「原発ゼロ」つぶしのバックにアメリカ、「東京新聞」がスクープ――脱原発の前に立ちはだかる三つの壁、三つの勢力(5)


【福島】力強く生きたい~自主避難から1年
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1446 (動画15分)
* 原発によって引き裂かれていく福島のひとたちの悲しみと怒りがヒシヒシと伝わってきます。 
 
* この映像を見て長谷川克己さんの意見と行動に胸を揺さぶられる思いがしました。



スペインの首都マドリードを埋め尽くす民衆
http://rt.com/news/spain-protests-parliament-crisis-942/

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このブログは自分の現在の体調からすると10日に一回の程度の頻度しか書けないのですが、どうしても伝えておきたい新しい事件が次々と起き、本当に困っています。

本来の目的である英語教育やアメリカ理解だけに専念できる日が、一刻も早く来ることを待ち望んでいます。

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さて国外では、ギリシャやスペインで、1%だけを救い99%の教育や福祉を切り捨てようとしている政府にたいして、民衆が激しい抵抗運動を繰り広げています。

Greek Workers Hold General Strike
http://www.democracynow.org/2012/9/26/headlines#9261

Thousands Surround Spanish Parliament in Austerity Protest
http://www.democracynow.org/2012/9/26/headlines#9262

日本もTPPが導入されるとヨーロッパのような悲惨な状態に追い込まれることは間違いないでしょう。

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他方、シリア情勢がますます混迷を深めていますし、イスラエルがイラン攻撃を公言していますので、流血の惨事がいっそう拡大しそうで気が重くなります。

皮肉なことは、リビア内戦のときNATO軍が支援した武装勢力の一部が,今度はリビアのアメリカ大使館を襲ったと言われているのですから、情勢はますます複雑怪奇になってきています。 

リビアのカダフィ政権を倒すためにNATOが反政府勢力に武器を渡して支援したおかげで、ビンラディン亡きあと消滅しかけていたアルカイダが、復活の機会を与えられたというわけです。

US-Backed Terrorists Murder US Ambassador in Libya
http://www.globalresearch.ca/us-backed-terrorists-murder-us-ambassador-in-libya/

しかも、この復活した武装勢力が、今度はシリアの反政府勢力に参加しているそうですから、たとえシリアのアサド政権が倒されることがあったとしても、アメリカにとって未来は必ずしも明るいとは言えないようです。

Robert Fisk: Al-Qa'ida cashes in as the scorpion gets in among the good guys
http://www.independent.co.uk/voices/commentators/fisk/robert-fisk-alqaida-cashes-in-as-the-scorpion-gets-in-among-the-good-guys-8143267.html

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国内では、自民党の総裁選が終わり、決選投票の結果、石破茂前政調会長を押さえて安倍晋三元首相が選出されたようです。

しかし、戦前の軍国主義を反省せず中国を敵視するだけを外交政策の柱とするタカ派同士の決選投票でしたから、今後のアジア情勢にも暗雲が垂れ込めたままです。朝鮮日報は記事の中で次のような見出しを掲げていました。

安倍氏が首相になれば、北東アジアは荒波の中へ
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/09/27/2012092700525.html

原発についても自民党は廃止を明言していませんから、この点でも私たちの頭上には暗雲が垂れ込めたままです。

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ところで私は、以前からこのブログで、原発を推進する勢力には大きく分けて次の三つがあるという仮説を提示してきました。

第1勢力:平和憲法を改悪し(仮想敵国として中国・北朝鮮の脅威を煽り立てながら)日本を核大国=軍事大国にしたいと思っている政治家その他

第2勢力:原発を輸出することによって巨大な利益を得ようとしている巨大企業(これは同時に日本を兵器輸出ができる国にしたいと思っている勢力です)

第3勢力:「原子力ルネサンス」というスローガンを掲げながら、ブッシュ氏ですらやらなかった原子力産業に乗り出したアメリカ=オバマ政権


安倍氏は上記の「第1勢力」であることは氏の経歴からして明らかでしょう。ところで最近、この私の仮説「第3勢力」を裏付けるスクープ記事がありました。

それはこれまでも原発事故を誠実に報道し続けてきた東京新聞によるものです。私がこれを知ったのは「レイバーネット」による下記の記事からでした。

「原発ゼロ」つぶしのバックにアメリカ~「東京新聞」がスクープ
http://www.labornetjp.org/news/2012/0922tokyo

東京新聞は地方紙ですから、私のように田舎の地方都市に住んでいる人間には、なかなか伝わってこない情報でした。

すでにこれを読んだひとには、この記事はNewsではなくOldsかも知れませんが、私のような人間も少なくないのではないかと考え、以下で紹介することにしたいと思います。

東京新聞(2012年9月22日)は一面トップで次のように報じました。

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原発ゼロ「変更余地残せ」 閣議決定回避 米が要求
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012092290070744.html

野田内閣が「二〇三〇年代に原発稼働ゼロ」を目指す戦略の閣議決定の是非を判断する直前、米政府側が閣議決定を見送るよう要求していたことが二十一日、政府内部への取材で分かった。米高官は日本側による事前説明の場で「法律にしたり、閣議決定して政策をしばり、見直せなくなることを懸念する」と述べ、将来の内閣を含めて日本が原発稼働ゼロの戦略を変える余地を残すよう求めていた。

政府は「革新的エネルギー・環境(エネ環)戦略」の決定が大詰めを迎えた九月初め以降、在米日本大使館や、訪米した大串博志内閣府政務官、長島昭久首相補佐官らが戦略の内容説明を米側に繰り返した。

十四日の会談で、米高官の国家安全保障会議(NSC)のフロマン補佐官はエネ環戦略を閣議決定することを「懸念する」と表明。この時点では、大串氏は「エネ戦略は閣議決定したい」と説明したという。

さらに米側は「二〇三〇年代」という期限を設けた目標も問題視した。米民主党政権に強い影響力があるシンクタンク、新米国安全保障センター(CNAS)のクローニン上級顧問は十三日、「具体的な行程もなく、目標時期を示す政策は危うい」と指摘した。これに対して、長島氏は「目標の時期なしで原発を再稼働した場合、国民は政府が原発推進に突き進むと受け止めてしまう」との趣旨で、ゼロ目標を入れた内閣の立場を伝えていた。また交渉で米側は、核技術の衰退による安全保障上の懸念なども表明したという。

エネ環戦略は十四日に決めたが、野田内閣は米側の意向をくみ取り、「エネ環政策は、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」という短い一文だけを閣議決定。「原発稼働ゼロ」を明記した戦略そのものの閣議決定は見送った。
大串、長島両氏は帰国後、官邸で野田佳彦首相に訪米内容を報告している。

政府関係者は「事前に米側に報告して『原発稼働ゼロ』決定への理解を求めようとしたが、米側は日本が原発や核燃サイクルから撤退し、安全保障上の協力関係が薄れることを恐れ、閣議決定の回避を要請したのではないか」と指摘している。


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以上が、記事の基本的内容ですが、東京新聞は次のような記事で最後を締めくくっています。

◆「判断変えてない」大串政務官:原発ゼロをめぐる米国との協議について、大串博志内閣府政務官は二十一日、本紙の取材に対し「個別のやりとりの内容は申し上げられないが、米側からはさまざまな論点、課題の指摘があった。米側からの指摘で日本政府が判断を変えたということはない」と話した。


しかし、野田内閣は米側の意向をくみ取り、「エネ環政策は、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」という短い一文だけを閣議決定し、「原発稼働ゼロ」の明記は見送ったわけですから、「判断変えてない」とする大串政務官の言を、誰も信じないのではないでしょうか。

東京新聞は、更にこの記事の後に、次のような解説を付けくわえています。

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<解説> 骨抜き 背景に米圧力

「原発ゼロ」を求める多数の国民の声を無視し、日本政府が米国側の「原発ゼロ政策の固定化につながる閣議決定は回避せよ」との要求を受け、結果的に 圧力に屈していた実態が明らかになった。「原発ゼロ」を掲げた新戦略を事実上、骨抜きにした野田内閣の判断は、国民を巻き込んだこれまでの議論を踏みにじる行為で到底、許されるものではない。

意見交換の中で米側は、日本の主権を尊重すると説明しながらも、米側の要求の根拠として「日本の核技術の衰退は、米国の原子力産業にも悪影響を与える」「再処理施設を稼働し続けたまま原発ゼロになるなら、プルトニウムが日本国内に蓄積され、軍事転用が可能な状況を生んでしまう」などと指摘。再三、米側の「国益」に反すると強調したという。

当初は、「原発稼働ゼロ」を求める国内世論を米側に説明していた野田内閣。しかし、米側は「政策をしばることなく、選挙で選ばれた人がいつでも政策を変えられる可能性を残すように」と揺さぶりを続けた。

放射能汚染の影響により現在でも十六万人の避難民が故郷に戻れず、風評被害は農業や漁業を衰退させた。多くの国民の切実な思いを置き去りに、閣議での決定という極めて重い判断を見送った理由について、政府は説明責任を果たす義務がある。


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上の解説によれば、アメリカは「日本の核技術の衰退は米国の原子力産業にも悪影響を与える」と言ったそうですが、これは私が冒頭にかかげた仮説の第3勢力が主張する内容と全く同じものです。

<第3勢力:「原子力ルネサンス」というスローガンを掲げながら、ブッシュ氏ですらやらなかった原子力産業に乗り出したアメリカ=オバマ政権>


アメリカは、このように、日本の脱原発政策が「再三、米側の『国益』に反すると強調した」そうですが、私たちは「アメリカの国益」のために原発を稼働させたり停止させたりするわけではありません。

その意味で,この解説は、大手メディアと違って、毅然とした態度で終始一貫していて、次の締めくくり方も非常に好感が持てました。

放射能汚染の影響により現在でも十六万人の避難民が故郷に戻れず、風評被害は農業や漁業を衰退させた。多くの国民の切実な思いを置き去りに、閣議での決定という極めて重い判断[原発稼働ゼロ]を見送った理由について、政府は説明責任を果たす義務がある。


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ただ一つ残念だったのは、この締めくくりで「風評被害は農業や漁業を衰退させた」としている点です。

というのは「農業や漁業を衰退させた」のは単なる風評被害ではなく、本当に深刻な濃度の放射能が福島県およびその周辺の土地と海を汚染し続けている事実があるからです。

だからこそ福島のひとたちは「集団疎開をする権利」を求めて裁判闘争に立ち上がっているのです。

[放射能被曝]福島集団疎開裁判で分かった悲惨な現状
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-6114.html
甲状腺の検査改善求め~市民が県立医大に要望
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1441
「移動教室」で教育を変える!~伊達市の挑戦
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1437

官邸前の「金曜デモ」などに参加する余裕や時間がとれなくても、このような動画を視聴すること、資料などを読んで知った知識を周りに広めることも、一つの参加の仕方ではないでしょうか。

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<註> 以下の動画は2時間半にわたるものなので時間のあるときに見ていただければと思います。
【緊急記者会見】ふくしま集団疎開裁判、2012/09/19
http://www.youtube.com/watch?v=Q05MfnVrL7M&feature=plcp
 
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狐狸庵居士(田舎の国立大学を2010年に定年退職)

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