ウォール街を占拠せよ(下)― 「仕事」を失って、代わりに得たのは「占拠」だった! "Lost my Job, Found an Occupation."

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音楽と動画1 (約1分半) 「胸を衝くプラカードの標語」 ”Sign Language”
http://vimeo.com/30221816

音楽と動画2(約2分半) 「俺たちは99%」 "We Are The 99 Percent"
http://vimeo.com/29511960

 
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<註> 以下では、英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねていますので、時間のない方は飛ばして読んでください。

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前回のブログで紹介しましたが、ニューヨークで勢いを増している「ウォール街を占拠せよ」運動に、5日、労働組合と学生が加わり、米国史上で最大規模になりました。フォーリー広場から(「リバティ広場」と呼ばれるようになった)ズコッティ公園まで、数万人がデモ行進を行いました。

"Occupy" Protests Grow Across the U.S., Reported Gatherings in 847 Cities
http://www.democracynow.org/2011/10/7/headlines

Parallel actions inspired by New York City's "Occupy Wall Street" continue to spring up across the United States. As of Friday morning, the website "Occupy Together," a hub for nationwide events in solidarity with "Occupy Wall Street" reported gatherings in 847 cities.

参加者の要求は多様ですが、共通しているのは「我々99%の民衆は、1%の超富裕層による『ワシントンDC(米国政府)の占拠』を許さない」という点で共通していました。それはニューヨークを越えて全米847都市に広がっています。

この水曜日の運動は翌日の首都ワシントンDCにおける自由広場(Freedom Plaza)を占拠する運動(the "October 2011" protest)に合流しています。全国から続々とワシントンDCに駆けつけましたが、カンザスから参加した女性のプラカードには次のように書かれていて注目を浴びました。

"Lost my job, found an occupation."
「仕事」を失って、代わりに得たのは「占拠」!
http://www.democracynow.org/2011/10/7/headlines

On Thursday, activists kicked off the "October 2011" protest by occupying Freedom Plaza in Washington, D.C. As in New York City, demonstrators have come to D.C. from across the country, and some are taking part in their first-ever political demonstration. One woman who traveled from Kansas held a sign that read: "Lost my job, found an occupation."

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我々99%の民衆の声を聞け!!


この「ウォール街を占拠せよ」デモ行進に対し、運輸労働者組合(TWU)、全米看護師連合(National Nurses United)、サービス従業員国際連合( SEIU 1199支部)、ニューヨーク教員連盟(the United Federation of Teachers)などを含む複数の労働者組合が一緒になって支持を表明しています。

"We Have Come Together": Inspired By Occupy Wall Street, Unions Join Activists for Historic March
http://www.democracynow.org/2011/10/6/we_have_come_together_inspired_by

5日のデモで、大きな部分を占めていたのは学生でした。教育予算削減に抗議し、「ウォール街を占拠せよ」への支持を表明するため、「全国学生授業ボイコットの日」が実施されました。ウェブサイトのOccupyColleges.orgによると、ニューヨーク市の多くの学校をはじめ、全米の75校でボイコットが行われました。

"We Have Come Together": Inspired By Occupy Wall Street, Unions Join Activists for Historic March
http://www.democracynow.org/2011/10/6/we_have_come_together_inspired_by

しかし、この集会で特徴的だったのは、組織労働者と大学生が手を取り合ってニューヨークを行進していたことです。というのは、かつて41年前、ベトナム反戦運動が全米で展開されたとき、ブルーカラーの労働者たちは、大学で繰り広げられた徴兵拒否の運動に対して「愛国心を忘れたお坊ちゃん学生の野郎どもがアメリカを敗北に導いている」として激しい敵意を燃やし、肉体的暴力をふるったこともあったからです。

つまり皮肉なことに、「1%の貪欲なウォール街の住人」が、かつて敵対していた労働者と学生を団結に導いたのです。DemocracyNow!で、エミー・グッドマン(Amy Goodman)と一緒に協同司会者を務めているフアン・ゴンザレス(Juan Gonzalez)は、5日づけ のNY Daily News紙で、それを次の記事で詳しく説明しています

Once Enemies, Now They March Together: Organized Labor Expected to Join Wall Street Protest
http://www.nydailynews.com/ny_local/2011/10/05/2011-10-05_once_enemies_now_they_march.html#ixzz1ZwD8R4q6

Organized labor will serve notice today on the bankers and the politicians that the young protesters of Occupy Wall Street speak for millions. The labor rally will signal just how far unions have come since that infamous day 41 years ago, when bands of construction workers rampaged through the Financial District and City Hall.

ヘルメットをかぶった肉体労働者たちが金融街と市役所前で暴れ回った、あの41年前の不名誉な日から、「なんと遠くに来たもんだ」"how far unions have come since that infamous day !" と、フアン・ゴンザレスは感慨深げに語っています。

日本でもそんな日が来るのでしょうか。(しかし、そんな日が来るということは日本も末期的状態になるということで、考えてみれば恐ろしいことです。)
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上記のゴンザレスの記事で、もう一つ興味深かったことは、バックパックと寝袋を持って、カタソークア、 ペンシルベニア州(Catasauqua, Pa)からニューヨーク 「LibertyPlaza」 にやって来た20歳の若者たち (Colin Muth & Taylor Anderson)の言ったことばでした。

彼らは「貧富の格差を埋めるためにここに来た」「授業料が払えなくて公立短大(community college)を退学せざるを得なかった」「ここに来たのは、どうしたら占拠できるのか、その方法を学んで、自分の街でも占拠できるようにしたいからだ」と言っています。

もっと驚いたことは、「家を出る前に両親に「占拠」のことを言ってここに来たのか」という質問に対して、「もちろん」「行って勉強してこい、と親父は言った」と答えていたことでした。

There was, for instance, the wide-eyed couple newly arrived yesterday from Catasauqua, Pa. Colin Muth and Taylor Anderson, both 20, were clutching backpacks and sleeping blankets under their arms.

"We came because we've got to do something to reduce the wealth gap," Muth said. "I had to drop out of community college because I can't afford it," Anderson said. "We're here to learn how this is done so we can go back home and occupy Bethlehem.

"Did they tell their parents before they left home? "Sure," Muth said. "And my dad said, 'Go for it.'"
http://www.nydailynews.com/ny_local/2011/10/05/2011-10-05_once_enemies_now_they_march.html#ixzz1ZwD8R4q6

米国の公立短大(community college)は4年制の州立大学よりも授業料が安いのです。私がカリフォルニア州立大学で日本語を教えていたとき、そこの外国語学部長でさえ、「自分の息子をまず地元の公立短大(community college)に入れ、そこを卒業させてから名門バークレー校に3年生編入させた方が安くつく」と言っていたので、驚いたことがあります。

しかし今では、その安い公立短大(community college)の授業料すら払えない家庭が増えていることを、このことは示しています。

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ウォール街が引き起こした米国流経営の破綻=「金融崩壊」と「公的資金による "1%"(Wall Street)の救済」は、米国だけでなく全世界に壊滅的打撃を与えましたが、IMFによる破綻回避政策は、庶民を路上に放り出すもので、事態をさらに悪化させる役割しか果たしていません。

チリでもギリシャでも怒りに駆られた学生・労働者・民衆が、「アラブの春」や「ウォール街を占拠せよ」運動に刺激を受け、大挙して街頭に出ています。

チリでは、公教育の破壊に抗議する多くの学生にたいする厳しい弾圧で、この何ヶ月間も緊張状態が強まる一方でしたが、木曜日、首都サンチャゴでは、数万の学生たちが、高圧放水砲や催涙弾をものともせず、広場を目指して行進しました。

Clashes Erupt as Thousands of Chilean Students Protest
http://www.democracynow.org/2011/10/7/headlines

The stand-off over public education in Chile has intensified with the largest police crackdown on massive student protests in months. On Thursday, police used water cannons and tear gas in an attempt to remove protesters from a main plaza in the capital, Santiago. Tens of thousands of students had marched to the plaza after talks broke down with the Chilean government.

ギリシャでは250万人を擁する二大労組が全土を覆う「24時間のゼネラルストライキ」を呼びかけて、汽車・学校・裁判所などが機能停止という展開になっています。病院も緊急要員に頼らざるを得ない状態です。

Greeks Stage General Strike Over Austerity Cuts
http://www.democracynow.org/2011/10/5/headlines

In Greece, tens of thousands of people have begun a 24-hour general strike in response to deeply unpopular austerity cuts. Trains, schools and courthouses have been crippled by the mass walkout, while hospitals have been forced to rely on emergency staffing. International travel has been halted and public transportation slowed down. The strike was called by Greece's two main labor unions, which represent some 2.5 million workers.

IMFによって押しつけられた財政緊縮政策(首切り、賃金削減、福祉と教育の切り捨てなど)に対する、民衆の怒りの大きさがよく伝わってきます。「元々は米国の摩訶不思議な金融商品を、政府・財界が騙されて買った結果として起きた財政難なのに、それをなぜ庶民が払わなければならないのか」という怒りです。

日本でも、政府・電力会社・大手メディアによって、庶民が騙されて原発賛成に追い込まれたのに、「復興税」と称して、そのツケを庶民が払われようとしているのですから、事情は全く同じです。その怒りが「9.16の6万人集会」になったわけですが、このような1回だけの大集会では、電力会社や野田内閣はびくともしないでしょう。彼らは皆の熱が冷めるのを待っているだけですから。

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<参考> ニューヨークのSouth Bronxを拠点に活動している、兄弟の ヒップホップデュオ=レベル・ディアス(REBEL DIAZ)は、5日のLower Manhattanでの「ウォール街を占拠せよ」に参加しました。彼らは、「占拠」の中心地であるズコッティ広場(LibertyPlaza)に向かってBroadwayを歩きながら、全米に広まりつつある運動についてつくった曲「俺たちは99%」を披露してくれました。


WE THE 99 PERCENT(動画2分半)
http://www.democracynow.org/2011/10/6/bronx_hip_hop_duo_rebel_diaz
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