に対する罪」として指導者は絞首刑にされたはずなのに、今はそれをアメリカ大統領が堂々と公言するまでになっているのです。
 トランプ氏が「Deep State」の言いなりになって、このような言動を繰りかえしていても、その先頭に立っている民主党幹部の姿勢は変わることはありませんでした。
 それどころか、「ロシアが裏で民主党本部にハッカー攻撃をした」という口実が通用しなくなったので、「ロシア国営放送RTが番組を通じてヒラリー女史に不利なニュースを流したからだ」として、アメリカ議会は「報道機関としてRTが自由な取材活動をする自由を制限する法案」を通過させ、司法省もこれを許可しました。
 この根拠になった法律「外国エージェント登録法(FARA)」は1938年に制定されたもので、当時のナチスドイツを対象にしたものでした。それをよりにもよって巨大な犠牲を払ってナチスドイツを敗退させたロシア(旧ソ連)にたいして適用するというのですから、アメリカの知性(進歩派リベラルと言われている人たち)の荒廃ぶりは目を覆わんばかりです。
 その動きは大手メディアどころか、グーグル、ツイッター、フェイスブックなどに及んできています。つい先日もグーグルは「グーグルで検索してもRTの流す記事が読者の目になるべく触れないように、記事のランキングを低くする」ことを考えると発表しました。今まで大手メディアでは得られない情報をインターネットその他で手にれていた一般民衆は、今度は何を頼りにすればよいのでしょうか。
*Google’s de-ranking of RT in search results is a form of censorship and blatant propaganda
「グーグルによるRT情報の格下げは検閲であり、あからさまなプロパガンダ」

https://www.rt.com/op-edge/410981-google-rt-censorship-propaganda/

 そもそもアメリカ国内で活動する国営放送は、イギリスのBBCを先頭として、ドイツ、フランス、カナダなど、数多くあります。それでもRTだけが狙い撃ちにされたのは、それだけRTの報道が、権力層の都合が悪いことを報道し続けたからでしょう。
 それを象徴的に示すのが、真実を報道したがためにニューヨークタイムズを初めとする大手メディアから放逐された人物(たとえばクリス・ヘッジズなど)を、RTは数多く採用しているという事実でしょう。
 そもそもRTの報道が間違っているというのであれば、自分たちが手にしている多くのメディア、とりわけ大手メディアを通じて反論すればよいのであって、それを権力を使って押さえつけるというのは、アメリカが標榜する「自由の国」「民主主義」を自ら踏みにじる行為ではないでしょうか。
*「アメリカの基本的価値観を踏みにじるRTへの弾圧」
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/rt-3947.html
 RTは世界各国に特派員を派遣し、RTが放映するドキュメンタリーは数々の国際賞を受賞するまでになっています。こうしてRTの視聴者は増えるばかりです。今ではBBCを越える存在になろうとしています。ですから、戦争をしたい勢力にとっては、これほど都合の悪い存在はないでしょう。
 ところが先述したように、今ではグーグルまでもが権力に荷担するようになってきています。もっとも、グーグルのCEO=エド・シュルツは大統領選挙のときにヒラリー候補を裏で強力に支援した人物でしたから、当然と言えば当然のことかも知れません。これが何度も言うように、アメリカの民主党=左派・リベラルと言われているひとたちの実態なのです。
 チョムスキーは『アメリカンドリームの終わり』で民主党について次のように述べています。

 同じことは二〇一六年の予備選の、民主党バーニー・サンダースの選挙運動でアメリカ全土で見られたことでした。かれの見解や姿勢は非常に具体的なもので、圧倒的な多数とは言い難いにしても、多くの民衆からの支持を得ていました。しかし大手メディアがそれを取り上げるようになったのは、予備選の終盤になってからにすぎませんでした。サンダース氏が呼びかけた「政治革命」は正しいものでしたが、じつを言うと、それほど驚くべきものではありませんでした。というのは、共和党のドワイト・アイゼンハワー大統領ですら、同じ内容のことをすでに言っていたからです。
 そのことは同時に、現在のアメリカの政治地図が、全体として、いかに右寄りのものになっているかを示すものです。つまり民衆の求めているもの、そしてそれがかつては政治の中心だったものが、いまでは非常に過激で、非常に急進的で、過激派だ、と見えるくらいに変わってしまっているのです。
 だから、このように大きく右旋回してしまっている政治の流れを、元の流れに押し戻すのは、まさにわたしたち自身の肩に掛かっているわけです。現在の民主党は、かつては共和の党穏健派と呼ばれていた人たちがとっていた政治姿勢とそっくりなのです。それがいまの民主党の基本姿勢なのです。
 では共和党はどうかというと、あまりにも右に行きすぎてしまって、政治地図から、はみ出てしまっています。かれらはもはや政党とは言えない存在になってしまっているのです。


 このチョムスキーの言を読んでいると、私の眼には現在の日本とあまりに似ていることに驚きと恐怖を感じざるを得ません。日本の民主党(→民進党→?)の姿はあまりにもアメリカ民主党の軌跡に似ているからです。私が『アメリカンドリームの終わり』の「あとがき」で、次のように書いた所以(ゆえん)です。

先述のとおり、私は一〇年以上もアメリカに通い続けているうちに(そのうちの一年はカリフォルニア州立大学で教えたこともあります)、アメリカの暗部をますます深く知るようになりました。そして、「現在のアメリカは一〇年後の日本だ」と学生に言い続けてきましたが、今の日本を見ていると「今日のアメリカは明日の日本だ」と思うようになりました。本書が明日の日本に対する警告の書になることを願ってやみません。


 そういうわけで、チョムスキーの拙訳を多くの方にぜひ読んでいただけたらと思っていたところ、その書評が東京新聞だけでなく中日新聞(2017/11/19)でも掲載されたことを知人が教えてくれました。その喜びを読者の皆さんにもお裾分けしたくなり、改めて下記に掲載させていただく次第です。(東京新聞ではカラーでしたが、中日新聞では白黒でした。)

中日新聞20171119『終わり』書評 サイズ小063

<註> 
 戦争をしたいと思っている政府は、いつでも報道を統制し、国民を監視したいと願望するものです。今のアメリカは、本書でチョムスキーが述べているとおり、国内は崩壊状態ですから、戦争でも起こさないかぎり立て直しは不可能だと思っている可能性があります。財界・金融街・軍産複合体が次の大統領候補として民主党の好戦派ヒラリー女史を選んだは、それが理由でしょう。
 ましてロシア・中国を中心としたBRICS諸国がドル離れを急速に強めている現在、ロシアや中国を相手とする戦争への願望は、もっと強くなっているに違いありません。まさに彼らにとっては、「戦争は国家の健康法」なのです。しかも、このような流れにピッタリと寄り添っているのが安倍政権ですから、いつ何時、アメリカの先兵として戦争に引き込まれるか分からないのが日本の現状です。
*「戦争は国家の健康法である」その3
*「戦争は国家の健康法である」その2
*「戦争は国家の健康法である」その1

 日本の株価は喧噪を極めていても国民の心と財布は冷え切っていますから、景気が回復するはずはありません。だからこそ安倍政権にとっても、まさに「戦争は国家の健康法」ではないでしょうか。しかし今度は核戦争になる可能性がありますから、日本が生き残れる可能性は大きくありません。
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