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世界はいま「大転換」のとき、1 ― 裏国家(DeepState)の存在が今や誰の眼にも明らかに!

国際教育(2018/05/10) DeepState(裏国家、闇の政府)、マイケル・フリン。デニス・クシニッチ、ハワード・ジン『肉声でつづる民衆のアメリカ史』

元DIA長官マイケル・フリン     元下院議員デニス・クシニッチ
マイケル・フリン Michael_T_Flynn デニス・クシニッチDenniskucinich1 『アメリカの国家犯罪国書』

 昨年末に、九州を本拠地にして活動しているデータ・マックス社の経済情報誌『IB: Information Bank』から、「先生の訳書『アメリカンドリームの終わり』を拝読し、ぜひ本著を弊誌読者に紹介したい」と思うようになったとの取材依頼があり、そのインタビューの記録を、このブログ (2018/02/01)で紹介しました。
*「今日のアメリカは、明日の日本である」2018新春特別号
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-312.html

 ところが先日、再び上記の経済情報誌『IB』の記者から次のようなメールが飛び込んできて驚喜させられました。というのは、下記の文面をご覧いただければお分かりのように、今度は「九州本部の社長から、新春号に続いて『I.B夏季特集号』でも、ぜひ先生のお話をというリクエスト」だというのですから、私にとっては驚愕の極みでした。

寺島隆吉 先生
 ご無沙汰致しております。先生、嬉しいお知らせです。あまり例がないことなのですが、九州本部の社長から、新春号に続いて『I.B夏季特集号』でも、ぜひ先生のお話をというリクエストを頂きました。
 夏季特集号の大きなテーマは「大転換」です。政治・経済・社会・文化の分野での大転換を探ります。取材は5月に完了したいと考えております。これは、第一報ですが、今現在の先生の5月のご都合をお教え頂ければ幸いです。
 詳細は任されています。今回は先生のご専門に戻って、『国際理解の歩き方』(あすなろ社、2000)の大転換など面白いのではないかと思っております。この本が書かれたのは約20年前なので大きく変わったと思うからです。前回拾い切れなった『アメリカンドリームの終わり』で大転換に関する部分にも触れたいと思います。
 さらに、最新のチョムスキーのお話で大転換に関するものがあれば言及して頂きたいと思います。また「大転換」のキーワードに相応しければ、先生がご興味があって、資料等も十分にあるものであれば、歓迎致します。
 当方も、また先生にお会いして、色々とお話をお聞きできますこと、とても楽しみにしております。



 そこで早速、データーマックス社の社長さんの意向にしたがって「大転換」を考えてみたのですが、私の頭にすぐ浮かんでくるのは次の三つでした。それを私は『I.B新春特別号』のインタビューで次のように結んでいます。

 私のメッセージは3つあります。1つ目は「アメリカの現実を知ろう」、2つ目は「世界の流れを知ろう」、3つ目は「日本の良さを知ろう」です。
 日本の知識人は、ともすると「日本はだめだけどアメリカはすごい」と言ったりしますが、アメリカ国内の崩壊ぶりは、チョムスキーが本書で述べているとおりです。他方、国外でもシリア情勢を見れば分かるとおり、アメリカの失敗と孤立化は世界的に露呈しつつあります。
 その一方、日本は劣化しつつあるとはいえ、今でも世界で稀に見る長寿国であり高学力の国なのです。その証拠に、拙著『英語で大学が亡びるとき』(明石書店)でも詳述しましたが、OECD学力調査では、日本はトップクラスで、アメリカは最底辺です。
 いたずらにアメリカの後を追うのではなく、日本の現実をふまえ、しっかり地に足をついた考えを持って欲しいと思います。かろうじて残っている日本の「平等社会」、世界でもうらやましがられている清潔で安全な社会を、維持・発展させなければならないからです。



 では、私が「アメリカの現実を知ろう」としてあげた1つ目の「大転換」とは何でしょうか。それは、「大統領という存在は、アメリカ国民の意志に従って選挙され、その国民の意向に沿って政治をおこなうものであり、その理想像がアメリカである」という神話が、今や完全に崩壊しつつあるということです。
 このことを最もよく示してくれたのがトランプ大統領の誕生でした。選挙の下馬評ではヒラリー・クリントン女史が「アメリカ初の女性大統領」として当選が確実視されていました。
 ところがヒラリー女史と同じ民主党から自称「社会主義者」のバーニー・サンダース氏が「ヒラリー候補はウォール街と結びついている」と批判し、彼女を裏で支援しているのが共和党と同じ在韓・特権階級であることを暴露してから、流れは大きく変わり、彼女に代わってサンダース氏が民主党の大統領候補になる可能性が出てきました。
 この頃から大手メディアの攻撃はサンダース氏に集中し、終盤のカリフォルニアの予備選挙では投票が始まる前から「ヒラリー女史が圧倒的優勢、当選確定」という報道が流されるまでになりました。
 このような風圧の中で、サンダース氏はついに膝を屈し、共和党候補として勢いを増しつつあったトランプ氏を勝たせないという理由で「ヒラリー女史こそアメリカで最良の候補者だ」という声明すら出すまでに変質してしまいました。
 一握りの富裕層・特権階級に富と権力が集中している現状に不満を感じて、サンダース氏の選挙運動に精力を注ぎ始めていた没落中産階級の人々や若者は、このようなサンダース氏の裏切りに失望し、その多くの票がトランプ氏に流れたと言われています。サンダース氏が民主党の候補者になっていたら、富豪として有名だったトランプ氏と互角に闘うことができ、大統領に当選していたかも知れないと言われているのも、このためです。
 ところが民主党の幹部はヒラリー女史を「アメリカ初の女性大統領」として売り出し、彼女を共和党の候補者と対決させることを、予備選が始める以前から、裏で密かに決めてしまっていました。サンダース氏が各州で予備選を確実に勝ち抜いていくのを何とか阻止しようと、民主党の幹部が様々な工作をしたことも、今ではウィキリークスなどで暴露されています。

 しかし何と驚いたことに、ヒラリー女史は「ウィキリークスはプーチンの手先だ。トランプもプーチンの傀儡だ」と言って、いまだに大統領として公約を果たそうとするトランプ氏の手足を縛ることに全力を注いでいます。
 トランプ氏が共和党の予備選に勝利した背景には、1%(チョムスキーによれば実際は0.1%)の富裕層特権階級を基盤にしている共和党のなかで、富豪であるにもかかわらず氏が主として白人の没落中産階級に「昔の豊かなアメリカを取り戻そう」と呼びかけたことにありました。
 裏切られたと感じたサンダース支持者の少なからぬ人たちが、トランプ支持者に変わった要因も、「アメリカは外国に余計な手出しをして、戦争や政権転覆などにお金を使いすぎている。だからロシアと手をつないでシリアの戦争を一刻も早く終わらせるべきだ。軍隊をシリアから撤退させ、戦争に無駄遣いしている巨額なお金を国内産業の復興に回そう」というトランプ氏の呼びかけにありました。
 不思議なことに、自称「社会主義者」を名乗り、アメリカ国内の富裕層・特権階級を攻撃していたサンダース氏でさえ、このような呼びかけを予備選でおこなっていないのです。外交政策では「シリアのアサド大統領は早く去るべきだ」という軍産安保複合体の要求、政権転覆の政策をそのまま掲げていたのでした。
 ですから、トランプ氏が大統領になったときにおこなわれたことは、「トランプはプーチンの傀儡だ。ロシアが裏で密かに選挙介入したからこそトランプは大統領になれたのだ」という、トランプ氏への強力な攻撃でした。さらに。それに大手メディアも大々的に悪乗りすることになりました。
 アメリカが外国の選挙に介入したりクーデターや要人暗殺を企ててきた長い歴史をもっていることは、ウィリアム・ブルム『アメリカの国家犯罪国書』(作品社2003)に詳しいのですが、それを全く棚に上げて、ヒラリー女史の選挙敗北をロシアのせいにするというのは、まったく「天に唾する行為」と言うべきでしょう。「亀は自分の甲羅に似せて穴を掘る」と言い換えてもよいかもしれません。
 ところがトランプ氏は大統領になった途端に選挙時の公約をくつがえし、国家安全保障問題担当大統領補佐官として自らが任命したマイケル・フリン(元陸軍中将、元国防情報局DIA長官)を解任して、タカ派の人物と入れ替えてしまいました。フリン氏は、「ロシアと協調し、アサド政権と闘っているイスラム原理主義を一層すべきだ」と主張してきた人物ですから、このような人物を解任することは、トランプ大統領が裏からの圧力に屈したことを示す典型的事件でした。
 こうしてフリン解任を皮切りに、トランプ大統領は次々と自分の任命した補佐官や閣僚を解任し、シリア紛争を終結させるどころか、シリア政府の援助要請を受けてシリア内部で闘っているロシア軍やシリア政府軍をミサイル攻撃するまでに、姿勢を逆転させてしまいました。
 トランプ氏の公約だった「アメリカ第一主義」を逆転させて、元大統領オバマ氏がとっていたのと同じ政策=「外国への干渉・侵略」に乗りださせた裏の勢力は、「裏国家」「闇の政府」と呼ばれていますが、このような「裏の勢力」が存在すること、それがDeep Stateという名称で、公の場で論議されるようになったことは、アメリカの歴史上かつてないことでした。
 今までも大統領の候補者が「裏の勢力」によって秘密裏に決定され、それがお祭り騒ぎの大選挙戦で、「アメリカ史上初の黒人大統領」などといったかたちで「売り出されてきた」ことは、公然の秘密だったわけですが、それが最も露骨なかたちで暴露されたのは、クリントン女史が「アメリカ史上初の女性大統領」というかたちで売り出され、大手メディアが、こぞってヒラリー支持の報道を繰り広げたときでした。
 というのは、選挙戦が始まる以前から民主党幹部が大統領はヒラリー女史だと決めていたこと、予備選でもサンダースにたいする露骨な選挙妨害を裏で工作していたことが、ウィキリークスその他で暴露されたからです。しかも、トランプ氏が民主党だけでなく大手メディアからも総攻撃を受けたにもかかわらず大統領に当選したあとも、トランプ氏を大統領の座から引きずり下ろそうとする動きは止むことがありませんでした。
 もちろんトランプ氏の言動に問題がなかったわけではありません。それどころか大言壮語で、かつ矛盾する言動、間違った意見も少なくありませんでした。しかし「アメリカはこれまで外国に干渉しすぎてきた。これからは政権転覆などに手を出すのではなく国内再建に精力を集中する」という、氏の「アメリカ第一主義」という主張は、大筋では正しいものでした。ところが、それを許せない勢力がアメリカ国内に存在するのです。それがいわゆるDeerpState「裏国家」「闇の政府」です。
 しかし、このようなDeerpState「裏国家」「闇の政府」という名称と存在は、すでに述べたように、公の場で明らかにされ議論されることはありませんでした。ところは今では民主党の元下院議員であり元大統領候補として20004年の予備選でも善戦したデニス・クシニッチでさえ、DeepStateという言葉を使って今のアメリカの政治を鋭く批判するようになっています。
* 'Deep state' elements pushing for Syrian conflict – Dennis Kucinich tells Larry King
「闇の政府 'Deep state' がシリアの紛争を求めて、これを推進している」
https://on.rt.com/94a9
 クシニッチはラリー・キングのインタビューに応えて「イラク紛争をわざと長引かせているのは、ペンタゴン、CIA、国務省の連中だ。彼らは自分たちの考え方にしたがってトランプ大統領を動かしている。しかし彼らは国民によって選挙で選ばれたのではない。これは実に憂慮すべき事態ではないか」と語っています。
 クシニッチ氏は、ここで「DeepState」を「CIA、ペンタゴン、国務省の連中」として、彼らを名指しで非難しているのですが、「CIA、ペンタゴン、国務省の連中」を裏で動かしている真の勢力は「軍産複合体」「0.01%の超富裕層」ですから、もっと鋭く「DeepState」のなかみを分析し追求すべきでした。
 しかし、いずれにしても、この大統領選挙の過程とその後の進展で明らかになったことは、アメリカの大統領は民衆が選挙で選ぶものではなく裏で密かに誰を次期大統領にするかが決められていること、裏の勢力の意向に沿わない人物が選ばれた場合、その人物はDeep Stateの言いなりになるか、さもなければ「消される」運命にあるということです。消されるか。
 このことがアメリカ国民だけではなく世界中の心あるひとたちの目に、はっきりと見える形になったことは、アメリカ史上かつてなかったことでした。これは、トランプ氏が大統領選に立候補したことによってもたらされたもので、氏が勝利しなければ、アメリカの裏舞台がこれほど劇的に暴露されることは、たぶんなかったでしょう。これは実にトランプ氏の「大きな功績」であり、世界の「大転換」として私がこれを第一に挙げたいと思う所以です。


<註1> 元国防情報局長官マイケル・フリンについて櫻井ジャーナルは,2016年11月19日の時点で次のように書いていました。
「ドナルド・トランプはマイケル・フリン元DIA局長に対し、安全保障担当補佐官への就任を要請したとAPが伝えている。
 トランプはロシアとの関係修復を訴え、シリアではバシャール・アル・アサド体制の打倒ではなくアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)と戦うべきだと主張しているが、そうした判断はフリンのアドバイスに基づいている可能性が高い。
 そのフリンを重用できるなら、軍事的な緊張は緩和される可能性が高い。
 マイケル・フリン中将は退役後にアル・ジャジーラ[中東カタールの放送局]の番組へ出演、自分たちの任務は提出される情報の正確さをできるだけ高めることにあり、そうした情報に基づく政策の決定はバラク・オバマ大統領の役割だとしている。
 何度も書いていることだが、DIAは2012年8月に作成した文書の中でシリアにおける反乱の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・カイダ系武装集団)だと指摘、バラク・オバマ政権が支援している「穏健派」は存在していないとしていた。
 つまり、「穏健派」の支援とはサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・カイダ系武装集団)にほかならないということだ。
アル・カイダ系武装集団の主力はサラフ主義者(ワッハーブ派)やムスリム同胞団であり、アメリカ政府はアル・カイダ系武装集団を支援しているということになる。
DIAの報告書ではシリア東部にサラフ主義者の国ができる可能性も警告していたが、これはダーイッシュという形で現実になった。
 [フリン中将は、この報告をオバマ大統領に提出後しばらくして退役した。自分の警告が受け入れられなかったから自ら辞職したのか、余計な報告書をつくるなという理由で解任されたのかは不明]
トランプ政権へ入るとも噂されているルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長は選挙期間中、「ヒラリー・クリントンはISISを創設したメンバーだと考えることができる」と口にしていた。オバマ同様、確かにクリントンもダーイッシュを操る勢力に属していると言えるだろう。」

<註2> オバマ氏は「アメリカ史上初の黒人大統領」という宣伝文句で売り出されたのですが、この選挙戦についてチョムスキーは『アメリカンドリームの終わり』で次のように述べています。
「大統領選挙の直後に、オバマ大統領は広告産業からひとつの賞を獲得しました。二〇〇八年の市場広告最優秀賞というものでした。つまり、二〇〇八年の大統領選挙でもっとも良い宣伝活動を展開したというのです。
 そのことはこのアメリカでは報道されませんでしたが、国際的な商業紙では、経営幹部は幸福感に満ちて次のように言っていました。「われわれはこれまでずっと大統領候補者を売り出してきた。レーガン政権からずっと(練り歯磨きを売り出すのと同じように)大統領選挙という市場で、候補者を売り出してきた。オバマはそのなかでも最高の成果だった」
 普通わたしは、共和党の大統領候補であったサラ・ペイリンの意見に同調はしないのだけれど、彼女がオバマを、「ホープ(希望)とチェンジ(変化)という謳(うた)い文句だけを振りまく男」と呼んで揶揄(やゆ)したとき、彼女は正しかったのです。そもそもオバマは選挙で具体的なものをなにひとつ約束しませんでした。かれが振りまいたのは、ほとんどすべてが幻想で、具体的な提案に欠けるものだったからです。
 オバマが選挙運動の際に振りまいた言い回しをよく見てみれば、そのことがよくわかるはずです。かれの選挙演説のなかには、具体的な政策をめぐる論争はほとんど何もありませんでした。それには十分な理由がありました。政策にかんする一般民衆の世論は、二大政党の指導者や金融界の指導者の望んでいるものとは鋭く対立し、大きな溝があったからです。選挙運動が進めば進むほど、オバマの政策は選挙運動に資金を提供してくれる民間企業の利益に焦点を当てるものになっていました。そして民衆の要求はますます周辺部に追いやられてしまいました。」
 つまりオバマという人物は、最初からDeepStateによって選ばれ、「アメリカ史上初の黒人大統領」として選挙市場に売り出された人物だったのです。それにしてもオバマ氏の母親は白人なのですから、彼を「黒人」呼ぶのはいかにも変な話です。オバマ氏の血の半分は白人のものなのですから、氏をなぜ「白人」と呼んではいけないのでしょうか。ナチスがユダヤ人を扱ったときと同じように、黒人の血が一滴でも混じっていれば「黒人」であるというのは、偏見の極みです。この一般化されている偏見を逆用して選挙市場に売り出そうと工作した「裏国家」の手腕は実に見事よいうしかありません。

<註3> 今からちょうど50年前に(1968年4月4日)キング牧師が公権力によって暗殺されたこと、それがキング師の遺族によって民事裁判で明確に結論づけられたことを前回のブログ(2018/04/14) で紹介しました。
 キング師は、「黒人解放運動の指導者」という地位にとどまっていればおそらく殺されることはなかったでしょう。彼がDeep Stateの怒りにふれたのは、アメリカの外交政策に公然と反旗をひるがえし始めたからでした。その立場を明確に宣言したのが、暗殺のきっかり1年前、1967年4月4日にニューヨークのリバーサイド教会でおこなった演説「ベトナムを超えて」でした。
 この演説は、ハワード・ジン『肉声でつづる民衆のアメリカ史』下巻156-164頁に載っています。ふつうキング師の演説と言えば誰でも思い浮かべるのが、1963年8月28日にワシントンDCで25万人近くの集会参加者を前におこなった有名な演説「I HAVE A DREAM」ですが、内容的にはるかに重要なのは、この「ベトナムを超えて」という演説でした。
 キング師がアメリカの内政批判「公民権運動」にとどまっているかぎりは、DeepStateにとっては、まだ我慢が出来る存在でした。というのは「戦争は国家の健康法である」と信じ、戦争で国家を維持し財力を貯えてきたDeepState人たちにとっては、「アメリカの外交=戦争政策に口出しをする人物は許すべからざる人物であり生かしておけない」のです。このことは上記のキング一家がおこした裁判でも明確に確認されたことでした。
 トランプ氏も「アメリカ第一主義」を掲げ、「国家の再興」という内政問題に関わっているかぎりでは、あれほどひどい攻撃を受けることはなかったでしょう。しかしトランプ氏が踏み外したのは、アメリカの外交・戦争政策と痛烈に批判し、それを内政=国家の再興と結びつけたことでした。
 トランプ氏が選挙戦で、オバマ政権やヒラリー女史の戦争政策「シリアの政権転覆」を痛烈に批判し、ロシアとの協力・協調を訴えたことは、DeepStateの逆鱗に触れるものでした。これは、中国とロシアを包囲するという方針に真っ向から対立するものだからです。これは時の政府が窮地に陥ったときの恒例かつ最後の手段、すなわち「戦争は国家の健康法である」という方針に鎖をかけるような政策だからです。
 ちなみに、夭折の天才ランドルフ・ボーンによる「戦争は国家の健康法である」という論文も、『肉声でつづる民衆のアメリカ史』上巻、532-539頁に訳出されています。また本ブログでも過去3回にわたって、この論文をとりあげました。

*2017/05/30:国際教育:「戦争は国家の健康法である」その1
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-294.html
*2017/06/06:国際教育:「戦争は国家の健康法である」その2
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-295.html
*2017/06/14:国際教育:「戦争は国家の健康法である」その3
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-296.html



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