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ソフトバンクCEO「英語学習にうつつを抜かす暇があったら創造的思考力を磨くことに使え」―季刊誌 『IB』2018夏号インタビューへの反響

英語教育(20181009)、沖縄県知事選、玉城デニー、ソフトバンクCEO=宮川潤一、セミリンガル←→バイリンガル←→モノリンガル、カンピーナス大学=ブラジルの国立大学、英語教師三つの仕事三つの危険

『英語教育原論』

 沖縄県知事選における玉城デニー候補の勝利は実に快挙でした。自民党幹部や公明党・創価学会が本土から乗り込んでいって強烈な工作を展開すればするほど逆効果になったのですから、皮肉なことでした。
 他方で世界情勢です。DeepStateによるトランプ降ろしで、相変わらず混沌としているアメリカ情勢。ロシアのもつ高度な軍事力のため、アメリカやNATO諸国が手を出しかねているシリアのイドリブ情勢。
 これらについても書きたいことは山積しているのですが、これについても断念することにしました。というのは、季刊誌 IB (InfromationBank)2018夏季特集号のインタビューにたいする反響が(電話、手紙、メールというかたちで)次々と私にあてに届いているからです。
 私が本年5月19日に書き始めた連載「世界はいま『大転換』のとき」3部作のうち、第1-2部は書き終えたのですが、第3部がまだ残っています。しかしIBインタビューにたいする反響も、なかなか捨てがたいものが多く、それを紹介してから第3部に移りたいと思うようになりました。

 そこで今回のブログで紹介しようと思っているのは、私が岐阜大学教養部時代の教え子から届いたIB インタビューへ感想です。
 彼女は岐阜大学教育学部(社会科教育講座)を卒業して**市役所に就職しました。就職して最初の所属は、市の国際観光センターでした。
 岐阜県や愛知県ではブラジルからの移民が多かったことを反映して、その国際観光センターは、英語だけでなくポルトガル語や韓国語・中国語など多言語のニュースレターを、毎月、発行していました。
 市民に対する案内が英語一辺倒になりがちな国際都市や国立大学が多いなかで、このような市の対応は、当時としても(現在ですら)非常にユニークなものでした。**市の高い識見を示すものだったと思います。(岐阜大学のキャンパスも英語の案内標識だけです。)
 ですから、この職場は、卒業する前の1年間、ブラジルの国立大学=カンピーナス大学に留学していた彼女にとって、まさにうってつけの職場でした。
 留学するのであれば英語圏を目指す学生が多いにもかかわらず、カンピーナス大学(岐阜大学との交流提携校のひとつ)を選んだというのも、彼女の目の鋭さを示すものだったと思います。
 先述のとおり私は当時、教養部に所属していて、共通教育の英語しか教えていませんでした。しかし彼女は専門学部に異動したあとも私の研究室によく出かけてきました。それでも「今度、ブラジルへ留学することになりました」という話を聞かされたときは、さすがに驚きました。
 文科省は、ポルトガル語を公用語とするブラジルからの移民が激増している最中に小学校に英語教育を導入しようとしました。このような英語教育政策にたいして、急遽、拙著『英語教育原論:英語教師三つの仕事三つの危険』を著して抗議の意志を表明したのは、私が教育学部に異動したあとでしたから、今から考えると、当時の彼女は、はるかに先を見通していたのだと思います。
 そんな彼女が季刊誌 IB (InfromationBank)2018夏季特集号を読んで送ってくれた手紙でしたから、その感想も相変わらず鋭いものでした。ブラジルに移民した日本人がたどった運命と、英語漬けになっていく日本の現状を重ね合わせた考察や、ソフトバンクのCEO宮川潤一氏がたどった軌跡の紹介は、文科省の役人や県の教育長にぜひ読ませたいと思いました。

寺島先生
 過日は、先生の記事が掲載された雑誌を送っていただき、誠にありがとうございました。
 先生のますますのご活躍をうれしく感じながら、また、30年前の学生時代に戻ったかのような感覚を持って、懐かしく、一気に読ませていただきました。
 私は、今、**市教育委員会文化スポーツ課に在籍しており、市の生涯学習事業、スポーツ事業を展開しています。
 私が担当している事業のひとつに、様々な分野の専門家を招いて実施している生涯学習講座「市民総合大学」というものがあります。そこには1000人の市民が受講しており、驚くことに8割近くが70歳以上で、「学びへの意識の高さこそが日本人らしさだ」と感じる今日この頃です。
 一方、学びが喜びだと感じられるようになるには、知識の元となる理解力や読解力は欠かせないと考えます。ここに通う受講者は、今までの人生において知識の元をしっかり培い、持っていらっしゃるように思います。
 しかし昨今の日本の義務教育では、母国語で深く論理的に思考することよりも、英語の低年齢化に重きが置かれ、母国語が確立する前に英語を学ぶことにシフトされつつあるのですね。日本の英語教育の行く末を心配する寺島先生の持論に、共感することしきりです。
 1990年代に日本の労働力として受け入れた日系3世の南米人たちは、30年が経ち、日本で子供を産み育て、言葉の壁がなくてもなんとか生活できる環境を手に入れました。今、世代は、その子供や孫(金)日系4世~5世)に移りつつあります。
 しかし、両親が生活に追われ、教育の機会を失われた子どもたちは、母国語も半分、日本語も半分くらいしか分からない、教養がなく、深い思考が身についておらず、就職もできないという状況で、セミリンガルな世代を作り出してしまいました。
 日本人も英語教育の視点を一歩まちがえると、バイリンガルではなく、中途半端なセミリンガルな子供たちをたくさんつくってしまうのではないかと危倶してしまいます。
 また、過重な教育方針のシフトが、教育を与える側の先生の負担になってしまうのも、大きな問題です。日本人には日本人の思考に合った英語教育があると思います。大事なのは、外国語を学ぶ過程で、違った考え方や文化、外国的な思考法を学ぶことではないでしょうか。
 **出身で一番ビジネスにおいて成功された方に、ソフトバンクのCEO宮川潤一さんという方がいらっしゃいます。この方は、仏教系大学(京都の花園大学仏教学科)を出てITの道を選ばれたので、英語は全くできないそうですが、孫会長の腹心の部下として、世界中でビジネスを展開されています。
 講演会でその方が、「今の私には英語を学ぶ時間はもったいない。言葉のバリアはAIや通訳者が解決してくれる。何億円の決裁案件な翻訳機能で理解できるし、支障がない。創造的に考える力や、プログラミング的思考を磨いた人材が我社に欲しい。」とおっしゃっていました。なるほどと思います。
 ついつい先生の記事に感銘を受け、余分なことまで書いてしまいました。
 寺島先生、今後も大学の英語教育の問題も含め、日本の教育全般に警鐘を鳴らし続けてください。
 また、先月、市の広報で、市ゆかりのまぼろしの俳人「鈴木しづ子」の特集を執筆しましたので、お読みください。
 先生の今後のご活躍、心より、ご祈念申し上げますとともに、残暑厳しい折、お体ご自愛ください。
 草々

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狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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