脱原発の前に立ちはだかる三つの壁 ー やはり日本も、イスラエル、パキスタン、アフガニスタンと同格の、アメリカの属国だったのか!?
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代々木公園を埋め尽くした空前の17万人!

出典:レイバーネット日本
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昨7月16日の「さようなら原発10万人集会」は、目標の10万人をこえた巨大な盛り上がり(17~20万人)を見せて終わりました。そのようすは下記のサイトで詳しく見ることができます。
レイバーネット日本
http://www.labornetjp.org/
OurPlanet-TV
http://www.ourplanet-tv.org/
当日は都合で東京の集会に参加できなかったひとも少なくなかったと思います。しかし上記のサイトを家族で視聴すること、その見た感想を周りのひとに伝え合うことも一つの参加の仕方ではないでしょうか。
私は上記の映像のなかで、OurPlanet-TVに載せられていた武藤類子さんの訴え(7分)が最も胸に響きました。
動画(7分) 武藤類子さん(福島県三春町)の訴え
http://www.youtube.com/watch?v=LvjU5wKcMvI
俳優・山本太郎氏の語りもさすがと思いましたので、時間がある方は空撮実況中継(60分)も見ていただければと思います。時間がない方は下記の縮約版をどうぞ。
動画(2分) 山本太郎氏の空撮実況中継、縮約版
http://www.youtube.com/watch?v=YBeaTplNGBo&feature=related
今や脱原発運動は大きなうねりをもって動きだし、さまざまな独立メデイアも活発な活動を展開するようになりました。
ですから、私のブログ「百々峰だより」ごときが脱原発のために果たす役割もあまり意義あるものとは思えなくなってきました。
また私自身も『肉声でつづる民衆のアメリカ史』の翻訳出版の疲れが出て今もあまり体調が良くありません。
そこで今後は元々の主旨であった英語教育や国際理解(とりわけアメリカ理解)のほうに徐々に重点を移していきたいと思っています。
しかし原発問題の、他の人があまり言及していないことについては、やはりどうしても書いておきたいことがありますので、それだけは書いたうえで次の段階に移行したいと思っています。
今後の抗議運動については下記のような便利なサイトがありますので、ぜひそれを御活用ください。
脱原発デモ集会の開催情報
http://www47.atwiki.jp/demomatome/
───────────────────────────────────────
私の予測では、7月16日の「さようなら原発10万人集会」が目標の10万人をはるかに超える巨大な盛り上がり見せたとしても、この動きが今後も持続し加速しないかぎり、野田政権は脱原発の方向へ動き出すことは、当面ないでしょう。
というのは私の推測=仮説では、原発を裏で推進している勢力は次の三つであり、野田首相はこの裏勢力が担ぎ出した単なる御神輿(おみこし)に過ぎないからです。
第1勢力:平和憲法を改悪し(仮想敵国として中国・北朝鮮の脅威を煽り立てながら)日本を核大国=軍事大国にしたいと思っている政治家その他
第2勢力:原発を輸出することによって巨大な利益を得ようとしている巨大企業(これは同時に日本を兵器輸出ができる国にしたいと思っている勢力です)
第3勢力:「原子力ルネサンス」というスローガンを掲げながら、ブッシュ氏ですらやらなかった原子力産業に乗り出したアメリカ=オバマ政権
今の私には、この三つの勢力について全面的に分析・紹介する気力・体力がありませんので、以下では、第3勢力のアメリカについて若干の事実を紹介するにとどめたいと思います。
────────────────────────────────────────
もともと原発は巨大な費用がかかるうえに、いったん事故が起こればその補償額も天文学的なものになります。
ですから民間企業にとって原発は全く儲からない産業です。それゆえ1979年のスリーマイル島の事故以来、米国では新規の原発の建設はほとんどありませんでした
しかし、オバマ政権になってから、「原発ルネサンス」と呼ばれる建設ラッシュが始まりました。気候変動対策を口実にして、クリーンなエネルギーとしての原子力発電を再評価しようというのです。
ところが原発事故が起きても政府が原子力産業を支えてくれるというのですから、アメリカの大企業も原発産業におおいに乗り気になってきたところに、福島原発事故が起きました。おかげで、この「原発ルネサンス」も吹き飛ばされそうな雲行きになってきました。
日本が「おおい原発」の再稼働をやめれば、「原発とはそんな危険なものだったのか!」ということで、オバマ氏が推進しようとしている「原発ルネサンス」政策も吹き飛んでしまうからです。
ですからオバマ氏が野田政権の尻をたたき、裏で必死にネジを巻いていることは、おそらく間違いないでしょう。だからこそ、消費者運動の旗手ラルフ・ネーダーに言わせれば、「ここからが私たちの踏ん張りどころ」です。
http://www.democracynow.org/2011/3/18/why_are_we_playing_russian_roulette
ネーダー氏は、「原発利権はそう簡単には退散しない。確実に息の根をとめるように、黙ってみているのではなく行動せよ」と、米国民だけでなく私たち日本人にも呼びかけています。
────────────────────────────────────────
<註> "Why Are We Playing Russian Roulette With the American People?": Longtime Nuclear Critic Ralph Nader Advocates Phasing Out Nuclear Power Industry
http://www.democracynow.org/2011/3/18/why_are_we_playing_russian_roulette
上記ニュースの字幕版は下記のサイトで見ることができます。
「ラルフ・ネーダー:なぜ我々はアメリカ国民を相手に“ロシアン・ルーレット" という自殺行為を弄んでいるのか――日本の事故で“原発ルネサンス" は終わった」
http://democracynow.jp/video/20110318-2
────────────────────────────────────────
アメリカが日本をClient(属国)だと見なし、日本政府を自分の言いなりになる子分として扱ってきたことは、これまでの沖縄の基地問題をめぐる経過をみれば明らかでしょう(これはチョムスキーが何度も言及していることでもあります)。
しかし、このことを裏付けるニュースが先日のDemocracyNow!に流れて、愕然とさせられました。というのは、そのニュースではヒラリー国務長官が、日本をアフガニスタンやパキスタン(さらにはイスラエル)と同じ格付けで扱っていたからです。
というのは、東京でおこなわれたアフガニスタン支援国会議の前夜、ヒラリー氏は「今日、オバマ大統領がアフガニスタンをnon-NATOの特別な同盟国と正式に認定したこと喜びをもって報告する」と述べたのですが、そのニュースの解説は次のようになっていたからです。
U.S. Gives Special Ally Status to Afghanistan
http://www.democracynow.org/2012/7/9/headlines#795
The symbolic move places Afghanistan in the same category as non-NATO U.S. allies in Asia and the Middle East, including Israel, Japan and Pakistan.
(この象徴的な宣言は、アフガニスタンをアジアと中東におけるアメリカの特別な同盟国の地位に置くことになった。すなわちアフガニスタンは、イスラエル、日本、パキスタンと同じく、non-NATOの特別な同盟国となった。)
────────────────────────────────────────
アフガニスタンのカルザイ大統領が、ブッシュ氏が大統領だったときからアメリカの傀儡として行動してきたことは周知の事実でしたから、そのアフガニスタンを「特別な同盟国だ」と宣言しても、「何を今さら!」と思われるのがオチでしょう。
むしろ私が驚いたのは、DemocracyNow!という独立メディアが、堂々と「アフガニスタンは、イスラエル、日本、パキスタンと同じく、non-NATOの特別な同盟国となった」と解説したということでした。
つまり日本は「アフガニスタン、イスラエル、パキスタンと全く同列の従属国」として映っているのです。
イスラエルは、衆知のとおり、長年、アメリカの中東政策を実現するために巨大な資金・武器援助を受けている特別な国ですし、パキスタンもアフガニスタンのタリバンを攻撃するための拠点として巨大な資金・武器援助を受けている従属国です。
日本はそれらの国と全く同じステイタス(status)を割り振られた国だというのですから、良識あるアメリカ人の目からすると、間違いなく日本はアメリカにとって利用しやすい属国なのでしょう。
だとすれば、原発政策でもアメリカから「原発を止めるな、再稼働しろ」と言われれば、それに忠実に従うのが野田政権の役割ということになります。
────────────────────────────────────────
さらに日本の属国ぶりを示す記事が最近いくつも報道されています。次にその二つを以下に載せます(以下の情報は、http://peacephilosophy.blogspot.jp/、[Tuesday, June 19, 2012]から得たものです)。
拡散予測、米軍に提供 事故直後に文科省 (共同通信、2012年1月16日)
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011601002390.html
東京電力福島第1原発事故直後の3月14日、放射性物質の拡散状況を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による試算結果を、文部科学省が外務省を通じて米軍に提供していたことが16日、分かった。
SPEEDIを運用する原子力安全委員会が拡散の試算結果を公表したのは昨年3月23日。公表の遅れによって住民避難に生かせず無用な被ばくを招いたと批判されているが、事故後の早い段階で米軍や米政府には試算内容が伝わっていた。
SPEEDI 住民に公表する前に、測定し「活用」していた? (東京新聞2012年6月12日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061202000090.html
福島第一原発事故が発生した四日後の昨年三月十五日、文部科学省が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による予測結果を基に、原発の北西約二十キロの福島県浪江町に職員を派遣し、実際に高い放射線量を測定していたことが十一日、分かった。
文科省は原発から一ベクレルが放出したと仮定し、風向きなどの気象条件から、どの方角に放射性物質が拡散しているか把握する試算を同十一日夕に開始。同十五日は、原発から南向きに流れていた風が昼ごろから夕方にかけて時計回りに回転し、北西向きに変化していたことが判明しており、この予測を基に職員に測定地点を指示したという。
SPEEDIによる放射性物質の拡散予測が事故後初めて公表されたのは昨年三月二十三日で、住民避難に役立てられなかった予測を、政府は公表前から活用していたことになる。政府の住民軽視の姿勢があらためて浮き彫りになった。
────────────────────────────────────────
この記事をもとに、PeacePhilosophyの論者は次のような解説を載せていました。
<要するに、順番が逆。米国情報を日本政府が直ちに市民に知らせなかったのではなく、日本政府が最初から市民に知らせないつもりでSPEEDI情報を米国にだけ渡して調べさせたのである。
文科省はSPEEDI情報を事故直後3月14日に米国に提供し、米エネルギー省はその情報をもとに航空モニタリングを行った。また、文科省は自らの職員もSPEEDIの予測で高汚染が予測された浪江町に派遣した。
その結果SPEEDI予測が正確であったことが立証された文科省は、怖くなってSPEEDIの情報は極力隠し、米国モニタリング情報が3月22日以降エネ省のサイトで堂々と発表された後も無視してなかったことにした。その隠蔽に大手メディアは全て加担した。
米国はこの情報を自国民の避難に使ったが、日本政府からの重圧か、日本政府に気を遣ってか、エネ省のサイトに調査結果をさりげなく置いただけで日本市民に積極的に伝えようとはしなかった。
そして米国に追随するように、文科省は申し訳程度に3月23以降小出しにSPEEDIの情報を出しはじめた。情報隠ぺいに必死になっていた政府の避難政策は後手後手となり、結局、高汚染地域だと事故当初からわかってい た飯館村の避難がほぼ完了したのが5月末、3ヵ月間住民を放置し多量の放射線に晒すという大罪を犯した。
このSPEEDIとそれに伴うモニタリングの情報を住民避難に生かさなかった政府+東電、メディアの共犯、そして米国の加担「トモダチ作戦」は絶対にこのままにし てはいけない。
「煽るな」といった脅迫を受けながらも、ネット言論者が事故直後からずっと訴え発信してきたことが、遅すぎる今になって次々と、後付のアリバイのように「こんなこともありました」といった風に報道されていく。
無力感にさいなまれながらも、諦めてはいけないと自分に言い聞かせる。>
(@PeacePhilosophy )
動画(3分) 福島の思い・福島の怒り
撮影・編集:湯本雅典(出典:レイバーネット日本)
────────────────────────────────────────
<追記>
さらに私が驚いたことは、上記のアフガン支援国会議の次のニュースでした。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120708/plc12070809220009-n1.htm
玄葉光一郎外相は、すでに日本政府が表明している最大30億ドルの支援を2016年までに着実に実施する意向を表明し、さらに農業支援、インフラ整備、人材育成を重点分野として、「わが国は2017年以降も引き続きアフガン主導の国造りに相応の貢献を行う」と述べたというのです。
福島原発事故の被災者には「集団疎開」する権利など必要な支援が全くなされていないのに、このカルザイ政権にたいする大盤振る舞いに、私はいうべき言葉を失ってしまいます。
というのは、このような巨額の援助をしても、それはザルに水を入れるに等しい無駄金になることは明らかだからです。現在のカルザイ政権はNATOの支援がありながらも首都カブールの治安すらも十分に維持できない、アフガン民衆からは孤立した存在だからです。
代々木公園を埋め尽くした空前の17万人!

出典:レイバーネット日本
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昨7月16日の「さようなら原発10万人集会」は、目標の10万人をこえた巨大な盛り上がり(17~20万人)を見せて終わりました。そのようすは下記のサイトで詳しく見ることができます。
レイバーネット日本
http://www.labornetjp.org/
OurPlanet-TV
http://www.ourplanet-tv.org/
当日は都合で東京の集会に参加できなかったひとも少なくなかったと思います。しかし上記のサイトを家族で視聴すること、その見た感想を周りのひとに伝え合うことも一つの参加の仕方ではないでしょうか。
私は上記の映像のなかで、OurPlanet-TVに載せられていた武藤類子さんの訴え(7分)が最も胸に響きました。
動画(7分) 武藤類子さん(福島県三春町)の訴え
http://www.youtube.com/watch?v=LvjU5wKcMvI
俳優・山本太郎氏の語りもさすがと思いましたので、時間がある方は空撮実況中継(60分)も見ていただければと思います。時間がない方は下記の縮約版をどうぞ。
動画(2分) 山本太郎氏の空撮実況中継、縮約版
http://www.youtube.com/watch?v=YBeaTplNGBo&feature=related
今や脱原発運動は大きなうねりをもって動きだし、さまざまな独立メデイアも活発な活動を展開するようになりました。
ですから、私のブログ「百々峰だより」ごときが脱原発のために果たす役割もあまり意義あるものとは思えなくなってきました。
また私自身も『肉声でつづる民衆のアメリカ史』の翻訳出版の疲れが出て今もあまり体調が良くありません。
そこで今後は元々の主旨であった英語教育や国際理解(とりわけアメリカ理解)のほうに徐々に重点を移していきたいと思っています。
しかし原発問題の、他の人があまり言及していないことについては、やはりどうしても書いておきたいことがありますので、それだけは書いたうえで次の段階に移行したいと思っています。
今後の抗議運動については下記のような便利なサイトがありますので、ぜひそれを御活用ください。
脱原発デモ集会の開催情報
http://www47.atwiki.jp/demomatome/
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私の予測では、7月16日の「さようなら原発10万人集会」が目標の10万人をはるかに超える巨大な盛り上がり見せたとしても、この動きが今後も持続し加速しないかぎり、野田政権は脱原発の方向へ動き出すことは、当面ないでしょう。
というのは私の推測=仮説では、原発を裏で推進している勢力は次の三つであり、野田首相はこの裏勢力が担ぎ出した単なる御神輿(おみこし)に過ぎないからです。
第1勢力:平和憲法を改悪し(仮想敵国として中国・北朝鮮の脅威を煽り立てながら)日本を核大国=軍事大国にしたいと思っている政治家その他
第2勢力:原発を輸出することによって巨大な利益を得ようとしている巨大企業(これは同時に日本を兵器輸出ができる国にしたいと思っている勢力です)
第3勢力:「原子力ルネサンス」というスローガンを掲げながら、ブッシュ氏ですらやらなかった原子力産業に乗り出したアメリカ=オバマ政権
今の私には、この三つの勢力について全面的に分析・紹介する気力・体力がありませんので、以下では、第3勢力のアメリカについて若干の事実を紹介するにとどめたいと思います。
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もともと原発は巨大な費用がかかるうえに、いったん事故が起こればその補償額も天文学的なものになります。
ですから民間企業にとって原発は全く儲からない産業です。それゆえ1979年のスリーマイル島の事故以来、米国では新規の原発の建設はほとんどありませんでした
しかし、オバマ政権になってから、「原発ルネサンス」と呼ばれる建設ラッシュが始まりました。気候変動対策を口実にして、クリーンなエネルギーとしての原子力発電を再評価しようというのです。
ところが原発事故が起きても政府が原子力産業を支えてくれるというのですから、アメリカの大企業も原発産業におおいに乗り気になってきたところに、福島原発事故が起きました。おかげで、この「原発ルネサンス」も吹き飛ばされそうな雲行きになってきました。
日本が「おおい原発」の再稼働をやめれば、「原発とはそんな危険なものだったのか!」ということで、オバマ氏が推進しようとしている「原発ルネサンス」政策も吹き飛んでしまうからです。
ですからオバマ氏が野田政権の尻をたたき、裏で必死にネジを巻いていることは、おそらく間違いないでしょう。だからこそ、消費者運動の旗手ラルフ・ネーダーに言わせれば、「ここからが私たちの踏ん張りどころ」です。
http://www.democracynow.org/2011/3/18/why_are_we_playing_russian_roulette
ネーダー氏は、「原発利権はそう簡単には退散しない。確実に息の根をとめるように、黙ってみているのではなく行動せよ」と、米国民だけでなく私たち日本人にも呼びかけています。
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<註> "Why Are We Playing Russian Roulette With the American People?": Longtime Nuclear Critic Ralph Nader Advocates Phasing Out Nuclear Power Industry
http://www.democracynow.org/2011/3/18/why_are_we_playing_russian_roulette
上記ニュースの字幕版は下記のサイトで見ることができます。
「ラルフ・ネーダー:なぜ我々はアメリカ国民を相手に“ロシアン・ルーレット" という自殺行為を弄んでいるのか――日本の事故で“原発ルネサンス" は終わった」
http://democracynow.jp/video/20110318-2
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アメリカが日本をClient(属国)だと見なし、日本政府を自分の言いなりになる子分として扱ってきたことは、これまでの沖縄の基地問題をめぐる経過をみれば明らかでしょう(これはチョムスキーが何度も言及していることでもあります)。
しかし、このことを裏付けるニュースが先日のDemocracyNow!に流れて、愕然とさせられました。というのは、そのニュースではヒラリー国務長官が、日本をアフガニスタンやパキスタン(さらにはイスラエル)と同じ格付けで扱っていたからです。
というのは、東京でおこなわれたアフガニスタン支援国会議の前夜、ヒラリー氏は「今日、オバマ大統領がアフガニスタンをnon-NATOの特別な同盟国と正式に認定したこと喜びをもって報告する」と述べたのですが、そのニュースの解説は次のようになっていたからです。
U.S. Gives Special Ally Status to Afghanistan
http://www.democracynow.org/2012/7/9/headlines#795
The symbolic move places Afghanistan in the same category as non-NATO U.S. allies in Asia and the Middle East, including Israel, Japan and Pakistan.
(この象徴的な宣言は、アフガニスタンをアジアと中東におけるアメリカの特別な同盟国の地位に置くことになった。すなわちアフガニスタンは、イスラエル、日本、パキスタンと同じく、non-NATOの特別な同盟国となった。)
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アフガニスタンのカルザイ大統領が、ブッシュ氏が大統領だったときからアメリカの傀儡として行動してきたことは周知の事実でしたから、そのアフガニスタンを「特別な同盟国だ」と宣言しても、「何を今さら!」と思われるのがオチでしょう。
むしろ私が驚いたのは、DemocracyNow!という独立メディアが、堂々と「アフガニスタンは、イスラエル、日本、パキスタンと同じく、non-NATOの特別な同盟国となった」と解説したということでした。
つまり日本は「アフガニスタン、イスラエル、パキスタンと全く同列の従属国」として映っているのです。
イスラエルは、衆知のとおり、長年、アメリカの中東政策を実現するために巨大な資金・武器援助を受けている特別な国ですし、パキスタンもアフガニスタンのタリバンを攻撃するための拠点として巨大な資金・武器援助を受けている従属国です。
日本はそれらの国と全く同じステイタス(status)を割り振られた国だというのですから、良識あるアメリカ人の目からすると、間違いなく日本はアメリカにとって利用しやすい属国なのでしょう。
だとすれば、原発政策でもアメリカから「原発を止めるな、再稼働しろ」と言われれば、それに忠実に従うのが野田政権の役割ということになります。
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さらに日本の属国ぶりを示す記事が最近いくつも報道されています。次にその二つを以下に載せます(以下の情報は、http://peacephilosophy.blogspot.jp/、[Tuesday, June 19, 2012]から得たものです)。
拡散予測、米軍に提供 事故直後に文科省 (共同通信、2012年1月16日)
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011601002390.html
東京電力福島第1原発事故直後の3月14日、放射性物質の拡散状況を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による試算結果を、文部科学省が外務省を通じて米軍に提供していたことが16日、分かった。
SPEEDIを運用する原子力安全委員会が拡散の試算結果を公表したのは昨年3月23日。公表の遅れによって住民避難に生かせず無用な被ばくを招いたと批判されているが、事故後の早い段階で米軍や米政府には試算内容が伝わっていた。
SPEEDI 住民に公表する前に、測定し「活用」していた? (東京新聞2012年6月12日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061202000090.html
福島第一原発事故が発生した四日後の昨年三月十五日、文部科学省が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による予測結果を基に、原発の北西約二十キロの福島県浪江町に職員を派遣し、実際に高い放射線量を測定していたことが十一日、分かった。
文科省は原発から一ベクレルが放出したと仮定し、風向きなどの気象条件から、どの方角に放射性物質が拡散しているか把握する試算を同十一日夕に開始。同十五日は、原発から南向きに流れていた風が昼ごろから夕方にかけて時計回りに回転し、北西向きに変化していたことが判明しており、この予測を基に職員に測定地点を指示したという。
SPEEDIによる放射性物質の拡散予測が事故後初めて公表されたのは昨年三月二十三日で、住民避難に役立てられなかった予測を、政府は公表前から活用していたことになる。政府の住民軽視の姿勢があらためて浮き彫りになった。
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この記事をもとに、PeacePhilosophyの論者は次のような解説を載せていました。
<要するに、順番が逆。米国情報を日本政府が直ちに市民に知らせなかったのではなく、日本政府が最初から市民に知らせないつもりでSPEEDI情報を米国にだけ渡して調べさせたのである。
文科省はSPEEDI情報を事故直後3月14日に米国に提供し、米エネルギー省はその情報をもとに航空モニタリングを行った。また、文科省は自らの職員もSPEEDIの予測で高汚染が予測された浪江町に派遣した。
その結果SPEEDI予測が正確であったことが立証された文科省は、怖くなってSPEEDIの情報は極力隠し、米国モニタリング情報が3月22日以降エネ省のサイトで堂々と発表された後も無視してなかったことにした。その隠蔽に大手メディアは全て加担した。
米国はこの情報を自国民の避難に使ったが、日本政府からの重圧か、日本政府に気を遣ってか、エネ省のサイトに調査結果をさりげなく置いただけで日本市民に積極的に伝えようとはしなかった。
そして米国に追随するように、文科省は申し訳程度に3月23以降小出しにSPEEDIの情報を出しはじめた。情報隠ぺいに必死になっていた政府の避難政策は後手後手となり、結局、高汚染地域だと事故当初からわかってい た飯館村の避難がほぼ完了したのが5月末、3ヵ月間住民を放置し多量の放射線に晒すという大罪を犯した。
このSPEEDIとそれに伴うモニタリングの情報を住民避難に生かさなかった政府+東電、メディアの共犯、そして米国の加担「トモダチ作戦」は絶対にこのままにし てはいけない。
「煽るな」といった脅迫を受けながらも、ネット言論者が事故直後からずっと訴え発信してきたことが、遅すぎる今になって次々と、後付のアリバイのように「こんなこともありました」といった風に報道されていく。
無力感にさいなまれながらも、諦めてはいけないと自分に言い聞かせる。>
(@PeacePhilosophy )
動画(3分) 福島の思い・福島の怒り
撮影・編集:湯本雅典(出典:レイバーネット日本)
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<追記>
さらに私が驚いたことは、上記のアフガン支援国会議の次のニュースでした。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120708/plc12070809220009-n1.htm
玄葉光一郎外相は、すでに日本政府が表明している最大30億ドルの支援を2016年までに着実に実施する意向を表明し、さらに農業支援、インフラ整備、人材育成を重点分野として、「わが国は2017年以降も引き続きアフガン主導の国造りに相応の貢献を行う」と述べたというのです。
福島原発事故の被災者には「集団疎開」する権利など必要な支援が全くなされていないのに、このカルザイ政権にたいする大盤振る舞いに、私はいうべき言葉を失ってしまいます。
というのは、このような巨額の援助をしても、それはザルに水を入れるに等しい無駄金になることは明らかだからです。現在のカルザイ政権はNATOの支援がありながらも首都カブールの治安すらも十分に維持できない、アフガン民衆からは孤立した存在だからです。
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