福島原発事故(5)― 子供・生徒の「生命と生活」を守るために

私が主催する英語教育研究会の会員と福島原発事故について電話で話していたら、「私はまさに風下地区の隣県に住んでいますが、多くの日本人と同じように、半ば“なるようになる”というくらいの気持ちで、普段と変わらぬ生活を送っています。部活も外で普通に毎日行われていますし、自分の子どもも少年野球に向かっています」という声が聞こえてきて、これを聞いたときには、「そんなことで良いのか」と思わず怒り口調になってしまいました。

というのは、彼は教師として「生徒の命と生活を守る」という責任・義務がありますし、親としても「子供の命と生活を守る」という責任・義務があります。これは英語教師として「生徒にと英語力・ことばの力を育てる」という責任や義務以前に、人間として果さなければならない責任・義務だと思っているからです。なぜなら福島原発事故は、福島県の一部を住めない地にするだけではなく、その周辺一帯(場合によっては日本の大半)をも生活危険地域に変えつつあるからです。

しかし、研究会の古株である彼ですら上記のような認識では、これは大変な事態だと思うようになりました。というのは、震災や津波は亡くなられた方の多さを考えれば「未曾有の大災害」であったことは間違いないのですが、原発事故は全くそれとはレベルを超えた深刻さを持っているからです。それで昨日は、翻訳の仕事を丸1日、放棄して、HP「教育資料」に「福島原発事故の資料一覧」を載せました。

http://www42.tok2.com/home/ieas/educationindex.html

彼が普通の英語教師なら、中野好夫氏の言う「英語バカ」がまたバカなことを言っていると済ますことができますが、拙著『英語教育が亡びるとき』を読んでいるはずの、しかも研究会の古株である彼が、「部活も外で普通に毎日行われていますし、自分の子どもも少年野球に向かっています」と言っているようでは、これは本当に深刻な事態だと思うようになったからです。

上記の「福島原発事故資料集」を見ただけでは、「どこを、どう読めばよいか」が分からないかも知れませんが、当面は、目についた項目、興味ある資料から読んだり見たりしていただければ有り難いと思います。詳しくは時間を見つけてブログに解説を連載していくつもりです。今日は時間がありませんので、当面は「お知らせ」だけで失礼させていただきます。
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<註> 上記で彼は、「私はまさに風下地区の隣県に住んでいますが…」と書いていますが、これは、米国ネバダの核実験のとき風下地区の人々に多くの病気が発生したことを指しています(拙著『国際理解の歩き方』pp.96-109)。

なお、庶民は毎日が忙しくて映像資料を見ている暇をゆっくり取れないのが現実です。そんなひとは、HP「教育資料」の下記だけでも見てください。放射能が何をもたらすかに恐怖を覚えるはずです(見るとき、"slideshow" にすると便利です)。

写真集「チェルノブイリの子どもたち」
http://www.paulfuscophoto.com/#mi=2&pt=1&pi=10000&s=0&p=1&a=0&at=0

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ところで、事態がどれだけ深刻化は、DemocracyNow!の下記ニュースからも推測されるはずです。

日本の核の大惨事「チェルノブイリと同等ではなく、はるかにひどい」
Nuclear Catastrophe in Japan “Not Equal to Chernobyl, But Way Worse”(2011/4/12(火)

日本は、国内で起きている放射線事故の国際評価尺度を、レベル5から、1986年のチェルノブイリ原発事故と並ぶ最高レベルのレベル7に引き上げた。東京から、グリーンピース・ドイツの気候変動とエネルギー部部長で、日本の放射線監視フィールドチームの一員であるトーマス・ブロイエルに最新情報を聞く。彼は、損傷した福島第一原発は、チェルノブイリとは違って人口密集地域にあることに留意している。「我々は日本政府に対し、半径20キロの避難区域圏外にも放射能レベルが非常に高い多くの市町村があり、住民、特に、放射能の影響を受けやすい子供と妊婦は直ちに避難する必要があると警告した」とブロイエルは言っている。
http://democracynow.jp/dailynews/2011-04-12

Japan has raised the severity rating of its nuclear crisis from 5 to 7, the highest level, matching the 1986 Chernobyl nuclear disaster. We go to Tokyo for an update from Thomas Breuer, head of the Climate and Energy Unit for Greenpeace Germany and part of a field team of radiation monitors in Japan. He notes that unlike Chernobyl, the damaged Fukushima Daiichi nuclear power plant is in a densely populated area. “We warned the government that there are a lot of cities and villages outside the 20-kilometers evacuation zone where the radiation levels are so high that people need urgently to be evacuated, especially children and pregnant women, because they are the most vulnerable part of the population to radiation,” says Breuer.
(さらに詳しいことは下記を参照)
http://www.democracynow.org/2011/4/12/nuclear_catastrophe_in_japan_not_equal

専門家の見解:日本政府は放射線量の低下を主張するが福島は「作動中の時限爆弾」
Expert: Despite Japanese Gov't Claims of Decreasing Radiation, Fukushima a "Ticking Time Bomb"(2011/4/12(火)

今回の原子力事故の評価レベルを自ら最大限に引き上げながらも、日本政府は破損が深刻な福島第一原発の周辺地帯の放射線レベルと食物の安全性に関する恐怖を鎮めようと必死だ。「原子炉からは放射線が漏れ続けている。状況はまったく安定していない」とニューヨーク市立大学(CUNY)とそのシティ・カレッジ(CCNY)で教鞭をとる理論物理学者のミチオ・カク博士は言う。「最も些細な異状でも完全なメルトダウン(炉心溶解)を引き起こす恐れがある。そうなればチェルノブイリの比ではない。」
http://democracynow.jp/dailynews/2011-04-13

The Japanese government is trying to calm fears about radiation levels and food safety in the region around the heavily damaged Fukushima Daiichi nuclear power facility, even as it has raised the severity rating of the crisis to the highest possible level. "Radiation is continuing to leak out of the reactors. The situation is not stable at all," says Dr. Michio Kaku, professor of theoretical physics at the City University of New York and the City College of New York. "The slightest disturbance could set off a full-scale meltdown at three nuclear power stations, far beyond what we saw at Chernobyl."
(さらに詳しいことは下記を参照)
http://www.democracynow.org/2011/4/13/expert_despite_japanese_govt_claims_of

なお二番目の記事に出てくるミチオ・カク博士は、日系アメリカ人の理論物理学者で、拙著『国際理解の歩き方』でも私の訪問記を紹介した原爆研究開発都市ロス・アラモス、そこに来て「水爆研究をしないか」と誘われたくらいに優秀な研究者でした。
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<註> 映像資料を茶の間で見るには、無線LANが付いたノート型パソコンを買ってください。中古のものであれば安く買えるはずです。これに小さな安いスピーカを付ければ、十分に茶の間で食事をしながら映像資料が視聴できます。

ただし「光ケーブル」を使用していないと、速度が遅くてイライラするかも知れませんので、家計が許す限り、光ケーブルに変えることをお勧めします。またノート型に中古のモニター画面を付ければ、もっと見やすくなります。

しかし、いずれにしても、茶の間で意味の無いお笑い番組を見ているくらいなら、食事をしながら50~60分の映像資料を見た方が、「命と生活を守る」ことにお金と時間をかけたほうが良いと思うのですが、いかがでしょうか。

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それにしても心配なのは、静岡県の浜岡原発です。先日の日経新聞(4月13日)によれば、「秋田から岐阜にかけて、いつ地震が起きても不思議ではない状況にある」と報じているからです。

もし静岡県沖で福島と同じような地震が起きれば、名古屋だけでなく東京や大阪も含む日本の心臓部が壊滅状態になることは、次の地図で明らかだからです。

地図「浜岡原発がメルトダウンしたときの長期避難区域」石橋克彦(1997:720)
http://www42.tok2.com/home/ieas/hamaoka_meltdown.pdf

ですから一刻も早く浜岡原発だけでも停止することが求められています。国の決断力が問われているときではないでしょうか。その意味で先のブログでも書きましたが、改めて次のような集会があることを紹介して末尾とします。

チェルノブイリ原発事故から25年、
くり返すな!原発震災 つくろう!脱原発社会4・24集会
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1074



<註> 地図「浜岡原発がメルトダウンしたときの長期避難区域」の詳しい説明については、HP資料「福島原発事故」の石橋論文「原発震災-破滅を避けるために」を御覧ください。

また、映像資料をゆっくり見ている暇がないが「書籍なら通勤途上の電車の中でも読めるので、良い本があれば紹介して欲しい」という方には下記の本をおすすめしたいと思います。

広瀬隆『原子炉、時限爆弾』ダイヤモンド社、2010
広瀬隆&広河隆一『悲劇が進む―四番目の恐怖』新版、講談社文庫、1991

この詳しい紹介については今後のブログに譲りたいと思いますが、文庫版の方は、スリーマイル島、チェルノブイリ、イギリス再処理工場、イスラエル核基地の事例が、広河隆一さんのカラー写真で豊富に盛り込まれています。発行は1991年ですが、いま読んでも全く古さを感じさせません。

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