貧困大国アメリカ(1) タイム誌「今年のひと」『抗議者』、ニューヨーク「路上生活者」が4万人に! アメリカの約半数(1億4千640万人)が「貧困層」に転落!!

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"The Protester" as "2011 Person of the Year"

  
                             Food Not Bombs!!
                             Food Is A Right – Not A Privilege!
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<註> 以下では英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねていますので、時間のない方は飛ばして読んでください。
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Howard Zinn &Anthony Arnove『Voices of a People's History of the United States』(仮名『肉声で綴る民衆のアメリカ史』明石書店)の翻訳・再校の原稿を、やっと出版社におくることができました。

この1ヶ月は土日を返上して校正に没頭していたので、ゆっくりブログに割く時間がまったく取れませんでした。

11月いっぱいに再校を送る予定だったので、12月に入ってからは、昼飯はおにぎりをほおばりながら休憩なし、夜も寝るのが1時、2時になることがあたりまえになってしまいました。おかげで再校を送り返したら、3日間、寝込んでしまいました。

今やっと、このブログを書く元気が出てきましたが、体がまだ本調子になっていませんし、退職直後の心臓手術の傷も寒くなるとまだ疼くので、今回のブログも、簡単なものにならざるを得ません。どうかお許しください。

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雑誌TIMEは年末恒例として「今年のひと」Person of the Yearを選んで表紙を飾ることにしていますが、今年は特定の人物を選ばずに、「抗議者」"The Protester" にしたようです。

Time Anoints "The Protester" as "2011 Person of the Year"
http://www.democracynow.org/2011/12/15/headlines

Time Magazine has chosen "The Protester" for its vaunted annual "2011 Person of the Year." Time Magazine editor Jim Frederick said the choice reflected the growth of people’s movements from Tunisia to Tahrir Square to Occupy Wall Street.

編集長のJim Frederick氏は、その理由を次のように語っています。

「この20~25年間、アメリカでは政治を変革する実行可能な方法として『抗議』PROTESTが眼に見えるかたちで存在してこなかったが、今年になって突然、降って湧いたように世界中が大量の抗議者で埋め尽くされた。しかも抗議の参加者が若者だけでなくあらゆる世代にわたっている。」

「チュニジア、エジプトでは政権が倒され、それが中東全体に広がり、スペイン、イタリア、ギリシャ、ロンドン、ウォール街を経て、今ではロシアにまで広がっている。『抗議』PROTEST(という「非暴力直接行動の運動様式」)が、今や民衆が政治的力を取り戻す一つの方法となった。」

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Time Anoints "The Protester" as "2011 Person of the Year"
http://www.democracynow.org/2011/12/15/headlines

Jim Frederick: "Time chose the protester, the global protester, as Time's '2011 Person of the Year,' because for the past 20, 25 years, almost a full generation, protest had stopped being a really viable way to change the political order, and then suddenly, almost out of nowhere, all across the globe, you have global, mass market protests that—you know, we're two regimes down and counting. Whether it's in Russia and London, Wall Street and all across the Middle East, suddenly the protest has become one of the ways that people are actually taking back political power."

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しかし、タイム誌が言及していない重要な事実があります。

それは「新自由主義経済」というアメリカ流経済運営が世界中に貧富の格差を広げ、それが世界中の怒りを掻き立てただけでなく、アメリカ社会そのものをも崩壊させつつあるということです。

下記の記事は、その貧困ぶりを如実に示しています。なんとニューヨークでは路上生活者(ホームレス)4万人の記録を達成(!?)したというのです。

New York Homeless Population Reaches New High
http://www.democracynow.org/2011/11/10/headlines#11
And this latest news, the homeless numbers in New York have reached their highest ever. More than 40,000 people are homeless in New York City.

この路上生活者がズコッティ・パーク(Liberty Plaza)にテントを張って「俺たちに人間らしい生活を!」と要求すると、警察が襲ってきてテントを引きはがし、もう一度「路上生活者」に復帰(!?)させるのですから、なんと恐ろしい冷酷きわまりない社会=国家でしょう。

上記の記事は11月10日(木)のものですが、もっと恐ろしい記事が最近(2011/12/16)のDemocracy Now!に載りました。それによれば、アメリカの人口の約半分が「貧困層」に転落したというのです。

Nearly Half of Americans Below Poverty Line or Low-Income
http://www.democracynow.org/2011/12/16/headlines

この記事によれば、"low income" 「低所得」のひとは9730万人、"below the poverty line"「貧困ライン」以下は4910万人で、合計1億4640万人が「貧困層」です。

アメリカの人口は約3億人ですから、半分近くが「貧困層」に転落していることになります。これは2009年の統計からすると、「貧困層」が400万人も増加したことになります。

さらに驚いたことには、全国の市長会で問題になったことは、2010年9月から2011年8月の1年間で、29の市のうち4つを除いて、全ての市で「食べ物の緊急援助」が増加していることでした。

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Nearly Half of Americans Below Poverty Line or Low-Income
http://www.democracynow.org/2011/12/16/headlines

New figures show hunger, poverty and economic decline are increasing at record levels across the United States.
  The Census Bureau reports nearly half of Americans have either fallen below the poverty line or are classified under the category of "low income."
  The number of low-income residents is at 97.3 million, coupled with 49.1 million in poverty, for a total of 146.4 million. The figure marks an increase of four million over 2009.
  Meanwhile, the U.S. Conference of Mayors reports all but four of 29 major cities saw an increase in requests for emergency food assistance between September 2010 and August 2011.

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アメリカのOccupy WS Movement「Wall Street 占拠運動」は、"They Are 1%, We Are 99%."を合い言葉にしながら、 "They Are Bailed Out, We Are Sold Out."「奴らは救済されているのに、俺らは売り飛ばされている」という現実を鋭く追及してきました。

世界経済を破綻に導いた金融街、それを支配する超富裕層だけが救済されているのに、貧困層はまったく放置されたままという現状に、我慢ができなくなってアメリカ全土で民衆蜂起が広がったのでした。

この運動の中で、すでにアメリカ全土で5000人以上が逮捕されているのに、経済を破綻に導いた張本人は誰一人として逮捕されていません。

それどころか、救済された超富裕層は、自分たちの給料を激増させています。しかも「金持ち減税」で、税金すらも大幅に免除されています。

ガーディアン紙によると、一般民衆は(仕事を失っていないひとでも)給料は下がる一方なのに、トップエリートの給料は昨年と比べて25-40%も増加しているのです。

CEO Pay Sees Major Increase
http://www.democracynow.org/2011/12/15/headlines

As American wages fail to keep up with inflation, a new survey shows the nation's top CEOs have received massive pay increases. According to The Guardian, the country's leading executives enjoyed pay increases of between 27 and 40 percent last year.

このような矛盾の典型例がフロリダ州オーランド市(ディズニーワールドがあることで有名)でも起きています。

何と!オーランドでは、路上生活者に無料の食料を配ったという理由で「テロリスト」呼ばわりされ、逮捕されるという事件が起きているのです。

Feeding Resistance: Food Not Bombs Members Arrested in Orlando for Serving Meals Without a Permit
http://www.democracynow.org/2011/6/24/feeding_resistance_food_not_bombs_members


http://orlandofoodnotbombs.org/

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フロリダ州中部は不況の影響が大きく、個人破産と住宅の差し押さえが米国でももっとも多発しています。フロリダ州オーランド市も、その例外ではありません。

ところが、そのオーランド市では、数週間で20名以上が逮捕されました。お腹を空かせた人々に公園で無料の食事を配ったというのが逮捕の理由でした。

炊き出しを行った団体「フード・ノット・ボム」を、市長が「テロリスト」と呼んだことが広く報道されました(「食物テロリスト」呼ばわりされて逮捕されるとは、血も涙もない街ではありませんか)。

このFood Not Bombs!!「フード・ノット・ボム」(爆弾より食べ物を!!)は国際的な反戦市民団体で、戦争や貧困や環境破壊に抗議するため、世界の千以上の都市で食事を無料で提供しています。「毎日10億以上の人々が飢えているのに、戦争に使うお金がどこにあるのか」と彼らは言います。

Food Not Bombs!! オーランド支部は、イオラ湖公園で毎週2回の炊き出しを行なっていました。ところがオーランド市は新たな条令を定め、25人以上の集団への食事の提供を許可制にし、一団体につき年2回までを上限にしました。

すでに2回の許可を使いきってしまった「フード・ノット・ボム」の活動家は、条例を無視して炊き出しをしたため逮捕されたというわけです。

詳しくは以下の動画を御覧ください。日本語字幕付きで6分ほどのものですから、見るのにあまり負担にならないと思います。

「食物テロリスト」の出現?公園の炊き出しを取り締まるオーランド市
放送日: 2011/6/24(金)、再生時間: 6分
http://democracynow.jp/video/20110624-4

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日本でも経済破綻の旗振り役だった某教授が、一時は影を潜めていたにもかかわらず、今では再び大きな顔をしてテレビに出ていますし、野田政権も、元の累進課税に戻せば財源はいくらでも出てくるのに、消費税という民衆課税[=金持ち減税]で税収を増やそうとしています。

福島原発事故についても、政府は事故収束に向けた工程表の「ステップ2」「冷温停止状態」が終了したと宣言しました。そして子どもや妊婦を避難させるどころか、高濃度の汚染地帯に住民を帰そうとしています。これは一種の「殺人行為」ではないでしょうか。

私は以前のブログで、「国家は国民を守らない」にもかかわらず、日本人は「歌を忘れたカナリア」「怒りを忘れた日本人」になっているのではないか、と書きました。

アメリカでは、Occupy Movement が原子炉施設を「占拠」するまでに発展し、11名が逮捕されたのですが、驚いたのは、そのなかに92歳の女性までいたことでした。

Anti-Nuclear Activists Invoke Occupy Tactics in Vermont Demonstration; 11 Arrested
http://www.democracynow.org/2011/12/13/headlines

「アラブの春」や「占拠運動」に学んで、私たちも、もっと怒りを行動で表現することが大切なのではないでしょうか。

タイム誌の "Person of the Year" 「今年のひと」で、"The Protester" 「抗議者」が選ばれたことは、改めてそのことを教えてくれているように思います。

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<註1> バーモント州では、州として「廃炉」を決めているにもかかわらず、原子力企業Entergy=Vermont Yankeeは州の「廃炉」決定に従おうとしません。
 怒った市民が「「占拠」(企業幹部の「市民逮捕」a citizens' arrest)に乗り出したのですが、何と逮捕されたのは市民の方でした!!92歳のお婆さんも逮捕された一人でした。

Anti-Nuclear Activists Invoke Occupy Tactics in Vermont Demonstration; 11 Arrested
http://www.democracynow.org/2011/12/13/headlines

Eleven anti-nuclear activists were arrested in Brattleboro, Vermont, Monday after attempting to make a citizens' arrest of the board and officers of Entergy, operator of the Vermont Yankee nuclear power plant.
  Inside the offices of Entergy, the 11 women briefly did an Occupy-style "mic check" to read the citizens' arrest warrant. Among those arrested was Frances Crowe, a 92-year-old activist from Northampton, Massachusetts.

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<註2> 先に、ニューヨークで4万人の路上生活者(ホームレス)が生まれていることを紹介しましたが、怒ったニューヨーク市民が差し押さえられた空き家を「占拠」するという、新しいOccupy Movement "Occupy Our Homes," を始めました。
 日本でも「年越し派遣村」を設営するよりも、市営住宅の空き室や「空き家」を開放させる運動をした方が、はるかに良いように思うのです。空き家のままだと家の傷みも急速に進行するのですから、そのほうがよほど良いのではないでしょうか。

Occupy Wall Street Activists Take Over Foreclosed Homes
http://www.democracynow.org/2011/12/7/headlines#2

The Occupy Wall Street movement has launched a new effort to reclaim foreclosed homes from bailed-out banks.
  On Tuesday, activists staged a national day of action dubbed "Occupy Our Homes," partnering with displaced families to return to homes lost to foreclosure. In New York City, hundreds of people toured a Brooklyn neighborhood beset with vacant homes.

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