「生徒はコロナではなく自殺で死んでいる!」 学力と学級定数の国際比較、ミシガン州フリント市の小学3年生「読解力は11%未満」

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教育原理(2021/03/02) 学級規模、学校設置基準、個別学習と「最近接領域の理論」、『アメリカンドリームの終わり』、「英語読みのアメリカ知らず」、OECD「国際成人力調査」

図表 OECD2019 国際比較「1学級あたりの子どもの数」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93966.php


金田亮(仮名)さん
 先日のズームによるインタビュー予行演習は、予想外に疲れました。やはり私は授業と同じで、オンラインではなく対面での方が良いと思いました。
 (それにしても金田さんが13:00~16:30のズーム・インタビューでも、ほとんど疲れが見えず、そのお元気さに驚きました。)
 さて「コロナ禍における教育」という観点で何かデータが欲しいということでしたので、当面、以下のものを思いつきましたので、列挙または添付でお送りします。


1)少子化で子どもは減っているのに、クラスは相変わらず「密」な日本の学校
Newsweek 2020年7月15日 舞田敏彦
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93966.php
 コロナ渦で長らく休校していた学校が再開されている。「密」を避けるため分散登校をさせている自治体が多いが、1学級当たりの子どもの数があまりに多いと、その効果も限定的になる。これは、教育行政の姿勢に関わることだ。
 日本の教室の平均面積は64平方メートル(8メートル四方)と聞く。2メートルの間隔を開けるとなると、1学級の子ども数の限度は20人だが、現状はこれをはるかに超えている(地域差はあるが)。子どもの命を守るためにも、少人数学級を実現するべきだ。
 2016年のデータだが、日本は2.87%でOECD加盟国の中で最も低い。毎年のことなので、もはや驚くにも値しない。最近の日本のGDPは550兆円ほどなので、2.87%をOECD平均の4.04%に高めることで、6.4兆円もの財源を追加で捻出できる。
 これだけあれば、教員数をかなり増やして、教室の「密」の緩和にもなる。いじめの解消にもつながるだろう。(添付図表も参照)。


2)1クラスの生徒の人数、海外の平均は日本の約半数!

YahooNews 2020/11/17(火)
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb1a5399504901ff7a62facfb44fa71c8a2d5110
 OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均(2017年)は、小学校で2 1・3人、中学校で2 2・9人。
 コロナ禍での学校生活で、日本特有の問題に1学級の人数が多いということがありました。教室内での子供たちの密集度が高いという問題です。日本の学校は、基本的には「40人学級」。教室内でソーシャルディスタンスをとることが難しく、緊急事態宣言の解除直後は、分散登校を余儀なくされました。
 日本の学級規模の大きさは、教育内容の変化や今の子供たちの実態に照らし合わせると、かなり無理があると指摘され、長い間の課題となっています。
 諸外国に目を向ければ、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均(2017年)は、小学校で2 1・3人、中学校で2 2・9人。1学級の人数の多さからみても、日本の教育は、集団教育体制であることがわかります。
 1学級の人数は、「学校設置基準」により、小学校から高校まで「40人以下」とされています。さらに、小・中学校は、「義務標準法」で、小学1年生のみ35人、それ以外の学年は40人と定められています。
 実態としてはどうなっているかと言えば、小1であれば、36人以上、それ以外の学年であれば、41人以上になると、2学級にすることができるのです。一方、「教育上支障がないのであれば」41人以上になっても、1学級のままであってもよいとされています。
 公立学校の設置者、つまり運営の主体は、小・中学校は市区町村、高校は都道府県等となるため、最終的にはそれぞれの設置者が「児童・生徒の実態に応じ柔軟に編制」するとされています。
 そのため40人満杯で1学級としているところもあれば、20人・21人の学級、30人・26人の学級、あるいは中学以上になると、45人学級などが存在することになるのです。小1だけ、その基準が35人となっているのは、いわゆる「小1プロブレム」に対応するためです。


3)自殺、新型コロナよりも多く失われた命
Yahooニュース、2020/11/21
https://news.yahoo.co.jp/articles/468823530bb795058b5d12e78a29eb6889f409c1
 「10月、自殺によってコロナの10か月間よりも多くの日本の命が奪われる」と衝撃的な見出しが躍ったのは、「CBS NEWS」だ。
 日本における自殺者の数が多いのは今に始まったことではない。というか、日々の「人身事故」などが当たり前になりすぎて、我々の感覚が麻痺しているという面もあるだろう。
 しかし、そんな「自殺大国」でも、コロナショック下での自殺者数の増加は海外メディアにとって衝撃的だったようだ。
 「新型コロナウイルス感染症そのものよりも、はるかに多くの日本人が自殺によって亡くなっている。これはパンデミックの経済、社会的影響が絡んでいると思われる。
 全国の死者が2000人以下と、日本はコロナの流行に対して他国よりうまく対応した一方、警察庁の仮統計によれば10月だけで自殺者数は2153にも昇っている。これで上昇するのは4か月連続だ。
 現在日本では、今年に自ら命を奪った人の数は1万7000人以上にも昇る。10月の自殺者数は例年より600人多く、女性の自殺は全体の約3割と80%以上上昇している」
 特に注目したいのは、女性や子どもの自殺が増えているという点だ。
 「主に育児を担ってきた女性は、パンデミックによる失業や不安の矢面に立たされている。また、彼女たちはよりDV被害の危険性に晒されており、相談所によれば世界各国と同じく日本でも状況は悪化している。こちらも上昇している」
 コロナの疲弊でメンタルヘルスが悪化
 新型コロナウイルスによる自殺者は世界中で増えているが、もとより高い自殺者に悩まされていた日本の現状は、まさに桁違いなのだ。
 「Bloomberg」も、「日本の自殺者急増が、コロナによるメンタルヘルスの死者数を示す」と、この問題を取り上げている。暗澹とした気持ちにさせられるのは、「一部の層」が特に被害を受けているという事実だ。


4)子どもの自殺、過去最多479人 コロナ禍、学習格差や人間関係の悩み増え
中日新聞 2021年2月19日 (中沢佳子)
https://www.chunichi.co.jp/article/204558
 昨年、自ら命を絶った小中高校生が四百七十九人いたことが、文部科学省の有識者会議で報告された。前年より41・3%増で、過去最多。
 コロナ禍による社会不安に加え、昨年春の一斉休校を受け、外出自粛や長時間の授業を強いられるなど、さまざまな影響を受けた子どもたち。負の連鎖をどう断ったらいいのか。 「コロナ禍が関わっているはずだが、何が起きているのか掘り下げなくては」。
 統計のある一九八〇年以降、最も多い自殺者に、文科省児童生徒課の鈴木慰人(やすひと)・生徒指導室長は語る。 厚生労働省などの統計をもとに文科省がまとめた資料では、自殺した子は前年より百四十人増。目立つのは、学校が再開した六月と短縮夏休み明けの八月で、いずれも前年同月の二倍超。原因で最も多いのが「進路の悩み」(五十五人)で、「学業不振」(五十二人)「親子関係の不和」(四十二人)と続く。


5)「感染で亡くなった人はいないのに、なぜ」子どもの自殺大幅増加 コロナ禍で何が
NHK 2020年12月23日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201223/k10012780511000.html
「自分なんて生きていてもしかたない」「死にたい」「消えたい」
 子どもたちから相談機関に寄せられている、多くの叫び。ことし、子どもの自殺が大幅に増えています。4月以降で、すでに300人以上にのぼり、コロナによる社会変化が背景にあると指摘されます。
 コロナ感染による10代以下の国内の死者は、現在までにゼロ(12月23日時点)。「感染で亡くなった人はいないのに、なぜ」、ネット上にはそんな声もあがります。いったい子どもたちに何が起きているのか。そして大人は何ができるのか。取材しました。
去年から3割も増加
 厚生労働省の発表によると、11月に、全国で自殺した小中高校生は、合わせて48人。去年11月の26人から2倍近くに増えました。
 自殺した人が前の年を上回るのは6か月連続です。4月から11月までの期間では、329人と、去年の同じ時期より73人、3割近く多くなっています。
 状況は明らかに深刻になっていますが、コロナの影響と言われても、具体的に何がどう作用しているのか、わかるようでわかりません。実際、何が起きているのか。
 (以下、略)


6)日本人の真の学力を知らない文科省、アメリカンドリームが終わったことを知らない研究者

http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-306.html
<註>以下は、私のブログ「百々峰だより」からの引用です。

 しかし新著『アメリカンドリームの終わり』で「チョムスキーは、「富と権力を集中させる10の原理」をあげ、その「原理2、若者を教化洗脳する」で、自国アメリカの教育を次のように述べているのです。

 最近の公教育は、教育を技術訓練におとしめることに力を注いでいます。こうして、子どもたちの創造性や独立心を奪うわけです。これはたんに生徒・学生だけではなく、教師の創造性や独立心さえも奪います。それが「テストのための教育」です。
 具体的には、ブッシュ大統領の「落ちこぼれゼロ法案」、オバマ大統領の「トップを目指して競争せよ法案」です。わたしの考えでは、これらの政策はすべて教化・洗脳と支配・統制のための手段と見なされるべきでしょう。
 ・・・チャータースクールという最近流行(はや)りの制度も、表向きの看板とは裏腹に、じつは公教育を破壊しようとする全く見え透いた政策であることは、ちょっと調べればすぐわかることです。
 チャータースクールは、国民の税金を民間企業に流し込もうとするひとつの政策であり、それは従来の公立学校制度という体制を土台から破壊するものです。かれらはチャータースクールの利点をさまざまに並べ立てていますが、そのことを証拠立てるものは何ひとつありません。ところが、今やアメリカ全土でチャータースクールが広がっているのです。これは公的教育機関の破壊に他なりません。
(55-56頁)

ところが冒頭で紹介した愛知教育大学「第29回アメリカ教育学会」は、このようなアメリカの実態を全く知らないのか、「教師教育の先進国アメリカから学ぶ」という触れ込みで、3人のアメリカ研究者が発表しそれを文科省の教員養成室が総括をするシンポジウムを開くというのですから、恐れ入ります。
 私の言う「英語読みのアメリカ知らず」の典型例ではないでしょうか。その証拠に、チョムスキーは前掲書の「原理5、連帯と団結への攻撃」で、アメリカの教育荒廃について次のようにも述べています。

 たとえば、ヨーロッパ、日本、中国に旅行してご覧なさい。そしてアメリカ合州国に戻ってきたとき、わたしたちの目に真っ先に飛び込んでくるのは、この国が崩壊してバラバラになりつつあるということです。
 まるで発展途上国に戻ってきたかのような感じに襲われます。
 道路や橋や港などの社会的基盤は崩壊しています。完全に破産状態です。教育制度も裁断機によって切り刻まれた紙くずのようになっています。何も機能していないのです。これは信じがたいほどの人的資源の無駄遣(むだづか)いです。
 しかし経営者の観点から見れば、このような恐ろしい現実を座視させることは、「財政赤字」を宣伝するという意味で、非常に効果をもっているわけです。それがいまアメリカに起きていることなのです。(139-140頁、下線は寺島)

 私は拙著『英語で大学が亡びるとき』(明石書店2015)第3章第2節「アメリカの大学は留学に値するのか」で、アメリカ教育の荒廃ぶりを詳説しました。このことを誰の目にも端的かつ歴然と示したものが「OECDの成人力調査」でした。


OECD成人力検査(16~65歳)亡びるとき 1046



7)OECDも激賞する日本人の底力――本当にITを使った「問題解決能力」は「平均並み」だったのか
拙著『英語で大学が亡びるとき』270-273頁

<註> 
 OECDの世界学力調査「成人力」で日本は「読解力」「数学力」はトップだったのにITを使った「問題解決能力」は「平均並み」だったということの分析をしました。
 そこでは公教育でIT機器を使ったことのない中高年層のほうが高い学力を示し、むしろ小さい頃からIT機器を使い慣れているはずの若年層が平均以下で、それが平均点を引き下げたことを詳説しました。
 詳しくは上記の該当ページを読んでいただきたいのですが、そこでは「問題解決能力」と「国語力」「数学力」との関係および「個別指導と最近接領域の理論」についても言及してあります。ぜひ再読していただければ有り難いと思います。
 そうすれば「iPad後進国」と言われても何らひるむ必要のないことが分かっていただけるものと思います。なおOECDの世界学力調査「成人力」のグラフは264頁に載っていますが、6)で紹介したブログにも載せてあります。


8)ミシガン州フリント市の小学3年生の「読解力」が約42%から11%未満に急落
* “Environmental Racism” in America: A Public Health Crisis
https://www.globalresearch.ca/environmental-racism-public-health-crisis/5738542
<註> 以下は、この記事の冒頭部の抄訳です。これを読んでいただければ、アメリカでは「iPadの活用能力」どころか「読解力」ですら、ままならないことが分かっていただけると思います。なにしろフリント市では「読解能力」のある生徒が42%しかいなかったのに、それが11%に急落したというのですから。

 先月、1年にわたる調査の後、7年前に国に衝撃を与えた環境災害であるフリント水危機における彼らの役割について、元ミシガン州知事のリック・スナイダーと他の8人の役人が起訴されました。
 フリントでは、市内の飲料水中の非常に高レベルの鉛が、肺炎の一種であるレジオネラ症の地域全体での発生を含む、広範囲にわたる深刻な健康への影響を及ぼしました。フリントの子供たちは、歯の喪失など、深刻で永続的な健康問題を経験しました。
 州が実施した調査によると、2014年から2017年にかけて、3年生の読解力のある割合が約42%から11%未満に急落しました。鉛は強力な神経毒であり、幼児の知能指数を低下させる可能性があります。


9)ミシガン州では読解力をもった3年生は70%だけだった!?
* Did Flint’s Water Crisis Damage Kids’ Brains?
https://newrepublic.com/article/147066/flints-water-crisis-damage-kids-brains
<註> 以下は、関連記事の冒頭の抄訳です。これを読んでいただければ、アメリカでは「iPadの活用能力」どころか「読解力」ですらままならないことが、もっと分かっていただけると思います。何しろこの記事では、ミシガン州全体でも「識字率」「読解能力」のある生徒は70%だけだったというのですから。

 デトロイト・フリー・プレスのコラムニスト、ロシェル・ライリー氏は最近、鉛に汚染されたミシガン州フリント市の子供たちについての驚くべき事実に気づいた。2014年に水の危機が始まって以来、彼らはますます読書が苦手になっているのだ。
 州政府の報告書によると、2014年から2017年までの間に、同市の小学3年生の読書能力は41.8パーセントから10.7パーセントに低下した。"これは、フリント市の水道危機の際に鉛中毒水によって生活に影響を受けた子供たちの中で、小学3年生の読解力が4分の3近く低下したことを意味します。"と書いています。

 この低下には他の要因も関係していた。2015年にテストがより難しくなるように変更されたことで、州全体の小学3年生の読解力は70%から44%に低下した
 しかし、フリント市の低下は州平均よりもはるかに悪かった。ミシガン州教育最高責任者のブライアン・ウィストンはライリーに、これは「容認できない」と述べ、低下の一部は「ストレス」に起因する可能性があると述べました。
 ライリーは納得していませんでした "受け入れられないのは 3年前に毒殺された子供達の発達を 監視し継続的に評価するプログラムを 置かなかったことだ" と彼女は書いている。

<註> ちなみにフリント市は、マイケル・ムーアの映画『Roger&Me』で有名になったように、かつては自動車産業GM(General Motors)の中心地でした。


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