Global OCCUPY Movement (5) :オークランドで10万人のゼネラル・ストライキ! BANKS BAILED OUT, WE SOLD OUT ! (銀行は救済され、俺たちは売り飛ばされた)―「銀行も“法人”ならば、なぜヒトとして刑務所に放り込まないのか」


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<註> 以下では、英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねていますので、時間のない方は飛ばして読んでください。

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先のブログで、カリフォルニア州オークランドで「11月2日にゼネラル・ストライキを!」という呼びかけがなされたことを紹介しました。

これは、オークランドの「占拠運動」に参加していた24歳のイラク戦争退役軍人スコット・オルセンが警官に頭蓋骨を打ち砕かれたことをきっかけに、一挙に盛り上がった動きでした。

オークランドは全米5番目の交通量を誇る商業港で、かつて1946年に2日間にわたって10万人もの労働者がゼネストに参加し、全米を揺るがしたところとして有名ですが、それ以来はじめてのゼネストになりました。

当時のゼネストは、港湾労働者などの組合を中心としておこなわれましたが、今回は組織を持たない「占拠運動」の若者が1000人以上による「全員参加の総会」=「水平的直接民主主義」の場で決議され呼びかけられたという意味で、歴史上かつてないゼネストとなりました。

当日の参加者は、全米で5番目に大きい港を操業停止に追い込むほどの参加者となり、警察発表では4500人でしたが、地元のサンフランシスコ・クロニクル紙は10万人と報じました。この運動の世話人KAT BROOKSも「小高い丘から後を振り向くと、ひと、ひと。ひとの洪水だった」と述べています。

KAT BROOKS: I've heard ranges from 20,000 all the way up to 100,000 people were here. All I know is that when I hit the hill for the bridge, I looked back, and all I could see was floods and floods and floods and floods of people chanting and marching.
http://www.democracynow.org/2011/11/3/video_report_from_streets_of_oakland

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今回のゼネストでは、銀行、企業、学校、図書館を休業させ、ストに参加する労働者を懲戒する企業があればそこにもピケを張る計画でしたが、多くの企業は自主的に休業し、市の教師の2割近くが職場を放棄しました。

参加した幼稚園の教師は "Bail out the schools, not the banks."「銀行を救うのではなく学校を救え!」というプラカードを掲げて行進し、「来年は5つの学校が閉鎖される。このような状態が続けば、生徒はまともな教育が受けられなくなる」と言っています。

最近の米国では、"a school-to-prison pipeline”(学校・刑務所パイプライン)ということばが流行りだしていますが、このような「教育予算の切り捨て」「教員の大量首切り」を許せば、学校をドロップアウトする生徒があとを断たないということになりかねません。

(今でもカリフォルニアの刑務所では、過密状態の環境改善を求めるハンガーストライキが続出しています。)

そもそも市役所近くの広場(Oscar Grant Plaza)を埋め尽くすほどの若者が毎日そこでテント生活をしているということ自体が、いかに米国で失業状態が深刻であるかを示しています。

EMILY BEAN: My sign says, "Bail out the schools, not the banks." OUSD is a struggling district. I currently have 24 children in my classroom. They're closing down five public schools next year. That means we're going to have a huge influx of students. It can be up to 27 in the classrooms. This is not feasible to meet the needs of our youth. We're really setting our kids up to fail. There's a school-to-prison pipeline, and I see it happening. I see it happening under these conditions.

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#OccupyOakland General STRIKE!
たった6分程度の動画ですが当日の雰囲気がよく分かります。背景音楽も軽快です。

http://www.youtube.com/watch?v=qfxsb_KJgFs&feature=share

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ゼネラルストライキの参加者が、かつて1946年のゼネストに匹敵する参加者にふくれあがったのは、それだけ社会的不公正にたいする民衆の怒りが沸騰点に達するほど高まっていたからでしょう。

ですから、労働組合が正式にスト決議をしなくても、若者による「全員総会」の決議と呼びかけで、これだけの人数が集まったのだと考えられます。かといって組合の支援がなかったわけではありません。

前回のブログでも紹介したように、オークランドの教職員組合the Oakland Educational Association、港湾労働者の組合the International Longshore and Warehouse Union、サービス業労働組合SEIU (Service Employees International Union) のオークランド支部Local 1021も、ゼネスト支持を表明し、組合員に自主的参加を呼びかけました。

自営業の店主は当日は休業しましたし、オークランド市当局も休暇を取ってゼネストに参加することを認めています。次の市長選挙を考えれば、市長も市民の要求を無視するわけにはいかなかったのでしょう。

もっとも、これに対しては警察官の組合はオークランドの市長に公開状を送り、「市の職員にスト参加を認め、他方で我々に取り締まりを命ずるとは何ごとか。市長の意図が分からない。我々に混乱をもたらすだけだ」と抗議しました。

Occupy Oakland Prepares for General Strike as War Veterans Organize Day of Action at Occupy Camps
http://www.democracynow.org/2011/11/2/occupy_oakland_prepares_for_general_strike

Meanwhile, the city's police union has slammed Oakland Mayor Jean Quan for handling of the protests. In an open letter, the police union write, quote, "Is it the city's intention to have city employees on both sides of a skirmish line? It is all very confusing to us," the police wrote.

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以前に紹介したように、ニューヨーク市長ブルームバーグは占拠している若者の強制的排除を諦めましたし、ロンドンのセント・ポール大聖堂前の占拠も、教会当局とロンドン市当局は共に、強制的排除を取り下げることを明言したばかりです。

London: St. Paul's Cathedral Drops Plans to Evict Encamped Protesters
http://www.democracynow.org/2011/11/2/headlines#8

またニューヨーク州オルバニーでも、警察が独自の判断で、占拠している若者の排除を拒否しています。ですから、オークランド警察組合も「市長は我々を混乱させている」などと言わずに、自分たち独自の判断で暴力の行使をやめればよかったのです。

オルバニーの警察が知事や市長の命令を断った理由を、ある警官は次のように述べています。

「公園を占拠している若者たちは誰にも迷惑をかけていない。警官の仕事は秩序を維持することだ。それを俺たちは知っているが、知事や市長はそれを知らないんだ」

Albany Police Defy New York Governor and Refuse to Arrest Protesters
http://www.democracynow.org/2011/10/25/headlines#3

In Albany, New York, protesters are continuing to camp across the street from the New York State Capitol. On Sunday, local police refused to remove the protesters from the park in defiance of Gov. Andrew Cuomo and the city's mayor. One police official said, "These people were not causing trouble. The bottom line is the police know policing, not the governor and not the mayor."

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ところで当日のニューヨーク市では、「戦争に反対するイラク帰還兵の会」のメンバーたちが軍服に身を包んで、マンハッタン南東端のVietnam Veterans Plaza(ベトナム帰還兵顕彰公園)からウォールストリート占拠運動の中心地Zuccotti Park(いわゆる「自由広場」)までデモ行進しました。

そしてニューヨーク証券取引所の前では、軍隊に入隊したときの「合州国憲法を守る」という誓いを改めて強調した宣言文を読み上げました。そして、だからこそ「占拠運動」を支持するのだと、自分たちの立場を明らかにしました。

帰還兵の多くは、「この行進に参加したのは、海兵隊員だったスコット・オルセンが、オークランド警官の発射した催涙ガス弾で瀕死の重傷を負ったことに、大きな衝撃を受けたからだ」と語っています。

また、この行進に参加したイラク帰還兵のひとりは、米国が自分たちにたいしていかにに冷酷であったかを次のように述べています。

「帰国してみたら、きちんとした医療も受けられず、仕事の世話もしてもらえなかった。帰国したら与えられることになっていた奨学金もなかった。これでは娘を養っていけないし大学も卒業できない。だから俺は、皆と一緒にここに来て、経済的な公正さを求めて、皆のために行進しているんだ」

Veterans March for Occupy Movement in New York City
http://www.democracynow.org/2011/11/3/headlines#4

Eli Wright, Iraq War veteran: "Veterans are coming home and finding that we don't have access to proper medical care, we don't have access to jobs. We're having a difficult time getting the educational benefits that we were promised and that we served for. So, you know, I'm worried about how I'm going to feed my daughter and how I'm going to put her through college. So I'm basically here with everybody else, marching for economic justice for all of us."

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イラク帰還兵の状況は、ベトナム戦争時の帰還兵が受けた仕打ちとそっくりであることに驚かされます。彼らは次のようにも述べています。

「帰還兵たちもまた99%であることは明らかだ。俺たちも軍を離れると失業とホームレスの問題に直面する。だから、また軍隊にもどって人殺しをせざるを得なくなったり、警官になって99%の弾圧部隊にさせられるんだ」

オークランド警察の場合、彼らは「俺たちを混乱させるな」という公開の手紙を市長に送りましたが、それは、帰還兵オルセンを瀕死の重傷に追い込んだだけに、自分たちの罪を簡単に認めたくなかったのかも知れません。

しかし自分たちも、ウォール街が引き起こした金融危機の被害者(99%のひとり)だという認識に至れば、逮捕すべきは「金融危機の被害者」ではなく、「金融危機を引き起こした張本人」だということに突然、気づくかも知れません。

オークランド・ゼネスト参加者の一人が「企業も“法人”ならば、なぜ彼らもヒトとして牢屋に入れないか」というプラカードを持っていましたが、まさに名言と言うべきでしょう。

日本の場合も全く同じで、日本中に放射能被害を撒き散らし、多くの人を自主避難に追い込み、今も原子炉を収束させるため下請け労働者に過酷な被曝労働を強いているにもかかわらず、東電も幹部も、誰一人として牢屋に入れられていません。

(それどころか「被害者への補償金」と称して莫大な金額を政府に請求しています。これは私たちの税金ですから、被害を受けた国民が自分で自分に支払っていることになります。)
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ところでオークランドのゼネストは、当日の集会と行進は大成功に終わりましたが、残念ながら夜には、再び警官が野営地を襲って多くの逮捕者を出しました。「参加者のなかに器物破損など乱暴狼藉をはたらいたものがいる」という口実でした。

しかしFBIなどが、「デモ参加者のふりをして高級品店のショウウインドウを打ち壊して歩く小集団」を潜り込ませておくやり方は、今までにもよくあることでしたから、オークランドの場合も、事実を注意深く調べる必要があるでしょう。

下記の動画は、11月2日のゼネストのようすを、始まりから終わりまで丁寧に追いかけたすばらしいビデオです。上記の暴力問題についてもふれた含蓄あるコメントで締めくくられています。

Occupy Oakland General Strike (約14分)
日本山妙法寺のお坊さんたちが座る込んでいる姿までも収録されています。

http://www.youtube.com/watch?v=8_FKGD9R5N4

下記の標語(スローガン)は、上の動画のなかで見つけたプラカードの一部です。一人一人が、段ボールでつくった手作りのプラカードに、実に個性的なメッセージを発信していることにも感心させられました。

BANKS got BAILED Out, WE got SOLD Out!
LOVE your BROTHER, DUMP your BANK.

この“BANK”という文字を“TEPCO”という文字(東京電力)に置き換えれば、そのまま日本に当てはまるのではないでしょうか。

それにしても今やすべてのひとがマイケル・ムーアですね。若者たちの映像と音楽を編集する能力、その素晴らしさに、ただ脱帽するのみです。

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<追記> 次の動画はゼネストのようすを、地元の独立放送局KPFAが取材し、簡潔かつ見事にまとめたものです。それをDemocracy Now!が放映しました。

既に紹介したものと全く違った場面・違った参加者の姿を知ることができますので、英語が分からなくても、映像だけで当日のようすを楽しむことができるはずです。

たった5分程度のものですから、時間のある方は、これもぜひ見てください。

First General Strike in Oakland Since 1946 Shuts Down Major Port(約5分)
http://www.democracynow.org/2011/11/3/video_report_from_streets_of_oakland
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