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ウクライナ問題の正体――アメリカとの情報戦に打ち克つために、その14 「ロシア軍の特別作戦は国際法違反?」

国際教育(2022/05/12)
 ウクライナの生物兵器研究所
 ミンスク合意、ミンスク合意2
 オデッサの虐殺事件、2014年5月2日
 ダニエル・コバリク教授(Daniel Kovalikピッツバーグ大学法学部)
 アメリカ人志願兵ヘンリー・ヘフト(Henry Hoeft)
 マリウポリ市の製鉄所で「人間の盾」にされていたナタリア(Natalia Usmanova)


オデッサ「労働組合会館」の内と外で展開された凄惨な虐殺事件
オデッサの虐殺事件労働組合会館」
https://www.rt.com/russia/554946-tragedy-odessa-protests-ukraine/



 前回のブログで「ミンスク合意」について書いたところ、研究所{「翻訳グループ」)の一員から次のような嬉しいメールが届きました。

寺島先生
 昨夜と今朝、二度読みました。
 フランス人女性ジャーナリストの証言には息を飲みました。多くの人に見てもらいたいと思います。
 また、ドンバスでは職業軍人ではなく炭鉱労働者がウクライナ軍と戦ってきたという事実にも驚きました。
 さらに、これまで曖昧だった「ミンスク議定書」と「ミンスク2」の違いについてもこのブログで初めて分かりまし た。
 これは個人的なことですが、自分が下訳した記事(*)が先生のブログに引用されていてとても嬉しく、今後の翻訳作業への大きな励みになりました。
*Why Russia’s Intervention in Ukraine is Legal Under International Law
邦訳「ロシアのウクライナ介入が国際法上、合法である理由」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-895.html (『翻訳NEWS』2022/04/27)
 なお、ご存じかもしれませんが、この記事は藤永茂さんのブログ「白ければよいのか?」(『私の闇の奥』4/25) にも引用されていましたので、研究所『翻訳NEWS』に邦訳もあることをコメント欄に投稿しました。


 研究所の一員からのメールとはいえ、自分のブログにたいする感想を送ってもらえるのは嬉しいことです。
 まして私のブログからどのような「驚きと発見」があったのかが書いてあるのですから、溜まっていた疲れも一気に吹き飛ぶような元気をいただきました。感謝感謝です。
 また私の敬愛する物理化学者・藤永茂先生のブログ『私の闇の奥』のコメント欄に、「邦訳もあることをコメント欄に投稿しました」とありましたから、嬉しさが倍加しました。
 というのは現在96歳の藤永先生が、いまだに健筆をふるっておられるのに、77歳の私が「疲れた」と言ってへたばっているわけにはいかないと思わされたからです。


 さて前回のブログでは、大手メディアではロシア軍の「特別作戦」を「侵略」と述べ、これは国際法違反だとする論調が圧倒的なのですが、ロシアの行動は決して国際法違反ではないとする学者がアメリカに堂々と存在するという事実を紹介しました。
 そして、そのことを主張する論考、すなわちピッツバーグ大学法学部で国際法を教えるダニエル・コバリク教授の「冒頭部分」だけを引用・紹介し、次のようにブログを結びました。
 「申し訳ありませんが今日はここで失礼させていただきます。いま時計を見たら16:10です。朝からずっと書き続けてきたので疲れました、私の心と体の健康維持のため、今から散歩に出かけます。どうかお許しください」

 そこで早速、今日はコバリク教授の主張を紹介しようと思ったのですが、「この記事は藤永茂さんのブログ「白ければよいのか?」(『私の闇の奥』4/25) にも引用されていました」というメールをいただいたので、それを読んでみたところ、次のように書かれていました。

コメント欄でhobby4oldboyさんが指摘する国連でのロシア非難決議の違法性に関連して、ロシアのウクライナ介入の合法性についての次のような記事にも遭遇しました:
https://libya360.wordpress.com/2022/04/23/why-russias-intervention-in-ukraine-is-legal-under-international-law/
 関心があれば、ぜひ読んでください。
 要点は、ロシアの今回の動きは自己防衛行為だということです。事態の本質は、一昔前の“キューバ危機”の場合と全く同じです。
 米国がソ連のすぐそばのトルコに核爆弾を持ち込んだから、その対抗自衛措置として、ソ連はキューバに核爆弾を持ち込むことにしたのです。
 この歴史的事実は、今や、明明白白、しかし、当時と現在との決定的な違いは、今の米国にはジョン・エフ・ケネディが居ないことです。いや、たとえ居たにしても、早々と抹殺されてしまったことでしょう。


 御覧のとおり、ロシア軍の行動については、藤永先生は「関心があれば、ぜひ読んでください」と、Dan Kovalik教授の英文論考へのURLを指示しているだけなのです。
 確かに藤永先生のおっしゃるとおり、「要点は、ロシアの今回の動きは自己防衛行為だということです。事態の本質は、一昔前の“キューバ危機”の場合と全く同じ」なのですが、このように言われても、英語弱者の読者にとっては非常に困ったことでしょう。
 しかし幸いにも、先に紹介したように、この論考には『翻訳NEWS』に和訳が載っているので、その詳細を知りたい方は、ぜひ参照していただけると有り難いと思います。


 と、ここまで書いてきたら、Kovalik教授の主張を今回の私のブログでこれ以上くわしく説明する必要も、あまりないように思えてきました。
 というのは、先述のように、これには和訳もあるわけですし、その要点は「キューバ危機」を例にしながら藤永先生が説明されているとおりだからです。
 もし別の例をあげるとすれば、「もし中国やロシアが、カナダやメキシコで不安定化工作をしたりウクライナと同じような『カラー革命』を仕組んで、カナダやメキシコに親露政権をつくったら、アメリカはどんな反応をするか」を考えてみてください。
 まして、カナダやメキシコにミサイル基地をつくったり、ウクライナのように、アメリカ資金よる生物兵器研究所をカナダやメキシコに30カ所も運営し始めたら、アメリカはどんな反応をするでしょうか。
 キューバのように遠く離れたところにミサイル基地をつくっただけで、アメリカは激怒して、あわや核戦争になるかという大騒ぎになりました。中米のニカラグアやエルサルバドル、南米のチリで社会主義政権ができただけで、CIAはクーデターを起こし、「死の部隊」を編成して殺戮のかぎりを尽くしました。
 ところが、ウクライナの場合、2014年にクーデター政権をつくっただけでなく、このような違法なクーデターを認めないとする抗議行動を、キエフ政権は徹底的弾圧し、オデッサの虐殺事件をみれば分かるように、抗議集会をしている民衆を労働組合会館に追い込んで放火し、焼き殺しました。
 ロシア語話者は「ゴキブリと同じで」殺しても平気という態度だったのです。殺されたひとは200人を下らないと言われていますが、その殺し方も眼をおおわんばかりの残虐さでした。この詳細は次の(1)のように、今や次々と証言者が現れ始めているので、いずれ近いうちに翻訳も出されると思います。

(1) 'An act of genocide': A witness recalls the 2014 Odessa massacre
「“大虐殺という行為”:目撃者が語る2014年のオデッサ虐殺事件」
https://www.rt.com/russia/554946-tragedy-odessa-protests-ukraine/
RT(May 4, 2022)


 この事件は、キエフ政権がナチス・ドイツと同じように、ロシア語話者をすべて「民族浄化」するのではないかという恐怖をウクライナ南部の住民にいだかせるものでした。それを証拠立てるように、キエフ政権は2014年から8年もの間、ドンバス地方を爆撃し続けてきました。その死者は1万3000~4000人にも及びました。
 この攻撃に耐えかねてドンバス地方のひとたちはロシアに助けを求め続けてきましたが、この求めにロシアは応えず、この8年間、実効性のない「ミンスク合意」「ミンスク合意2」の交渉が繰りかえされてきただけでした。ですから今回のロシア軍「特別作戦」は、ドンバスのひとたちにとっては「侵略」どころか、むしろ「遅すぎた作戦」だったのです。

オデッサの虐殺事件で(2014年5月)生きたまま焼き殺された犠牲者たち
オデッサの虐殺事件『犠牲者」
https://cdni.russiatoday.com/files/2019.05/original/5ccafef0dda4c865518b466a.jpg



 このように、ロシア軍の「特別作戦」は、ドンバスのひとたちにとっては「侵略」どころか、むしろ「遅すぎた作戦」でした。しかし欧米の世論は、ロシアによるウクライナへの「侵略」を批難する論調一色で塗りつぶされました。
 その証拠に、今までは欧米の間違った世論と果敢に闘うことをモットーにしてきたはずのオンライン誌GlobalResearchでさえ、ウクライナ問題の論考を載せる際には必ず、その冒頭に「ロシアの立場は理解するが、ロシアの侵攻は支持しない」といった注釈を付けるようになったからです。
 それを受けて私の研究所の一員(小山さん=仮名)からも次のようなメールが私のところに届きました。

今日の事態については、グローバルリサーチ社の見解が妥当のように思えます。つまり、ロシアの立場は理解するが、ロシアの侵攻は支持しない。
 素人考えですが、ロシアは2州の自治独立を承認したのちに、両自治州の自主投票によるロシア編入を待つべきだったように思います。
 そうすれば、ウクライナによる2州への攻撃は止むでしょうし、もしその攻撃が続けば、ロシアは反撃の正当性が主張しやすくなると思います。ただし、その時でも、今日のように、アメリカのプロパガンダによる情報攻撃が行われるでしょうが。
 ウクライナ侵攻が、寺島先生が危惧されるように、ロシアにとって第二のアフガニスタンにならなければよいと願います。


 小山さんは「ロシアは2州の自治独立を承認したのちに、両自治州の自主投票によるロシア編入を待つべきだった」としているのですが、ここに事実誤認があります。
 というのは、ドンバス2カ国は、住民投票による独立宣言をしたあとに、ロシアへの編入を求める自主投票もおこない、どちらも圧倒的多数の賛成を得ていたからです。
 ところが既に述べたように、同じ手続きをとったにもかかわらず、クリミアは独立を認められただけでなく、ロシア編入も即座に許可されました。
 他方、ドンバス2カ国はロシア編入どころか、独立宣言すらも認められなかったのです。だからこそキエフ政権は、「分離主義者・テロリスト集団を制裁する」という口実で、2014年以来、8年間にわたってドンバス2カ国を爆撃し続けることがてきたのでした。
 このドンバス2カ国の惨状を知れば知るほど、私はイスラエルによるパレスチナへの攻撃と、その惨状を思い浮かべてしまいます。かつてチョムスキーはパレスチナを「青天井の監獄」と呼んだことがありましたが、パレスチナは戦闘機をもっていませんから、イスラエルによる空からの爆撃に毎日さらされ続けているからです。
 アメリカにおける内戦「南北戦争」も、考えようによれば「北軍」による「南軍」=「分離主義者」への懲罰戦争だったわけですが、負けたとはいえ「南軍」住民が「北軍」から受けた扱いは(映画『風と共に去りぬ』参照)、ドンバス2カ国の住民が8年間ものあいだ味わった惨状と比べれば、「極楽」と言ってもよいものだったかも知れません。


 それはともかく、もしロシアが2014年の時点でドンバス2カ国の要求を受け入れ、ロシアに編入していれば、クリミア自治共和国と同じように、その住民は安全な生活を送ることが出来ただろうと、私は思っています。
 なぜなら当時のキエフ政権は、今と違って世界の世論(といっても実態は「欧米」と日本を含む「アジアの一部」だけ)から巨大な支持を得ていたわけではありませんから、おそらくロシアと直接に戦闘を交える勇気はなかったはずだと思うからです。
 当時のロシアが、なぜそうしなかったのか本当の理由は私には分かりませんが、今となっては、「時すでに遅し」という感がしないでもありません。なぜならアメリカの情報戦略が功を奏して、欧米諸国からの世論の支持だけでなく、財政的・軍事的支援さえ得ることができているからです。
 日本もロシアにたいする経済制裁を課すだけでなく、無人機(ドローン)までも提供しています。これは偵察だけでなく武器を搭載して攻撃することも可能ですから、そして事実、無人機によるロシア領内への攻撃も最近は多くなりました。だとすると、日本は「敵性国家」として武装攻撃されても仕方がないということになります。
 たとえばロシアが今一番恐れているのは、無人機(ドローン)を使ってコレラ菌やコロナウイルスなどの細菌兵器をロシア領内にばら撒くという攻撃です。すでに紹介したことですが、ウクライナにはアメリカ資金による生物兵器研究所が30カ所も存在することが分かっています。

(2) Migratory Birds of Mass Destruction
「生物兵器にされる渡り鳥」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-900.html(『翻訳NEWS』2022-05-02)
(3) Despite U.S. Bluff and Bluster, Pentagon’s Bioweapon Threat to Russia and China Is Serious
「ロシアと中国に深刻な脅威となっているのは、米国の大言壮語ではなくペンタゴンの生物兵器だ」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-898.html(『翻訳NEWS』2022-05-01)

 ヌーランド国務次官は上院の公聴会でウクライナに生物兵器研究所が存在することを認め、「ロシア軍が到着する前に研究成果を破棄するよう命じた」と言っていますから、ロシアの心配は単なる杞憂でないことは確かでしょう。ロシアの心配は「細菌をばら撒いてそれをロシア軍のせいにする」という偽旗作戦でした。
 日本のアジア太平洋戦争のとき、敗戦が確実になってソ連軍が南下してくることを知ったとき、満州にあった「731部隊」の細菌兵器研究所を慌てて爆破して、退散しました。日本軍が中国南部で細菌をばら撒いた証拠を残したくなかったからでしょう。同じことをアメリカが考えたとしても、決しておかしくないでしょう。
 いずれにしても、日本が送った無人機(ドローン)が細菌兵器として使われたということが発覚した場合、どのような報復があり得るのかを、岸田政権は考えてみたことがあるのでしょうか。岸田首相は、そのようなことを想像する能力に欠けているのか、世界各地に出かけてロシア包囲網を強化する行脚(あんぎゃ)を続けています。
 日本は一種の「原発銀座」の国ですから、ロシアが「日本ががアメリカやウクライナに加担して軍事行動をとるのであれば、それなりの制裁を加える権利がある」として、逆に無人機で何処かの原発を攻撃したとしたら、日本はどう対処するつもりなのでしょうか。福島の原発事故を思い起こせば、岸田政権の言動がもたらす危険性は明々白々です。
 しかし、アメリカのプードル犬として行動する岸田首相は、インドでも拒否されてすごすごと帰って来ざるを得ませんでした。実はアジアでもアフリカでも中南米でも、アメリカやNATO諸国のとっている行動を明白に支持する国は、調べてみると意外に少ないことに驚かされます。
 アメリカやEU諸国がアジア、アフリカ、中近東、中南米の諸国を植民地化したりクーデターを起こしたり、傭兵や正規軍を使って侵略してきたことを思い起こせば、これは当然とも言える結果です。ですから、孤立しているのはロシアではなく、むしろNATO諸国だと言えるのです。次に掲げる「政治地図」を御覧ください。


政治地図 「ロシアに対して『非友好的』(UNFRIENDLY)な国」――赤系統の色に塗られた国々
www.strategic-culture.org
ロシアとの非友好国Unfriendly Nations
 御覧のとおり、ロシアとの「非友好国」は、宏大なユーラシア大陸、アフリカ大陸、中南米大陸の両脇に位置する、小さな一角に過ぎないことが分かります。つまりロシアと「友好な関係」、またはロシアと「中立な関係」を保とうとする国のほうが圧倒的多数派なのです。



 私は上で次のように書きました。
 「当時のロシアが、なぜそうしなかったのか本当の理由は私には分かりませんが、今となっては、『時すでに遅し』という感がしないでもありません。なぜならアメリカの情報戦略が功を奏して、欧米諸国からの世論の支持だけでなく、財政的・軍事的支援さえ得ることができているからです。」
 私が上で「今となっては、『時すでに遅し』という感がしないでもありません」と書いたのは、「アメリカの情報戦略が功を奏して、欧米諸国からの世論の支持だけでなく、財政的・軍事的支援さえ得ることができているから」ですが、それだけでなく義援金や義勇軍に応じるひとも出始めていたからです。
 しかし、よく考えてみると事態はそれほど悲観的になる必要もないか、と思い始めました。その根拠の一端は、先に紹介した政治地図にあります。これを観ると孤立しているのは、むしろ欧米諸国、NATO諸国とも言えるからです。日本のメディアを視聴していると、日本は世界の多数派にいるかのような錯覚に陥ってしまいますが、事実は逆なのです。
 もうひとつの明るいニュースは、アメリカの情報戦略に踊らされてウクライナ軍に義勇兵として参加したひとたちが、ウクライナの現実に衝撃を受け、ウクライナから脱出する動きが確実に増えているからです。彼らの証言は、今後「義勇兵」として応募しようと思っているひとたちの意欲を確実に削ぐことになるでしょう。次の(4)は、その典型例です。

(4) An American volunteer for Ukraine tells The Grayzone how his foreign legion tried to use him as cannon fodder.
「ウクライナのための戦闘に志願したアメリカ人退役軍人が『自殺的任務』について語る」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-888.html(『翻訳NEWS』04/23)

 このアメリカ人志願兵ヘンリー・ヘフト(Henry Hoeft)は、オンライン誌GrayZoneで、ウクライナに到着したとき外国人傭兵部隊「ジョージア軍団」に所属させられた自分の体験を次のように語っています。

 しかし、ウクライナに到着してみると、彼が直面させられたのは気が滅入るような現実だった。寄せ集めの民兵組織が(ロシアという)強力な軍事マシーンとの代理戦争に突っ込まされる。そして約1週間後、彼は自分が死ぬために署名したのだと確信した。
 「あいつらは俺たちをキエフに送り込もうとしているが、武器もなきゃ、装備も装甲版もありゃしないんだ。幸運にも武器を手に入れたって、10発入りの弾倉しかありゃしないんだよ」と、ヘフトは現場からのソーシャルメディアを使った映像で不満を漏らした。
 「みんな、ここに来るのはやめてくれ。これは罠だ。ここに来たらあいつらは死んでもあんたらを手放なさいよ。」
 ヘフトは、ウクライナから出ようとする欧米人のパスポートが破られ、外国人はライフルも持たずに前線に送られている、ジョージア軍団は拒否する者を射殺すると脅しているなど、次々と爆発的な主張を展開した。
 ヘフトのソーシャルメディアがキエフの宣伝広報活動を阻害していることが明らかになると、ウクライナの国家安全保障・防衛評議会は公式ツイッターで彼を非難し、このアメリカ人はロシアのプーチン大統領の手先だと烙印を押し、彼の写真の横に 「Made in Russia」という見出しをつけた。




 アメリカ人志願兵ヘンリー・ヘフト(Henry Hoeft)と他の志願兵たちは、少数の英国人志願兵たちの援助を受けてポーランドに密かに舞い戻りました。そして英国メディアの詳細なインタビューに応じました。
 それをヘフトが密かに録音してThe Grayzoneに提供しました。1時間に及ぶインタビューの中で、元志願兵たちは、ウクライナと連携した軍隊が行った残忍な行為(彼らはそれを実際目撃している)を詳細に説明しました。
 ウクライナ軍、とりわけネオナチの武装集団「アゾフ大隊」の残虐さは有名ですが、志願兵たちが目撃した残忍な行為を次のように語っています。

 検問所を通過しようとした2人の不運な市民についてヘフトが振り返っている。ウクライナ兵に車から引きずり降ろされ、建物の中に連れて行かれ、喉を切り裂かれたというエピソードを紹介した。
 彼らはウクライナ兵に車から引きずり降ろされ、「黒袋」に入れられ、建物の中に連れ込まれて喉をかき切られたのだという。「彼らが本当にスパイなのか、検問所を通り抜けただけなのか、さえ分からない」とヘフトは録音の中で言っている。
 ある英国人志願兵は、自分の部隊の敷地に迷い込んだ老人の話をした。「彼らはこの男を捕まえ、何だってやってのけた。老人は投げ飛ばされて、ずっと、体のあちこちを調べ回されたのさ。その後、あいつらが老人をどう処置するかはわかっている。」 


  このようにウクライナ軍が残忍なだけでなく、自国で残忍ぶりを発揮した人間をキエフ政権は平気で外国人傭兵として採用していたという。たとえば、次のような面々です。

① ヨアヒム・ファーホルム(Joachim Furholm)。ノルウェイのネオナチで銀行強盗犯。
② イーサン・ティリング(Ethan Tilling)。オーストラリアのネオナチ「右翼抵抗組織」の元メンバー。
③ アメリカの退役軍人クレイグ・ラング(Craig Lang)。彼はフロリダで男女カップルを陰惨に殺したことで告発されている。

 ヘフトとその仲間は、ちゃんとした武器と弾薬が与えられない限り、任地には行かないことにしました。そして外国人志願兵にまともな武器が届かない理由を知って、ヘフトはウクライナから脱出する決意をします。それを次のように語っています。

 The Grayzoneが以前報じたように、西側からウクライナへの武器輸送は、「史上最大かつ最速の武器輸送の一つ 」に相当するものだ。
 しかし、ウクライナでの自分の役割を「砲弾の餌食」と表現した外国人志願兵は、ヘフトだけではなかった。
 「俺の考えでは西側の装備のほとんどは、ウクライナ軍に直接渡っている」と、ヘフトはThe Grayzoneに語った。
 「あいつらは自国兵の犠牲を最小限に抑えたいんだ。だから、志願兵として来る外国人がたくさんいたら、まずその志願兵を前線に送るんだ。」
 しかし任地に行こうとしない自分たちをジョージア軍団が処刑し、その殺人を戦闘行為と偽る計画があると聞くと、ヘフトたちは急いで装備を整え、救急車の後ろに隠れ、まっすぐリヴィウに向かった。
 やがて、彼らはポーランドとの国境を越えて米国に戻った。




 アメリカに戻ったヘンリー・ヘフトは、GrayZoneにたいするインタビューを次のように締めくくっています。

 「俺はただ、みんながそのことを考慮し、ちゃんと知ってほしい。いいか、みんなはウクライナの兵士ではない。外国人戦闘員なんだ」と、ヘフトは強調した。「あいつらは外国人兵士であるみんなを真っ先に使うね」


 つまり、「ウクライナ軍は自国兵の犠牲を最小限に抑えたいんだ。だから、志願兵として来る外国人がたくさんいたら、まずその志願兵を前線に送るんだ。」
 しかし、ここでヘフトが言及していないもうひとつの事実があります。それは次のことです。

 ウクライナ軍の兵士がロシア軍との戦闘で捕虜になった場合、国際法にもとづいて「捕虜」として扱われ、命は保証される。
 しかし外国人傭兵は「志願兵」ですから、自分の意志で勝手にロシア軍の軍事行動を妨害しているわけですから、「捕虜」としては扱われず、場合によっては銃殺ということもありうる。
 だから外国人傭兵は、まさに文字通りの「砲弾の餌食」(cannon fodder)で、キエフ政権にとっては実に使い勝手の良い、つまり「使い捨ての道具」だったというわけである。欧米の世論では、「志願兵」は「ウクライナを救う英雄」だが、キエフ政権にとっては単なる「将棋の駒の『歩(ふ)』」にすぎない。



 以下の(5)はまだ翻訳が出ていないのですが、カナダの週刊誌では「世界の最高のスナイパー」としておおいに持てはやされたカナダ人志願兵‘Wali’ も、次の記事でヘンリー・ヘフト(Henry Hoeft)とほとんど同じことを語っています。

(5) Canadian sniper ‘disappointed’ with reality in Ukraine
「カナダ人狙撃手は『落胆した』、ウクライナでの現実に」
https://www.rt.com/search?q=Canadian+sniper(RT:May 7, 2022 )

 この記事の副題は「『ワリ』と呼ばれるカナダ人の元兵士が、ウクライナ軍の混乱、略奪、無能を訴えた」となっていましたが、これを読むだけで、ウクライナ軍の実態が目に浮かんでくるのではないでしょうか。
*A Canadian ex-soldier known as ‘Wali’ has alleged chaos, looting and incompetence in the Ukrainian military

 日本の大手メディアを読んでいる限りロシア軍の未来は非常に暗いのですが、このような事実を考えると、実状はむしろ逆ではないかと思われるのです。
 そのことは、ウクライナ南部マリウポリ市の製鉄所で「人間の盾」として幽閉されていたひとたちが、ロシア軍の設定した「人道回廊」を通じて解放され、ネオナチ軍「アゾフ大隊」の残酷な実態を語り始めたことでも分かります(記事6)。

(6)Top Western media outlet deletes video critical of Ukraine
「欧米のトップメディアがウクライナ批判動画を削除」
https://www.rt.com/russia/555093-spiegel-video-azovstal-mariupol/(RT;May 6, 2022)

 この記事(6)も、まだ翻訳が出ていないのですが、副題「ドイツの一流誌『シュピーゲル』が、アゾフスタル製鉄所から解放された避難民がウクライナ政権を批判するインタビュー記事を削除」だけで、およその内容が分かるはずです。
*Germany's Der Spiegel removes clip in which Azovstal evacuee criticized Ukraine

 今まで2ヶ月近くも製鉄所の地下で、アゾフ大隊に窮乏生活を強いられてきた老人・子ども・女性が、「民間人を釈放せよ」という世論に押されて、遂に解放されて「人間の盾」とされてきた実態を語り始めたのです。
 その生々しいインタビューをシュピーゲル誌が自分のサイトから削除せざるを得なくなったのは、今までロシアやプーチンを悪魔化してきた自分の報道姿勢に、よほど都合の悪い事実が含まれていたのでしょう。
 今までは「時の政府に対して論陣を張る、進歩的なメディア」「発行部数がヨーロッパで最も多いニュース週刊誌」とされてきたシュピーゲル誌ですが、アメリカのニューヨークタイムズ紙や日本の朝日新聞と同じく、政府の御用新聞・御用週刊誌と化しつつある現状をよく示しています。

「人間の盾」にされていたナタリア(Natalia Usmanova)さんが語った真実
製鉄所から解放された女性
https://www.rt.com/russia/555093-spiegel-video-azovstal-mariupol/



 実を言うと、私も今までは、日本の大手メディアによるロシアとプーチンの「悪魔化」を連日のように読まされたり聞かされたりしてきて、暗い気持ちに落ち込む毎日だったのですが、よくよく調べると意外に未来は明るいのではないかと思い始めました。
 ですから、研究所の研究員から届いたメールに応えて、ロシア軍の「特別作戦」が国際法違反ではないということも、ピッツバーグ大学法学部で国際法を教えるダニエル・コバリク教授とは違った視点で述べたいと思っていたのです。今回のブログは、そのことを改めて説明して、私の長い連載を終えたいと考えていました。
 が、気がついてみると既に十分に長くなりすぎています。で、今日はここで断念し、次回こそ完結できればと願っています。そもそもこの連載の出発点になったSさんのオンライン署名についても、次回で決着をつける予定です。私の連載を心待ちにしているかたも見えるようですが、どうかそれまでお待ちいただけると有り難いと思います。


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狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

Author:狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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