軍事都市化するアメリカ、「シアトルを占拠せよ」で催涙ガスを浴びせられた84歳の女性、OWS開始から3ヶ月目、11月17日は全国一斉行動日

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動画 (約1分):催涙ガスを浴びせられた84歳の女性


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11月17日は「ウォール街を占拠せよ」の開始から3ヶ月目を記念する全国行動の日でした。抗議運動の人々は、午前9時30分のNY証券取引所の営業開始を阻止しようと、金融街の数か所に向かうデモをおこないました。

労働運動の組織者たちは、国のインフラへの予算増額の必要性を強調するキャンペーンの一環として、全国各地の数十の橋で抗議行動を計画しています。

というのは、アメリカでは道路はデコボコのまま放置されていますし、全国の老朽化した橋もいつ崩落するか分からない状態だからです(アリアナ・ハフィントン『誰が中流を殺すのか:アメリカが第三世界に堕ちる日』阪急コミュニケーションズ、2011)。

ポートランドではスティール橋が、シアトルではモントレイク橋が、首都ワシントンではKey Bridgeが、ニューヨークではブルックリン橋などが目標となり、ブルックリン橋では32000人という、かつてない巨大な行進・占拠となりました。

しかし、アメリカ全土で軍事化した警察が平和的なデモ・集会に猛威を振るい、大量の逮捕者を出しています。警棒に頭を打たれ、血だらけの若者を(救急車に乗せるのではなく)刑務所へと連行していく映像が耳目を集めました。

かつてリビアやエジプトで展開され、いまシリアでおこなわれている暴行には厳しい非難を浴びせているオバマ政権が、このような事態を放置していることは信じがたいことです。同じことが中国でおこなわれたら、日本の大手メディアはどう報道するのでしょうか。

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前回のブログで、ニューヨーク警察は今のところ「リバティ・プラザ」の野営地を強制撤去することに踏み切っていないと伝えましたが、その記事を載せた直後の15日、早朝 1時頃、ブルームバーグ市長は、ついに強硬手段に訴えました。

ですから、11月17日(木)の「全国一斉行動日」は野営地を警官が破壊してから2日目にあたっていました。しかし200人を超える逮捕者が出たにもかかわらず、「リバティ・プラザ」は、あっという間に抗議の人々で再び埋め尽くされました。

ところで、ニューヨークで「リバティ・プラザ」が警官に襲われた11月15日(火)は、シアトルでも警察の目に余る暴行が全米のメディアの注目を集めた日でもありました。その中でも特に全世界を駆けめぐった一枚の写真があります。

それは、84歳の女性ドーリ・レイニーが、顔面に唐辛子スプレーを浴びせかけられ、助けに駆けつけた二人に抱きかかえられている写真でした。彼女の顔には、刺激性の化学物質とその治療液(牛乳の液)があごからしたたり落ちていました。

16日、シアトル市長はこれを謝罪しましたが、催涙ガスを浴びせられたレイニーの写真はあっという間に全米に流れ、「エジプトやリビアの抗議運動を褒めそやしながら国内では弾圧する」というアメリカの偽善性を全世界に暴露することになりました。

「シアトルを占拠せよ」の抗議運動オーガナイザーの話では、牧師1名と妊娠中のティーンエイジャー1名も15日夜に催涙スプレーを浴びたそうですが、私はこの運動に若者だけでなく牧師や10代の少女、そして84歳の女性が参加していることに驚くと同時に大きな感動をおぼえました。

84-Year-Old Dorli Rainey, Pepper-Sprayed at Occupy Seattle, Denounces "Worsening" Police Crackdowns
http://www.democracynow.org/2011/11/17/84_year_old_dorli_rainey_pepper

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上記で紹介した84歳のレイニーは「問題は警察の暴行だけではありません。警察の態度がどんどん、悪化していることです」と語っていますが、元シアトルの警察長官だったノーム・スタンパー氏も同じ意見を述べています。

彼はかつて1999年に、WTOに抗議する巨大な抗議運動がおこなわれたとき、これにたいする弾圧の陣頭指揮をした人物ですが、今は当時の行動を厳しく反省すると同時に、麻薬を合法化する運動の先頭にも立っています。

というのは、麻薬の厳しい取り締まり(いわゆる「麻薬戦争」)は、麻薬犯罪を減らすどころか、貧困な黒人を大量に刑務所に送り込み、民営化された刑務所ビジネスを繁盛させることにしか役立っていないからです。

そのスタンパー氏は、次のように述べています。

「日夜すばらしい仕事をしている、わけのわかった有能な警官は大勢います。他方、『悪徳警官』と呼ばれる連中もいます。どちらにも共通しているのは、彼らが腐った制度・構造をいわば「占拠」していることです。準軍事化した官僚制度です」。

さらに上記の分析に付けくわえて、スティーブン・グラハム氏(Cities Under Siege: The New Military Urbanism『包囲された都市:新軍事都市計画』の著者)は、次のように指摘しています。

「嘘をついてしか戦争ができなくなってきた軍事産業は、“市民運動を弾圧する武器を製造・販売する”という新しいビジネスを始めようとして、警察の軍事化に手を貸している」

彼によれば、エジプトなど中東で独裁政権が民衆を弾圧するときに大もうけをしているのも、このような軍事産業だと指摘しています。

Paramilitary Policing of Occupy Wall Street
http://www.democracynow.org/2011/11/17/paramilitary_policing_of_occupy_wall_street

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同じような警察の軍事化、厳しい弾圧ぶりは、ニューヨーク「リバティ・プラザ」の野営地を強制撤去するときにも、あちこちで目撃されています。

そのようすを、15日早朝の「野営地」強制撤去を聞いて、警察の暴行を監視するため慌てて現場に駆けつけた、元ニューヨーク最高裁判所判事カレン・スミス女史は、次のように語っています。

「私は逮捕された人たちの名前を記すために現場にいました。そこに立っているとアフリカ系アメリカ人の女性が警官のところにいき、こう言いました。『どうしても公園の中にはいりたい。娘が中にいるんです。娘の安否を知りたいんです』 すると警官は、『立ち止まるな』と言い、警棒で押しのけようとしました。」

「女性は泣いていました。すると警官は突然、何の理由もなく、彼女を地面に押し倒し、頭を殴り始めました。私はかけつけて、『この人が何か悪いことをしたのなら手錠をかければいいでしょう。こんなことをする必要はありません』。すると彼は『逮捕されたいのか?』と言いました」

「そこで私は、(かぶっていた法律家協会監視員の帽子を見せて)、『この帽子を見て。私は法務オブザーザーとしてここにいるのですよ』 。ところがその警官は、『逮捕されたいんだな?』と言い、私を壁に押しつけたのです」。

Paramilitary Policing of Occupy Wall Street: Excessive Use of Force amidst the New Military Urbanism
http://www.democracynow.org/2011/11/17/paramilitary_policing_of_occupy_wall_street

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チュニジアに始まった民衆蜂起はエジプトに伝播し、スペイン、イタリア、ギリシャを経て、アメリカにたどり着きました。

そして今度はニューヨーク「ズコッティ公園」を拠点とした運動が、全米に広がっただけでなく、その運動が逆に世界を励ます震源地になりつつあります。

だからこそG20やAPECに集う「1%」のひとたちは、この事態を放置するわけにはいかず、総力をあげた弾圧に乗り出したのでしょう。

その震源地の鼓動をいっそう高らかに世界に響かせようと、世界各地から(哲学者スラボイ・ジジェクなど)著名人が次々と野営地を訪れています。

先日11月16日も、インド人の著名な作家アルダティ・ロイがニューヨークを訪れ、Washington Square ParkのJudson Memorial Church で次のように講演しました。

「世界で最強の企業の横暴に立ち向かっているこの占拠運動に、世界中の貧しい人々が合流しています。アメリカという帝国の胸元で民衆がこのような運動を造り出すとは、ほとんど誰も想像だにしなかったことでした」

日本でも経産省前でテント村の活動が続いていますが、ニューヨークの熱い鼓動は、必ずやテント村に集う人々の胸に届いているものと信じています。
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National Day of Action Kicks Off Third Month of OWS
http://www.democracynow.org/2011/11/17/headlines#0

On Wednesday, the Indian author and activist Arundhati Roy addressed Occupy Wall Street protesters at the Judson Memorial Church in Washington Square Park.
  Arundhati Roy: "The Occupy movement has joined thousands of other resistance movements all over the world in which the poorest of people are standing up and stopping the richest corporations in their tracks. Few of us dreamed that we would see you, the people of the United States, on our side, trying to do this in the heart of empire."
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