国際機関=IAEA(国際原子力機関)がイラン核科学者暗殺の手引き!? そして再び、ピュリツァー賞に輝く記者セイモア・ハーシュの告発

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ボブ・ディラン 「戦争の親玉」 カバー版
[ここに出てくるブッシュ氏をオバマ大統領に読み替えてイメージしてください。彼のやっていることは前任者と全く変わりません(むしろ悪くなっています)ので]



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最近、東北地方だけでなく、山梨県富士五湖周辺で地震が群発しています。これが首都直下型地震や東南海地震に連動するのではないか、と心配です。

もし、そんなことにでもなれば、停止している浜岡原発が日本を壊滅状態に追い込むことになりかねません。黒澤明の映画『夢―赤富士』の世界が、現実の世界として出現するでしょう。

にもかかわらず原発再稼働をいまだに諦めきれない勢力が暗躍していることは信じられません。

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それはともかく、前回のブログを書いてから、またもや10日があっと言う間に過ぎてしまいました。毎日、Voices of a People's History of the United States『肉声でつづる民衆のアメリカ史』の索引づくりに追われています。

本書の学習運動・朗読運動が、アメリカの "Occupy Movement" の土台をつくることに、裏で大きく貢献したのですから、その運動の渦中で亡くなったハワード・ジンの遺志を生かすためにも安易な索引にしたくないと思っています。

しかし、そうこうしているうちにブログで伝えておきたいと思っていたことが、時間と共に私の記憶から消えて行きそうですので、覚えているうちにそれを以下に記します。メモ風になってしまいますが、お許しください。

(本書 "Voices of a People's History of the United States" を全国の劇場・公共施設で、アメリカ一流の俳優に "Dramatic Reading" してもらう運動は、"Reading Theater" Movement と呼ばれています。)

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* 一般読者の皆さんへ: 以下では英文をたくさん引用してあります。しかし半分は自分のメモを兼ねています。時間のない方は飛ばして読んでください。
* 英語教師の皆さんへ: 授業における会話ブーム(しかも覚えてもすぐ忘れる)のおかげで、生徒どころか英語教師の「読む力」も大きな落ち込みを見せています。この英文記事が「読む力」の回復に少しでも役立てば幸いです。
* 教育研究者の皆さんへ: 最近わたしは、英語を学ぶ目的の一つは、アメリカの実像を知り日本を「第二のアメリカ」にしないことにある、と考えるようになりました。以下は、今まであまりにも「虚像のアメリカ」を教えてきた私の反省が込められています。
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国内では相変わらず消費税の引き上げ攻撃が続いていますから、これが日本再生にとっていかに有害無益かについても書きたいのですが、ここでは前回に引き続き、イラン問題とそれにかかわる中東情勢について、気になることを紹介するにとどめます。

イランの核科学者の暗殺が続いていることは既に紹介しましたが、その直後のDemocracy Now!(2012/01/20)を視聴していて真っ先に眼に飛び込んできたのが、次の記事でした。

これを読むと、暗殺に役立つ情報を提供していたのが国連の組織(IAEA)である疑いがあるというのです。

Iran: Scientist Assassins May Have Used U.N. Info
http://www.democracynow.org/2012/1/20/headlines
  At the United Nations, Iranian Ambassador Mohammad Khazaee said Iran believes the scientist may have been killed with information supplied by the United Nations.

IAEA(国際原子力機関)の事務局長が、エジプト人のアルバラダイ氏から日本人の天野氏に替わってから、イラン情勢の雲行きが急速に怪しくなってきました。

福島原発事故について原発維持という日本政府寄りの報告書を作成してきたIAEAですが、今回もまた同じ役割を果たそうとするのでしょうか。国連大使Mohammad Khazaee: は次のように語っています。

「国連から漏らされた情報、とくにIAEAがイランの核施設を査察した際に得た施設の情報や科学者の情報が、暗殺に大きな役割をはたした疑いが強い。なぜなら暗殺された核科学者Ahmadi-Roshanは最近、IAEAの査察官と会ったばかりだ。」

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Iran: Scientist Assassins May Have Used U.N. Info
http://www.democracynow.org/2012/1/20/headlines

  "There is high suspicions that these terrorist circles used the intelligence obtained from United Nation bodies, including the sanction list of the Security Council and interviews carried out by IAEA [International Atomic Energy Agency] with our nuclear scientists, to identify and carry out their malicious acts.
  The late Ahmadi-Roshan had recently met with IAEA inspectors, a fact that indicates that these U.N. agencies may have played a role in leaking information on Iran’s nuclear facilities and scientist."
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もちろん、このイランの主張をそのまま鵜呑みにするわけにはいきません。

しかし、前々回のブログ紹介したウィキリークス情報でも、天野氏が2010年12月、米国のIAEA担当大使に対し、「高官人事からイランの核兵器開発疑惑まで、あらゆる戦略的な重要決定について、断固として米側に立つ」と表明しているのですから、イラン情報を一考する価値は十分あるように思います。

(ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツ氏によれば、WTOやIMFといった国際機関も、一貫してアメリカの言いなりになってきたことは、歴然とした事実です。氏は、米財務省やIMFと対立したため、2000年1月に世界銀行の上級副総裁を辞任しました。詳しくは『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』[徳間書店, 2002年]を御覧ください)

そもそも、IAEAに加盟して査察も受け入れているイランが敵視されて、その一方で核兵器を所有していることが明確であるにもかかわらずIAEAの査察を受け入れていないイスラエルが野放しになっていることことも不可解な話です(今度の暗殺でもイスラエルの特殊部隊「モサド」が大きな役割を果たしたのではないかと疑われています)。

ベトナム戦争時の「ミライ村、虐殺事件」を暴いて世界的に有名になった調査記者セイモア・ハーシュが、雑誌『ニューヨーカー』のブログで次のように述べていることも、前々回のブログで紹介しましたが、そのことを考慮に入れると、IAEAの動きも監視する必要があるように思うのです。

「IAEAの最新報告書やオバマ氏の言動には何の根拠もない。これはイランを爆撃するためのためのプロパガンダだ。」

Seymour Hersh: Propaganda Used Ahead of Iraq War Is Now Being Reused over Iran’s Nuke
http://www.democracynow.org/2011/11/21/seymour_hersh_propaganda_used_ahead_of

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ピュリツァー賞に輝くニューヨーカー誌の調査報道ジャーナリスト、セイモア・ハーシュ氏による上記の記事が載ったのは、2011年11月21日でしたが、彼はその半年近くも前に(2011年6月6日)、おなじことを既に繰り返して述べていました。

Iran and the Bomb: How Real is the Nuclear Threat?
http://www.newyorker.com/reporting/2011/06/06/110606fa_fact_hersh

この記事によれば、米国政府はありもしない核兵器開発疑惑を煽り立ててイランを叩こうと一生懸命ですが、アラブ世界の各地に民衆蜂起が吹き荒れるなか、むしろ注意すべきはサウジアラビアだと氏は言います。「この専制的な神権国家は、アラブの春に対して心底おびえ、反革命に走っている」

例えば隣国のバーレーンはペルシャ湾岸の小さな島国ですが、ここではスンニ派の政府が住民の多数を占めるシーア派にひどい弾圧を加えていますが、同じようにシーア派住民を弾圧しているサウジはバーレーン政府の弾圧を支援しています。バーレーンに第五艦隊の基地をおく米国も、弾圧は見てみぬふりです。

この番組で、さらにハーシュ記者は次のように述べています。

「イラクやアフガンで米軍に砲撃され、多くの記者を殺されても勇気ある報道を続けてきたことで知られる『アルジャジーラ』ですら、バーレーンについては報道できない。バーレーンでは、死傷者を救おうとした多くの医師団や看護婦たちまでもが、牢獄に拘束されている。」

「エジプトではムバラク元大統領がついに裁判にかけられることになり、湾岸諸国の治世者たちはどこもパニック状態だ。砂漠の民ベドウィンから巨大な石油コンビナートの所有者に成り上がった支配層は、独裁権力を手放すまいと必死だ。」

「彼らは湾岸協力会議(GCC)という、国外の敵ではなく国内の反体制派に対する防衛のための地域協力機構をつくっている。こんな状況から米国民の目をそらせるには、イランの脅威は格好の材料だ。米国はいつまで無意味なイラン制裁を続けるのだろうか。」

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<註> ハーシュ記者の報告については、詳しくは以下のURLで、字幕付きの動画((2011年6月6日、13分)を見てください。
http://democracynow.jp/video/20110603-2

なお、この動画はセイモア・ハーシュによる下記の記事(2011年6月3日)の続きです。時間のある方は、これもぜひ見て欲しいと思います。セイモア・ハーシュ氏の独特な語り口も魅力的です。

「イランの核兵器開発疑惑は米国の諜報機関によって否定されている」(字幕つき13分)
http://democracynow.jp/video/20110603-1

英語の原文は下記
Seymour Hersh: Despite Intelligence Rejecting Iran as Nuclear Threat, U.S. Could Be Headed for Iraq Redux
http://www.democracynow.org/2011/6/3/seymour_hersh_despite_intelligence_rejecting_iran

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上記でハーシュ記者が述べているとおり、サウジはバーレーン政府の弾圧を支援しています。これは隣国イエメンについても同じで、サウジは長年にわたって民衆を弾圧してきたイエメンの独裁者サレハ大統領を支援してきました。

これはアメリカの後ろ盾によって可能になってきたものですが、驚いたことにオバマ大統領は、この独裁者サレハ大統領に、「治療を口実にしたアメリカ入国」を許可しました。

U.S. Allows for Yemen's Saleh to Enter United States
http://www.democracynow.org/2012/1/23/headlines
  The U.S. State Department has granted a visa to Yemeni president and longtime U.S. ally Ali Abdullah Saleh to enter the United States to seek medical treatment.

これたいして、史上最年少のノーベル平和賞受賞者として有名になったイエメンの女性人権活動家タワックル・カルマンさん(32)を初めとして、イエメン民衆はアメリカに強く抗議しています。

U.S. Allows for Yemen's Saleh to Enter United States
http://www.democracynow.org/2012/1/23/headlines
  Thousands of Yemenis protested on Sunday, calling on Saleh to be put on trial for the killing of hundreds of demonstrators over the past year.

国連も、シリアの弾圧は強い調子で非難しているのに、イエメンやバーレーンについて言及することは、ほとんどありません。事務総長は韓国出身のバン・キムン(潘基文)ですが、今の韓国もアメリカべったりですから、彼も同じ歩調を取っているのでしょうか。

これに堪りかねたのか、国際人権団体Human Rights Watch は、「アメリカや国際世論は、真の民主主義をつくりあげるために立ち上がった『アラブの春』を、もっと支援すべきだ」という声明を発表しました。

Human Rights Watch Urges Nations to Support Arab Spring Protesters
http://www.democracynow.org/2012/1/23/headlines
  Human Rights Watch is urging the United States and other nations to do more to support the rights of Arab Spring protesters to build real democracies in the Middle East.
Human Rights Watch is urging the United States and other nations to do more to support the rights of Arab Spring protesters to build real democracies in the Middle East.

要するにアメリカやEUは、表向きは民主化支持を表明しているが、自分たちの利害が絡んでいるので、本音は民主化支援を渋っているというのです。

Human Rights Watch「人権監視」の事務局長 Kenneth Roth氏は、「民主主義を取るのか独裁者を取るのか、態度・価値観をハッキリしろ」と述べています。

(この言葉は、常にアメリカの側に言いなりになって自衛隊を海外に派遣し、血税を無駄にしてきた日本政府にも、向けられているのではないでしょうか。)
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<註1> フランスが主導し、アメリカが支援したリビア空爆の内幕も、下記のブログで始めて知りました。

5ヶ月も続く不思議なNATO軍のリビア空爆
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/77c268ac2ad1eb5a3b23ae891ddd89b4

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<註2> また、NATOに支援されて民主化したはずのリビアで、拷問がおこなわれていることも知っておくべきでしょう。国連人権高等弁務官(The U.N. High Commissioner for Human Rights)による報告です。詳しくは下記を御覧ください。

U.N.: Interim Libyan Gov't Torturing Prisoners
http://www.democracynow.org/2012/1/26/headlines#6

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<註3> アメリカが、西アフリカのリベリア共和国の大統領だったCharles Taylor(今は戦争犯罪で国際刑事裁判所に告発されている)を支援していたことが、先日(2012年1月20日)のDemocracyNow!で暴露されました。しかも、この大統領はCIAのAgentだったというのですから、二重の驚きです。

U.S. Confirms Liberian Leader Worked for CIA
http://www.democracynow.org/2012/1/20/headli
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