さらなる戦争への道程か?イランの核科学者暗殺と新たな経済制裁が、「世界終末時計」の針を、「運命の日」に向けて、さらに1分すすめることになった!!

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[動画] Democracy is Coming to the USA
[歌詞が分からなくても、「やっとアメリカにも民主主義が届き始めた?」を暗示する音楽と映像で、十分に楽しめると思います。][7分]

  
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前回のブログを書いてから、もう10日も経とうとしています。翻訳の再校を終えたので、これでやっとブログや研究会の仕事に復帰できるかと思っていたら、出版担当の方からいろいろな質問が次々と届き、その対応に追われていたら、あっという間に日時がすぎてしまいました。

そして今日、索引づくりの材料が宅急便でドカッと届いたので、このままではブログを書けなくなってしまうと考え、いまパソコンに向かい始めたところです。書きたいことは山積しているのですが、時間が取れません。無理すると病気が再発しそうなので、用心しながら進む以外にありません。

また書きたいことも、野田内閣が消費税増税を目指して「まっしぐら」だったり、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報が原発事故のあとすぐアメリカには届けられたにもかかわらず「肝心の地元民には被曝したあとでしかなかった」ことが暴露されたりで、国内問題についてもふれたいことは多いのですが、以下は国外問題だけにさせていただきます。

[福島原発事故の直後に、アメリカは半径50マイル(80キロメートル)圏内にいる在日アメリカ人に緊急避難勧告を出しましたが、これは上記のSPEEDIによる情報をもとにしたものかも知れません。]

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* 一般読者の皆さんへ: 以下では英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねています。時間のない方は飛ばして読んでください。
* 英語教師の皆さんへ: 授業における会話ブーム(しかも覚えてもすぐ忘れる)のおかげで、生徒どころか英語教師の「読む力」も大きな落ち込みを見せています。この英文記事が「読む力」の回復に少しでも役立てば幸いです。
* 教育研究者の皆さんへ: 最近わたしは、英語を学ぶ目的の一つは、アメリカの実像を知り日本を「第二のアメリカ」にしないことにある、と考えるようになりました。以下は、今まであまりにも「虚像のアメリカ」を教えてきた私の反省が込められています。
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前回のブログで私は次のように書きました。

<・・・これを読むと、「イランが核兵器をつくろうとしているという理由で新しい経済制裁に乗り出す」と書かれています。イランの金融機関が機能しないように追い込むというのです。イランはそれに対抗してHormuz海峡を封鎖して石油タンカーの出入りを封ずると言っているようです。しかし、そんなことをすればアメリカの思う壺で、それを口実に爆撃されることは目に見えています。>

日本はアメリカの要請に応えて早速イランから石油輸入を取りやめるという方針を決めたようですが、前回のブログでも紹介したように、アメリカの著名なジャーナリストであるセイモア・ハーシュは次のように自国アメリカのイラン政策を手厳しく批判しています。

「イラクに大量破壊兵器がなかったのと同じように、イランが核兵器開発を進めている事実はない。イラク戦争のプロバガンダがイラン核戦争で再利用されている。」

詳しくは次の記事をお読みください。

Seymour Hersh: Propaganda Used Ahead of Iraq War Is Now Being Reused over Iran's Nuke Program
http://www.democracynow.org/2011/11/21/seymour_hersh_propaganda_used_ahead_of

とこで、かつてブッシュ大統領が「悪の枢軸」としてイラク・イラン・北朝鮮をあげ、ブッシュ大統領はネオコンと呼ばれる側近たちの戦略にしたがって、その手始めとして「大量破壊兵器」を口実にイラク侵略に乗り出しました。

ところが最近、暴露された記事によると、ウェズリー・クラーク元陸軍大将は9.11同時多発テロから数週間後、ペンタゴン職員から次のような事実を知らされたと回想しています。

「当時の国防長官ラムズフェルドが、イラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダンそしてイランの体制を5年以内に変革する計画の概要を記したメモを配布していた。」

アメリカに愛想が尽きてブラジルに移住したグレン・グリーンウォルドは、世界的にも有名なブロガーとして今も活発な言論活動を続けていますが、その彼は、上記の事実を受けて、次のようにアメリカの外交政策を糾弾しています。

「ラムズフェルドたちのいわゆるネオコンが、政権を交代させようと計画していた7か国のリストを見ていくと、民主党政権になって新保守主義運動は政界から姿を消したはずなのに、オバマ大統領がやっていることを見ているかぎり、実際には“イスラム世界の体制大変革”というネオコンの夢が、ほぼ果たされたことがよくわかる。」

詳しくは下記のグレン・グリーンウォルドにたいするインタビューを読んでください。

Glenn Greenwald: Is Obama Fulfilling the Neocon Dream of Mass Regime Change in Muslim World?
http://www.democracynow.org/2011/11/28/glenn_greenwald_is_obama_fulfilling_the

要するにブッシュ氏が「悪の枢軸」の一つに北朝鮮をあげたのは、これを付けくわえないと、最初から石油の宝庫であるイスラム世界の転覆が目標であることを、あまりにも露骨に暴露することになってしまうからでした。

ところが日本は相変わらず、このアメリカの戦略に従って自衛隊を派遣し、莫大な金をソマリアやスーダンに注ぎ込もうとしているのです。イラクに注ぎ込んだお金も全くの無駄遣いでしたが(現在の内乱状態を考えてみてください)、今回も同じことを繰り返すのでしょうか。

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さて、前回のブログで私は次のようにも書きました。

<戦争が起きるときはいつも国内に問題を抱えているときです。アメリカも今は国民の半数が貧困層に転落し、Occupy Movementが全土に広がっていますから、外に新しい敵をつくり、国民の関心を外に拡散させねばなりません。ですから、イラン戦争勃発の可能性は決して小さくないと思っています。>

これを書いた三日後に、イランの原子核物理学者が暗殺されるという事件が起きました。これを報じたDemocracyNow!(2012/01/12)の記事によると、イランの核物理学者が殺されたのは、この数年で5人目であることが分かります。

Iran Urges U.N. to Condemn Assassination of Nuclear Scientis
http://www.democracynow.org/2012/1/12/headlines#3
  Iran is urging the United Nations to condemn Wednesday's assassination of another Iranian nuclear scientist. Iran described the attack as "cruel, inhumane and criminal acts of terrorism."
  Mostafa Ahmadi Roshan became the fifth Iranian nuclear scientist assassinated in recent years. Iran blamed Israel and the United States for the attack.

しかし、その前日の記事では、もっと恐ろしいことが書かれていました。

これによると、核物理学者 Mostafa Ahmadi Roshan が殺されたのは、彼の車に取り付けられた磁気爆弾 a magnetic bomb によるもので、しかもこの事件を受けて、イスラエルの将校 Benny Gantz は、「イランは、もっと“不可解な”事件が起きることを覚悟すべきだ」と述べているのです。

Iranian Nuclear Scientist Killed in Bombing
http://www.democracynow.org/2012/1/11/headlines#9
  The scientist, Mostafa Ahmadi Roshan, was reportedly killed by a magnetic bomb placed on his car. ... On Tuesday, Lieutenant General Benny Gantz, Israel's military chief of staff, said Iran should expect more "unnatural" events this year.

誰が下手人かを自ら公言しているのと同じではありませんか。イランはイスラエルとアメリカを名指して非難すると同時に、国連に暗殺を非難するよう糾弾しましたが当然のことでしょう。

こんなことを放置していたら、誰がどこで何をしても許されることになってしまいます。北朝鮮が何かをすればすぐ糾弾されるのに、アメリカやイスラエルが何をしても黙認されるというのでは、世界に秩序というのものがなくなってしまいます。

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Iranian Nuclear Scientist Killed in Bombing
http://www.democracynow.org/2012/1/11/headlines#9
  The Iranian government says a nuclear scientist involved in its uranium enrichment program has been killed by assassins in Tehran. The scientist, Mostafa Ahmadi Roshan, was reportedly killed by a magnetic bomb placed on his car.
  He would be the latest Iranian scientist to be killed in a series of similar incidents. As in previous instances, Iran blamed the attack on what it called "[foreign] government-sponsored terrorism."
   On Tuesday, Lieutenant General Benny Gantz, Israel's military chief of staff, said Iran should expect more "unnatural" events this year.
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先にイスラエルの将校が「イランは、もっと“不可解な”事件が起きることを覚悟すべきだ」と述べていることを紹介しましたが、これに関連した興味深い記事がDemocracy Now!(2012/01/13)に載っていました。

Report: U.S. Uses Secret Channel to Warn Iran Strait Closure a "Red Line"
http://www.democracynow.org/2012/1/13/headlines#2
According to the New York Times, the U.S. has communicated to Khamenei closure of the straight would be a "red line" that would elicit a U.S. response.

この記事によると、アメリカは裏のルート "secret channel" を使ってイランの最高権力者と接触し、ホルムズ海峡の封鎖をすれば不測の事態 "red line" が起きることを覚悟しろ、と警告したというのです。

しかし、セイモア・ハーシュの言っていることが正しければ、そもそも存在しない「核開発」を理由に経済制裁に乗り出したのはアメリカの方ですから、非常に理不尽な話です(かつて「大量破壊兵器など存在しない」と主張していたのも、アメリカ人の国連査察官スコット・リッターでした)。

しかし、それよりもっと「語るに落ちる」話が上記の記事には書かれていました。それによると、国防長官Leon Panettaは、「誰がやったか心当たりはある。しかし、この暗殺にアメリカが関わっていないことだけは確かだ」と言ったというのです。

Report: U.S. Uses Secret Channel to Warn Iran Strait Closure a "Red Line"
http://www.democracynow.org/2012/1/13/headlines#2
"... We have some ideas as to who might be involved, but we don't know exactly who was involved. But I can tell you one thing: the United States was not involved in that kind of effort. "

しかし、アメリカはパキスタンの主権と領空を侵犯してビンラディンを暗殺していますし、身の危険を感じてイエメンに移住したアメリカ人説教師を「テロリスト」の容疑で暗殺していますから(その父親は「息子がテロリストだという証拠を見せろ」と裁判に訴えていました)、「同類、相憐れむ」の関係とも言えるわけです。

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Report: U.S. Uses Secret Channel to Warn Iran Strait Closure a "Red Line"
http://www.democracynow.org/2012/1/13/headlines#2
  The Obama administration has reportedly used a "secret channel" to directly warn Iran's supreme leader, Ayatollah Ali Khamenei, against closing the Strait of Hormuz. According to the New York Times, the U.S. has communicated to Khamenei closure of the straight would be a "red line" that would elicit a U.S. response.
  Iran has threatened to block the Strait in response to harsher international sanctions or in the event of a military attack from the U.S. or Israel. The U.S. warning to Iran comes just days after an Iranian nuclear scientist was assassinated, the latest in a string of similar attacks.
  On Thursday, Defense Secretary Leon Panetta denied U.S. involvement.
Defense Secretary Leon Panetta: "We were not involved in any way, in any way, with regards to the assassination that took place there. I'm not sure who was involved. We have some ideas as to who might be involved, but we don't know exactly who was involved. But I can tell you one thing: the United States was not involved in that kind of effort. That's not—that's not what the United States does."
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しかし、ここで問題なのは、アメリカがイスラエルが暗殺したことを暗に認めていることよりも、アメリカやイスラエルの行為が、イランを核武装や戦争行為に追い込むために、一層の圧力をかけることになっている、ということではないでしょうか。

このことを、全国イラン系アメリカ人協議会(the National Iranian American Council)の代表トリタ・パルシ氏は次のように述べています。

「イランの核兵器が危険だとして、その危機感をあおることで、ある程度まではイランの核開発能力を縮めることができるだろう。しかし、それは同時に“核兵器を持たないと、イスラエルやアメリカから攻撃される”という危機感をあおることなり、イランの核抑止力への願望を助長することにもなる。」

A Path to War? Assassination of Iran Nuclear Scientist, New Sanctions Strain U.S.-Iran Relations
http://www.democracynow.org/2012/1/12/a_path_to_war_assassination_of
"If we are increasing the sense of threat, we may be able to prevent [the Iranians'] capabilities to a certain extent, but we're also increasing their desire for the nuclear deterrent. At some point, that desire will overcome the obstacles. In essence, you cannot threaten a country into feeling secure."

チョムスキーも「アメリカのイラク侵攻が世界に与えた教訓とは、核兵器または大量破壊兵器を持っていないと自分もイラクのようにやられる、ということだった。これを最もよく学んだのは恐らく北朝鮮だった」と述べています。

つまり、イスラエルやアメリカが今おこなっていることは、核戦争への一里塚だということです。

これを証明しているのが、イランの核物理学者が暗殺されたその日に、Doomsday Clock(世界終末時計)の針が、終末に向かって更に「1分」進められたことでした。それによれば、今は終末まで「5分前」になったとのことです。

Nuclear "Doomsday" Clock Moves Closer to Midnight
http://www.democracynow.org/2012/1/11/headlines#9
  The Bulletin of the Atomic Scientists is warning the world is moving closer to nuclear doom. On Tuesday, the group moved its symbolic Doomsday Clock one minute closer to midnight.
  Allison Macfarlane: "Now, time to announce the Doomsday Clock, and it is now five minutes to midnight.



この「世界終末時計」は、日本への原子爆弾投下から2年後、冷戦時代の1947年に、アメリカの原子力科学者団体が発行している隔月刊誌Bulletin of the Atomic Scientists 『原子力科学者会報』の表紙絵として誕生したものです。

核戦争などによる人類滅亡(終末)を午前零時になぞらえ、その終末までの残り時間を「零時まであと何分」という形で象徴的に示す時計で、「運命の日」の時計あるいは単に終末時計とも言われています。

いまイスラエルとアメリカは、自分の国の危機的状況を「イランを危険な国に仕立て上げる」ことによって乗り切ろうとしています [戦争のつくり方は、アンヌ・モレリ『戦争プロパガンダ 10の法則』草思社、を参照してください]

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しかし、いまアメリカで面白い現象が起きています。というのは、オバマ氏を支えている民主党ですら言わないことを、共和党の大統領候補が言い始めているからです。

その一つは、共和党の大統領選予備選でトップに躍り出たミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事が、相手候補から「企業を食い物にして雇用を破壊する"ハゲタカ”だ」と攻撃され始めていることです。

これは、燎原の火の如くアメリカ全土に広がったOccupy Wall Street Movement の成果だと言うべきでしょう。

もう一つは、ブッシュを支持するタカ派だったはずの共和党から、「バカな戦争政策をやめろ。兵士を帰国させろ。イランに手を出すな」と声を上げる候補が善戦していることです。

Ron Paul: "They're Building Up for War Against Iran"
http://www.democracynow.org/2012/1/17/headlines

昨日のDemocracyNow!(2012/01/17)によれば、テキサス州選出の下院議員ロン・ポール氏は、激しい調子で次のように演説していました。

「外交政策を議論してはならないなどというのは、もう一つ別の戦争を始めたいからだ。これは war mongering(戦争挑発)政策だ。要するに新たな戦争、イランにたいする戦争を着々と準備しているということだ。国民はそんなことを待ってもいないし望んでもいない。この国に必要なのは現在の戦地から撤退すること、もう一つの戦争ではなく兵士を故国に連れ戻すことだ。いま必要なのは、国を立て直すためのお金であって、戦争に使うお金ではない。」

ところが日本政府は、アメリカの言いつけに従って自衛隊を海外に派遣したり、イランにたいする経済制裁に賛成し中東の緊張を高めることだけに執心している、ようにみえます。いまの日本にそんなことをしている時間的ゆとりや金銭的ゆとりが、どこにあるというのでしょうか。
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Ron Paul: "They're Building Up for War Against Iran"
http://www.democracynow.org/2012/1/17/headlines
  Texas Rep. Ron Paul reiterated his call to end the war in Afghanistan and bring the troops home. "This idea that we can't debate foreign policy, then all we have to do is start another war. I mean, it's war mongering. They're building up for another war against Iran, and people can't wait to get in another war. This country doesn't need another war; we need to quit the ones we're in. We need to save the money and bring our troops home."

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狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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