新刊『寺島メソッド「日本語教室」レポートの作文技術』の書評
総合文化(2019/06/20) 「最も優れた疑問」を見つけるというのは、「解決可能な最も困難な疑問」を見つけるということ

私の主宰する国際教育総合文化研究所の研究員から強く催促されていた、拙著『寺島メソッド「日本語教室」レポートの作文技術』(あすなろ社)が、やっと6月15日付けで発売になりました。
この拙著に対して、さっそく6月16日付けで、次のような、実体験に基づく素敵な書評がアマゾンに載っていました。感謝感謝でした。
また長周新聞も書評を載せてくれましたが、驚いたことに、その書評が載ったのは発売日3日前の6月12日号でした。驚愕の一語でした。
しかも私の主張したかったことを極めて的確に要約してあり、これまた感謝感謝でした。
これもAmazon BookReviewの後に載せておきますので、時間があるときに読んでいただければ幸いです。
「知の世界」へ誘う作文技術の指南書―「引用」「説明」から「疑問」へ
Amazon BookReview 2019年6月16日
本書は著者が教育学部で教えていたときのレポート指導の方法を公開したものである。私自身も実際に院生(当時50歳)として氏の指導を受けたことがあるのでその時のことを懐かしく思い出しながら読んだ。
氏が授業開きで配布する手引きには「課題図書を読んで各章毎に印象に残ったところを「引用」し、その「理由」を書き、最後に最低ひとつの「疑問」を付け加える」(p.9-10)とあるのだが、私は院生だったので「引用」「理由」ではなく各章毎に「要約」を書いてから「疑問」を書くという指導だった。
ところが「感想」ならば何とか書けるのだが、この「疑問を見つける」というのが最初のうちはなかなかできなかった。今回、本書で次の一節を読んでその理由が分かったような気がした。「教師から教えられた知識を丸暗記して試験で吐き出すのが従来の勉強でした。…世界最強の大国が嘘をつきながら戦争を始める時代にあっては与えられた知識・情報を鵜呑みにするのではなく「立ち止まって考える力」が不可欠です」(pp.11-12) つまり、当時の私には情報を批判的に読み解く力が付いていなかったのである。受験勉強で染みついた丸暗記の後遺症は30年後も私の頭の中に残っていたのだ。
本書には「疑問を見つける」ことに関しては次のような指摘もあり印象に残った。「疑問の理由を説明できることそのものが高度な学力を持っている証拠」「「最も優れた疑問」を見つけるというのは、「解決可能な最も困難な疑問」を見つけるということなのです。実はノーベル賞受賞者というのは、実はこのような疑問をつくり出した人なのです」(pp.12-13)。そういった疑問を解決したときにはじめて研究者は「驚き」や「発見」を感じて、それは「価値ある研究」となるのだろう。
氏はまたその視点から英語教育学会の論文についても次のように述べている。「結論が初めから予想されているようなことを、論文らしく見せるために統計処理したとしか思うようなものが少なくない。つまりは本当に何かを知りたいからおこなった調査というよりも、何か論文を書かなければいけないからデーターを集めただけの論文である」。私自身が日頃から感じていた違和感の正体がズバリと指摘されていて痛快に感じたと同時に心に刻むべき自らの戒めとしたいと思った。
また第Ⅰ部は氏の大学での実践記録として読むこともできる。昨今は最初からグループ活動を前提とした授業がデザインされることが多いが、本書には次のような記述がある。「教師から与えられた課題図書で浮かんだ疑問をレポートに書き、それらの疑問に対して教師が答えていくというスタイルでは物足りなくなってきた。そこでその疑問をグループで出し合い発表するというスタイルにしようと思った」(pp.60-61、投稿者による要約)。
その様子は第Ⅱ部に紹介されている学生のレポートで詳しく知ることができる。そこを読むと、書き手の「疑問が疑問を生んでいく」過程が読み手に伝わってきてどんどん引き込まれる。第2章から読んでから第1章を読むというのもこの本の読み方としてあっていいと思ったほどである。いずれにしても本書が多くの教師の方に読まれ、学生を本当に価値のある「知の世界」へ誘う手引き書として活用してほしいと思った。
長周新聞の書評


私の主宰する国際教育総合文化研究所の研究員から強く催促されていた、拙著『寺島メソッド「日本語教室」レポートの作文技術』(あすなろ社)が、やっと6月15日付けで発売になりました。
この拙著に対して、さっそく6月16日付けで、次のような、実体験に基づく素敵な書評がアマゾンに載っていました。感謝感謝でした。
また長周新聞も書評を載せてくれましたが、驚いたことに、その書評が載ったのは発売日3日前の6月12日号でした。驚愕の一語でした。
しかも私の主張したかったことを極めて的確に要約してあり、これまた感謝感謝でした。
これもAmazon BookReviewの後に載せておきますので、時間があるときに読んでいただければ幸いです。
「知の世界」へ誘う作文技術の指南書―「引用」「説明」から「疑問」へ
Amazon BookReview 2019年6月16日
本書は著者が教育学部で教えていたときのレポート指導の方法を公開したものである。私自身も実際に院生(当時50歳)として氏の指導を受けたことがあるのでその時のことを懐かしく思い出しながら読んだ。
氏が授業開きで配布する手引きには「課題図書を読んで各章毎に印象に残ったところを「引用」し、その「理由」を書き、最後に最低ひとつの「疑問」を付け加える」(p.9-10)とあるのだが、私は院生だったので「引用」「理由」ではなく各章毎に「要約」を書いてから「疑問」を書くという指導だった。
ところが「感想」ならば何とか書けるのだが、この「疑問を見つける」というのが最初のうちはなかなかできなかった。今回、本書で次の一節を読んでその理由が分かったような気がした。「教師から教えられた知識を丸暗記して試験で吐き出すのが従来の勉強でした。…世界最強の大国が嘘をつきながら戦争を始める時代にあっては与えられた知識・情報を鵜呑みにするのではなく「立ち止まって考える力」が不可欠です」(pp.11-12) つまり、当時の私には情報を批判的に読み解く力が付いていなかったのである。受験勉強で染みついた丸暗記の後遺症は30年後も私の頭の中に残っていたのだ。
本書には「疑問を見つける」ことに関しては次のような指摘もあり印象に残った。「疑問の理由を説明できることそのものが高度な学力を持っている証拠」「「最も優れた疑問」を見つけるというのは、「解決可能な最も困難な疑問」を見つけるということなのです。実はノーベル賞受賞者というのは、実はこのような疑問をつくり出した人なのです」(pp.12-13)。そういった疑問を解決したときにはじめて研究者は「驚き」や「発見」を感じて、それは「価値ある研究」となるのだろう。
氏はまたその視点から英語教育学会の論文についても次のように述べている。「結論が初めから予想されているようなことを、論文らしく見せるために統計処理したとしか思うようなものが少なくない。つまりは本当に何かを知りたいからおこなった調査というよりも、何か論文を書かなければいけないからデーターを集めただけの論文である」。私自身が日頃から感じていた違和感の正体がズバリと指摘されていて痛快に感じたと同時に心に刻むべき自らの戒めとしたいと思った。
また第Ⅰ部は氏の大学での実践記録として読むこともできる。昨今は最初からグループ活動を前提とした授業がデザインされることが多いが、本書には次のような記述がある。「教師から与えられた課題図書で浮かんだ疑問をレポートに書き、それらの疑問に対して教師が答えていくというスタイルでは物足りなくなってきた。そこでその疑問をグループで出し合い発表するというスタイルにしようと思った」(pp.60-61、投稿者による要約)。
その様子は第Ⅱ部に紹介されている学生のレポートで詳しく知ることができる。そこを読むと、書き手の「疑問が疑問を生んでいく」過程が読み手に伝わってきてどんどん引き込まれる。第2章から読んでから第1章を読むというのもこの本の読み方としてあっていいと思ったほどである。いずれにしても本書が多くの教師の方に読まれ、学生を本当に価値のある「知の世界」へ誘う手引き書として活用してほしいと思った。
長周新聞の書評

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