二重スパイだったスクリパリ大佐の毒殺事件によせて ― 安倍首相と文(ムン)大統領の知性を比較する

国際教育(2018/03/01 CIA長官ジーナ・ハスペル、元ロシア軍大佐セルゲイ・スクリパリ、BBC記者アンドリュー・ギリガン、イギリス国防省生物化学兵器担当官デイビッド・ケリー博士、ニュルンベルク裁判「侵略の罪」「人道の罪」、戦争犯罪人(ブレアとブッシュ)


初の女性CIA長官 ジーナ・ハスペル                英国科学者ケリー博士(59歳)
Gina Haspel k-1058539477.jpg
https://www.rt.com/usa/421168-haspel-cia-director-profile/
http://oriharu.net/gabana_n/Sizen/Zizi/hibi0307/hibi-niisi0307-19.htm



 前回のブログからまたもや1か月が経とうとしています。相変わらず書きたいことが山積しているのですが体が動きません。書きたいことがありすぎて、どれから手をつけようかと思っているうちに時間が過ぎていきます。
 他方、森下敬一博士が運営する「お茶の水クリニック」を訪れ、薬を処方してもらったにもかかわらず、やっと40キロを越えていた体重が、どういうわけか減り続けて、今は37.5キロまで落ちてしまいました(いわゆる「好転反応」?)。
 そのためか気力体力がいまいち充実せず、ついついブログが遅れ、ついには「百々峰だよりを楽しみにしています」というメールが届くまでになりました。本当に申し訳なく思っています。


 それはともかく、欧米の動きを見ると、ますます核戦争への動きが強くなっているように感じられてなりません。
 ロシアとイギリスの二重スパイだった人物が、毒ガスによって殺されそうになったことを理由に、イギリス政府はロシア外交官60人を追放し、他方でトランプ大統領の側近が次々と好戦派の人物にすげ替えられているからです。
 ロシアの大統領選挙が間近に迫っているなかで、元GRU(ロシア軍参謀本部情報総局)大佐セルゲイ・スクリパリと娘のユリアをロシアが毒物で殺すことは、再選を目指しているプーチン大統領にとって有害無益であることは歴然としています。
 にもかかわらず、何の証拠も示さず、イギリスのメイ首相は外交官追放に乗りだし、ロシアとの緊張関係を一挙に強めました。
 イギリスにおけるテレサ・メイ政権の人気は落下する一方で、このまま放置すると次の選挙で労働党のコルビー政権が誕生する可能性が極めて強くなってきていますから、それをどうしても阻止しなければなりません。そこで裏でCIAと手を組んで偽旗事件をつくりあげたのではないかと疑われています。
 あるいはCIAが仕組んだ芝居をメイ政権が最大限に利用したのかも知れませんが、いずれにしても、ロシア政府が証拠の提出を求めても英国政府はこれを拒否していますし、ロシア政府による共同調査の提案も拒否しています。よほどロシアとの緊張関係を高めたいのだとしか感じられません。
 「疑わしきは罰せず」というのは、刑法の常識だったはずですが、なんと驚いたことに、メイ女史は逆に、プーチン大統領にたいして「この暗殺事件にたいして無実である証拠を提出せよ」と要求したのですから、開いた口がふさがりません。
 イギリスの大手メディアも、これにたいして異を唱えませんでしたから、イギリスの知性とはこの程度のものだったのでしょうか。
 他方、トランプ政権も、「証拠はないがイギリス政府の言うことを信じている」と述べ、イギリスとそれに追随するNATO諸国の動きを支持しました。ロシアの脅威を口実に旧東欧諸国に高額の武器を売りつけたいアメリカにとっては、こんなに都合のよい事件はありません。
 このような動きと、トランプ大統領による「初の女性CIA長官」の任命とは、全く無縁であるとは考えられません。なにしろジーナ・ハスペル女史は、CIAがタイに有する秘密の収容所を管轄していた人物で、拷問を指揮監督していたことで有名になっていたのですから。
*「スノーデン氏:次期CIA長官はEUを訪問すると逮捕される危険性」
https://jp.sputniknews.com/world/201803144667785/
*Torture master? Who is Gina Haspel, 1st woman to head CIA
「拷問の達人?ジーナ・ハスペルとは誰か、初の女性CIA長官」

https://www.rt.com/usa/421168-haspel-cia-director-profile/

 こんな拷問支持者を新CIA長官に任命しただけでなく、トランプ大統領は、超タカ派として有名だったジョン・ボルトンを、新たな米大統領補佐官(国家安全保障担当)に指名しました。ですから、トランプ大統領は今や完全に Deep State 「裏国家・闇の政府」の軍門に下ったとしか考えられません。
 トランプ内閣の報道官は、記者会見でイギリス政府の行動を支持する根拠は何かと質問されて、「証拠はないがメイ政権がそう言っているのだから信じる以外にない」と返答しています。
 しかし、アメリカが「大量破壊兵器」を口実にイラク侵略へ踏み切るとき、当時のブレア政権による報告書(いわゆる「9月文書」2002年9月)が決め手になった、とパウエル国務長官は述べています。
 ところが、情報機関の反対を押し切って「破滅から45分のイギリス人」という嘘を無理矢理に報告書にねじ込んだのは、ブレア首相の首席補佐官だったアラステアー・キャンベルだということが今では分かっています。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201607140001/
 つまりイギリス政府の言うことを信じて行動した結果がイラク戦争と中東の破壊・殺戮の始まりだったのに、またもや同じ失敗を、トランプ政権は繰りかえそうとしているわけです。
 米国トランプ政権の知性と英国メイ政権の知性、その双方が「知性の低さ」を競い合っているようにすら見えます。
 このイラク戦争はニュルンベルク裁判で言う「侵略の罪」「人道の罪」に当たりますから、当時のブッシュ大統領もブレア首相も、「戦争犯罪人」として、国外から一歩でも外へ出ると、市民によって逮捕される可能性があります。


 ところで、イラクへの先制攻撃を正当化するために嘘を発信したとされる「9月文書」について、BBCの記者だったアンドリュー・ギリガンが2003年5月に、この文書ではイラクの大量破壊兵器の話が誇張されていると番組で伝えました。
 「英政府は脅威を誇張するため、45分以内にイラクが大量破壊兵器を実戦配備できるという情報を、報告書に盛り込ませた」というのです。
 (サンデー・オン・メール紙はキャンベル首席補佐官が情報機関の反対を押し切って「45分話」を挿入したと伝えています。)
 しかも、ギリガン記者が「45分話」をBBCで語って間もなく、彼の情報源が国防省で生物兵器を担当しているデイビッド・ケリー博士(59歳)だということがリークされました。そしてケリー博士は7月15日に外務特別委員会へ呼び出され、17日に変死しています。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201607140001/(櫻井ジャーナル20160714)
 これは当局によって「自殺」と片付けられましたが、外務特別委員会で真実を証言する前に、ケリーが詰め腹を切らされたか、あるいは暗殺されたかのどちらかだ、というのが大方の推測でした。
 ちなみに、情報源のデイビッド・ケリーが変死、ブレア首相はこの事件を調べるためにジェームズ・ハットン(ハットン卿)を委員長とする「独立」調査委員会(実は「お手盛り」の調査委員会)を設置しています。
 そして、2004年1月にハットン委員会はBBCを批判する内容の報告書を発表、グレッグ・ダイクBBC会長やギリガンBBC記者は放送局から追放されました。この後のBBCは、アメリカの侵略戦争を正当化するための単なる宣伝機関になり、偽情報を公然と伝えるようになりました(現在のNHKを見るような気がします)。


 いま日本でも同じような事件が起きています。毎日新聞(2018年3月9日)ではそれを次のように伝えています。
https://mainichi.jp/articles/20180310/k00/00m/040/100000c

 財務省近畿財務局の男性職員が神戸市内の自宅で自殺していたことが9日分かった。複数の関係者によると、男性は、近畿財務局で学校法人「森友学園」への国有地売却を担当する部署に所属していたという。遺書のような書き置きが見つかっている。
捜査関係者などによると、今月7日、神戸市灘区の自宅マンションの室内で自殺していたのが見つかった。兵庫県警は事実関係を明らかにしておらず、自殺した理由も分かっていない。
 森友学園へは2016年6月に鑑定評価額から約8億円を引いた1億3400万円で大阪府豊中市の国有地が売却された。男性の役職は16年当時、近畿財務局の上席国有財産管理官。学園側との交渉にあたっていた統括国有財産管理官の部下で同じ職場だった。関係者によると、昨年秋以降、病気を理由に休んでいたという。
 土地売却を巡っては大阪地検が背任容疑などの告発を受理して捜査を進めているほか、今月に入り、売却に関する近畿財務局の決裁文書が書き換えられたとする疑惑が浮上していた。

 つまり、普通に推測すると、イギリス国防省生物兵器担当官デイビッド・ケリーと同じ展開だったのではないかと疑われるのです。
 というのは、この自殺した男性は、近畿財務局の上席国有財産管理官で、学園側との交渉にあたっていた統括国有財産管理官の部下だったからです。
 ですから、売却に関する近畿財務局の決裁文書が書き換えられたとする疑惑が浮上した時点で、国会に呼び出されたり、検察からの捜査対象となって留置される可能性があったわけです。
 このように部下を死に追いやっても、その事件の当事者であり最高責任者である安倍首相は術策を尽くして、平然と逃げ切りを謀っています。
 この安倍政権の知性は、米国トランプ政権の知性と英国メイ政権の知性と比べると、どこに位置するのでしょうか。
 朝鮮半島の平和と統一を目指し、アメリカの反対を押し切って、北朝鮮と独自外交を展開している韓国の大統領ムン・ジェイン(文在寅)の知性と比べると、安倍首相の知性はどこに位置しているのでしょうか。
 そして前大統領パク・クネ(朴 槿恵)の不正疑惑を追及し、ついに彼女を牢獄に追いやった韓国人民衆の知性と比べると、韓国人を常に軽蔑の対象としてきた多くの日本人民衆の知性は、どこに位置するのでしょうか。


<註1> 
 偶然に次のような記事が目にとまりましたので紹介しておきます。
*「鳩山元首相、スクリパリ事件について見解示す」
https://jp.sputniknews.com/politics/201803314733321/
<註2> 
 プリンストン大学およびニューヨーク大学の名誉教授であるステファン・コーエンが、アメリカで孤立無援の闘いをしながら、下記のような論文を発表しています。
*Unproven allegations against Trump and Putin are risking nuclear war - Stephen Cohen
「トランプとプーチンにたいする根拠なき告発は核戦争への危険」
https://www.rt.com/op-ed/422673-russiagate-skripal-cold-war/
<註3> 
 ブレア首相の「9月文書」の嘘を暴露して死に追いやられたケリー博士について、もう少し詳しい説明を下記に見つけました。
*「情報源」の英科学者、遺体で発見 イラク脅威「誇張報告」疑惑
http://oriharu.net/gabana_n/Sizen/Zizi/hibi0307/hibi-niisi0307-19.htm
<註4> 
 以下の記事を読むと、官僚も政治家に翻弄される犠牲者であることが分かります。とくに棒グラフに注目ください。
*官僚のメンタル休職者は民間の3倍。国会対応、政治家の理不尽に翻弄される
https://www.businessinsider.jp/post-163990

 しかし自殺するくらいなら内部告発者になってほしかったと思います。公務員は「公僕」なのですから、「国民に奉仕する存在」ではなく「安倍氏だけに奉仕する存在」なら、存在する価値があるのか―そういう気持ちをもつ国民も少なくないのではないでしょうか



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