議員定数削減、チョムスキー講演、そしてマイケル・ムーア(補遺)
前回のブログ「議員定数削減チョムスキー講演、そしてマイケル・ムーア」(上・中・下)では、米国では「金持ちと大企業に対する減税」が徹底しているので、国家財政どころか瀕死状態の州が少なくないことを述べつつ、それが「議員定数削減」「議員報酬削減」さらには「議員パートタイム制」にまで至っていることを紹介しました。
そこでは更に次のような解説も付け加えました。
<議員は、法案一つ提案するにしても、綿密な調査と研究なくしては実効ある政策や法案をつくることはできません。秘書がついたり旅費がついたりするのも、このような理由に依ります。しかし月収で20万円では調査研究どころか妻子さえ養っていくことはできません。
これでは,きちんとした定職を持ち、なおかつ議会活動もできる暇な人しか議員になれないことになります。つまり議員活動は一種のボランティア活動であり、毎日必死に働いていてボランティア活動などをするゆとりのない人は決して議員になることはできません。つまり民衆の利益を代表するひとは、おいそれと議員になることはできないことになります。>
しかし、ここで大切なことを書き忘れたことがあることに気づきました。というのは民主党や自民党は「議員定数削減」を声高に叫んでいますが、それらの政党が日頃から主張している「官僚制の打破」に逆行しかねないということです。
というのは、「議員定数削減」「議員報酬削減」は少数者が多数派になる道をふさぎ民主主義の根幹を掘り崩すだけでなく、前回でも述べたように、能力がなくても「大政党から公認され、政党助成金や財界からのお金だけで当選する」議員ばかりが増えることになりかねません(いわゆる「タレント議員」がその典型)。
綿密な調査と研究と立法の能力を持たない議員が、いくら「官僚制の打破!」を声高に叫んでも、相手が高学力の官僚で実務経験も豊富となれば、その彼らと論争して官僚制の打破など出来るはずがないのです(いわゆる「タレント議員」に何ができるか考えてみれば、これは容易に納得できるのではないでしょうか)。
つまり民主党や自民党が「官僚制の打破」を叫んでいるのは、賃金を切り下げられたり首切りにあったりしている貧しい市民の怒りを官僚に向け、自分たちの票稼ぎに利用しているだけとも考えられるわけです。そして,その怒りは「議員定数削減」「議員報酬削減」という俗受けする方向に簡単に誘導されていきます。
前回のブログを書いた直後にDemocracy Now!のヘッドラインニュースで、またもや興味深い記事を見つけました。というのは、金持ち減税政策を推し進めて国家財政赤字の原因をつくった連邦準備制度理事会(FRB=米国中央銀行)の元議長グリーンスパンが、下記のように自らの失政を認める発言をしていたからです。
Greenspan Opposes Keeping Bush's Tax Cuts on Wealthy
http://www.democracynow.org/2010/8/2/headlines
Former Federal Reserve chair Alan Greenspan has come out in favor of letting the Bush administration tax cuts for the wealthiest Americans expire. Appearing on Meet the Press, Greenspan said the tax revenue is needed to reduce the federal budget deficit.
Alan Greenspan: "I'm very much in favor of tax cuts, but not with borrowed money. And the problem that we've gotten into in recent years is spending programs with borrowed money, tax cuts with borrowed money. And, at the end of the day, that proves disastrous. And my view is I don't think we can play subtle policy here."
つまりグリーンスパンは、「レーガンおよびブッシュ政権下で金持ち減税政策に賛成してきたが、(国債などの形で他国から)借金しながら国家財政をやりくりしていると結局は大惨事になる。この際、廃止することに賛成する」と述べているのです。
このニュースを視聴していると、「国家財政が危機だからという理由で教育や福祉を切り捨て、住宅ローンも払えずに路上に放り出される人が激増する現状をつくりだした、その張本人が何を今更!」という庶民の怒りが聞こえてくるようです。
<註>
このDemocracy Now!の良いところは、ニュースのスクリプトが必ず付いているので、視聴しただけでは分からなかったところを文字で確認できるところです。とは言っても読解力を身につけておかないと何の役にも立ちませんが・・・。私が日頃から「EFL環境では会話力よりも聴解力や読解力が重要になる」と主張している所以です。
そこでは更に次のような解説も付け加えました。
<議員は、法案一つ提案するにしても、綿密な調査と研究なくしては実効ある政策や法案をつくることはできません。秘書がついたり旅費がついたりするのも、このような理由に依ります。しかし月収で20万円では調査研究どころか妻子さえ養っていくことはできません。
これでは,きちんとした定職を持ち、なおかつ議会活動もできる暇な人しか議員になれないことになります。つまり議員活動は一種のボランティア活動であり、毎日必死に働いていてボランティア活動などをするゆとりのない人は決して議員になることはできません。つまり民衆の利益を代表するひとは、おいそれと議員になることはできないことになります。>
しかし、ここで大切なことを書き忘れたことがあることに気づきました。というのは民主党や自民党は「議員定数削減」を声高に叫んでいますが、それらの政党が日頃から主張している「官僚制の打破」に逆行しかねないということです。
というのは、「議員定数削減」「議員報酬削減」は少数者が多数派になる道をふさぎ民主主義の根幹を掘り崩すだけでなく、前回でも述べたように、能力がなくても「大政党から公認され、政党助成金や財界からのお金だけで当選する」議員ばかりが増えることになりかねません(いわゆる「タレント議員」がその典型)。
綿密な調査と研究と立法の能力を持たない議員が、いくら「官僚制の打破!」を声高に叫んでも、相手が高学力の官僚で実務経験も豊富となれば、その彼らと論争して官僚制の打破など出来るはずがないのです(いわゆる「タレント議員」に何ができるか考えてみれば、これは容易に納得できるのではないでしょうか)。
つまり民主党や自民党が「官僚制の打破」を叫んでいるのは、賃金を切り下げられたり首切りにあったりしている貧しい市民の怒りを官僚に向け、自分たちの票稼ぎに利用しているだけとも考えられるわけです。そして,その怒りは「議員定数削減」「議員報酬削減」という俗受けする方向に簡単に誘導されていきます。
前回のブログを書いた直後にDemocracy Now!のヘッドラインニュースで、またもや興味深い記事を見つけました。というのは、金持ち減税政策を推し進めて国家財政赤字の原因をつくった連邦準備制度理事会(FRB=米国中央銀行)の元議長グリーンスパンが、下記のように自らの失政を認める発言をしていたからです。
Greenspan Opposes Keeping Bush's Tax Cuts on Wealthy
http://www.democracynow.org/2010/8/2/headlines
Former Federal Reserve chair Alan Greenspan has come out in favor of letting the Bush administration tax cuts for the wealthiest Americans expire. Appearing on Meet the Press, Greenspan said the tax revenue is needed to reduce the federal budget deficit.
Alan Greenspan: "I'm very much in favor of tax cuts, but not with borrowed money. And the problem that we've gotten into in recent years is spending programs with borrowed money, tax cuts with borrowed money. And, at the end of the day, that proves disastrous. And my view is I don't think we can play subtle policy here."
つまりグリーンスパンは、「レーガンおよびブッシュ政権下で金持ち減税政策に賛成してきたが、(国債などの形で他国から)借金しながら国家財政をやりくりしていると結局は大惨事になる。この際、廃止することに賛成する」と述べているのです。
このニュースを視聴していると、「国家財政が危機だからという理由で教育や福祉を切り捨て、住宅ローンも払えずに路上に放り出される人が激増する現状をつくりだした、その張本人が何を今更!」という庶民の怒りが聞こえてくるようです。
<註>
このDemocracy Now!の良いところは、ニュースのスクリプトが必ず付いているので、視聴しただけでは分からなかったところを文字で確認できるところです。とは言っても読解力を身につけておかないと何の役にも立ちませんが・・・。私が日頃から「EFL環境では会話力よりも聴解力や読解力が重要になる」と主張している所以です。
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