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ウクライナ問題の正体――アメリカとの情報戦に打ち克つために、その12 「ゼレンスキーとは誰か」

国際教育(2022/05/02)
 ウクライナのカラー革命2014
 WEF(世界経済フォーラム)「シュワブ・スクール」
 テレビドラマ『Servant of the People:人民の僕(しもべ)』
 ウクライナ民族主義者組織OUN(Organization of Ukrainian Nationalists)
 ポーランド(現在のウクライナ)の都市リヴィウで発生した大量虐殺「ポグロム」
 ウクライナ内務省顧問が作成した「国家の敵」という悪名高い公開ブラックリスト
 有名人・各国首脳が英領ヴァージン諸島で租税回避していたことを示す「パンドラ文書」


ウクライナの言語地図
(「自称『事実検証者たち』を事実検証する――ウクライナにはなぜナチスが多いのか?」)

ウクライナの言語地図2
(地図の左上がウクライナ語話者の地域、右下がロシア語話者の地域)



 県外に出かけなければならないことがあってブログが中断してしまい、読者には申し訳なく思っています。先月末4月29日に岐阜に帰ってきて、やっとパソコンに向かう時間をつくることができました。
 そこで、いよいよ「ゼレンスキーとは誰か」を書くことができます。この人物の分析なしには、「ウクライナ問題の正体」は見えてこないと思ってきたのですが、今に至るまでその時間がとれず、私自身がストレスの塊になっていました。
 というのは、現在の「ウクライナ問題」は、2014年のクーデターから始まっていますが、ゼレンスキーが大統領になってから全く新しい段階に達したと思うからです。
 彼がユダヤ人であることを売り物にして世界のメディアに登場したがゆえに、「ユダヤ人が大統領であるキエフ政権はネオナチの政権であるはずがない」という声が、大手をふるって一人歩きするようになったからです。


 さて、そこでゼレンスキーという人物をどのように紹介し解剖したらよいかですが、そのための格好の出発点になる論考を見つけました。それはビガノ大司教が書いた次の論考です。
(1)Msgr. Carlo Maria Viganò on the Russia-Ukraine Crisis. “Pluralism and Freedom of Speech Disavowed by Censorship and Intolerance”
「ビガノ大司教が語るゼレンスキー政権の正体:ユダヤ人大統領がネオナチと手を組む不思議」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-861.html(『翻訳NEWS』2022-04-01)

 ビガノ大司教については、『コロナ騒ぎ 謎解き物語』で次の論考があることを紹介しました。
(2)Archbishop Viganò’s Open Letter Regarding the Covid-19 Vaccine、Open Letter to America's Bishops
「ビガノ大司教のCovid-19ワクチンに関する公開書簡」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-711.html(『翻訳NEWS』2021/11/13)

 この論考を通じて、コロナウイルスにたいする現在の実験的ワクチンが極めて危険であることを鋭く警告してきた人物がキリスト教会の指導者にも存在することに、驚愕させられたのですが、その同じ人物がウクライナ問題についても発言していることを知って、2度ビックリでした。
 考えてみれば、コロナウイルスや実験的ワクチンは、「医療倫理」に関わること「人間の生命」に関わることですから、教会の牧師が発言しても、ある意味で当然のことで驚くほどのことではなかったのかも知れませんが、今度は「ウクライナ問題」という政治に関わる発言ですから、大司教にたいする驚きと関心は2倍になったのでした。


 ではビガノ大司教は、この論考で「ウクライナ問題」について何をどのように述べているのでしょうか。実は英語の原文は極めて長いものですが、私がここで論じたいことについては、幸いにもその抄訳が出されています。
 それが先述の論考(2)なのですが、これは次のような目次になっていました。

1 ウクライナのカラー革命と、クリミア、ドネツク、ルガンスクの独立
2 ウクライナのネオ・ナチと極右過激派の運動
3 ウクライナ大統領、ヴォロディミール・ゼレンスキー
4 ゼレンスキーとIMF、WEFの関係
5 バイデン親子のウクライナにおける利益相反関係
6 ゼレンスキー、核兵器の開発・拡散・使用を禁止した「ブダペスト覚書」の破棄を表明


 ここで先ず驚くべきことは、ビガノ大司教自身が今回のウクライナ問題が2014年のクーデター、すなわち「カラー革命」に起因していることをはっきりと認めていることです。
 それを目次「1 ウクライナのカラー革命と、クリミア、ドネツク、ルガンスクの独立」がはっきり示しています。
 ご覧のとおり、大手メディアが、今回の「ウクライナ危機」が「プーチン大統領によるウクライナ侵略」に起因しているとする論調と大司教の主張は、はっきり異なっているのです。
 日本では左翼・リベラルのひとたちでさえ、今回の「ウクライナ危機」が「プーチン大統領によるウクライナ侵略」に起因しているとする論陣を張っているのですから、これは特筆すべきことではないでしょうか。
宗教界のひとでさえ認識できることを、新聞界や左翼・リベラルのひとたちが認識できないとすれば、彼らの言う社会科学とは何なのでしょうか。

 これは、「ウクライナのネオナチ問題」についても同じことが言えます。
 というのは目次「2 ウクライナのネオ・ナチと極右過激派の運動」を見れば分かるように、大司教はウクライナがネオナチに支配されていることを、大司教もハッキリ認めているのです。
 これも、ゼレンスキー大統領がユダヤ人であることを売り物にして世界のメディアに登場したがゆえに「ユダヤ人が大統領であるキエフ政権はネオナチの政権であるはずがない」という声が大手をふるって一人歩きしている現状と、大きく異なっています。
 つまり、政界はもちろんのこと、欧米の言論界も日本の言論界も、今のウクライナの現状が全く見えていないのです。宗教界のひとが見えていることを、新聞界や左翼・リベラルのひとたちが認識できないとすれば、彼らは大学で社会科学の何を学んできたのでしょうか。


 さて前置きはこれくらいにして、ではビガノ大司教は、目次「3 ウクライナ大統領、ヴォロディミール・ゼレンスキー」で何を述べていたのでしょうか。
 大司教はまず「多くの関係者が指摘しているように、ゼレンスキー大統領の立候補と当選は、近年始まった喜劇俳優や芸能人の政治家への起用という決まり文句に対応するものである」と述べ、コメディアンだったゼレンスキーが大統領になった経緯を次のように述べています。

 エリートコースに乗っていなければ機関の頂点に登れないと信じてはならない。それどころか「政治の世界に縁のなかった人物」であればあるほど、その人の成功は権力をもつ者によって決定されると考えるべきなのだ。
 ゼレンスキーの女装パフォーマンスは、LGBTQのイデオロギーと完全に一致する。それは、ヨーロッパの政界スポンサーが、すべての国の受け入れるべき「改革」仮題の必須条件と考えるものそのものであり、男女平等、中絶、グリーンエコノミーに匹敵する条件である。
 WEF(世界経済フォーラム)の一員であるゼレンスキーが、WEF会長クラウス・シュワブやその同盟者たちの支援という恩恵を受けて政権を取り、ウクライナでもグレート・リセットが実行されるようになったのも不思議はない。

<註>LGBTQ:レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれた時の性別と自認する性別が一致しない人)、クエスチョニング(自分自身のセクシュアリティを決められない、分からない、または決めない人)などの、性的マイノリティを指す。


 恥ずかしながら、ウクライナ危機が大きな話題になるまで、私はゼレンスキーが俳優でありコメディアンだったことを知らなかったのです。
 しかし考えてみれば、日本でも「そのまんま東」といったお笑い芸人が政界に出ることがあったのですから、ゼレンスキーもそのような流れの中で登場したことが、大司教の説明で分かりました。
 その説明で特に興味深かったことは、「政治の世界に縁のなかった人物」であればあるほど、その人の成功は権力をもつ者によって決定されると考えるべきなのだ、と大司教が指摘していることでした。
 つまり、次の大統領を誰にするかは政界・財界の「奥の院」があらかじめ人選し、その意向を受けた人物がいわば「操り人形」として担ぎ出されていることです。今後の政治的経済的課題を忠実に実行してくれる人物が選ばれるということです。
 大司教によれば、ゼレンスキーは世界の支配者たちの総本山であるWEF(世界経済フォーラム)の会長クラウス・シュワブやその同盟者たちによって選ばれ、その支援を受けてウクライナ大統領に当選したのです。
 調べてみると確かに、ゼレンスキーは、カナダのトルドー首相と同じく、WEFの設けた学校「シュワブ・スクール」の卒業生であり、自分が政界を目指すことになったのも、トルドー首相をモデルにしたからだったと語っていました。
 だからこそ、トルドー首相と同じように、コロナ騒ぎで厳しいロックダウンを国民に課し、WEF会長クラウス・シュワブの目指す「グレイトリセット(世界の初期化=新しいかたちの資本主義)を強力に実施しようとしたのも、なるほどと納得しました。
 また今度のコロナ危機に際して、世界のなかでも真っ先に「カナダ軍をウクライナに派遣する用意がある」と宣言したのも、トルドー首相だったことを、この大司教の説明で、初めて「さもありなん」と納得したのでした。

ウクライナ大統領ゼレンスキーとカナダ首相トルドー
ゼレンスキーとトルドー首相
https://twitter.com/ZelenskyyUa/status/1146121659117686787/photo/1



 ではWEF会長シュワブやその仲間たちは、ゼレンスキーを大統領にするために、どのような選挙戦術を彼に伝授したのでしょうか。それを大司教は次のように述べています。

ゼレンスキーが製作・主演した57回にわたるテレビシリーズは、メディアが彼のウクライナ大統領選への立候補と選挙戦を計画したことを示している。
 ゼレンスキーは、テレビドラマ『Servant of the People:人民の僕(しもべ)』で高校教師の役を演じ、思いがけず共和国大統領に就任した彼が、政治の腐敗と戦うことになる。
 二流ドラマだったこのシリーズが、それでも「ワールドフェスト・レミ賞」(アメリカ、2016年)を受賞し、「ソウル国際ドラマ賞」(韓国)のコメディ映画部門で最終候補のトップ4に入り、ハンブルクの「ワールドメディア映画祭」でエンターテインメントTVシリーズ部門の「インターメディアグローブ銀賞」を受賞したのも、偶然ではないだろう。
 ゼレンスキーがテレビシリーズで得たメディア上の反響は、彼のインスタグラムのフォロワーを1000万人以上にし、同名の政党「人民の僕(しもべ)」を設立する土台になった。
 つまり、ゼレンスキーのイメージは人為的な産物であり、メディアのフィクションであり、ウクライナの集団的想像空間のなかで何とか政治的人物を作り出そうとした「合意の捏造(ねつぞう)」作戦だったのだ。そしてフィクションではなく、実際に権力を獲得したのだった。


 これを読むと、ゼレンスキーを大統領として売り出すために、世界の芸能界・メディア界が総力をあげて協力したことが分かります。
 WEF会長シュワブとその仲間たちのちからは、アメリカだけでなくソウルやハンブルクに至るまで、世界の隅々にまで及んでいたのです。これはまさにチョムスキーの名著『合意の捏造』が描いた世界のとおりだったわけです。
 コロナ騒ぎで世界が一斉にロックダウンに走り出したことも、WEFとその仲間(たとえばビル・ゲイツ財団など)の手がWHOや巨大メディアを動かし、世界中の隅々にまで及んでいたからに違いありません。
 次の記事は、そのことをよく示しています。
*Billionaires’ Media: The Smearing of Robert F.. Kennedy Jr..
「億万長者ビル・ゲイツのメディア支配: ロバートF ケネディ・ジュニアを徹底的に誹謗中傷」  
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-476.html(『翻訳NEWS』2021/01/07)


大統領選挙戦で流した不穏なCM「親露派および汚職議員に銃を乱射するゼレンスキー」
ゼレンスキー 大統領選挙時の銃乱射 - コピー
https://twitter.com/i/status/1497895823962636290(動画40秒)



 ところでゼレンスキーは映画俳優としての才能を、選挙前のテレビドラマだけでなく、大統領選挙中にも遺憾なく発揮したのでした。
 というのは、彼は選挙キャンペーンで、「2丁の機関銃を持ち、汚職やロシアへの従属を指摘された国会議員に発砲する」という、どう考えても大統領選挙の政策宣伝としては極めて不穏なCMを流していたからです。
 この不穏かつ過激な動画は、下記にURLをクリックしてみてください。このような動画を選挙中に流したということそのものが彼の品性を示すものです。
https://twitter.com/i/status/1497895823962636290(動画40秒)
 が、同時に、これは大統領に当選したあと、ドンバス地区の住民・住宅や公共の施設を無差別に爆撃しても平気だった彼の、未来を象徴するCMではなかったかと今になって思い当たるのです。彼にしてみれば「ロシア人は人間ではなく、一種のゴキブリ」だったのですから。
 ヒトラー・ナチスにとっては「アーリア人」以外は下等な人種でしたが、キエフ政権にとっては「ウクライナ人」以外は下等な人種であり、したがってロシア語話者のようなスラブ人は下等人種と見なされていました。上の動画でゼレンスキーは「汚職やロシアへの従属を指摘された国会議員に発砲」していましたが、この背景には、上記のような人種観があったのです。

 しかし皮肉なのは、ヒトラードイツにとってウクライナ人は「アーリア人」ではないのですから、当然ながら下等人種です。にもかかわらずドイツ軍がソ連に侵攻したとき、それを大歓迎したのが、ウクライナのナチ信奉者だったという事実です。
 とりわけステファン・バンデラという人物は、極右組織OUN-B「ウクライナ民族主義者組織バンデラ派」の指導者でしたが、ナチスドイツが1941年6月、ポーランドに侵攻したとき、ナチスと協力して開始したのが、ユダヤ人とポーランド人に対する大量虐殺「ポグロム」でした。
 そして現在のキエフ政権は、このステファン・バンデラを正式に「国家の英雄」と認めているのですが、欧米のメディアで、このことを指摘しているものは皆無に近いのです。それをユダヤ人大統領のゼレンスキーも引き継いでいるのですから、皮肉の極致です。なぜ、このような不思議なことが起きるのか。
 それについては、後日あらためて詳述する予定です。


 先述のとおり、ゼレンスキーは大統領選挙の選挙キャンペーンで、「2丁の機関銃を持ち、汚職やロシアへの従属を指摘された国会議員に発砲する」という、どう考えても大統領選挙の政策宣伝としては極めて不穏なCMを流していました。
 またゼレンスキーが大統領として立候補する前の、密かな事前準備として、テレビドラマ 『Servant of the People:人民の僕(しもべ)』で主演して、高い視聴率を得るという工作をしたことも、すでに述べました。
 このドラマシリーズでは、大統領は「人民の僕(しもべ)」ということになっているのですが、大統領に当選したあとの言動を見ると、この「人民」には「ロシア語の話者」は入っていないのです。
 また自分の意に沿わない人物も「人民」には入っていないようです。というのは、今やウクライナでは大統領の指揮・監督の下で、政敵の暗殺・誘拐・拷問がやりたい放題だからです。前回のブログでもふれましたが、次の記事は、そのことをよく示しています。

*”One Less Traitor”: Zelensky oversees campaign of assassination, kidnapping and torture
(「裏切り者を一人でも減らせ」:ゼレンスキーは、政敵の暗殺・誘拐・拷問といった作戦を監督)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-893.html(『翻訳NEWS』2022/04/28)


 ナチスドイツ軍やナチス親衛隊ガリシア第1師団(主としてウクライナ人による志願兵)がポーランドやソ連に侵攻したとき、残虐の限りを尽くした後掲を髣髴(ほうふつ)とさせるような光景です。
 上記の記事のURLをクリックして、ぜひとも、そこに載せられている画像だけでも見てほしいと思います。


 もうひとつここで指摘しておきたいのは、ゼレンスキーが大統領選挙の選挙キャンペーンで「汚職(&ロシアへの従属)を指摘された国会議員に発砲」しておきながら、自分には発砲していないことです。
 このことをビガノ大司教は先述の論考で、皮肉を込めて次のように指摘しています(下線は寺島)。

ウクライナの現大統領は、選挙キャンペーンで、2丁の機関銃を持ち、汚職やロシアへの従属を指摘された国会議員に発砲するという、控えめに言っても不穏なCMを流していた。
 しかし、ウクライナ大統領が「人民の僕(しもべ)」の役割で喧伝した汚職との闘いは、いわゆる『パンドラ文書』から浮かび上がる彼の姿とは一致しない。
 この文書には、選挙の前夜、ユダヤ人大富豪コロモイスキーが海外口座を通じて彼に4千万ドルを支払ったように見える(ここ、ここ、ここを参照)。
 彼が勝利した2019年の選挙のちょうど1カ月前、ゼレンスキーは自分の会社[Kvartal 95 Studio]を友人に売却した。その友人とはセルヒイ・シェフィールで、後に大統領府参事官に任命された人物だった。(中略)
 株式の売却は、マルテックス・マルチキャピタル社の利益のためにおこなわれた。この会社はシェフィールが所有していて、英領ヴァージン諸島で登記がされている会社だ。 そのうえ、自分が正式に放棄してしまっていた事業の売却収益を自分の家族に与える方策(手口)をまだ探していた。


 ご覧のとおり、世界各国の首脳や有名人が幽霊会社で租税回避していたことを示す「パンドラ文書」の役割で喧伝した汚職との闘いは、ここには全く見られません。
 それどころか、世界各国の首脳や有名人が幽霊会社で租税回避していたことを示す「パンドラ文書」に見られるのは、必死に税金逃れをしようと画策しているゼレンスキーの姿です。
 だから、資産隠しに協力してくれた友人セルヒイ・シェフィールを後に大統領府参事官に任命したのも、それに対する論功行賞だったからに他なりません。
 また「自分が正式に放棄してしまっていた事業の売却収益を自分の家族に与える方策(手口)をまだ探していた」のも、いかにして税金逃れをするかの方策を探し続けてきたことを示すものでしょう。
 さらにまた、「海外口座」を通じてユダヤ人大富豪から4000万ドルもの選挙資金をもらうというのも、「自国の口座」に選挙資金が振り込まれてしまえば、自分が「人民の僕(しもべ)」ではなく、「大富豪の僕(しもべ)」であることが露呈してしまうことを、恐れたとしか考えられません。


 このように考えると、欧米の世界では「民主主義の旗手」として持てはやされているゼレンスキーは、実は全く違った実像をもっていることが分かるはずです。
 彼が祖国ウクライナで、親ロシア派のオリガルヒ(新興財閥)から権力を奪ったのは、ウクライナ国民に権力を与えるためではなく、むしろ自分の利益集団を強化し同時に政敵を排除するためだと非難する声が多く聞かれるのも、当然なのです。
 そのことをビガノ大司教は次のように指摘しています。

 彼は保守派(親ロシア派)の閣僚たちを、まず第一に、有力な内務大臣である(アルセン・)アヴァコフを清算した。
 次に彼は、自分の法律をチェックする役割を担っていた憲法裁判所長官を、突然に退任させた。
 そのうえ彼は、7つの野党テレビ局を閉鎖した。
 さらに彼は、親ロシア派であり、ウクライナ議会の第二党である「生活のための野党」の党首ヴィクトル・メドヴェドクを逮捕し、反逆罪で告発した。この政党は、ゼレンスキー大統領の政党「人民の僕」に続く、第2の政党だった。
 人気者の元ボクシング世界チャンピオンでありキエフ市長であるヴィタリー・クリチコも、すでに何度も捜索や差し押さえを受けている。
 要するに、ゼレンスキーは自分の政治に沿わない人物を一掃したいようだ。


 このように、ゼレンスキーは、「民主主義の旗手」どころか、「民主主義の圧殺者」なのです。
 ところが日本では全国の至る所に「ウクライナ支援基金」と称する「募金箱」まで置いてあります。先日、コンビニに行く用事があったのですが、そこにまで募金箱があって驚きました。
 しかも、ゼレンスキーの「圧殺」ぶりが並みではありません。前回のブログでも紹介したのですが、煩(はん)を厭わず、それを再録すると次のようになります。
(1)3月19日の大統領令で、戒厳令を発動し、11の野党を禁止した。(2)禁止された政党は、ウクライナの左翼、社会主義、反NATO勢力のすべてだった
(3)公然たるファシスト・親ナチ政党は、大統領令によって手つかずのままだった。
(4)すべてのニュース放送を国営の「United News」だけに一本化し、他は禁止した。
(5)ゼレンスキーは4月12日、野党第1党「生活者」党首メドベチュク氏を逮捕した。


ゼレンスキーの恐怖政治「銃を突きつけ拷問した映像まで公開するという残酷さ」
銃を突きつけ拷問した映像まで公開するという残酷さ
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-893.html


10
 今やウクライナは恐怖政治の世界です。
 ロシアに共鳴しているとされるウクライナ人議員の暗殺を支持した内務省の顧問アントン・ゲラシェンコが創設した「国家の敵」という悪名高い公開ブラックリストがあります。
 このリストに載せられたジャーナリストやウクライナの反体制派は、このリストに名前が載った後、国家が支援する暗殺部隊によって次々と殺害されているのです。
 殺害しない場合でも凄惨な拷問を受け、治安部隊SBUとネオナチの武装集団「アゾフ大隊」は、その拷問過程を記録し、その血まみれの顔の画像をネットで公開するという残酷ぶりです。
 詳しくは先述の記事を御覧ください。
*ゼレンスキー「裏切り者を一人でも減らせ」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-893.html

 この記事では、「今年2月の開戦以来、ウクライナの治安機関によって投獄された人々のリストは日に日に増えており、ここに転載することはできないほど膨大である」と述べ、さらに「一般市民も拷問にさらされている」ことも画像付きで詳細に伝えています。
 前回のブログ冒頭に載せたのは、その一部に過ぎませんが、その画像の説明は以下のようになっていました。

 今年2月の開戦以来、ウクライナの一般市民も拷問にさらされている。
 一般市民が街灯に縛られ、性器が露出したり、顔が緑色に塗られたりしている動画が、SNSに無数にアップされている。
 戦時中の法と秩序の執行を任務とする領土防衛義勇兵によって行われたこれらの屈辱的な拷問行為は、ロシアのシンパとされる人々からロマ人(「ジプシー」)、泥棒とされる人々まで、あらゆる人々を標的にしてきた。



 ゼレンスキーの「恐怖政治」については、まだまだ紹介しきれないほどの事例が山積みしていて、私をイライラさせるのですが、もう十分に長くなってきていますので、一旦ここで打ち切らせていただきます。


<追記>
 繰り返しになりますが、ゼレンスキーは大統領選挙の選挙キャンペーンで、「2丁の機関銃を持ち、汚職やロシアへの従属を指摘された国会議員に発砲する」という、どう考えても大統領選挙の政策宣伝としては極めて不穏なCMを流していました。
 このCMそのものが、「正義のためなら人殺しをしてもよい」というメッセージを発信しているのです。それをドンバス2カ国で実践しているのがウクライナ軍「ネオナチ親衛隊」として有名なアゾフ大隊でした。
 すでに、そのこと示す動画は、このブログでも既にいくつか紹介してきていますが、最近RTに載せられた次の動画はドンバス地区「マリウポリ市」の惨状を生々しく伝えています。
*Donbass: I'mAlive!(ドンバス:まだ私は生きている!)
https://player.odycdn.com/api/v4/streams/free/Donbass_I%E2%80%99m_Alive/11f5099c66183471638a57a64798c5e24e1d8f54/dc1dc2

 アメリカは「人道的介入」「独裁政権から民衆を救う」と称してイラクやシリアやアフガニスタンなど世界中で多くの人を殺してきたのですが、それを見習って同じ行為をしているのが、CIAの指導を受けているゼレンスキー大統領だとも言えるわけです。

 キエフの政権がCIAの指導をうけていることは櫻井ジャーナルの次の記述からも明らかです。

元治安部隊SBUのプロゾロフによると、ウクライナの治安機関は2014年以降、CIAから直接助言を受けてきたという。次はブロゾロフの言です。
 「CIAの職員は2014年以来、キエフに存在している。彼らは秘密のアパートや郊外の住宅に居住していた。」
 「しかし彼らは、特定の会議を開いたり秘密作戦を企てたりするために、頻繁にSBUの中央事務所にやって来た。」


 ヴァレンティン・ナリヴァイチェンコは、2013年から14年にかけてのクーデターによる政権転覆後に、SBUの初代長官となった。
 彼はジョージ・W・ブッシュ政権時代に在米ウクライナ大使館の総領事として活躍し、ワシントンとの深い絆を育んだ。
 ヤヌコヴィッチ元大統領の政権下で仕えたアレクサンドル・ヤキメンコは元SBUだが、このナリヴァイチェンコについて次のように述べている。
 「ナリヴァイチェンコは、この在米ウクライナ大使館の総領事だったとき、CIAにスカウトされた」

 さらにまた、ゼレンスキーは、2021年、ウクライナで最も悪名高い情報機関の人物の一人オレクサンデル・ポクラドを、SBUの防諜部門を率いるように任命した。
 なんと恐ろしいことに、このポクラドは「絞殺魔」というニックネームを持つ人物なのだ。これは、拷問やさまざまな汚い手口を使って、ゼレンスキーの政敵を反逆罪に陥れたという評判にちなんだものだ。にもかかわらず(あるいは、だからこそ)、このような人物をゼレンスキーは選んだのだのである。

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狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

Author:狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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